表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/48

11-4.end

 すっかり抵抗の姿勢を見せなくなったメリーさんを含めた四人は、近くのピクニックテーブルに場所を移して、彼女の話を聞くことにした。

「知っての通り、私はメリーさんで、瞬間移動の能力を持っているんです。でも、その能力を使うには誰かに電話をかけなければならなくて……」

 未だに顔の青いメリーさんは申し訳なさそうに話し続ける。

「今日はお買い物に行きたかったんですけど、この暑さじゃないですか。私、暑いの苦手なんです」

「だから横着して姉さんを使って瞬間移動の能力を使ったんですね」

 空子の問いに、メリーさんは首を縦に振って答えた。

「でもこの能力を使った時は最終的に電話の主の後ろに現れなくてはいけなくて……」

「それで、姉さんを殺すつもりだった?」

「いやいや! そんなことは……。ただ、軽く脅かして気を失わせて、気付かれないうちに帰ろうと……」

 メリーさんは手を大きく振って否定した。その言葉に嘘の気配は感じない。となれば、天子達が怯えていたのは杞憂だったというわけだ。

「なーんだ。走り回って損した」

「ええ。姉さんのことは残念ですが、これにて一件落着ですね」

「HAHAHAHAHA!」

 愉快な笑い声が、公園にこだました。


 明くる日。駆人と空子は買い物に出ていた。

「あ、お財布を忘れてしまいました」

「そうですか。僕が取りに帰りましょうか?」

「いえ。こういう時は……」

 空子は携帯電話を取り出すと、一言二言言葉を交わしてすぐに通話を切る。

 すると、すぐに駆人の携帯電話に着信があった。……、非通知?

「もしもし」

「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」

 何度も聞いたあの声。思わず勢いをつけて振り返ると、そこにはゴシックなドレスを着た金髪の少女、メリーさんがいた。

「お財布、お持ちしました」

「どうもありがとうございます」

「いえ。また何が御用があれば」

 メリーさんは空子に財布を渡すと、すぐにどこかへと消えてしまった。

「い、今のは」

「メリーさんですよ。罪を償いたいと言って、私とか、あと怪対課の方でお手伝いをしているそうです」

「ああ、なるほど」

「目の回し過ぎで死んでしまった姉さんも、草葉の陰で喜んでくれることでしょう」

「はい……」

 空を見上げると、天子の笑い声がどこからか聞こえるような気がした……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ