悪役令嬢様、疑問
更新が遅れて申し訳ありません。
新キャラ登場です。よろしくお願いします。
最初の数話のみに「リリス視点」と書いておりましたが、すっかり忘れていてすみません。今後は特に明記がない限りは「リリス視点」といたします。
7話
翌日、女は消えていた。始終“何か”怯えるように、叫んでいたという。お父様は、女と二度と会わせないとわたくしに誓いを立ててくださった。その誓いの有効性は低いだろうが。
女は、シェーン修道院に連れて行かれた、とエーデルワイスから聞いた。そこは、『聖唄』のメインストーリーでエンディングの1つ(アナザーストーリーでは、バッドエンド)で、リリス・ノーブルがぶち込まれることになった修道院という名の豚小屋だ。 アナザーストーリーで、プライドの高いリリス・ノーブルは、そこにぶち込まれると即刻自害を図るシーンが描かれていた。
「おとうさま、ごきげんよう。およびとききましたわ」
「おはよう、私の可愛い天使。呼び立ててすまない」
チョンと淑女の礼をすれば、甘く蕩けた笑顔を今日もお父様はなさっている。
「いいえ、ほかならぬおとうさまからのおよびだしですもの。りりすは、どこにいたっておうじますわ」
「ああ、なんて尊さなんだ。私の天使。やはり、護衛に男なんてダメだ!!!」
「旦那様。他ならぬマーリン様からの紹介です。さっさと、本題に進んでください。リリスお嬢様は、今日もお忙しいのですよ」
「セバスチャンもごきげんよう。きょうもぜっこうちょうね」
「おはようございます、リリスお嬢様。ありがとうございます。旦那様が使い物にならないので僭越ながら、私がお話を進めさせていただきます。」
そして、すっと家令のセバスチャンの影から現れたのは、紅い瞳に、夜空を想わせる深い藍色の髪の毛を持った、美しい少年であった。
「本日から、お嬢様の護衛兼従者として専属になるラミエルです。如何でしょう、お嬢様」
容姿と名、さらにわたくしの従者となることから、『聖唄』の攻略対象であることに間違いなさそうだ。作中、リリス・ノーブルを殺すために1番奮闘した人物でもある。何故、彼がそこまでリリス・ノーブルの死に固執したか、までは描かれてはいない。一部では、彼はリリスに恋焦がれていたのではないか、などという憶測もある。真相はわかりはしない。アナザーストーリーは、アクションゲームとしての要素が強く、乙女ゲームというよりは、RPGであったために、メインストーリーの攻略対象に出会わないこともあれば、出会ったところで恋愛にも発展しなかった。彼は、前者の方で、本当に予想がつかない。
「うつくしいひとみね。まるで、ゆうやけのようだわ。かみのけも、よぞらのいろでわたくしとおそといね。すてきだわ!....わたくしは、のーぶるこうしゃくけがむすめ、りりすですわ」
ラミエルは、目元を和らげて、わたくしが差し出した手をスッと取り、チュッと手の甲にキスをした。
「ラミエルと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
どうやら、初手は間違わなかったらしい。