悪役令嬢様、攻略
大変お待たせいたしました
10話
お父様とお兄様は最後まで、メリルが婚約者となることを嫌がっていた。どうせ、誰でも嫌がっただろうけれど。貴族としての務めを果たすならば、自分の気に入った人と結婚したい、と泣き落とせば簡単であった。
しかし、周囲はそこまで簡単ではなかった。
メリルは、瞳も髪の色もそれはそれは美しい海の色をしている。しかし、彼の身内には誰一人として、その色は存在しない。
水の精霊に愛されたためだとは、誰も気づいていない。周囲は不義の子だと、彼に冷たい。彼の両親は、彼を愛しているけれど、周囲は彼の家に冷たい。
「泣いてはいけないわ。必ず、わたくしが貴方を悲しみの海からすくってあげるわ」
「ほんとうに...?」
「わたくしを誰だと思っているの?わたくしは、ノーブル公爵家が娘、リリスよ」
彼の瞳に、希望の光が煌めいた。
お父様とエーデルワイスに頼んで、お父様は身辺調査の依頼という形で宮廷魔導師マーリンに、実子であることを証明させた。マーリンに意見できる者は、少ない上に、精霊は嘘をつかない。
晴れて、メリル・ネイサンは周囲に実子であることを証明され、わたくし、リリス・ノーブルの婚約者となった。今まで冷たく当たってきた人物たちに土下座され、泣きつかれたという。
それからというもの、彼はよくわたくしに懐いている。
「リリィがおれをまもってくれたんだ。このいのちをかけて、きみをまもるとちかう」
海色の彼は、海のようなおおらかな笑顔で、真剣な瞳で、わたくしに誓いを立てた。
「えぇ、その誓いを赦すわ」
愉しくなりそうね、わたくしの婚約者さん。




