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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

神々が居なくなった世界で、少女は生きる目的を探し旅をする

作者: 華洛
掲載日:2018/09/30


 神々が居なくなってから三ヶ月ほどが経った。

 世界は今や混迷を深めていた。

 今まで何をするにも神頼みだった人々は、民衆は大いに混乱し、国は混迷を深める。

 そんな中、私は、森の中をアテもなく歩いていた。


 神々を殺した後、しばらく師匠に紹介された「最果ての地」にある魔王城に居たけど、追い出された。

 なんでも陰気が城中に蔓延するとかいう、理不尽な理由で。

 あの似非ロリ魔王。滅べば良いのに。

 似非ロリ魔王の従者であるノーデンスさんに言われ、神々がいなくなった後の世界を見て周り、生きる目的が出来たら帰ってきて良いとは言われた。


 そして私は生きる目標を探して世界を旅をする事にした。

 正直、どうしたら良いかなんて分からない。

 私は、自分のエゴを押し通して神々を、遍く神々を悉く斃していった。

 神が居なくなった時点で、私の人生は完遂していると言っても良い。

 だから、次に生きる目標と言われても――正直分からない。


「――――」


 森を歩いていると、悲鳴が聞こえた。

 何かあった?

 悲鳴が聞こえて、それを無視するほど私は非人道的じゃない。

 声がしてくる方角に向けて私は走る。

 整理された道から逸れて、草木が覆い茂った獣道を進んでいく。

 しばらく進むと人の気配がした為、大きな木の後ろに隠れて様子を見た。


「や、止めて。止めてよ! こ、こんな事をして、神が天罰を下すよ!!」


「ハハハ。神。神ねぇ。もう、そんなのは居ねぇよ」


「嬢ちゃんも感じてるだろう。もう、この世界には全知全能の神は居ないんだよ」


「だ・か・ら、嬢ちゃんを助けてくれる存在は居ないぜ」


 どうやら山賊が少女を襲っている所のようですね。

 少女は年齢は13歳ぐらいかな。赤い髪に、幼い割には、出るところは出ている。

 着ている衣服は一部が破られている。そこから年の割には膨らんでいる胸が露わになり、片手で胸を隠しているけど、それが余計にイヤらしさを強調していた。

 ああ、神々が居なくなった事で、こういう輩も出てきますか。

 神が居なくなったのは、私の所為ですから、神が居なくなって被害に遭うというのなら……。

 私は太ももにあるナイフを入れてあるホルダーから、ナイフを3本取り出す。

 狙いは頭部。

 取り出した三本のナイフに、自動追尾する術式を付与して投げた。

 三本のナイフは、目標に向けて奔り、山賊の頭部に直撃した。


「――え」


 僅かに悲鳴らしき悲鳴を上げて、山賊は地面に倒れる。

 人を斃すのは、なんて簡単。

 神々もこんなに簡単だと、どんなに楽だった事でしょう。

 アイツら権能やら超能力やらで、存在自体がチート級。無駄に攻略が面倒でした。

 山賊を始末した事を確認した私は、この場を去ろうとしすると、


「ああ、神さま。助けてくれて感謝します」


「違います。貴女を助けたのは、神ではなく、私です」


 なんて事を言うんですか、この少女は。

 寄りにも寄って私がした事を神に感謝するとか。

 お陰で鳥肌が立ったじゃないですか。


「あ、貴女は?」


「……旅の者です。たまたま悲鳴が聞こえたので、助けただけです」


「そ、そうですか。た、助けてくれてありがとうございます。どうかお礼をさせて下さい」


「いえ。別に構いません。本当に助けたのは偶然なので」


「きっと神が私を助ける為に、貴女を遣わせて下さったのですね」


「――……・」


 断じて違う!

 その理論だと、私は神に操られてこの場所に来た事になるじゃないです。

 考えるだけで余計に鳥肌が立ってきた。


「あ、あの、どうか、しましたか?」


「……なんでもないです。それじゃあ、私はこれで」


「待って下さい! 私が住んでいる村が近くにあります。是非、寄っていって下さい」


 この近くに村があるんですか。

 そう言えば最近は野宿ばかりで、ベッドで寝てない。

 たまにはベッドで寝るのも悪くはない。悪くないですね


「その村は宿屋は、ありますか?」


「いえ、他からは人は来る事が無いので、宿屋はありません。けど、良ければ私の所に泊まって下さい」


「分かりました。では、一泊だけ、お世話になります」





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 少女の名前は、ミリオナ。

 どうやら近くの村であるデンで、母親と一緒に暮らしているようです。

 初めは緊張していたのか丁寧語だったけど、今は砕けた感じで話してくれている。

 村の規模は小さく、十数軒がある程度とのこと。

 それよりも、私は、ミリオナは少し苦手です。

 何かに付けて神に祈るというスタンスが、私と相容れません。

 今はいない神に祈る暇と時間があれば、少しでも望むようになるよう努力するべきだと思うんですけどね。

 彼女が祈るべき神を斃しまくった私がどうこう言うべきではないですが。


「アザトールさん。あれが私が住んでいる村、デンです!」


 森から抜けると、デンの村が一望出来た。

 本当に小さな村ですね。

 それは、兎も角として、なんでしょう。

 もの凄く嫌な予感が、私の第六感が妙に警報を鳴らしていると言うか――。

 まあ、こういう森の奥にある村は、余所者に対して厳しいのが普通。

 ミリオナも宿屋が無いと言っていた事から、本当に余所から来る人はほぼ居ないのでしょう。

 そして気になるのは、村の山の岩肌の近くにある祭壇のようなもの。

 ミリオナの感じからして、神々に対して信仰深そうなところです。

 ……ベッドで寝たいけど。どうしようかな。


「あ、お母さん――!」


「ミリオナ!? どうしたの、その格好はッ」


「山菜を採りに行っている時に、山賊に襲われちゃって。でも、寸前にあの人に助けて貰ったの」


「……アザトールです」


 私は軽く会釈をした


「娘のミリオナを助けて頂き、本当にありがとうございます!」


「ねえ、お母さん。助けて貰ったお礼に一泊だけして貰ってもいい?」


「勿論よ。貴女を助けてくれたお礼もしたいですし」


「……お世話になります」





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 ミリオナ達の家は、木造一軒家だった。

 それほど大きくはなくて部屋はない作り。居間で食事をして、居間で寝る。そんな感じ。

 ベッドを期待してたけど、家の中で寝られると言うことで、納得しておく。

 私は装備品は、一応、太ももの所にあるホルダーに仕舞ってあるナイフだけ。

 一応、空間には様々な武器やら道具を収納しているけど、仰々しい武器は相手を威圧するだけなので、基本はナイフだけにしてある。

 後、身軽なので、色々と遣りやすい。


「アザトールさん。ご飯出来ました!」


 ミリオナ達を手伝おうとしたけど断られたんだよね。

 お客さんに手伝わせられないって。

 お言葉に甘えて、料理が出来るまで、私は部屋の片隅で、ナイフ磨きをしていた。

 ナイフを磨いている間は、なんて言うか無になれるので好き。

 磨いていたナイフをホルダーに仕舞い、料理が並べられているテーブルへ向かった。


「ごめんなさいね。あまり余所の方は来られないから、どう持てなして良いか分からなくて――。でも、精一杯、作らせて貰ったわ」


「お母さんの料理はとっても美味しいんだよ」


「ご馳走になります」


 私は手を合わせ、いただきます、と言って用意された食事を食べた。

 メインは山菜とモンスターの肉。

 ミリオナが言ってたように、本当に美味しい。


「アザトールさん、どうかした?」


「え?」


「だって涙を流してるし」


「なみだ」


 手で目元を触ると、確かに私の目から涙が流れていた。

 ……たぶんお母さんの事を思い出したから。

 昔、お母さんも、私に対してこういう風に手料理を作ってくれていた。

 味は違うけど、こんな雰囲気だった。

 だから、思わず懐かしさを想い出して涙を流した。


「ごめんなさい。ちょっと目にゴミが入ったみたいです」


「そう……」


「お母さんの料理はどう? 美味しいでしょう!」


「ええ」


 思わず昔を想い出して涙を流してしまうぐらいには。


 そう、だから、私は油断していた。


 まさか、この料理に、毒草が混ざられていたなんて――





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 気がつくと、私の目の前には綺麗な夜空があった。

 背中は冷たい石の上。

 たぶん此処は村の岩肌近くにあった祭壇だと思う。

 手足を動かそうにも縄で四肢を縛られていて動かせない。

 確かミリオナの家でご飯を食べて、それから気を失って……。


「気がついた?」


「……ミリオナのお母さん。これは一体どういうことですか?」


「ごめんなさい。貴女には生贄になって貰うわ」


「生贄?」


「ええ。神に捧げるための生贄に」


 寄りにもよって神に捧げる贄?

 この時点で、私はかなり怒っていた。


「どうして、私を?」


「……娘が、生贄に選ばれたの。本当は山賊に襲われて、生娘じゃなくなれば、生贄は回避されたのだけど」


 つまり、あの山賊は、お母さんが仕組んだ事だった訳ですか。


「このままだと、娘を生贄に捧げないといけない。でも、代わりに貴女がなれば、、娘は生贄にならずに済むの!!」


 狂気に染まった顔で叫ぶお母さん。

 寄りにもよって私を神の生贄にする時点で、私は怒ってる。凄く怒ってる。

 でも、憎しみは、不思議と無かった。

 娘を思う母親の気持ちに偽りは見えなかったからだと思う。


「私を生贄に捧げた所で無意味ですよ」


「無意味?」


「捧げるべき対象がいないのに、生贄に意味なんて無いでしょう?」


「か、神さまはいらっしゃる! 貴女を生贄に捧げれば、この村は救われる!」


「無理です。無駄です。神に生贄を捧げたところで、貴女の、貴方達の願いは届かないと断言しましょう」


「なんで、断言ができるの」


「だって神々が居なくなった原因は私ですから。私が、神々が悉く、殺しまくりました」


「は?」


 呆けているお母さんを尻目に、私は四肢を縛っている縄を簡単な風魔法を切断。

 四肢が自由になった事で立ち上がった。

 祭壇の下には、村の人々、数十人が集まっている。

 その中にはミリオナの姿はなかった。

 気になって「遠見」で視てみると、家で熟睡していた。

 ……そう言えば私と一緒で毒草入りのご飯を食べてましたね。

 流石に、私を生贄に捧げる場面を見せたくはなかったようようですね。


「それじゃあ、私は村を出て行きます。村がなんの危機を迎えているか知りませんが、神に祈る暇があれば、解決する為に努力する事をオススメします」


 所詮、人を助ける事が出来るのは人だけ。

 神は助けない。

 あくまで玩んでいただけ。それを人が助けていたと勘違いしただけのこと。

 神と言う主人が倒れて、衰弱して滅ぶのなら、それが人の限界。

 せいぜい一緒に滅びるとしましょう。


『――贄の準備は出来たか』


 声が、響いた。

 見上げると、仰々しく装飾した衣装を着た、光輝く男が山の上からゆっくりと降りてくる。

 お母さんや村人達は、頭を下げて平服する。

 ああ、神の正体はコレですか。

 確かに神氣はありますね。まあ微量ですが。

 どうやら零落した神が、魔物に堕ち、ちょっとした知恵で、こんな田舎の村を支配してるようです。

 猿が山猿の大将を気取るのと同じこと。程度が知れてます。


「い、生贄は、その――」


 私の方をチラッとだけ見る


『ほう、そなたが、我への贄か――』


 自称・神と視線が合った。

 すると、自称・神は突如と震え出した。


『な、なぜ、なぜだぁぁぁぁ。なぜ、貴様が、ここに居る。神に叛逆せし大罪人、アザトール・オリジン!!』


「情報が古いです。今は、友の名前を貰って、アザトール・デウス・エクス・マキナ、と名乗ってます」


 自称・神は反転すると、上空へと向けて上がっていった。

 ま、逃がしませんけど?

 魔物に零落したとはいえ神は神。私の対滅対象です。

 自称・神へ、重力万倍を掛け、地面へと叩き落とす。

 ……お、流石は自称・神。重力万倍を喰らって、地面に激突したのに死んでない。


『た、助けてくれ。我は、もう、神ではない。神ではないのだ!』


「村人は、貴方を『神』として信仰しているようですが?」


『かつて、神だった頃が、懐かしくて、村人に付いた嘘だ。もう我に神としての権能はない』


「それぐらい感じで分かりますよ。真性の神であるなら、即殺してます」


『ヒィッ』


 空間から殺神剣・エヴァンライオンを抜く。

 まさか、こんなに早く使う機会が来るとは思わなかったなぁ。

 対神に対して絶大な効力を発するこの剣は、それ以外ではただ鋭く斬れるだけの魔剣にすぎません。

 重力万倍という重力の檻に囚われた自称・神。

 私は躊躇う事無く、エヴァンライオンで胸部を刺した。


「――ぁ――、我と、いう、ソンザイ、崩れ、ァァァァ――……!!」


 神と言う存在を分解解体し、剣へ吸収して消滅させる。

 それが今の殺神剣・エヴァンライオンの効果。

 自称・神は、声にならない悲鳴を上げながら消えていった。





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 散々な一日でした。

 ミリオナを助けて、美味しい山菜料理(毒草込み)を食べて、自称・神に生贄にされて……。

 全く私の人生はこんな事ばかりです。


 あの後、あの村がどうなったかは私は知らない。

 原因たる自称・神は、もう居ないのだから、普通に戻るのではないでしょうか?

 正直、生贄にされた村の今後を憂うほど、私は聖人君子じゃない。


「……お魚食べたいですね」


 山の幸を食べたのだから、無性に次は海の幸を食べたくなってきた。

 刺身。天ぷら。焼き魚。

 よし! 次は海。海に行きましょう

 方向は――。いいか。

 「遠見」すれば、近くの海と街は分かるでしょうけど、特に急ぐ旅でもありません。


「よしっ。向こうに行きましょう」


 村とちょうど反対側に向けて私は歩き出した。

 少しだけ振り返り、村がある森を見る。

 色々とあったけどミリオナには、この先、幸多からんことを。

 少しだけ祈り、私は再び歩き出した。



この話から遠い遠い未来。

メイドとして生きる意味を見いだしたアザトールが、メイドをしている

『私のところのメイドが、レベル9999ステータスALL9,999,999,999,999だった件(https://ncode.syosetu.com/n2618ex/)』も宜しければお願いします。

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