谷子と「本、防衛線~♪」
「そういえば、なかったな?」
本好き谷子に、他キャラとして、登場回数が多いマリコが絡んだことが記憶にないな。マリコと眠り姫は「女子中高生は、ゲーム好き!」で絡んだ。まあ、構想はこれから練れば、何とでもなるのが「帰渋」のいいところだ。「ほんのおねえさん」は「帰渋2」の冒頭に来るようにしよう。やはり「帰渋1」は、試運転~♪
「もうワンランク下。」
疲れるから新作を考えたくない。と言いつつ「みんな、勇者!?」若しくは「みんな、魔王!?」は有りだな。それでいて、現代人は、いじめ、暴力、虐殺に共感するのだから仕方がない。君の名で言うと、隕石で町が破壊、公共施設爆破、公共放送の不正使用に、若者は共感したらしい。「時かけ」ではなかったのだ。
ここまでは、まえがき。
ここは図書室。図書部がミーティング中。
「理解できん。」
ドキ子がマリコの妹、キコキコに手を出したから、さあ、大変! マリコの怒りは、ドキ子を飛び超え、図書部、図書室の本に飛び火したから、さあ、大変!?
「なぜ、ドキ子のために、図書部が巻き込まれるんだ!?」
「部長、たまにはいいことを言うんですね。」
「本当に迷惑な話よ!」
図書室に、図書部のメンバーが集まっていた。図書部長、谷子、栞だけなのだが。
「当の本人のドキ子はどうした?」
「算数の補修です。」
「おいおい、俺たちは高校生だぞ!?」
顔だけカワイイ、ドキ子は教室で算数の補修中。「分からなくて、ドキドキする!?」ドキ子に算数の問題は難しいのだ。しかし、見方を変えれば、ドキ子は、補修中は、大門先生に見守られていて、安全なのだ。
「ちょっと待て・・・危ないのは俺たちなのでは!?」
正解です。
「失礼します。」
「やっほ~♪」
マリコと愉快な仲間たちが図書室に現れた。不良グループというよりは、生徒会グループのようなイメージだ。
「ドキ子が来るまで待たしてもらいます。」
「わ~い~♪ たくさん本がある~♪」
「ヤトラ、図書室では静かにしろ。」
「すいません・・・。」
マリコがヤトラを注意して、静かにさせる。
「僕たち本なんか読まないからな。」
「本なんか、どうでもいいもんね。」
「これは! 最新の四文字熟語辞典だ! 必殺の奥義が3300も載っているぞ! すごい!」
「メアちゃん、すぐに眠れそうな本はある?」
「これなんかどうですか?」
男たちは、図書室に興味はない。本など読まないのだ。1名、四文字熟語好きだけは、興奮している。
「君がマリコさんか?」
「そうです。」
「俺は、図書部の部長だ。図書室で暴力沙汰は困る。」
「おかしなことを言う。私たちは暴力なんて振るわないわよ? ただ大事な妹に着いた悪い虫に殺虫剤をかけに来ただけよ。」
悪い虫とは、ドキ子のことだ。
「ドキ子のことね。分かるわ。」
「お姉ちゃん、すごい。」
渋井姉妹も納得の悪い虫のドキ子である。
「この者たちは、私のことを心配して付いてきてくれた仲間だ。」
「だって、マリコさまは新魔王ですから~♪ 我々は、黒い親衛隊です~♪」
どこかに「女子高生魔王マリコの学園生活!?」も書いた気がする。
「谷子ちゃんは、同じクラスだけど、初めてしゃべるね~♪」
「うん。」
同じクラスでも、喋らない子がほとんどだよね。
「谷子ちゃんは、本が好きなの?」
「大好き~♪」
「私も本が好きなんだ~♪ どんな本が好きなの?」
「夜空のお星さま~♪」
「おお! エロメス先輩の出世作だ!」
「知ってるの?」
「超ヒット作じゃないか! それにエロメス先輩は、私の憧れなんだ~♪」
「・・・。」
谷子とヤトラは、本を通じて仲良くなった。意外と近くに憧れの人はいるが、本人は気づかないものである。
説明しよう! 「夜空のお星さま~☆」とは、通行人の女の子Bが、星に願い事をして、銀河系最強の魔法使いにして、銀河の守り人のエロメスへと、キャラクター化した物語だ。現在、エロメスは、魔法で偽装谷子の姉こと、栞ちゃんである。
「谷子ちゃん、本を読むのに、前髪が長すぎて、読みづらくない?」
「大丈夫。眼鏡をかけると気にならない。」
谷子のメガネは丸いフレームの伊達眼鏡である。
「前髪を横に分ければいいのに・・・。」
「うわあ!?」
「ストップ!」
ヤトラが谷子の長過ぎる前髪に手をかける。それを見て、すかさず栞ちゃんがヤトラの手を掴み止める。
「妹は、長過ぎる前髪にプライドを持っているの!」
「うん。」
「あ、そうなんだ。」
「フー。」
息を吐いて安堵する渋井姉妹。谷子の長過ぎる前髪の中にカワイイ素顔が隠されているのは、トップシークレットである。知っている生徒は、栞ちゃんだけである。
「・・・ということで、ドキ子は図書部から退部させるから、図書室と本を傷つけることはやめてくれ。」
「ごめんなさい。てっきり、ドキ子の所属している図書部が、妹のキコと関わりがあると思ったから。」
「いや、悪いのはドキ子だ。」
「そうよ、ドキ子が自己中心的なのがダメなのよ。」
「うん。」
図書部とマリコたちは「ドキ子が悪い」で和解できた。そこにマリコの妹のキコキコが必死の形相で現れる。
「キコ?」
「お姉ちゃん、ヒドイ! ドキ子さんは可愛くて優しい良い人よ!」
あくまでも純粋なキコちゃんは、ドキ子を素敵な女性だと思っている。
「キコ! あなたはドキ子に騙されているのよ!? ドキ子なんて、毒キノコだわ!」
「そのとおり。」
「そうそう。」
「うん。」
みんなが一丸となって、ドキ子の存在を否定している。
「ドキドキ~♪ ドキ子~♪ カワイイ~♪ ドキ子~♪」
そこに算数の補修が終わったドキ子が、歌を歌いながら笑顔で楽しそうにやって来た。図書室の怒鳴り声に気づく。
「どうしたの!? ケンカはやめて!?」
「おまえが原因だ!」
「カワイイって、罪ね。」
ズコーっと谷子たちはこけた。ドキ子に何を言っても無駄なのだ。
「キコ、遊ぶ友達は選ぼうね。」
「いや! キコはドキ子さんと遊ぶの!」
「困ったな。こうなったらスキルで・・・。」
「こっちも助っ人のみなさんを呼んでいるわよ!」
キコの助っ人とは・・・。
「コイコイ!? ミレミレ!? メロメロ!?」
「ドキ子さんは、庭で恋を育てている、いい人です~♪」
「キコキコが助けてっていうから、来ただけよ!?」
「困っている女子中学生の悲鳴を聞けば、立ち上がらない訳にはいかない! だって私は、ヒロイン勇者だから!」
恋ちゃん、ミレディー、メロの3人だった。
「みんな! ドキ子がカワイイから来てくれたのね~♪」
「それは違う。」
ドキ子は、自分の可愛さに感激している。
「みんな! 陣形を組むわよ!」
「おお!」
ドキ子たちは、鶴翼の陣を敷く。リーダーのドキ子を先頭に、左右に2名ずつに別れ、ブイ字になる陣形である。
「ドキドキ戦隊、ドキレンジャー!」
決めポーズもバッチリ決まる。ミレミレだけは少し恥ずかしそうである。
「これで恋が育つなら!」
「だって私は、ヒロイン勇者!」
「リコお姉ちゃんの思うようにはさせない!」
「穴があったら入りたい。」
「こんなにギルドのリーダーになっていて、良かったと思うことはないわ!」
「どこの、ギルドだ。」
友達っていいね~♪ リーダーやっていると、メンバーは去る以外は、リーダーの方針に従わなければいけないのだ。ドキ子の天下である。
「キコキコ、コイコイ、メロメロ、ミレミレ、みんなありがとう。」
「みんなで、がんばろう!」
「おお!」
意外にチーム、ドキレンジャーはまとまっていた。
「みんなで、キコキコを悪の手先から守るのよ!」
「おお!」
ドキ子視点では、ドキ子は正義なのである。
「ちょっと待て! なぜ誰にも迷惑をかけていない俺たちが悪者なんだ!?」
「普通は魔王女が図書室に攻めてきて、図書室や本を荒らすから、それを防衛するってお話よね!?」
「うん。」
いつの間にか、谷子たち図書部と魔王女軍団が手を組んで、ドキ子軍団と戦うになっている!?
「俺たちは巻き添えだろ!?」
「にしても、現実世界で友達ができないから、本の世界からエース級のキャラクターを誘拐してきて、住まいと食事を与えて、飼いならす。ドキ子驚異のメカニズムだわ!?」
「お姉ちゃん、怖い。」
こうして、図書部・新魔王連合軍とドキ子軍団との戦いが始まった。
「キコ悪いけど、すぐに終わらしてあげる。」
「お姉ちゃん!?」
「キコは、お姉ちゃんとお家に帰ることが「できる。」」
マリコはスキル「できる」を使用した。マリコは思ったことを実現できるスキルを持っているのだ。
「なに!? どういうこと!? 何も起こらない!?」
マリコの「できる」が発動しない!? どうしたのだろう!?
「フフフ、お姉ちゃん、甘いわね! 私も使えるのよ。「できる。」」
「なんですって!?」
「だってキコは、お姉ちゃんの妹だもん!」
姉のマリコだけでなく、妹もマキコだったのだ。ここに立派な新魔王の妹が誕生した。
「マリコさまは見ていてください。我々が妹さんを悪の手から取り戻しますよ。」
「ヤトラ。」
ヤトラは呪文を唱える。ヤトラは黒魔法使いの前は、白魔法使いの姿をしていて、回復魔法は使えないが、メテオは使える時空魔法使いだった。
「マリコさんの妹さんを引き寄せる! グラビティ!」
「キャア!?」
「キコキコ!?」
キコがヤトラの方に引力で引っ張られる。
「私に任せてください。」
「コイコイ!?」
「宇宙の科学力をお見せしましょう! インバライド!」
キコキコを引っ張る引力が消えてしまった。
「コイコイさん、ありがとう。」
「なぜ、これだけの科学力を持ちながら、滅亡の道をたどるんだ!?」
「恋が苦手なモノで。エヘ。」
恐るべし、宇宙人。コイコイが鯉を恋と勘違いしている所だけ除けば、宇宙の科学は素晴らしいのだ。
「あっちに宇宙人がいるんだって。」
「なら、剣の力で正面突破だ!」
「僕の剣は血を吸っちゃうので、今回パス。」
今度はエールが突撃する。シュークリームは、ブラッディソード持ちなので戦いには参戦するのを控えた。
「フフフ、おもしろい。剣で私に勝てると思うなよ。だって私は、ヒロイン勇者だから!」
「メロメロ!?」
エールの前に、メロメロが立ち塞がる。
「でやあ!」
「甘いな。」
メロメロは、エールの剣を剣で簡単に受け止める。
「剣士如きが、勇者に勝てると思っているのか?」
「なに!?」
「フン!」
「うわあ!?」
メロメロは、剣でエールを弾き飛ばす。
「知らないのか? ヒロイン勇者のレベルは、99だ。」
「ええ!?」
今明かされる、メロメロのレベル。実は、メロメロは強かった。
「そこのブラッディソード持ちと二人係でもいいぞ。久々の戦いだ楽しませてもらおうか。」
「レベル99!? どうでもよくない・・・。」
「俺がやろう。」
「四文字熟男!?」
四文字熟男は、四文字熟語の使い手である。
「文字の世界なら、四文字熟語が最強だろ。いくぞ! 俺の四文字熟語を受けてみろ! 四文字熟語必殺奥義! 「歳末商戦」乱れ打ち! よよよよよよよよよ!」
無数の歳末商戦という四文字熟語の文字が実体化して飛んでくる。
「ドキ子がやるわ! はあー!?」
ドキ子は口を開けて、空気を吸い込む。そして、チャージが終わると、ピタッと止まり一瞬の間ができる。次の瞬間・・・。
「ドッキドキー!!!」
ドキ子の口から、ドッキドキという文字が実体化して、ボコボコボコっと、四文字熟男が放った「歳末商戦」の文字を吹き飛ばしていく。
「どう? これがドキ子の実力よ!」
「ドキ子さん、スゴイ~♪」
「ドキドキ、カッコイイ~♪」
「やるな。リーダーは強くないとな。」
「口から文字を吐き出すって、どうなのよ!?」
ちなみに、口からレーザーやミサイルも検討されている。ほぼアンドロイドのロボット状態を生身の人間でこなす。これがドキ子だ。
「俺の、俺の四文字熟語が負けるなんて!?」
「みんな武力行使に出るから、相手がやり返してくるんだよ。」
「そうですね。ご主人さま。」
「安住とナイトメア!?」
「相手はどんなに強くても、ドキ子を筆頭にバカばっかりなんだから、頭を使わないとね。メアちゃん、よろしく。」
「はい。」
悪夢の妖精ナイトメアのメアちゃんが呪文を詠唱する。
「悪夢の世界へ誘ってやる! 眠れ! 良い子たち! スリープ!」
「zzz。」
ドキ子たちは、単純なので、簡単に眠りについてしまった。
「ありがとう、メアちゃん。」
「どういたしまして。エヘー。」
「終わりましたよ。」
「それはどうかしら?」
「なに!?」
ドキ子たちの中で1人だけ、眠りについていないおばさんが・・・ボコボコ! 素敵な女性がいた。謎の女、ミレミレだ。
「残念でした。私に、眠りや毒、誘惑などの補助魔法は効かないわよ。だって、専門分野だから。」
「なんだと!?」
まさかナイトメアのスリープが効かないとは!? ミレディーは、すかさず眠りについたドキ子たちを起こす。
「ドキ子、ブサイク!」
「ドキ子はカワイイわよ!」
「恋ちゃん、鯉のエサの時間よ!」
「はい~♪ エサをあげますよ~♪」
「メロ、困っている人がいるぞ!」
「どこだ!? 困っている人は!? 私が助けるぞ! だって私は、ヒロイン勇者だから!」
「キコちゃん、・・・データがないな。パン。」
「朝ですか・・・ふああ・・・。」
手を叩いて大きな音を出したら目が覚めたキコちゃん。本当に純粋である。
「ミレミレ、ありがとう。」
「どうも。」
「これでドキ子たちは、まだまだ戦えるわ!」
ドキ子対マリコの戦いは続く。かに見えた。しかし、これだけ騒いでいれば、図書室は無茶苦茶なのである。
「私の大切な本が・・・、子供たちに夢と希望を届けるための本が・・・。」
本好きの谷子は、ブチ切れ寸前だった。
「おい! 谷子の様子が変だぞ!?」
「まさか!? この展開は!?」
図書室の本が荒らされ、本好き谷子に宿りし、本の神が目覚めようとしていた。
「おまえら! 許さんぞ!」
ついに本の神さまが目覚めてしまった。谷子、本の神のからだになる。
「なに!? 神だと!?」
「あれはドキ子の苦手な本の神さま!?」
一同は神の出現に驚く。谷子の長過ぎる前髪が、余計に本の神さまの神秘さを引き出している。
「本を大切にしない愚者どもめ! 本の裁きを受けなさい! いけ! 神本!」
図書室の本たちが金色に光り、風に乗るように空を飛んで行く。
「痛い!?」
「痛い!?」
「痛い!?」
金色の本たちが、次々とキャラクターたちの額に角をコツンとぶつけていく。ぶつけられたキャラクターたちは、気絶して倒れていく。
「私の「できる」で、止めて見せる。本を動かなくすることがP・・・。」
マリコの声は、本の神さまにかき消された。
「痛い!?」
マリコも本の角でコツンされ、気絶してしまった。
「ドキ子がドッキドキ砲でふっ飛ばしてやる! フアーP・・・。」
ドキ子の呼吸は、本の神さまに止められた。
「痛い!?」
ドキ子も本の角でコツンされ、気絶してしまった。
「これで、あとは我が信者だけだな。」
「はい! 本の信者の図書部長です!」
「同じく本の信者の栞です!」
2人は、本の角でコツンされたくないだけである。図書部=本の神さまの信者・信仰者になってしまった。
「おまえたちのおかげで、神本のページも集まってきている。感謝しておるぞ。」
「もったいないお言葉でございます!」
「私たちは、本が好きなだけです!」
あくまでも2人は、本の角でコツンされたくないだけである。
「今日の所は、この図書室は、私の力で元のきれいな図書室に直しておいてやろう。えい!」
本の神さまの力で図書室は元通りきれいな図書室に戻った。
「これからも神本を集めてくれよ。」
「はい! がんばります!」
「早くゴットブックが揃うといいですね!」
神本は、おっちょこちょいな本の神さまがバラバラにしてしまい、いろいろな本の中に飛び散ってしまったのだ。図書部員は、それを集めさせられている。
「では、さらばだ!」
「さようなら~♪」
図書部長と栞は、笑顔で本の神さまが消えるのを喜んだ。
「ふー、疲れた。」
「本を大切にしないと、「帰渋」から本の神さまがでてくるのが、厄介だわ。」
「まったくだ。ドキ子といい、谷子といい、問題児ばかりだな。」
「怪獣ちゃんは悪くないわよ!」
「分かった、分かった。悪かった。とりあえず、こいつらを図書室の外に出して、鍵を閉めて帰ろう。」
「そうね。寝ている全員、図書室の外に出ろ。エロ・エロ・エロメス~♪」
栞ちゃんは、魔法で寝ている全員を外に出した。図書部長は、図書室に鍵をしっかりとかけた。
「怪獣ちゃん、ワープで屋根裏部屋まで帰るわよ。」
「zzz。」
「部長さよなら。」
「さよなら。」
栞ちゃんは、谷子を担いで次元の入り口に飛び込んで帰って行った。
「これでよし。」
図書部長は、図書室の扉に1枚張り紙を張った。
「図書室で騒いでいると、本の角で叩いてくる変質者が出るので、本を大切にしましょう!」
そう、張り紙には書かれてあった。これでも本の神の信者代表である。
つづく。