宮坂家のお正月 一族勢揃い編
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが来た宮坂家。
「さて、改めて、みんな明けましておめでとう」
「おめでとぅ~!」
宮坂家のリビング。こたつに一族全員が集合。
「それじゃ、お祖母ちゃんたちからみんなにお年玉を」
と宮坂お祖母ちゃんが趣味の良いセカンドバックを開けて、ポチ袋を取り出します。
宮坂家では、お祖父ちゃんお祖母ちゃんが代表で子供たちにお年玉をあげるしきたり。
「母さん、わかっているとは思うけど、相応の金額にしてよ」
と宮坂お母さんが釘を刺します。宮坂お祖母ちゃん、初孫の文香が生まれた初めてのお正月の時、嬉し過ぎて暴走し、お年玉と称してマチ付封筒に札束を詰めて渡そうとし、宮坂お母さんに非常識と怒られたことがあります。
「はいはい、それじゃあまず文香ちゃん」
ポチ袋の中には諭吉さんが複数名。
「お祖母ちゃんお祖父ちゃんありがとう。大切に使います」
「はい、次は陽菜ちゃん」
「ありがと~!」
「次は、美咲ちゃん」
「ありがとう、お祖母ちゃんお祖父ちゃん」
「次は、颯太君。はい」
「じぃじばぁば、ありがとぉ~」
「はいみんな、大切に使うのよ」
「姉ちゃん、姉ちゃんはお年玉なんに使う?」
「う~ん、とりあえず今年中学3年生になるから、受験用の参考書を買うのに使うかな。残りは貯金。そういう陽菜は?」
「え~と、ゲームソフトだろ、お菓子だろ、それにマンガにえーと後はゲーセン・・・」
「は~・・・少しはためになるものにつかったら?」
あきれる文香さんでした。
ちなみに、宮坂お祖母ちゃん、私の可愛い息子にもと、宮坂お父さんにまでお年玉をあげようとして、一悶着の後、宮坂お母さんに取り上げられていました。
その後、みんなでお昼ご飯。おせち料理と、近所のお寿司屋さんの出前のお寿司、デリバリーピザで、賑やかなお昼。
「まあまあ、飲め」
「はい、お義父さんいただきます」
婿さん二人は、熱燗を傾けています。
「あ~、お前もいろいろ苦労しているだろ」
「・・・はい、グズ」
「うん、わかるわかる。男はじっと我慢が大切だぞ」
婿さん二人、なにかいろいろ分かり合えるようです。
「でね~、2丁目の川田さんお宅って・・・」
「あ~ら、夫婦仲そんなに悪かったの。旦那なんて適当にあしらってれば、夫婦仲なんてうまくいくのに」
母娘はそろって、夫の操縦術の話で大盛り上がり。
「あ、こら陽菜、それお姉ちゃんがとったのでしょ。人のお皿からとらないでよ」
「へへへん、まだたくさんあるからいいじゃん」
「って、イクラばかり食べないで。私にもちょうだいよ」
「べ~だ」
文香さんと陽菜さん、仲良くじゃれあってます。
「颯太、はいア~ン」
「あ~ん」
「美味しい?」
「うん美味しい!」
「あ、ほっぺにご飯粒」
美咲さん、颯太君のお世話をして楽しそう。
「おお、我同志よ!これからも敵に立ち向かい共にがんばるぞ!!」
「はい、お義父さん!!一生お伴します!!!」
盃を重ねた酔っ払い二人、なんだか盛り上がってひしっと抱きしめあってます。非常にむさくるしい光景です。
しばらくして・・・・
「ウンガァ~ウンガァ~!」
「グゥ~グゥ~」
あらあら、婿さん二人、愚痴り酒で酔いつぶれてしまったようです。
「ったく、二人ともだらしないわね」
こたつに半身だけ入れて、大いびきで大の字に寝ている二人に毛布を掛けてあげる宮坂お祖母ちゃん。
「ふふふ、だいぶ飲んだようね。まあ、今日はお正月だから許してあげましょう」
宮坂お母さんは、こたつでおねむの颯太君を抱いています。
「これだ、おりゃ!」
「あ~陽菜お姉ちゃんそれお手付きだよ」
「ったく、ちゃんと聞いてからとりなさいよ」
三姉妹は、隣の和室でかるたで遊んでいます。
「おりょ?あ、雪がふってきたぞ」
陽菜さんが窓の外を見て、はしゃいだ声を出します。
外では綿のようなふわふわな雪がゆっくりゆっくりと空から降りてきます。
「本当ねぇ、これは明日積もるかなぁ」
文香さんもうれしそう。
「え~、雪かぁ、積もるときれいだけど、寒くなるなぁ」
寒さが苦手な美咲さんは、ちょっと不満げ。
静かに降る雪の中、今日も宮坂さんちは平和でした。