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宮坂家ほのぼのカレンダー  作者: 文具屋太郎
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宮坂家の大晦日

 今日はいよいよ大晦日。宮坂家はお歳取りのお料理を作るのに大忙し。


 お料理の良い香りが漂うキッチンでは、お母さんを陣頭に文香、美咲の三人が忙しく動き回っています。

「お母さん、これちょっと味薄いかな」

文香さんが作っている煮〆の味をお母さんに確認。

「どれどれ、うん、丁度いいよ。だんだん私の味と同じになってきたわね」

とお母さんに言われ、ちょっと顔を赤らめて、うれしそう。

「おかあさん、飾り切りできたよ」

美咲さんは、手先が器用なので、かまぼこで飾り切りを担当。ちなみに、煮しめに入っている人参のねじり梅も美咲さん作。

「相変わらず美咲は包丁扱いがじょうずね~私よりも器用ね」

そうお母さんに言われて、美咲もうれしそう。

ちなみにお母さんは伊達巻づくり中。宮坂お母さんの伊達巻は冷めてもふわふわで、結構甘め。子供たちの大好物です。

 三人で黒豆の甘煮、田作り、きんぴらごぼう、昆布締めなど、どんどん料理を作っていきます。


 ところで、ほかの3人は・・・

「ぶ~~」

こたつで、ぶーたれてみかんをほおばっているのは陽菜さん。こたつの上には、剥いたみかんの皮がたくさん。

陽菜さんも決してお料理のお手伝いができないわけではないのですが、

『お手伝いはいいけど、あなたはつまみ食いが多すぎて、お料理が半分になっちゃう』

との文香さんの意見で、お手伝いから外されてしまいました。

お父さんの膝の上にちょこんと座り、一緒にこたつに当たりながらご機嫌で、剥いてもらったみかんをもぐもぐ食べ、にんたまの総集編をやっているテレビを見ている颯太君。まあ、颯太君には、まだお料理のお手伝いは早いかな。

そして、料理はからっきしダメ、包丁を持たせようものなら、手が絆創膏だらけになるお父さんは、最初から戦力外通知を頂いて、こたつの番中。

ちなみにこたつ、ほかに三方があいているのに、同じ面にお手伝いを外された三人がぎゅうぎゅう固まってあたっています。


 やがて、冬の短い陽も落たころ、みんなで炬燵を囲んでお歳取り。

「今年もみんな、元気で一年を過ごしました。来年も元気いっぱい楽しく過ごしましょうね」

「はーい!」

とお父さんの発声で、お歳取りのお料理を食べ始めます。

ちなみに、おせち料理は明日新年に食べる用。お歳取りのお料理は、鰤の粕漬けと新巻き鮭の焼き物と、すき焼き、サラダ等々、そして白いご飯。

 実はこの街、ちょど西日本と東日本の境にあるため、お歳取りの魚が、鰤の家もあれば鮭の家もあるという、ちょっと面白いところ。宮坂家では元々から鰤、お父さんの実家が鮭を頂いていたので、両方出すようになりました。

「お肉たくさんあるから、どんどん食べてね」

お母さんの近くには、かなりの量のお肉を盛った大皿。見ているだけでお腹いっぱいになりそう。

文香さんが、

「お母さん、これいくらなんでも多くないかな」

と若干引き気味に。

「これじゃ足りないかも~」

と、卵をたくさんつけて、次々と肉を頬張て、ご飯をかき込む陽菜さん。

「陽菜お姉ちゃん、すご~い」

とあっけにとられている美咲さん。

「おいしい~」

と、お母さんの膝の上で、ふうふうしてもらったお肉を食べている颯太君。

「ああ、久しぶりの霜降り牛肉。○○屋の牛丼屋のより美味しいです」

なぜか、涙ぐんで食べているお父さん。久しぶりに発泡酒じゃなくて、本物のビールも飲んでご満悦。

みんないい笑顔でお歳取り。



「ふ~~たくさん食べた~~」

ポンポンのお腹をさすりながら満足げに寝ころぶ陽菜さん。

「こら、そんなところに寝ころんだら、片つけの邪魔じゃない」

と空いた食器を片つける文香さん。

「わたしも手伝う」

と美咲さんも片つけのお手伝い。

「それじゃ、僕は洗い物しますよ」

とお父さんもキッチンへ。

「スースー」

お腹いっぱいの颯太君は、お母さんの膝の上でうたたね。


片つけも終わり、またみんなでこたつへ。

テレビでは紅白歌合戦がはじまり。たまにチャンネルを変えて、○○してはいけないお笑いを。

ちなみに、格闘技番組を見せると、お母さんが興奮しすぎるので、みません。


しばらくテレビを見ていると、

「は~い、みんな年越しそばよ~」

とお母さんが丼を持ってきます。宮坂家の年越しそばは、地元のくまがや製麺の生そば「古城そば」

この街のスーパーでは、大晦日になると山のように積まれて売られています。


「やった、おそば、おそば」

とさっきまでゴロゴロしていた陽菜さんが飛び起き、そばをすすり始めます。

「陽菜、さっきあんなに食べてまだ入るの」

文香が唖然としながら言うと、

「おそばは別腹て言うじゃん」

と陽菜さん。

そんなことは言いませんと、皆の突込みが入りました。



 紅白が蛍の光でエンディングを迎え、行く年来る年が始まる頃、宮坂家にも除夜の鐘の音が風に乗って聞こえてきました。

なんとなく鐘の音を数えているうち、時刻は0時ちょうど、

「あけましておめでと~」

とあいさつ。まあ、美咲さんと颯太君はお母さんとお父さんの腕の中で夢の中ですが。


「さて、年越しも済んだし、みんなもう寝ましょう。ちゃんと歯を磨くのよ」

「は~い」

みんなそれぞれ部屋に戻り、夢の中へ。


 今日も賑やかだった宮坂家。

来年も良い年になりますように。








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