宮坂家の大掃除
クリスマスも終わり、もういくつ寝るとお正月。小中学校も幼稚園も冬休みに入り、お父さんとお母さんの会社もそれぞれ、昨日が仕事納めで今日からお正月休み。
そんな宮坂一家は朝から賑やか。
「それじゃあ、みんな大掃除をはじめるわよ」
「「「「「おー!」」」」」
お母さんの号令の下、家族総出で年末の大掃除開始。
「文香はとりあえず私とキッチンとリビングの掃除」
「は~い」
「陽菜は階段と廊下の掃除」
「おー!まかせて!」
「美咲は、颯太と内側の窓ふき」
「うん、わかった。颯太おいで」
「まどふき~」
お母さんがてきぱきと役割指示。
「えーと僕は何を・・・」
恐る恐るお父さんが聞くと、
「あなたは決まってるでしょ。外側の窓ふきと、玄関のお掃除よ」
お母さんはにっこりと、バケツと雑巾をお父さんに渡す。
外は、大きな山から吹き下ろす寒風が、冬枯れの樹々の梢を揺らしています。
「えーやっぱり。外は風が強くて寒そうだなぁ」
「なぁに、まさか男のくせに、か弱い女性や子供に寒いところの仕事をしろとでもいうの」
「か弱い?あ・・・」
思わず口にしてしまったお父さんをお母さんがにっこり微笑んで見る。
「なあに」
あ、目が笑ってない。
「た、直ちに窓ふきしてまいります!」
お父さんはわたわたと、窓ふきをしに表へ飛び出て行きました。
「・・・ん よし、文香このくらいで終わりにしましょ」
「はーい。綺麗になって気持ちいいね」
「そうね。さてみんな終わった~」
「おお!母ちゃんおわったぞ!」
「窓ピカピカになったよ~」
「ぴかぴかぁ」
「う~さむさむ。おわりましたよ。ああ、手の感覚がない・・・」
午前中一杯を使って、それぞれ掃除を終了。気が付けばもうお昼。
「母ちゃんはらへったぞ」
「こら、陽菜、女の子がはらへったなんて言ったらだめじゃない」
「う~姉ちゃんはいちについてうるさいぞ」
「いちについてじゃなくて、いちいちだよ。お馬鹿」
「痛~、げんこつはないじゃんか」
「こらこら、二人とも喧嘩はだめよ。そうね残りの掃除はご飯を食べてからにしましょうか」
「え~、母ちゃん、大掃除まだやるのかよぉ」
「そうよ、それぞれの部屋の掃除よ。とくに陽菜、あなたの部屋が一番散らかってるんだから、ちゃんとやりなさいよ」
「ぶ~」
「さて、お昼はどうしましょ。今から作ると遅くなるから、満腹食堂さんから店屋物をとりましょうか」
「おお、賛成!私はかつ丼の特盛り!」
「まったく、陽菜は相変わらず大食いね。豚になっても知らないよ。私は親子丼」
「姉ちゃんうるさいぞ」
「私はオムライス~」
「ぼく、ハンバーグがいい」
「それじゃ私はお寿司にしようかしら。あなたは?」
「体冷えたから、鍋焼きうどんがいいいなぁ」
「あーもしもし、一丁目の宮坂ですが、出前おねがいします・・・」
「ぐふ~食った食った~寝るう」
「って、陽菜食べてすぐ寝ると牛になるよ」
「メエメエ。姉ちゃんうるさい」
「メエメエはヤギでしょ、牛はモウモウよ」
「グウグウ」
「あ~陽菜お姉ちゃん本当にねちゃった」
「ぼくもお姉ちゃんと一緒にねるぅ」
「ふふふ、それじゃみんなで一時間、お昼寝しましょうか」
リビングのこたつにみんな固まって暫しお昼寝。
「あなたあ、その箪笥動かして。裏側の埃を掃除するから」
「ぐ、お、重い~」
「なぁに、男のくせに、このくらい」
ひょい
「おおお、逞しい・・・」
「ん~な・に・か?」
「いえ、何でもありません」
「美咲お姉ちゃん、ぬいぐるみさんどこ置くの」
「う~んと、こっちの窓際においてね。お手伝いありがとう」
頭をいいこいいこ
「うん。早く終わらして、一緒におこた入ろ。お姉ちゃん」
「さて、私の部屋の掃除はおしまい。陽菜はちゃんとやってるかしら。陽菜~」
「げ!姉ちゃん」
「ってあなた、何マンガ読んでるのよ。掃除はどうしたの掃除は。全然綺麗になってないじゃない」
「う~、ちょっとずつやってるよぉ」
「もう、私も手伝うから、さっさとやりなさい。さあ、取りあえず床に散らかっているものを片つけるの」
「は~い」
「だらだらしない!!」
「痛っ、だからげんこつはないよぉ~」
「ふう、今日はさすがに疲れたわね~」
お母さんがお茶を飲みながら一言。
夕食後のこたつを囲んでの一家団欒
「私も陽菜のおかげで疲れちゃった」
こたつにぐで~んと突っ伏す文香。
「もう食べれないよぉグーグー」
相変わらず食っちゃ寝の陽菜さん。
「あはは~」
テレビのお笑い番組を見ながら笑う美咲と、
「くぅくぅ」
と美咲にくっついて寝ている颯太。
ちなみにお父さんはキッチンで皿洗い中。
「さて、明日はお餅つきをしないといけないから、今夜はみんな早く寝ましょうか」
宮坂さんちは、今日も賑やかで平和でした。