EX ローナスの怪談 その3
今回のお話はこれでひと段落になります。
6/23発売のコミカライズ2巻もよろしくお願いします!
あの幽霊を強制成仏させた日から、ローナスで幽霊が出たという噂は徐々に消えて行った。
それから数日後、生徒代表に話を聞くと、こんな内容が古い記録から出てきたらしい。
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「このローナスにいるワイバーンの一部は、戦地で傷を負ったり軍の任期を終えたものたちだ。穏やかな余生を送るため、各地からローナスに送られてきたものも多い」
「だが戦場に出たワイバーンにも、傷が元で永くは生きられないものがいる。そんなワイバーンの遺骸は『竜の祠』と呼ばれる場所で手厚く葬られるのが常だ。……だが何かの手違いで、あの幽霊となったワイバーンの遺骸はそこに運ばれなかったのだろう。古い記録だったが、一頭のワイバーンを学園の敷地内に葬ったとの記録もある」
「だから多分、奴もそろそろ仲間の元へ行きたくて、それに寂しくもあって化けたのだろう。そしてつい最近幽霊となったのも、きっと竜王や常識外れの力を持つ貴様がこの学園に来たからではないかと思う。それで強い力や魔力を持った貴様たちに、どうにか悩みを解決して欲しかったのだと……きっとそうだと、わたしは思う」
「とは言え、貴様の強制成仏は度し難いが」
***
「しっかしワイバーンの幽霊が出るとは、びっくりしたよなぁ。世の中何があるか分かったもんじゃねえや」
よく晴れた日、竜舎近くでソラヒメとそんな話をした。
ちなみにあのワイバーンの牙や爪、それに骨なんかは無事に『竜の祠』に送り届けられたらしい。
ソラヒメは竜の姿のまま、少し微笑んでいるようだった。
「……? どうかしたのか?」
『今回の件、無事に片付いてよかったと思ったのです。それに霊に対する印象も、少し変わりました』
ソラヒメは首を下げて、軽く顔を寄せてきた。
『竜が化けて出ると言う伝承は、私の一族にも伝わっていました。しかしそれらはおおよそ不吉で、とても公に話せるような内容ではありませんでした。……けれど、ああ言う幽霊もいる。誰を恨むのでもなく出てくる霊もいるのだなと、そう感じたのです』
「ああ、らしいな。……ったく、この世界は不思議な話でいっぱいだし、意外な話もいっぱいだぜ。お前が幽霊苦手だったことも含めて、今回の事件、俺は驚くことも多かったよ」
『なっ……!? に、苦手とは言っていません! 聞き捨てなりませんよっ!』
ソラヒメは慌てた後でふてくされたのか、何を思ってか鼻先を俺の胸元にぐりぐり押し付けてきた。
それから『あの拳による強制成仏、あれは二度と厳禁です』と難癖気味に言ってきた。
俺は「あんな事件、二度とあってたまるかよ」と苦笑を返したが……でも、そうだな。
この世界は不思議に満ち満ちていて、幽霊だけじゃなく、俺の使う概念干渉もその一端だ。
幽霊がこの世のものでないなら、この力もこの世界のものではないのかもしれないと。
何となく、俺はそんなことを思った。
『お知らせ』
本作【王都の学園に強制連行された最強のドラゴンライダーは超が付くほど田舎者】のコミカライズ版2巻が6/23(火曜日)に発売となります!
コミカライズ2巻はWEB版では1章の模擬戦闘ことデュエル決着まで、書籍版では1巻のラストのあたりまでとなっています。
2巻もソラヒメをはじめとするヒロインたちが非常に可愛らしく、戦闘シーンも迫力満点です。
発売中の原作1〜3巻やコミカライズ1巻と共に、2巻もよろしくお願いします!




