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24話 終わりの一発

コミカライズ進行中です!

生徒代表パツキン……何でお前まで!?」


ソラヒメに続いて現れたアルスに、シムルは半ば驚愕していた。

もしかしたらソラヒメ達は自分を助ける為にやって来てくれるかもしれないとは思っていたが、まさかアルスまでこの場に現れるとは思ってもみなかったのだ。

アルスは二体の真竜と共にシムルの付近に着地し、イオグレスに対して油断なく構える。


「何故も何も、貴様は……そう、一応、ローナスの生徒だ。

私は、遭難した生徒を助けに来た……ただそれだけだ」


――コイツ……この前街で会った時もそうだったけど、意外と良い奴か!?

アルスの言い方は、どちらかと言えば「面と向かってお前を助けに来たとは言いにくい」といったものが含まれており、シムルはアルスを改めて見直していた。


「お喋りはさておき……シムル、貴様はまだ動けるか?」


「……まぁ、なんとかな。

あいつをぶん殴って黙らせるくらいはできるだろうよ」


アルスは「上出来だ」と首を縦に振る。


「貴様がこれを知っているかは分からないが、奴はバーリッシュ側の人間としては有名な奴で、この国に多くの被害をもたらしてきた。

……そんな男を、ここで逃すわけにはいかない。

奴だけは、必ずこの場で倒す。

だから……」


「あぁ、俺もそのつもりだった。

あいつだけはこの場でぶっ飛ばさなきゃきがすまねぇ。

だからよ……」


かつては諍った仲だが、二人の考えと利害は、今この場において一致している。

だからこそ。


「お前の」「貴様の」


「「手を貸せ!!」」


互いに向けて放った言葉ののち

双方共に、今この場で共闘することを……無言の首肯で肯定する!


「仲良しごっこの茶番はもう……終わりましたか!!!」


痺れを切らしたイオグレスは、シムルに狙いを定めて魔法陣を二重展開する。

イオグレスは自身最大の一撃を見舞うことで、今度こそ死にぞこないを倒し切らんと集中力を高めていく。


「melt down:エクスプロージョン!!」


イオグレスは魔法陣を上下に分離させ、その中心に火球を作り出し。


「燃え尽きろ……いや、爆ぜ消えろ!!」


シムル達に向け、その火球を解放する!

魔法陣の制御を離れた火球は、大爆発と共にみるみるうちに膨張し……爆発の波が、シムル達を飲み込まんと差し迫る!


「クソッ、大技ばっかり連発しやがって……!」


「任せろ!

火竜カエデ翼竜カマイタチ!!」


『『グォォォォォォォォ!!!』』


主の声と共に二体の真竜は、喉元に溜めていたブレスを、放出させんとする。

それと同時に、アルスが遠隔操竜する為に二体に送り込んでいる魔力をさらに強めながら、超物質活性化オニポテントエンチャントの魔法で二体の体を強化する。

更に自身も突きを構え、刀身を魔力で輝かせる。


ランクA相当の魔法と、二体の真竜による合体技。

上位の実力を持つ竜騎士と、上位の竜の絆が生み出す攻撃、これこそはドラゴンライダー必殺の一撃にして……一つの到達点。


合体魔法フュージョンバースト双竜咆哮ツインストライク!!」


アルスがイオグレスに向けて突きを放ったのと同時に、二体の真竜も螺旋を描くようにブレスを放つ。

剣の刀身から真っ直ぐに放たれた魔力に、二体の真竜の魔力が絡み合う。

その一撃はイオグレスに届く手前、大爆発を起こして膨張を続ける火球に正面から衝突する。


「う……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


アルスは特大の火球を押し切らんとするが……まだ足りない。

じりじりと合体魔法フュージョンバーストを押し返す火球に、アルスは苦虫を噛み潰す。

この世の法則すら塗り替える魔法、概念干渉ノーネームの前には、洗練された真竜の二体同時の合体魔法フュージョンバーストすら、まだ一歩届かない……!!


足りないなら、届かないならばどうするか。

そう……足して届かせるのみ!!


「ソラヒメ、準備良いか!?」


『えぇ、行きます!!』


シムルの掛け声と共に、上空から飛来したソラヒメもまた、特大の雷撃をもってして……特大の火球を押し返さんとする!


「私達も!」


「魔力を渡すくらいならねー!」


ソラヒメの背中にいたテーラとカレンは、ソラヒメに少しずつ魔力を流していく。

ソラヒメからすれば微々たる魔力補給にして、効率もあまりよくはないが……それでも、魔力と共に二人の気持ちを受け取り、そのブレスを更に強める!!


「『ハァァァァァァァァァ!!!』」


ソラヒメとアルスの絶叫が轟く中、イオグレスは笑みを浮かべていた。


「フフ……ハハハハハハハ!

愚かな星竜め、まさか自らから当たりに来るとは!!

これだけの規模の爆発、シムル君の魔法以外で相殺できるわけがないだろう!!

そこにいる愚かな相棒と生徒代表諸共、消し飛ぶがいい!」


「まだまだ……それでも!!」


「いっけーーー!」


テーラとカレンがそう口にした時……火球に変化が起こった。

ブレスよりも魔力の質で劣る火球を、ブレスが押し返すのではなく、穿ち始めたのだ。


「な、何だと!?」


イオグレスの驚愕をよそに、火球は秒読みでブレスに貫通されていく。


「ハァァァァァァァ!!!」


そしてアルスが剣で切り上げるようにしたことで……火球が内側から両断される!

火球が爆ぜ、辺り一面が火の海となる。

ソラヒメは背に乗せているテーラとカレンを守るために急上昇し、アルスは火竜カエデの翼膜の裏側に隠れて圧倒的な熱波をやり過ごす。


「だが……だから、どうしたぁ!」


火の海の向こう側で、大きな隙を見せるアルス達に、イオグレスは再度攻撃を仕掛けようとする。


「最早次の攻撃は防げまい! これで全て、終わりだ……!!」


「テメェがなぁ!!!」


爆炎の海の中……その身を焦がしながらも、シムルがイオグレスに迫りくる!!


「いつの間にぃ! 君はぁ……! なんてしつこいんだっ!!」


「おらぁっ!!」


シムルはイオグレスに手刀を繰り出すが、体力の差からか、イオグレスに受け止められてしまう。

イオグレスはシムルの手刀を右手で握りながら、その左腕に魔法陣を展開する。

超至近距離からの攻撃魔法の発動。

シムルの背中にひやりとしたものが駆け抜ける。


「チッ……!!」


「幾ら君が近接戦闘に長けていようとも、これならばっ!」


イオグレスはシムルに左腕で掴みかかる。

それを見たシムルは目を見開き。


「負けるかぁ!!!」


渾身の蹴り上げで、左腕を上に弾き飛ばす!!


「ぐっ!?」


イオグレスの一撃はシムルから逸れ、シムルの背後にあった岩の壁を溶かしながら崩落させる。


「隙ありだァ!!」


シムルは受け止められた腕を思い切り引き、イオグレスを自分側に一気に引き寄せる。

そしてそのまま……シムルはイオグレスの腹に、気合と勢いで体から絞り出した力を込めた膝蹴りを見舞う!!


「ガハァ……!?」


回避が間に合わないイオグレスは、シムル渾身の一撃で内臓を揺らされる。


「これで……終わりだぁっ!!!」


シムルのアッパーが、隙を見せたイオグレスの顎を捉える。

ダメージが蓄積していたイオグレスは、今度こそ魔法を使う間もなく……その場に倒れ伏した。

新作始めましたので、もしよければそちらもお願い致します!

【ポーション作ってたら駆け出し冒険者拾ってパーティー組むことになった件】

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