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15話 どうやら俺はとんでもない物を作っちまったらしい

本作【王都の学園に強制連行された最強のドラゴンライダーは超が付くほど田舎者】カドカワBOOKS様より発売中です!

また、重版が決定致しました!

読者の皆様、ありがとうございます!!

「よーし、あらかた揃ったな!」


俺はヒカリムシやら太陽苔が詰まった買い物袋を左腕で抱えながら、右腕を上にあげて凝り固まった背を伸ばす。

モアブル魔道具店って店に欲しかった物が大体揃っていて良かった。


「それにしても、ヒカリムシも太陽苔も結構高かったわね……」


「あぁ、星結晶の換金額が高くて助かったな。

ったく、ぼったくりじゃねーか? とも思ったりもしたけどよ……その後に当たった店でも同じような値段だったから、きっとこの辺の相場はあんなもんなんだろうな」


あれだけ高かったのは正直びっくりだ。

魔道具店の店主に話を聞いたらセプト村付近には腐るほど居たヒカリムシは、実は王都どころかこの国全体からしてもとんでもない希少種だったとか。

五十匹仕入れるのに使った金は……ざっくりと言っちまえば、高い肉が何日分買えるのか分からないくらいだった。

太陽苔の方も言わずともがな、だ。


『シムル、これで例の光爆弾と言うものは作れるのですか?』


「あぁ、物は揃ったからな」


「でもおにーちゃん、この虫と苔が爆弾の中身だとしても、爆弾の殻はどうするのー?」


カレンの疑問はごもっともだ。

光爆弾を知らない奴からすればそう思うのが普通だろう。


「まぁ見てろって。

帰ったら作るからよ」


用事を終えた俺達は、そのまますぐにローナスに帰るのだった。


***


「さーて、とっとと作るか」


俺の部屋に集まった俺以外の三人は、これから何が起こるのか、と興味ありげに床に座り込んだ俺を見ている。

俺の目の前には、光爆弾の材料がずらりと並べてある。

ヒカリムシは既に下処理を終え、発光器官だけの状態だ。

太陽苔に関してはそのままだ。


――さて、ここで光爆弾の原理について軽く思い出しておく。

ヒカリムシと太陽苔の特徴は、魔力を通すと発光するって事だ。

ただし、それら単体だとそこまで眩しくは光らない。

ならどうするって話だが……単純な話、ヒカリムシと太陽苔をくっつけてから魔力を循環させればいいらしい。

前に一度光爆弾の原理が気になって、nearly equalの解析スキャン能力で光爆弾を解析してみたら、ヒカリムシと太陽苔の間で魔力の受け渡しが凄まじい速度でされて、それと同時に閃光が発生していた。


つまり……詳しい魔法学的な話や理論は分からねーけど、光爆弾に起爆用の魔力を流してぶん投げればピカッと光るって事だ!


俺は苔を掴んで、その中に数匹のヒカリムシの発光器官を入れる。


「ふんっ!」


そしてぎゅっと締固めつつ球場にして、適当に紐で縛る。

最後に少し水をかけて苔を締固めれば……。


「よし、出来た!!」


俺は意気揚々と三人に光爆弾を掲げてみるものの。


『……案外あっさり出来るのですね」


「……それ、本当に使えるの?」


「……おにーちゃん、それ見た目がただの苔団子だよ?」


各々の反応が微妙を通り越して、最早呆れたような雰囲気を醸し出していた。


「いやいや待て待て!

お前らそんな反応だけどよ、これ一応セプト村に伝わる由緒正しい光爆弾の作り方なんだぞオイ!?

特にテーラお前、セプト村出身なのに何だその言い草は!!」


俺の反論に対し、テーラは思う所があったのか「うっ……」と声を漏らす。


「だ、だって……私が小さい頃過ごしていたのは、モンスターなんてほとんどいないようなセプト村の中心だったんだもん。

シムルみたいに、モンスターのよく出る山の際には住んでなかったんだから仕方が無いじゃない……小さかったから狩りにも行ってなかったし」


テーラは唇を尖らせながら、拗ねたように言い訳じみたことをぶつくさと言った。


「はぁ……なら、論より証拠だ。

今からこの光爆弾を一発ぶん投げて、その効果のほどをお前らに見せてやる!」


俺は材料集めも含めてそこそこ頑張って作った光爆弾の有用性を示すべく、自室から三人を連れて出るのだった。


***


「さて、ここに寝ている地竜が居るだろ?」


日が沈みかけたグラウンドに、いびきをかく地竜が一匹。

今回のターゲットはこいつに定めた。


「ええ、居るわね。

……いや、シムル。

まさかとは思うけど!?」


俺はニッとにやけながら、テーラに光爆弾を突き付けながら宣言する。


「この地竜に光爆弾を一発かまして、光爆弾の有用性をお前らに教えてやる!!」


そんな俺の宣言に対し、テーラはかなりわたわたとしながら答えた。


「ちょっと!?

流石にそれは危ないわよ!

ソラヒメ様、シムルを止めて下さい!!」


テーラ、お前は何か勘違いをしているらしいな。

こんな時のソラヒメの返事なんて、もう決まってるようなもんだろ。


『テーラ、一体何を言っているのですか。

ワイバーンに何をしようと、私は一向に構いませんよ?』


――ケロッとした顔で答える当代の竜王様はこの通り、ワイバーンに対しては情け容赦がないくらいに暴君だからな!

もっと言えば、ワイバーンが必要以上に暴れたら暴れたでソラヒメが抑え込むだろうし。


「カレンちゃん!

流石に危ないと思うわよね!?」


ソラヒメからの協力を得られなかったテーラは次に、カレンへと迫っていた。

……だがしかし。


「私、おにーちゃんの作った光爆弾を見てみた―い!」


子供特有の興味に輝いた瞳をしているカレンには、テーラも言葉を詰まらせざるを得なかった。


「つ―訳で、とっとと始めるぞー」


「もぉぉぉぉ!

何でこうなるのよ!?」


――何でだと?

それは勿論。


「セプト村出身のくせに、光爆弾を知らなかった上あんな顔をしやがったお前が悪い!!!」


「ねえ、もしかしてそれ根に持っているの!?」


「そらいくぞ!!」


「無視!?」


横で喚いているテーラを尻目に、俺はその辺に転がっていた小石を軽めに当てて地竜を起こす。

地竜が「何事か?」と首を上げたその刹那。


――すまん地竜!

お前の犠牲は無駄にはしねえ!!


自己中って言われても仕方がねーかもなぁ、なんて思える詫びを内心で地竜に入れつつ、手にした光爆弾に魔力を込めて思い切り地竜の鼻先に向かってぶん投げた。


「お前ら、目を瞑れ!!」


俺がそう叫んだ次の瞬間、辺りに閃光が満ちた。


「きゃっ!?」


テーラが悲鳴を漏らした。

気持ちは分かる。

何せ、目の前で発生したこの爆発的な光量は。


『これほどの光が、こうも容易く……!』


そう、瞬間的にはソラヒメの放つ光量にもすら匹敵する!


光が収まった後、光の爆心点を確認すると『クゥ……』と、地竜が見事に目を回していた。


「どうだテーラ!

びっくりしたか?」


親指をグッっと立ててテーラの反応を窺う。

するとテーラは、俺が光爆弾を投げる前と同じくらいあたふたしながら俺に詰め寄って来た。


「ちょっと!?

今の何よ!!」


「何って、ざっくり言えばお手製の閃光玉だっての。

昼頃王都に行く前にもそう説明しただろ」


ただし、村の大人達がいつも使う時の倍以上の魔力を流し込んだからか、少し派手になったかもしれねーけどな。

……まぁ、逆に言うとちゃんと魔法を使える俺が使ってあの光量なのだから、そこらへんの村人が使っても効果は覿面って事なんだが。


「何が閃光玉よ……!

ワイバーンすら気絶させるだなんて、明らかに常識を逸脱しているわよ!!

アンタが光爆弾って呼んでいるアレ、正式名称とかないの!?

私の知っている中でもしかしたら……って言うのが一つ、心当たりがあるんだけど!!」


また一体何を思ったのか、妙に興奮しているテーラ。


「正式名称?

……あー、何かあった気がするな」


確か、ちゃんとした名前があった筈だ。

セプト村の大人達は通称「光爆弾」と呼んでいたあの魔道具。


その正式名称は確か……。


「すげぇ曖昧なんだけど……かうさた……とか何とか少し長めの言いにくい名前で呼ばれてた気がする」


それを聞いた途端、テーラの肩がわなわなと震え始めた。


「……シムル。

もしかしてそれ……【カウスサタニルクス】……って名前じゃない?」


「あ、そうそう!

確かそうだった……って、何でお前が知ってるんだ?」


「どうしてもこうしても……こっちが聞きたいわよ。

寧ろ何で……」


テーラはすっと息を吸った。

――やべぇ!

俺は反射的に両耳を両手で覆った。


「三百年も前に使用不可能になった軍用魔道具が、どうして片田舎のセプト村に伝わっているのよーーーー!」


テーラの叫びが、夕闇に沈むローナスに轟いた。

これからもコツコツと更新する予定です!

読者の皆様、今後ともよろしくお願い致します!!

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