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無色透明  作者: なつめ
3/3

無色

私は、蒼の中で目を閉じた。

思い出したくないことを思い出してしまったから。

目の前にちらつく赤から逃げるように、息を殺して。


あの日、彼や従兄がどうなったか、私は知らない。

覚えていない、思い出さない、見えない、気づかない。

きっとあれは従兄のふりをした誰かで、従兄はどこかで何も知らずに生きているのだろう。

きっと彼は私の携帯を落としたまま、迷子になって何事もなくこの島を去ったのだろう。

父や母はきっと病院で一命を取り留めて、まだ島にいる私を迎えに行こうと計画しているに違いない。 親戚だって、そうだ。

それに彼はきっと、ゆびきりの約束を破った私を怒っているに違いない。

きっと彼はいつか思い出して、ひょっこりとこの島を訪れる。そして、まだこの島にいるのかと、私を笑うのだ。そして、約束は守れと叱るのだ。

そして私は、彼と一緒に、ゆびきりをした約束を果たすのだ。



ああでも、みんなは私を見つけられないんだった。

私はあの日から、色を持たなくなった。

すべての色を失って、ただ、透明になったのだ。

声だって、誰にも聞こえない、透明なものになってしまった。

水の中、手をかざしてみても、手は見えない。

私は、もう、体を持たない。


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