表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/28

尾の巻 第2話 殺意

『慣わしの墓』に侵入して3日後、俺の愛しきファブリックは、ブーガンに犯された。必死に堪えようとする彼女の嗚咽と、獣のようなあの男の呻き声。


俺はそのことに気が付いたとき剣に手をかけていた。仲間の二人に止められなければ確実に斬りかかっていたはず。そして簡単にブーガンにあしらわれ、返り討ちにあっていたはずだ。


俺は耐えた。

闇の向こうから二人の荒々しい息づかいが聞こえてくる中を、俺は耐えた。涙が溢れて止まらない。あの男への憎しみが募り、同時に己の不甲斐なさを呪った。


俺の中で、ブーガンへの殺意が芽生えた。

だが、背後から襲おうが、寝込みを襲おうが敵わないことは明白である。あの男と俺には天と地ほどのレベルの差があるからだ。それでも俺は立ち向かわなければならない。この手であの首を斬り落とさなければ気が済まない。


筋を通すべく仲間の二人にも相談した。このパーティの目的はあくまでダンジョンの攻略。道半ばで雇い主を殺害したとあっては報酬は貰えないのだ。手元に残るのは前金で頂戴したわずかな分だけ。


予想に反して仲間もブーガンを討つことに賛成してくれた。あの男の言動がそれだけ反感をかっていたということだ。規定の報酬はおじゃんになるが、代わりにやつの刀剣が手に入る。レア物7本。このダンジョン攻略以上の価値がある。この見返りが仲間たちにも魅力だったのだろう。積極的に作戦を練り始める。


3人がかりでも傷ひとつ残せまい。

王宮魔術師12人総がかりでも赤子の手を捻るかのようにあしらわられたと聞いた。正攻法では無理だ。


卑怯だが、ここはだまし討ちしか手はない。

俺たちはあの男の荷物持ちもやらされている。食糧への細工も容易にできる。さっき倒したモンスターから猛毒の液体も手にしている。味や臭いにさえ気をつければ気がつかれることもないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ