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亜の巻 第2話 我流刀術

この『慣わしの墓』は通称『冒険者の墓場』とも呼ばれる難所だ。普通のやつらは避けて通る。強力なモンスターがうようよいるからな、まあ仕方ない話だ。このダンジョンにしか生息しない貴重種も多いから対策もたいへんらしい。相手に合わせて戦い方を変えるような芯の弱い連中には荷が重い話だ。


おーっと、そうこうしてる間に早くもモンスターたちに囲まれたようだ。入ってまだ10分しか進んでないぞ。お盛んなことで結構だな。


ん…、あれは猿科の魔獣『ビトラターシュ』ではないか。驚いたな、先のダンジョンではラスボスの直前にいたようなモンスターだ。ここでは奥に住めない扱いか。層の厚さを物語っているな。


さて剣を抜くか。

俺の間合いに入った瞬間に一刀両断だ。

自慢じゃないが、齢13でダージェット流目録、16で免許皆伝と幼き頃より『剣の天才』と呼ばれ続けてきた。お陰で名をあげようと、食い詰めた牢人やら見た目だけの武芸者やら賞金稼ぎやらの挑戦が後を絶たんかったわい。無論誰にも負けたことはない!勝ち続けてきたが、相手の首を獲ったこともない。俺の剣はもっと崇高なのだ。俺は『人斬り』に在らず。


周りの仲間たちが大慌てで弓を放ち始めたわ。まったく、この程度のモンスターに浮き足立ちおって情けない。まあ一匹で村じゅうの人間を食い荒らしたという伝説もあるモンスターだからな、仕方ないか。


けたたましい雄叫びを上げ突進してくる『ビトラターシュ』が二匹。大人二人分の高さはあるな。弓矢など物ともしていない。せめて勢いくらい殺せ。

「どけ!お前たち!くらえ羅紗刃八方殺らしゃじんはっぽうさつ

俺は背をっていた妖刀『エジムント』を抜き放ち一気に踏み込んだ。砂ぼこりがブワッと上がり、その中を一閃、刃が煌めく。


一匹の顔面が8つに割れ、身体は石壁に激突した。

即死。

それを見て残りの一匹は萎縮し始めた。こうなると他のメンバーでも充分やれるだろう。臆病風に吹かれた敵など数には入らない。戦いは気迫で決まるものだ。ヒトであっても、モンスターであっても変わりはない。


ダージェット流は刃先を振るわせ相手の呼吸に合わせ、相手の動くと同時にそれより速く一刀する必殺の剣術ではあるが、俺はそれを実戦の中で改良し、新しい形を編み出した。

それが我流刀術だ。

どうだ凄いだろう。天下無双の流派を俺が生み出したんだ。

悪魔デビル系のモンスターも一太刀で倒せるぞ!


このダンジョンのモンスターたちがどれほど強いか楽しみだ。

ラスボスが所有するという『聖覇の太刀』がどれほどの斬れ味かも楽しみで仕方ないわ。

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