亜の巻 第1話 ブーガン
俺の名はブーガン。職業は戦士だ。
まあ、戦士と言ってもいろいろなこだわりがあるわけで、ちなみに俺の対象はダンジョン攻略のみ。渋いだろ?
他人に仕えて他人と戦うような傭兵や侍とは全く異なる点を理解してほしい。あいつらは犬だ。生きる意味を他人に預けているからな。
齢18から戦場に飛び出し、かれこれ20年になる。ミーハーなやつらは、やれ魔法剣士だ、やれ竜騎士だとちょろちょろ転職しているが、俺はこの道一本!ポリシーを持って戦士を続けている。
自慢じゃないが、戦士としてのレベルは120。単独でドラゴンを倒せる力がある。
今所有している7本の刀剣は、有名なダンジョンを攻略し、強力なラスボスを倒して手に入れた宝刀だ。どれも冒険者たちが喉から手が出るほど欲しがるレア物。売れば、一本で街の真ん中に家が建つほどの業物だ。欲しいだろ?
『七剣王のブーガン』と言えば、多少かじっている冒険者で知らね者はいないはずだ。いたらモグリだな。
今回も『慣わしの墓』と呼ばれるレベル97のダンジョンに挑戦しているところだ。
ひとりじゃさすがに骨が折れるんで、一応5人でパーティを組んで来た。誰も彼も有名なダンジョン攻略家だ。無論、俺に比べると一枚も二枚も劣るがな。
魔法使いたちとはパーティは組まない。精霊や古の神々などの他者の力を当てにして戦うなど虫酸が走る。僧侶たちはもっとたちが悪い。魔力で傷を治癒してもらいながら戦うなど戦士としてはあり得ない話だ。
俺はそんな軟弱なやからとはつるんだことはない。これから先、どんな強烈なモンスターと対峙することになってもこれは変わらないこだわりだ。
さて、さっさとダンジョン攻略にかかろう。