Turn2~来美~
私、今まで勝負とかあまり負けた事ないの。
唯一私が負けたのは、“あの人”との“あの”ゲームだけ。
あの人には勝てないのよね…
でも他の人には負けないわ。
だからきっとこのゲームも勝てるはずよ。
運は私に味方している…
それを証明してみせる。
目の前に居る東真に対抗心を燃やす私が居た。
…こんなに熱くなるのはいつぶりだろう。
この人達に勝てば、私は…私はあの人と結ばれる事が…!
私の頭の中にはそれしか無かった。
タリス「このターンで1を出さない限りはストップの場所に行けるな。」
来美「そうね。」
1が出る確率は6分の1。
確率は低いわ。
私はサイコロを転がした。
サイコロが止まり、数字を確認してみると、2だった。
冷や汗が流れる。
危なかった…!
タリス「じゃあ丁度ストップマスだな。」
来美「えぇ。」
タリスが車を進める。
車はゆっくりとストップマスへ向かい、東真と機械女の横でストップした。
タリス「次は職業を決めるマスだ。気合い入れてサイコロを振れよ?一番重要な部分だからな?」
タリスが念を押してくる。
…それほど大事って事なんでしょうね。
でもこのゲーム内の職業なんて、単なる金稼ぎのようなものでしょ?
マスでお金を貰うこともあるし、フリーターにならない限りは月給にあまり差はないはずよ。
ボーナスもあるし…
そうね、高月給なのは…医者とかかしら?
なら、そこに止まれるように頑張らなきゃね。
私には、何マス先が医者か何て知らないのだけれど。
タリス「よぉ、東真。」
タリスが横にいる東真に話し掛けた。
東真「…何か用か?」
東真は冷静に聞き返す。
まぁ、タリスは悪魔ですものね。下手な態度は取れない筈だわ。
タリス「何で車に乗ってねぇんだ?」
確かに二人は、最初に渡された筈の車に乗って居ないようね。周りを見渡しても車が見当たらないもの。
ここまで来るのも歩いて来るの、大変じゃないのかしら。
マリ子「運動の為ですッ」
マリ子と呼ばれた機械人間はにっこりと笑顔で答える。
東真「そのお陰で痩せそうだぜ?」
何でこっち向いて言ってくるのよ、私に痩せろと言うの?
今でも充分痩せてるっていうのに…!何かムカつくわね!
来美「食べ物を沢山食べてそうな貴方なら丁度良さそうね。」
ふん、皮肉で返してやるわ。
東真「ははっ、そうかもな。」
…!
何よ!
皮肉を皮肉で返して来たって言うの?
それとも馬鹿素直なの!?
タリス「全く、こいつと居ると何か狂うな。」
同感だわ。
東真と一緒にいたら馬鹿がうつってしまいそう。
来美「タリス、私のターンは終わりでしょう?」
タリス「ストップマスだからな。」
…次は職業選択…
気合い入れていくしかないわね。
全ては運に掛かっているって事、忘れないで行かないと。
確か同じ職業にはなれなかった筈だわ。
先に行っていい職業を取らなきゃ。私より先に東真は職業選択に向かうけれど、あの人の事だから、一番最初に停まったマスで満足する筈だからよっぽどの事がなければ、一番いい職業は取られないわね。
後の人達は私より後に進むから平気だし…
ふふっ…私に運が回ってきたみたいね?
プレイヤーⅤ 東真
ゴールまで
“193マス”
プレイヤーⅠ 来美
ゴールまで
“193マス”
プレイヤーⅡ 禀
ゴールまで
“196マス”
プレイヤーⅢ 夜弥
ゴールまで
“197マス”
プレイヤーⅣ 叉玖埜
ゴールまで
“194マス”
…今までの勝負をほとんどの確率で勝っている来美。
…でもそれは…
“運を使っている”
という事かも知れません。
もっとも、来美はそうは考えないみたいですけどね。
それにしてもあの人って誰なんでしょうね?
さて、次は禀の番です。