Turn2~東真~
…俺がこのゲームで勝てば、死ぬ前に戻れる。
不慮の事故で死んだ俺や、殺された夜弥や来美はともかく…
自殺した禀や叉玖埜は死ぬ前に戻る事を望むだろうか?
もしそれがあの二人を苦しめてしまうとしたら…この選択は最善なのか?
だからといって、他の…悪魔や妖怪…になる事を望むだろうか?
(まぁ妖怪に関しては偏見かもしれねぇけど。)
他のプレイヤーがどう思っているかを知らない限り、最良の選択はできない。
…なら。
探ってみる必要がありそうだー…
………、
今ここに四人もいるのに、誰一人話さない。
さっき起きたハプニングの事、気にかけてるのか?
東真「なぁマリ子…?」
マリ子「何ですか?」
東真「大丈夫、か?」
マリ子「大丈夫ですよ?私は機械ですから。」
…笑顔で返すマリ子に、少し不安を感じた。
いくら機械でも、無理はしてはいけないだろう。
今のマリ子は無理してないだろうか?
鬼羅「プレイヤーⅤ、東真…お前の番だぜ。」
マリ子「進みましょう。」
…とりあえず…進むしかないのか。
夜弥「頑張って!大きい目が出るといいね。」
応援してくれる夜弥。
その心は罪悪感で一杯だろう。
何とも重い空気だ。
そんな中俺は、サイコロを振った。
サイコロが地面に落ちる。
サイコロは跳ねて…夜弥の足元で止まった。
それを夜弥が拾い上げる。
夜弥「4だよ。」
4か。
マリ子「ストップの所まで行けますね。」
夜弥「そういえば…何でマリ子さんと東真くんは車に乗ってないのぉ…?」
そういえば、通過した奴や夜弥は皆、車に乗って移動している。
しかし俺達だけは、歩きで移動しているのだ。
東真「マリ子、どうしてなんだ?」
マリ子に問いかける。
最初のターンの時、俺の目の前には確かに車があった。
渡されたからな。
でも、マリ子が先に移動したために俺は車に乗らずに移動した。何か意図があったのか?
マリ子「いい運動になるので☆」
それはあまりにも馬鹿げた理由だったが、マリ子が元気そうだと分かったので良しとした。
東真「確かにそうだなっ!じゃあ4マス先まで走るか!」
夜弥「無理はしないでね。」
東真「お前もな。」
夜弥「うんっ」
俺は夜弥に「また後で。お互い頑張ろうな。」と言い残し、その場を後にした。
………。
マリ子が俺の前を歩き始める。俺はマリ子についていった。
東真「…何処までいくんだこれ…」
マリ子「…………。」
マリ子「ふぅ!」
東真「!?」
ドンッ!!
目の前でマリ子が急に止まったので後ろから激突してしまった。
東真「すまねぇな、マリ子。」
マリ子「あ、全然いいですよ~所で、今ここストップ地点なんですが…この先、職業決めになるので覚悟を決めて下さいねw」
東真「この建物の中が?」
マリ子「建物の先ですよ。」
建物の…先?
建物を突っ切るのか…?
マリ子「まぁ、次のターンになれば分かりますよ。一番乗りですから私達。」
東真「お、おぅ。」
後ろには、他のプレイヤーが見える。
来美、禀、夜弥、叉玖埜…
あいつらは今、どんな気持ちで戦っているのだろうか?
自らの褒美の為か?
ここから抜け出す為か?
…あまりそう思いたくはないが俺達は今、敵同士なのだ。
ここに来たばかりの頃は顔もしらない奴だった。
だけど…こう接しているうちに情がうつるというか…
ただの「人」として扱えなくなったと思う。
皆は俺の事、どう思ってるんだろうな…なんて考えるようにもなった。
マリ子「東真さん…?」
東真「ん?何だ?」
マリ子「ターン、終わりますよ?」
東真「あぁ。次は来美の番だな。」
これから先、色々あると思うが…最悪の結果だけにはならないで欲しいと思ったー…
プレイヤーⅤ 東真
ゴールまで
“193マス”
プレイヤーⅠ 来美
ゴールまで
“195マス”
プレイヤーⅡ 禀
ゴールまで
“196マス”
プレイヤーⅢ 夜弥
ゴールまで
“197マス”
プレイヤーⅣ 叉玖埜
ゴールまで
“194マス”
最善で最良の選択…
それはどんなモノなんでしょうか。
人の考え方はそれぞれ違います。
境遇や性格によって変わります。
ましてや、性格の全く違うこの五人に最良の選択などあるのでしょうか?
まずは探ってみる必要がありそうです。
さて次は、プレイヤーⅠ…来美の番です。