Turn1~playerⅣ~
…俺は、
何の為に
生きてたんだろう。
義理の親との生活は
何をもたらしてくれただろう
こんな世界は…嫌いだ。
「…そんなにこの世界が嫌だというのか?だったらいっそ捨てるのも一つの案だぞ?」
そんな声が
聞こえた気がして。
俺は、死ぬ決意をして…
飛び降りた。
死んで何が変わる?
何も変わらないって気付いてた?
誰も救ってくれないって知ってた?
知ってたでしょ。
なのに…神頼みしてしまうのは…
自分が弱いから。
せめて違う世界で…強い自分になれたら…いいな。
「我はお前と共に。」
誰だか知らないけど、ありがとう。
俺にチャンスをくれてー……
…ッ…
一体何が…ッ…
?Ⅳ「気がついたようだな。」
…さっきの…巨人…
叉玖埜「…ここは何処?」
?Ⅳ「人生ゲームの中、と言っておこう。」
真っ白だった筈の、あの人生ゲームか…
なのに何故、周りはこんなにも色彩が?
普通に家もある、自然もある。白い紙からどうしてこんな風景が…
謎だらけだ。
叉玖埜「…ところで…誰?
さっき会ったぐらいしか記憶にないんだけど。」
?Ⅳ「…随分と物を言うな、少年よ。」
叉玖埜「質問に答えてよ。」
ゼリアム「宜しい。我はゼリアムだ。お前のスポンサーをつとめる。以後宜しく頼むぞ、少年よ。」
さっきから、自分の方が位が上だというような話し方…
あの時にいたのは、
悪魔、天使、妖怪…だとすればまさかこいつは…神…?
ゼリアム「御名答。中々頭の回転が早いようだな、少年よ。」
…!
心をも読まれているのか?
ゼリアム「あぁ、そうだ。お前の考えは全てお見通しだ、少年よ。」
…さっきから少年、少年ってうるさいな…
ゼリアム「なら、何と呼べば気が済むのだ、少年よ。」
………(イラッ)
叉玖埜「叉玖埜…叉玖埜でいいよ。」
ゼリアム「なら、そう呼ぶとしよう。では叉玖埜よ。」
叉玖埜「何?」
ゼリアム「今、この状況を理解できているか、テストをしよう。」
テスト…?
ゼリアム「お前はプレイヤーの中の何人目だと考える?ちなみに叉玖埜のターンは最後だ。」
最後…
最初に居た人間は、
東真と夜弥と禀と来美と俺。
人間じゃない奴がスポンサーとかいうものをやってたとして…
叉玖埜「五人目。」
ゼリアム「御名答。まぁ、表示ではⅣと出るがな。」
…一番最初にターンを始めた奴がプレイヤーⅤになってる訳か。
ゼリアム「では次に、我達の目的は何だ?」
叉玖埜「人生ゲームなんだからゴールする事、じゃないの?…あ、一番お金を集めた奴が勝ちだったっけ?」
ゼリアム「まぁ、正解だな。このゲームでは味方も増やす必要がある。」
叉玖埜「味方…」
ゼリアム「後々のイベントで有利になる為にな。」
叉玖埜「ふぅん。」
ゼリアム「では最後に、我達が今、やるべき事はなんだ?」
叉玖埜「今、俺のターン?」
ゼリアム「あぁ、そうだ。」
…なら、答えは
「サイコロを振る」
こと。
俺はサイコロを高々と投げ…宙を舞ったサイコロを片手でキャッチした。
手を開いてみるとサイコロの目は“6”を出している。
叉玖埜「どっちに進むの?」
ゼリアム「…案内は我がしてやろう。その車に乗り、我の案内通りに進め。」
とりあえず俺は車に乗り込む。
どうやら運転は自分でやれって事らしいな。
俺はハンドルを握った。
運転なんてしていいのか?
俺、無免許なんだけど。
何処ぞの機械歌手の双子みたいじゃん。
…その双子が運転してたのはロードローラーだったか。
…どっちでも無免許には変わらないんだけど。
叉玖埜「アクセルとブレーキかけ間違えても知らないから。」
ゼリアム「その時は、ゲームを観戦している我本体が車を移動させてやろう。」
叉玖埜「…そ。」
なら遠慮はいらないか。
俺はどちらがアクセルかブレーキも分からないまま、片方を思いっきり踏んだ。
急発進する車。
どうやらこっちがアクセルらしい。
ならこっちは…ブレーキか。
叉玖埜「進むのこっちでいいの?」
ゼリアム「あぁ。このまま真っ直ぐだ。」
真っ直ぐ進む。
道路ではなく、砂利の上を走っている車は、よく揺れる。
叉玖埜「…ふぅん、こうやって運転するんだ。」
徐々に操作にも慣れ、
ブレーキをしつつ丁度いい速さで走っていく車。
ゼリアムが「止まれ。」と言ったのは、他のプレイヤーを抜かした後だった。
全員6以下だったんだ、へぇ…
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少年よ、持てる力を存分に発揮せよ。
それが自らを救う行為になるのだ。
我に従い、ゴールへと駒を進めよ。
我の為、お前達の為に…
それが誰かを犠牲にする行為であっても迷わず進め。
犠牲を乗り越えて進むのだ。
お前にはその器がある。
我がそう思うのだから、絶対だー…
自信を持て。
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叉玖埜「ターンはこれで終了?」
ゼリアム「そうだ。してお前のすぐ先に見える建物の先で叉玖埜の職業が決まるぞ。」
職業ねぇ…
こんな所にも職業あるんだ?
ゼリアム「まぁ、次のターンには行けるであろう。」
叉玖埜「じゃあ、ターン終了。次の人やっていいよ。」
……何だか分からない事が沢山あるけど楽しそうじゃん。
折角だから、楽しもうか…
プレイヤーⅤ 東真
ゴールまで
“197マス”
プレイヤーⅠ 来美
ゴールまで
“195マス”
プレイヤーⅡ 禀
ゴールまで
“196マス”
プレイヤーⅢ 夜弥
ゴールまで
“197マス”
プレイヤーⅣ 叉玖埜
ゴールまで
“194マス”
彼はまだ、褒美を知りません。だからこそ…今はゲームを楽しもうとしているのです。
もし褒美を知った時…彼はどう考えるのでしょうか。
きっと頭の良い彼ならー…
さて、
1ターン目が終わりました。
次は2ターン目の東真くんです。