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Turn1~playerⅡ~

彼女は思う。


私の存在意義は…何なのか。

私が消えたら何が残るのか。


自分で導き出した答えは、

“何も残らない”


悲しみも、いずれ消える。

私という存在もいずれ無くなる。


…なら、私はいらない。


薬を大量に飲み意識が朦朧とする中、聞こえたのはあの声だった…


「貴方の魂…天へ。

辛かったでしょ?私が貴女を救ってあげる…ね、いきましょ?」



私はその声に従ったー…

この世界が嫌いだったから。

違う世界へ行きたかったからー…

?Ⅱ「大丈夫でショ?」



目を覚ましたら、さっき会った翼を生やした人が目の前にいた。


?Ⅱ「禀さんは私がサポートするでショ!」


急に言われて驚いたけど、素直にお礼を言った方がいいよね。


禀「そっ…それはありがとうございます…」



?Ⅱ「任せるでショ!」



この人(?)に任せていいのかなぁ…。


まず、味方かどうかも分からないのに…


禀「あの、何で私をサポートして下さるんですか?」


?Ⅱ「貴女の味方だからでショ。貴女が勝てばあの子達の魂を天にあげられるでショ。」


禀「天に…」


苦しまない世界に行けるんだ…私も自由に出来る世界に…


あの人達もそれを望んでいるかも知れない。


よく見てみれば、あの翼ー…

白くてふわふわしてるし、見た目が天使さんみたいだから信じても良さそう…


禀「私、頑張りますっ。」


キャラメ「自己紹介がまだだったでショ。私の名前はキャラメでショ。」


禀「キャラメル…?」


キャラメ「キャラメでショ!」


禀「ショ?ショ糖?ショートケーキ…?甘いものがお好きですか?」


キャラメ「ちっがーーうでショ!」


禀「ごっ、ごめんなさいっ」


キャラメ「謝る事はないでショ。」


優しい…やっぱり天使さんなのかな?


でもそうしたら、どうして天使さんが私を選んだのかが分からない…


禀「どうして貴方は私の味方になったんですか?」


キャラメ「一番心が清らかそうだったからでショ。」


心が清らか…そんな事、言われた事なかったから嬉しいな…。


禀「貴方と皆の為に、私…一番になります!」


キャラメ「まずはサイコロを振るでショ。」


キャラメさんの言うがままにサイコロを振る。


サイコロは地面に落ち、かつーん!と音を立てて跳ね、そのまま地面を転がっていった。


禀「どうしよう、サイコロがっ…!」


キャラメ「あれがないと進めないでショ!」


二人で急いでサイコロを追いかける。


キャラメ「車に乗るでショ!!」


すぐさま車に乗り込み、サイコロを追いかけた。


サイコロは草むらに入って行ってしまい、どこにあるかわからなくなってしまった。


禀「どうしよう…!」


約束したばかりなのに…!

私ってばまた約束を…!


…約束…?


ふとその言葉が頭の中に留まった。


あれ、何だっけ。

あの子とした約束は…。


キャラメ「あったでショ!」


キャラメさんの声でハッと戻る。そうだ、私草むらに入っていったサイコロを探して…


キャラメ「“4”でショ。」


禀「4…」


キャラメ「もう2マスは進んだでショ。後2マス進むでショ。さ、車に乗るでショ。」



そうしてその車で、東真さんを追い越した。


禀「東真さんっ…!頑張りましょうね…っ」


東真「あぁ。」


~~~~~~~~~~~~~~


禀は俺が勝ったら生き返れる事…やり直せる事を知ってるのか?


マリ子「…知らないですよ?」


知らないのか…?


マリ子「このまま悪魔が勝って、貴方が転生して悪魔になっても…あっ、言っちゃいけない事言っちゃった☆」


…転生して悪魔…?

あの二本角の奴悪魔だったのか!


おいおい、そりゃ困るぜ…

って俺、悪魔を敵に回してんのか!


この勝負、不安になってきたな…


マリ子「さっき聞いたことは忘れて下さいねー。


本来、勝った人の褒美は本人しか知ってはいけないですから…」


東真「勝った褒美?」


俺に褒美の話なんてあったか?いや、俺が勝った時の結果は生き返るだったけどよ…


まさかそれが褒美か?


東真「俺の褒美って…?」

マリ子「無いですよ?当たり前じゃあないですか!」


口に手をあて上品に笑ってるつもりらしいが、必死に笑いを押さえているようにしか見えない。


東真「他の人にはあるんだよな?」


マリ子「えぇ。勿論!何かをあげるのはスポンサーの役割ですから!」


そうか、こいつはあくまでナビゲーターであって、スポンサーじゃない。


だから無いんだな。

だとしたら待てよ…


四人はその褒美に釣られて言いなりになってるって事じゃねぇか!

~~~~~~~~~~~~~~


禀「~♪」


この子…素直すぎる。

ほとんど疑うこともせず、ただ私達の為に戦ってくれてる…


これは期待に答えなきゃ…!

この子を必ず…必ず勝たせてみせる…!


キャラメ「ここでショ!」


マスを進め終わり車を止める。

このゲームを眺めているキャラメ(本体)は、軽いゲーム感覚なのかも知れない。


でも…中にいるキャラメ(私)は、本気勝負だ。


もし負けたら、私が処分されてしまうから。


それが私達ナビゲーターの運命。


生まれてすぐは、キャラメ様などの声と指示に添って動く操り人形でしかない。


でももし…このゲームに勝てたら…私は私の意思で生きる事が出来る…!


私情で申し訳ないけど、私にはこれしか方法がないの。


今はキャラメの操り人形でいい…ゲームが終了した時に、私として生きられるなら…


~~~~~~~~~~~~~~


キャラメさん…何だか様子がおかしい。


そわそわしているというか…。


禀「キャラメ…さん?」


私が話かけるとすぐにキャラメさんは元の表情に戻った。


キャラメ「何でショ?」


禀「ここで…いいんですか?」


サイコロを見つけたので車を進ませていた途中、ここで急に止まってしまったから…


何かあったのかと思って…


キャラメ「ここで大丈夫でショ!」


にっこりと笑ってキャラメさんは周りを見渡した。


キャラメ「もう少しでストップ地点でショ!」


キャラメさんの目線の先には、“ストップ”と大きく書かれた看板…が掛かっている建物があった。


建物というより、お城と言った方がいいかもしれない。


門もかなり立派だし、鎧を着た兵らしき人が入り口に立っているのも見える。


水色とシルバーを混ぜたような色の建物で、搭のてっぺんには三角の旗がなびいている。


禀「あれって…?」


キャラメ「あれはギルドと考えるのが早いでショ。」


禀「ギルド…」


キャラメ「あの先は職業選択になってるでショ。」


禀「えっ、職業を決められるんですか?」


なら、パティシエがいいなぁ…


キャラメ「でも、サイコロで止まった職業にしかなれないでショ。」


人生ゲームと同じ造り…

そういうこと、なんだ…


禀「じゃあパティシエさんにはなれないんだ…」


キャラメ「パティシエのマスもあるでショ。気を落とさないで、でショ!」


禀「じゃあ頑張ってパティシエのマスに止まらなきゃ…!」



パティシエ「じゃあ、マスも進んだ事だし…ターンは終わりにするでショ?」


私はにっこりと笑って頷いた。

プレイヤーⅣ 東真


ゴールまで後、

“197マス”


プレイヤーⅠ 来美


ゴールまで後

“195マス”


プレイヤーⅡ 禀


ゴールまで後

“196マス”





禀が望むのは自由、革新。

この世界の辛さに我慢出来なくなった彼女は現世に留まるのを止め、こちらへ来たようです。

彼女はキャラメと共に、

皆を幸せの国…天国へつれていく為に、力を合わせゴールを目指します。


その先に何があるのかを知らずにー…


さて…次はプレイヤーⅢのターンです。

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