Turn1~playerⅠ~
私は、思うー…
どうしてこの世界に来たのかと。
あのまま消えれればどんなに楽だっただろうと。
死んだ後のこの場所で、悪魔の囁きが聞こえる。
“お前の望む世界に”
私が、悪魔によって狂わされていくー…
“さぁ、お前のターンだ”
…ここは何処かしら?
?Ⅰ「よぉ、お嬢。目を覚ましたみてぇだな。」
なっ…何よこいつ!
私達が人生ゲームのボードに吸い込まれた時にいた、悪魔じゃない!
来美「なっ、何で…!」
私と同じ大きさになってるの!?訳が分からないわ。
しかも何故私の所に!
私まさか地獄に落ちた…?
?Ⅰ「何でそんな怯えた目をしてんだよ。まだ何もしてねぇじゃんかよ。」
それもそうね…。
来美「何もしてないというのなら、何で貴方が此処にいるのよ。」
?Ⅰ「気の強い女は嫌いじゃねぇぜ。」
赤い瞳、山羊のような角。
矢印のようなしっぽ…
どこからどうみても悪魔だわ。下手したら魂をとられるかも知れない。
気をつけて…慎重に会話しなきゃならないわね。
来美「話をそらさないで頂戴。」
?Ⅰ「はいよ。こいつは俺の分身だぜ。お前らがピンになっているように、俺もピンになっていると考えろ。…ま、本体は人生ゲームの前に座ってるけどな。」
来美「貴方の名前は?なんて呼んでいいか、分からないわ。」
タリス「俺の名前はタリスだ。」
来美「タリスね…呼び捨てして構わないかしら?」
タリス「あぁ。構わないぜ。なんたって俺はお前のスポンサーだからな。」
スポンサー…?
どういう事かしら。
タリス「お前の魂の行き先を決める為にゲームをしてるって言ったろ。
俺がお前を勝たせれば、あいつらの魂は俺のって訳。」
来美「それは地獄に落ちる、ってことかしら?」
タリス「いや、違げぇな。お前らが転生して何になるかを決めんだよ。」
来美「それ、私に得がないんじゃないかしら?」
もし私が勝ったら…
あの四人と私は悪魔になるってことよね。
タリス「いや、お前には得になるようにしてやる。」
来美「どういう事?」
タリス「お前の望んだ人生を送らせてやるよ。
お前、あいつと結ば…」
あいつってまさか…!
私が生前思いこがれてた人…?
タリス「…そうだろ?」
私が勝てば、あの人と結ばれる運命をたどれるのね…生前成し遂げなかった夢が…
タリス「じゃあ進め。とりあえず。」
来美「これは人生ゲームなのよね?」
マスに書いてある事が本当に起こる…そういうことなら。
タリス「美味しい人生が二度も味わえるぜ。」
来美「…分かった、やるわ。」
私は覚悟を決め、サイコロを回した。
ごめんなさい、皆さん。
私の為に犠牲になってー…
サイコロは私の手のひらで転がり、やがて回転力を無くした。
“5”
結構進めるわね。
タリス「おっ、お前運あるんじゃねーの?さ、車に乗れ。行くぞ。」
タリスと共に車に乗り込む。
タリスが運転してくれるらしい。
タリス「ん、あそこに誰かいるみたいだな。」
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あれは、来美さんじゃねぇか。何でさっきの二本角と…!?
マリ子「タリスがスポンサーみたいですね。」
東真「スポンサー…」
つまり、俺でいうマリ子みたいなもんか…
タリス「よぉ、先にいかせてもらうぜ~」
来美「共に頑張りましょう。」
二人が車で通りすぎていった。俺より大きな数を出したんだなきっと。
東真「あっ、そういえば!俺が勝ったら何かあるのか?」
マリ子「ありますよ。」
億万長者になれるとか…そんなもんか?
マリ子「貴方が勝ったら、皆さんは元の世界に戻るんです。」
東真「元の世界に戻る?」
マリ子「死ぬ前に戻るんですよ。」
東真「………」
そうだったのか…だとしたら、違う人が勝ったらまた違うのか。これは厄介なゲームだな…
東真「勝利の条件は?」
マリ子「フルと味方を集めた者の勝利です。」
東真「味方…?」
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タリス「もうあいつらを抜かしたな。このままリードするぞ。」
来美「えぇ。…ところで、このマスの効果は?」
タリス「自動車保険に入るかって通知が飛んできたぜ?」
来美「…入りましょうか。」
大体ゲームのルールは分かった…このゲームに勝つには…相手からフルを巻き上げるのが手っ取り早いー…
だったら、追突された時にふんだくるのよ…!
タリス「よし、買ったぜ。これで来美のターンは終了だな。」
来美「えぇ。」
プレイヤーⅣ 東真
ゴールまで後、
“197マス”
プレイヤーⅠ 来美
ゴールまで後
“195マス”
さて、プレイヤーⅠはタリス率いる来美さんでした。
彼女が望むのは愛。
愛しのあの人と自分の未来の為に、他の皆を犠牲にする事を決めたようです。
現時点で先頭は来美。
次はプレイヤーⅡのターンです