~time~禀の思い出
一応言っておきます。
※若干グロテスク&流血表現が入ってます、すみません。※
苦手な方は飛ばした方がいいかもです。
ちなみに今回は禀の言っていた“約束”の話です。
ちなみに、後書きに飛んでも大体理解出来るかと。
16歳になってすぐのあの日、私は友達…ううん、親友と“約束”をした。
もう絶対に見捨てたりしない、と。
過去に動物を痛めつけて殺してる人を見た。
動物好きの彼女にとってそれは拷問に等しかった。
そんな酷い事をしていたのはまさかの、“大人”。
真面目そうな人が狂気に取り憑かれてるみたいに、猫に傷を付けていく。
痛みに耐えきれず、悲痛な声を出す猫。
一つ、また一つと増えていく傷。
傷口から滴り落ちる血液…
当時の私たちは、その光景を見て、逃げる事も、止めてという事も出来ずにただそこに立ち尽くした。
どうしてそんな事出来るの!と憤りを感じつつ、私と親友は大人がこちらを向いた瞬間に一目散に逃げ出していた。
こちらを向いて血を流していた猫は、見捨てられたのだと理解していたかのように見えた。
あの光景は今でも忘れられない。
その現場から逃げ出した私たちは、公園のベンチに座った。
誰もいない、夕暮れの公園に、親友と二人きり。脳裏に浮かぶのはさっきの猫の姿。
多分、あの猫は助からない…
私は猫を見殺しにしてしまった自分が情けなかった。
助けてあげたいと思っても、足が動かなかった自分が。
でもあそこで私たちが助けようとしていたら…きっと私たちが。
そう考えてると悪寒がした。
親友は私よりもショックを受けたらしく、顔を真っ青にして震えている。
無理もない。
親友は初めて死の瞬間に出くわしてしまったのだから。
私は親友を宥めるように、約束を交わした。
もう、親友が怖がらなくていいように。
でも。
私は数日後…約束を破ってしまう。
学校へと急ぐ私は運悪くあの“大人”に出くわしてしまったのだ。
大人の手にはカッターが握られている。
その刃は血で濡れていて…
あの時と同じ。
聞こえてくるのは、微かな呻き声。
しゃがんでいる大人の後ろに見える“何か”。
また犠牲が…!
涙が一滴、地面へ落ちる。
…許せない。
私は即座に大人の前に飛び出した。
「何で…何でそんな事するんですか…!
…っ…!?」
微かに見える、あの色は…という事は。
大人の後ろにいるのは猫じゃ、ない…?
「どうしたのかな?」
笑顔で問いかけてくる大人に私は恐怖を覚えた。
足も、声も震えている。それを見て、大人は楽しんでいるように見えた。
私は逃げてしまいたい衝動に駆られ、後退る。
ざっ…
私が一歩後ろに下がると、大人は一歩近づいて来た。
親友との約束が頭に過ぎる。
そうだよ、助けなきゃ…!
でも…逃げなきゃ…!
殺られる!
私には分かっていた。大人の後ろにあった何かが人間だということを。
見覚えのあるミサンガの存在を頭の奥の方に押しやり、その場から逃げ出す。
男が追いかけて来る。
捕まったら私も
あの姿に…
一度だけ振り返った時に見えたのは、狂気に染まった男の顔と無残な…
親友の
姿だったー…
禀の言っていた約束。
それは、
悪い大人に対抗する事。
“今度あの人に会ったら、止めるから…!”
しかし、禀はその約束を破りました。
仕方ないような気がしますが、彼女はそれを凄く気にしており、トラウマにもなっています。
結果的に、一番大切な人を亡くしてしまいました。
禀はこの後、この事件がきっかけで、夢を諦める…いえ、夢を追う余裕が無くなってしまうのです…
さて、次回はタイムの続き。ご飯食べに行きます(笑)
暗い話はこれくらいにして、明るくいきましょう。
では。