Turn2~叉玖埜~
この世界のルールは大体人生ゲームと同じ筈。
だけど、所々違う…。
味方を集めた方が有利とかゼリアムが言ってたし、他にも違う要素があるだろう。
多分、その違う要素こそが重要なんだ。
…さてと。
番も回ってきたみたいだし、どうせストップマスに止まるのは目に見えてる。
…やっぱりここは…ね。
…、
夜弥が俺の後ろに居り、他の三人は前に居る。
…でもこのターンで確実に三人に追い付く。
なら、まぁいい方だろう。
あんまり差無いし。
まずは俺より先に行動している夜弥を抜いている時点で良しとするか。
ゼリアム「さぁ、賽子を振るのだ、叉玖埜よ。」
叉玖埜「振らなくても結果は分かってるのに?」
ゼリアム「そういうルールなのだ。従え。」
叉玖埜「………。」
相変わらずの態度だな…。
ま、もう慣れたけどね。
じゃあ振るとしますか。
賽子を上に投げ、片手でキャッチする。
手を開いて見えたのは
“1”
ふん、丁度ストップマスか。
ゼリアム「車を進めよ。」
叉玖埜「はいはい。」
アクセルを踏む加減が分からず、また急発進する車。
その先には三人がいた。
急発進するのを見た三人の顔が真っ青なのが見える。
東真「叉玖埜!おま…ッ!」
禀「えッ!?」
来美「私達を轢く気!?」
だが、スポンサーと呼ばれる者達は全く動じない。
何故だ?
タリス「来美、気にすんな。」
キャラメ「大丈夫でショ。」
マリ子「大丈夫ですよ。まず轢かれるとしても轢かれるのは私達だけですから。」
東真「おいッ!」
ゼリアム「気にするな、少年よ。」
でた、いつもの「少年よ」ってやつ。
今回は東真を指してるみたいだけど。
ゼリアム「ストップマスの効果が正常に出る事を証明出来るいいチャンスではないか。」
そうこうしている内に、
車は凄いスピードのまま、ストップマスに突っ込んだ。
勿論、ブレーキは掛けていない。
あいつらに車がぶつかるかと思ったけど、「ストップ」マスの効果で、凄いスピードで突っ込んだ車も「ストップ」させられたようだ。
急に車が止まり、俺は前に突っ込む。
だが運良くエアバックが作動し、エアバックに顔をぶつける程度で済んだ。
東真「叉玖埜!ブレーキ掛けろよ!」
叉玖埜「無理。試してみたい事があったから。」
“ストップマス”の効果を試してみたかったんだよ。
でもこれで分かった。
やっぱりこの世界には何らかのエネルギーが働いているみたいだ。
今、車がストップしたのだって、ゼリアム達が止めた訳じゃないみたいだし。
ゼリアム「ご名答。」
タリス「勇気が悪い方向に行ってる例だな、ありゃ。」
キャラメ「全く…冷や冷やさせられるでショ。」
タリス「ま、俺達からしたら何ともねぇけどな。」
スポンサー達は然程リアクションを示さないのに対し、プレイヤーは顔が真っ青になったりとオーバーリアクションを取る。
東真「お前…命大事にしろよ。」
別に大切な物じゃないし…、
むしろ要らない。
だからこんな無謀なことするんじゃん。
来美「死ぬなら貴方一人で死になさいよ!私を巻き込まないで頂戴!」
ふぅん、お前以外はどうでもいいと…そういう事?
ま、正直でいいんじゃない?
禀「とりあえず、皆無事で良かったです…」
…偽善者。
本当はそういう風に思ってないでしょ。
ゼリアム「…叉玖埜よ、ターンを終了するぞ。」
叉玖埜「あぁ。そうしてくれる?特にこのマスは何にもないみたいだし。」
次のターン…
職業決めって言ってもこんな世界だし、普通の職業ではないと思う。
このゲームで有利に立てる職業とかあるだろうし…そこを狙うか。
プレイヤーⅤ 東真
ゴールまで
“193マス”
プレイヤーⅠ 来美
ゴールまで
“193マス”
プレイヤーⅡ 禀
ゴールまで
“193マス”
プレイヤーⅢ 夜弥
ゴールまで
“195マス”
プレイヤーⅣ 叉玖埜
ゴールまで
“193マス”
さて、今回は叉玖埜の運転する車がストップマスに突っ込む。…という話でした。
文章で疑問に思った方もいると思いますが…
「マス」
はかなり広いです。
だから叉玖埜の運転する車のスピードが速くなるまでの距離がある訳です。
…実際、あれだけ騒いでましたが、プレイヤーとぶつかるというのは殆どありえません。
ストップマス以外のマスでは衝突が起きますがね。
それは車に衝突というものがプログラムされているからなんです。
だから自動的に衝突する訳です。
ちなみに、他のプレイヤーがプレイしている間に半径10m以内でしか行動出来ない、というのはつまり、マスから出られないと…そういう訳です。
さて、次のターンに行く前に休憩が入ります。
休憩の間は自由に行動出来ますから、マスからも脱出出来ます。
何をするかは自分次第です。