消去
掲載日:2026/05/22
右隣。
叩いても蹴っても、びくともしない壁があった。
左隣。
気が付くと「音」がいた。
左の音は、さらに左の音たちと一つになって、「意」になった。
右の壁は、相変わらず動かない。
左の端にいた音が消えた。
その右隣の音も意も、次々と消えていく。
ついに、私の左隣の意も消えた。
ふと前を見ると、何かがこちらを覗いていた。
黒の空虚、二つの目。
私もこのまま消えるのだろうか。
それでも、右の壁は動かない。
『BackSpace』
そして私も消えた。
◇
どんな「意」を綴ればいいのか。
溢れ落ちる意の濁流は、思考より先に、指の間をすり抜けていく。
綴っていた「音」は、もはや過去の流れに飲み込まれ、なんの意にもならない。
綴っては消して、綴っては消してを繰り返すたび、何かが削れていく気がする。
『送信』
この指が、それをなぞることはない。
グループチャットで発言できないコミュ症の話です←




