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短編集  作者: ほんじじ
16/19

四字熟語

 業界では中堅どころの食品メーカー。

 ここは、新入社員に四字熟語を使った「これからの抱負」を書かせるのが恒例だった。


 今日はその抱負を全社員の前で発表する日。

 耳が聞こえにくい社員がいることもあり、原稿はプロジェクターにも映し出される。


 最後に壇上に立つのは山本直樹。

 マイクの前で一礼。そして、原稿を握りしめ続けた。


「まずは社会人として温故地震の精神を大切にし――」


 役員のひとりが眉をしかめる。


「先輩方の教えを胸に日々精進し会社の発展に貢献する所存です」

「たとえ困難に直面しても危機一発の覚悟で挑みます」


 人事部長が目を閉じた。


「失敗しても七転八倒の精神で立ち上がり――」


 営業部長が天を仰ぐ。


「そして一石二兆の成果を目指します!」


 会場はなんとも言えない空気になる。だが山本は満面の笑みだ。


「最後に、常に臨時応変に行動し、一喜一様することなく、将来は大器完成となれるよう努力いたします!」


 さすがに社長が吹き出した。


「ははは……!」


 会場もつられて笑いが広がる。

 山本はきょとんとする。


(え、何? オレ変なこと言った?)


 壇を降りると近くにいた先輩が小声で言った。


「全部ちょっとずつ違う」


「えっ」


 社長がマイクを持った。


「私は好きだよ。大器完成」


 会場が静まる。


「多少言葉が違っても気持ちが合っていれば問題ない。今のスピーチで元気をもらったよ」


 拍手が起きた。


 山本は深く頭を下げる。


(……よかったのか?)


 そして、山本は社内の人気者になった。




 終


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