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9.召喚魔法!

緑葉祭の夜の花火の件で王城に来ています。


第3隊の人達が色のついた花火を造る練習にアドバイザーとして参加。


小さい火の玉に様々な色をつける。


7色のレインボー火の玉とか、ストライプ火の玉とか皆で試行錯誤中。


「夜空に映えるのはやはり黄色だよなぁ」


「黄色ベースをメインにしていこう。黄緑とか」


「赤も濃ければいけるだろ」


「青は以外と地味だな。綺麗なんだがなぁ」


「それ黄色で縁取りするとかは?」


「なるほど。やってみよう」


「こんなのは?」


「おお!文字か!」


陛下おめでとー!という形の小さい火の玉がフワフワ漂う。


「んじゃ、これは?」


火の玉で出来た青い小さい犬が私達の周りをグルグル回る。


「いいねー!」


王様の生首がフワフワ漂う。


「おい!誰これつくったの?!ダメでしょこれ!不敬だよ!死罪確定ー!」


「すまん。私だ。」


「王子?!」



次から次へと新しい色や形が発現されてなかなか候補を絞れない。


「いっそのこと全部やっちゃうか?」


「ごちゃごちゃしすぎじゃない?」


「うーん」


結局、決まりきらず持ち越しになったが、本物のプロの魔術師の人達の造る魔法はまだ初心者の私たちのものとは切れが違うというか、


完成したものの美しさが違う。


私もまだまだ修行しないと。







「ルキウス殿下、私ちょっと千太郎くんの所に寄りたいのですが、彼の訓練してる場所を教えてもらえますか?」


「ああ。いいぞ。でもなんで?なにか用事でも?」


「用事というわけではないのですが、千太郎くんが召喚魔方陣を描けるようになったので、今日が初本番の召喚魔法をする日だと言ってたので。見学に行こうと思って。召喚獣も見てみたいし」


「ほお!凄いな!もう召喚魔法が使えるようになったのか!私も見たい。一緒に行こう!」


「僕も!僕も行きたい!」


ということで私とルキウス殿下とドミニクと三人で千太郎くんのもとへ。





「あ!マキちゃん来たね!ドミニクはマキちゃんに付いて来ると思ったけどルキウス殿下も?!」


「三人で見に来たよ!まだ始まってないよね?」


「今からだよ!」


召喚の間の床にちょうど魔方陣を魔力で刻んだところだったようだ。


この魔方陣に魔力を通し、自分と契約する魔物。即ち召喚獣を呼ぶのだ。


対価は術者の魔力。


降臨しているときが一番魔力を取られるが、実は契約してる限り呼んでない時でも魔力を与え続けねばならないので術者に相当の魔力がないと契約することはできないのだ。


契約しないで呼び出すだけならできるけどね。言うこと聞かないけど。


要は、術者の魔力が餌で、召喚獣はそれを食べて飼われるペットみたいなものだ。


「千太郎、準備できたらやってみて。殿下達はそこにいると危ないのでこちらへ」


魔術師長、いたんだ。気付いてなかった。




「はい!師匠!」


千太郎くんが魔方陣に魔力を通すと魔方陣が光りだす。


「自分と最高に相性がいい召喚獣を望むなら魔力限界まで奴らに見せてやって!量で決まるよ!自分に惚れさせて!」


「はいっ!!!!」


千太郎くんの魔力凄すぎてブオーって耳鳴りみたいのするよ。


眩しくて目も開けれませんが。


息苦しいー。空気無くなってないこれ?



「来た!」


おお。一瞬でさっきまでの耳鳴りと眩しさと息苦しさが無くなった。


隣のドミニクは鼻血まで出しちゃってるよ。やっぱ空気なくなってたんでは?



「ペガサス?!」


「これはこれは!!」


「すげ!!」


「おお!!」


「ふぁー!」


羽のある真っ白い馬がいた。これはうらやましい。


皆でわーわー言いながら近づく。


ペガサスは千太郎くんに顔をスリスリしていて可愛い。いいなぁー!


「いいなぁー!めちゃくちゃ可愛いねぇ!」


「千太郎、お前が良いなら名付けて契約して」


「はい!します契約!」


千太郎くんはペガサスの顔を撫でる。嬉しそうにするペガサス。


「俺と契約しよう。お前の名前はセーヤだ!」


ふと、ペガサス流星○とか、星矢という漢字の当て字が頭に浮かんだ。


ホワーっと一人と一匹が淡く光って同じ色のオーラに包まれるのが見えた。


「よくやったな!おめでとう。お前たちはいつも隣で支え助け合い共に歩く善き相棒となるだろう」


バチパチパチ


皆で自然に拍手。


「あ、あの!僕には無理ですか?!召喚!」


「ドミニク?うーん。どうかな。師匠、どう思います?」


「そうだな...ドミニクは魔力は?」


「中です!」


「ふむ」


「師匠この間、各自の魔力量に合わせて契約できる召喚獣だけを呼べる魔方陣が出来たっていってませんでした?」


「うん。出来たんだけどね。ドミニクは中だろう。召喚獣っていうのは呼んでいても呼んでいなくても魔力を持ってっちゃうからね、ドミニクの魔力だと小さい魔物しか呼べないかもしれない」


「それでもいいです!」


「そう?弱い魔物が来ても大事にできる?来てくれたことを感謝できる?弱いから要らないっていって傷付けるようなことがあったら僕は許さないよ?」


「そんなことしません!大事にします」


ドミニク、そんなに召喚獣がほしかったんだ。


「わかった。いいよ、やってみよう」


「ありがとうございます!!」


今度は、魔術師長がドミニクの魔力に合わせた魔方陣を造り、それを床に刻んだ。


「よし。いいよ。ここに来て」


「はいっ」


ドミニクが魔力を流し始めると魔方陣が光り出した。


さっきとはちょっと違うね。


眩しくも息苦しくもない、どちらかというか優しい空間である。


おっ!魔方陣になにかが現れた!


「わぁ!」


「おおー」


なんだろ。雪うさぎ?


雪で作るうさぎにそっくり。


「雪うさぎだな」


そのまんまか!


しかし確かに小さくて弱そうではある。こういう魔物もいるのだなぁ。


でもドミニク嬉しそう。うさぎに手を伸ばす。


「おいで。僕の友達になってくれる?」


雪うさぎがドミニクの指先をクンクンして舐めた。


可愛いー!


「ありがとう。君の名前はルーチェ」


二人がホワーっと光って契約終了。よかったよかった。


「あの、私もいいだろうか?」


「殿下、陛下の許可なくやって怒られません?」


「わからん。けど、やりたい。やる」


「はぁー。もう。怒られても知りませんよ」


そんなこんなで次はルキウス殿下。


魔術師長がルキウス殿下に合う魔方陣を造って、刻んで召喚開始!


魔方陣から出てきたのは、なんだろ。知らないやつ。というかフクロウかな。


「チカプカムイか!」


さすが魔術師長は物知りですね。


チカプカムイの涙は金と銀で出来ているんだって!


「私と契約を。君はアローだ。我が弓矢!」


光ホワーっとな!慣れてきたね。


「ここまできたらマキちゃんもするでしょ。魔力は上だから俺の魔方陣でいけるよね師匠」


「そうだな。上ならいけるだろう」


あれよあれよという間に千太郎くんが魔方陣を用意して、はいどうぞ!と立たせられる。


私の召喚獣。相棒。おいで!!おいで!!


魔力を思いっきり注ぐ。


キーンと耳鳴りきた。我慢して魔力をもっと注ぐ。


息苦しい。眩しい!目を瞑ってしまった。


「おいおいおいおい!!ヤバイヤバイヤバイ!」


魔術師長の声。


「は?ちょっ!」


「嘘だろ」


「すげえ...」


なんか皆の雰囲気が今までと違うんですけど...なんか目を開けるの嫌だな。


恐る恐る開けてみる。


サイクロプスがいた。


「は?」


でっか!おっきすぎない?は?


もうね。一目でわかった。こいつ脳筋。たぶんバカだね。頭悪いよね。


サイクロプスは腰にぼろきれを巻き付けてこん棒持ってて、頭の形が三角でキューピーさんみたいな髪の毛がちょっとのってて、


ドラ○エのサイクロプスの見た目と同じだし。ぶっちゃけ全然可愛くない。


こんな奴わしゃいらん。


サイクロプスと目かあってしまい、おもわず思いっきりそらしてしまう。


「...」


「...」


沈黙が痛い。


「ギャオーーーーー!!!」


いきなり叫びだしたサイクロプスは、こん棒をブンブン振り回し、壁に頭突きして壁を破壊し、めっちゃ地団駄踏み始めた。


「ギャーーー!!!」


「ギャーーー!!!」


おいおい。なんだよこいつは。アホなのか。最悪だな。知らんふりしよ。


「おい」


ドミニクが話しかけてくるが目をそらして無視する。


「ちょっとマキちゃん。あいつ泣いてるよ。なんか可哀想になってきたんだけど」


「あれは、傷付いてるな」


「マキ、どうにかしてやれ。可哀想だろう」


はぁ?何いってんの?バカじゃないの?何であんなオニギリ頭のぼろきれ巻いただけの裸ん坊に関わらないとならんのじゃ!


無視しとこ。


「ギャオーーーーー!!!」


部屋の壁半分ほど壊れました。


「ギャーーー!!!」


はい。ジャンプして床割れました。


「ギャーーー!!」


天井ぶち抜きました。


しかもさ、泣いて暴れながらこっちを、チラッ、チラッと見てくんのよ。


あざとい!!


だが可愛くない!!


勘弁してくれ。


「マキ、あいつがジャンプしまくるから床の魔方陣が割れた。もう魔方陣で元居たところに戻せないぞ。契約しないなら、討伐するしかない」


は?殺すしかないってか?


「マキ!」


「可哀想だろ!」


「腹くくれ!!」


くそぅ。こいつら他人事だと思って...


何であんなのと...私だって可愛いモフモフとかそういうのに憧れてたんだよ!


何なんだよ!


何でなんだよ!


可愛くないんだよ!!!


「ギャオーーーーー!!!」


あ、上から落ちてきた人踏んだ。あの人死んだかな...


踏んむ前と踏んだ後、チラッ、チラッっと見てくるとこがうざいわぁ。


「ギャーーー!!!」


あ、寝転んでジタバタしだしたわ。あーあ。泣いて鼻水もいっぱいでてるわ。


「「「マキ!!」」」

「マキちゃん!!はやく!」


ちくしょー!!!腹立つぅ!!


「オニギリ!!泣くなぁ!!」


ホワーっーー!!!私とサイクロプスもといオニギリが淡い光に包まれる。


最悪ですよほんと。


淡い光の後にニコニコ顔のオニギリがいた。





召喚の間がボロッボロになったのでオニギリに自分で片付けさせる。


踏まれた人は生きていたので魔術師長に魔法で治してもらった。





「しかしオニギリ、大きすぎて一緒にいるとか普通に無理なんだけど」


なんせ背が7~8メートルくらいある。


お互いの絆の安定化のため出来れば召喚して数年は共に生活するのが望ましいと魔術師長が言う。


一緒にいればいるほど魂の結び付いた素晴らしいパートナーになるらしいよ。


「オニギリはまだ子供だからな。大人になったらだいたい20メートルは超すよ。今まで発見されたサイクロプスの個体で最大のものは50メートル超えだからね」


「は?」


もうね。どうしたらいいの?


家に入らないよそんなの。風呂とかトイレは?それにあの汚い布切れの服もどうにかさせたいんだが。


あーあ。フワフワをもふりたかったなぁ。


儚い夢であった。


はは。どうせ私なんてこんなもんさ。


「あ、なんかこっち来た」


片付けが終わったのかオニギリがドタバタとこっちに走ってくる。


「おお。迫力あるぅ」


「強そうだな!」


「なんか笑ってるね!」


召喚を実際に体験してみて、自分の持っていたイメージと全然違ってた。


魔力を報酬として与えるっていう、ただあげるという感覚とは違くて、一つの魔力を二人で分け合う一心同体の感覚というか。


私は君で、君は私で。という魂の同化。表現がすごく難しいのだけど、2頭の蛇のような。


召喚獣の契約をする人がほとんどいないのが理解できる。


これ、複数召喚契約とか無理だし、私のイメージしていた召喚はスキルのテイマーの力に近いようだ。


「サイクロプスは魔力が無いので魔法は使えないが、力は非常に強いし頼りになるよ。魔法を弾くので魔法攻撃にはめっぽう強いしね」


魔術師長に慰めの言葉をいただいた。


「こんなに大きくてマキの魔力は大丈夫なのですか?すごくたくさん食べそうだけど」


「見た目はな。私もサイクロプスと契約した人間を初めて見たが、多分大丈夫だろう。マキが全く疲弊していない」


「そうなのか?魔力を取られてる感覚はあるか?」


「いえ、別に。何も感じません」


「よっぽど相性がいいのだろう。普通は慣れるまではさすがに少し違和感があるものなんだが」


「...」


「それでだな。確かに大きすぎて生活に支障がでそうだからどうにかしないと...

魔力のある召喚獣なら変化させることができるんだが。殿下、ドミニク、千太郎ちょっとやってみて。やりかたはなんとなくわかるよね?」


「あ、はい。わかります」


「うん。不思議だな。そんな知識は持っていなかったのにアローの出来ることが普通にわかる」


「はい。不思議ですね」


「セーヤ」

「アロー」

「ルーチェ」


三人が声をかけるとそれぞれの召喚獣がポンっと姿を変える。


ペガサスのセーヤはそのままの姿で手のひらサイズに、


チカプカムイのアローは燕に。


鳥種が変わるとか驚きです。


雪うさぎのルーチェは飴玉くらいの小さい光の玉になった。


「おおっ!いいね」


「なるほど。これならいつも傍におけるな」


「ルーチェ!可愛いっ!」


「...なるほどなるほど...みなさん実に羨ましいですねぇ。...それで魔術師長、うちのオニギリはオニギリサイズになれますかね?」


嫌味臭くなってしまう私を許してほしい。


「?オニギリって何ですか?変わった名前だとは思ったんですが。何かの名称なのですか?」


「...まあ。はい。いや、そんなことよりサイズを変える方法を」


「ふむ。サイクロプスが変化できるならマキにはわかるはずなんですが...」


「そうだぞマキ。僕も教えられてないけどルーチェが変化できるってわかったし」


「私もだ。アローの事が自分の事のようにわかる」


「うん。不思議な感覚だよね」


「へ?そなの?私何にもわかんないけど」


オニギリをチラッとみると何にも考えてない顔をして鼻をほじっていた。


「「「......」」」


皆に見られてることに気づいてモジモジと照れ笑いするオニギリ。こいつなんも考えてねえな。という空気が漂う。



「!!!!」


いきなりオニギリが縮み始める!


シュルシュルとどんどん小さくなっていき、最終的に目玉だけになるオニギリ。


「オニギリ、がんばったな」


「偉いぞオニギリ!」


「よかったなマキ!」


「目玉かっけぇ」


「......」


フヨフヨと浮きながら私にまとわりつく目玉。


こうして私に相棒ができたのである。




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