表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

8.街へ

学園が休みで、花火の打ち合わせも無い日なので一人で街まで来てみた。


まぁ、護衛のペイヤンはいるのだけれど。


気を使ってるのかちょっと離れて他人の振りをしているようなので、一緒に遊びに来たとはカウントできない。


60歳のおじさんと歩いてたら孫と爺に見えるだろうけど、私はかまわないんだけどな。


まぁいいけど。


でも最近は一人でいることが殆ど無かったからか、ちょっとホッとする。

人といることに慣れてないからなぁ。


家に居るときは、千太郎くんやぽこたん、屋敷の使用人の皆と、かなり人にかこまれていて1人きりなのは寝るときとお風呂とトイレくらい。

学園だとドミニクとずっと一緒だものね。


道とか知らんし地図もないので、気分のままブラブラ歩く。


ああ空が青い。


貴族街を出て、たぶん商業地区。店がいっぱいある。


大きい通りにはブティックと、香水店、本屋に宝石商、帽子屋、あとレストランに靴屋。

オープンテラスのカフェはお洒落だ。ボッチには敷居が高いので入れませんけどね。


貴族だろなという感じの人達とか、平民っぽいけどかなりお金持ちそうな人が多い。


裏路地みたいなのを覗いたら屋台がずらーっと並んでたので入ってみる。


こっちは活気がある。庶民の雰囲気。人いっぱい。


屋台のおばちゃん、おじさんが声をかけてくるが、挙動不審を発動し逃げてしまった。


知らない人と話す時に斜め上を見てしまうのは何故なのか。


まだまだ普通のコミュニケーションスキルを取得するには時間がかかるな。


根暗の習性で人の居ない方へ居ない方へと行ってしまい、何度かペイヤンに捕獲される。


「なんでさっきから貧民街とかスラムにむかうの?危ないよぉ」


すんません。




「あっ」


前を歩いていた子供が転んだのであわてて駆け寄ろうとしたらペイヤンが飛んできて捕まえられた。


「だめだめ。あれ子供だけど立派な強盗。転んで助け起こした所を囲まれてなんかされちゃうのよ。回り見てみて。仲間いっぱい」


周りを見ると確かに浮浪児がそこら辺にチラホラいてチラチラこっちを見てた。


「子供なのに?」


「子供とか大人とか関係ないよ。それで食ってるプロよ」




「...爺、俺らのこと強盗って言った?」


「バカにしてんの?」


なんかワラワラ湧いてきたよ。


あっ、ナイフ持ってるよ!


この子達、ニヤニヤ笑ってるんだけどめちゃ笑顔が邪悪です。


ふぉー!!1人がナイフの刃を舐めたよ!!マンガかな!?


「ねえねえ。お爺ちゃん、僕らにお小遣いちょうだい。あと、そのねぇちゃんくれよ」


ペイヤン見た目がショボくれた弱っちい爺さんだからすんごい舐められてるけど、


武闘派集団である辺境伯領の騎士だからな!強いでぇ!!




と、いうわけで。不良子供たちは道に転がっております。16人もいた。


皆気絶してんのかな...動かないけど。


まさか死んでるの?


ペイヤン、あっさり殺してるし...


異世界の命の軽さ...



「いや。殺してないからね。なに変な目で人見てんのよ」


「あ、そ、そう。ちょっと誤解しちゃってごめん」


「じゃ、行こ」


「えっ?この子らは?このまま?」


「えっ?」


「えっ?」


ペイヤンは面倒臭いんだとおもう。ペイヤンだし。


「まぁ...ね。ペイヤンなんかお腹減ったしぃ。疲れちゃったから...老人だしねぇ。もう帰ろ。ね?ね?」


はぁ?ぶりっことか止めてほしいんだが。なんかイラつくわぁ。


ジト目で見てしまう。


「お菓子かってあげるからぁ」


なんかなぁ。もー。


「わかった。帰るよ。それでなんのお菓子買ってくれるの?」


「ペイヤンの王都おすすめの一品があんのよ!こっちこっち!」



浮浪児たちの転がる路地の出口を曲がる時、なんとなく、ほんとうなんとなく振り返ったら


倒れてる子供達が黒ずくめの男達に回収されてた。


手錠みたいなのをかけられて袋に入れられたのを見た。明らかにサイズが小さい袋なのに入ってしまう。魔法?


ボスなのか、1人だけ感じの違う男の人が少し離れた所で見ていて、

その人と目が合う。


ゾゾッっと鳥肌がたつ。


線みたいに細い目で真っ黒だった。白目がない!


「ぺ、ペイヤン」


おもわずペイヤンの腕にしがみつく。


「ああーん?なにー?」


ペイヤンが振り向いて、あれ?っと言う


私もまた路地を振り向く。


子供たちも黒ずくめ達も、あの男の人も消えていた。


「ぺ、ペイヤン。変な人見た。子供達が捕まって袋に。また見たらいなくなった!」


「嫌な気配だねぇ。これはなんだろ」


真面目な顔するペイヤン初めてみた。



消えちゃったのはどうしようもないよぉ。と、いつものペイヤンに戻りおすすめのお菓子の干し柿を買ってもらい、邸に戻った。


干し柿かよ。と、内心不満であった。食べたことあるから。異世界の初外出の土産が干し柿っていうのはやはり不満が残る...



ペイヤンは拐われた子供たちのことをいちおう報告してくると言ってその後どっか行った。



3日ほどして、私が見た黒ずくめの男達と白目の無かった男の人のことやその時の状況について衛兵の捜査隊の人や、騎士団の人が話を聞きに来た。


十年以上ずっと追っている人さらいの組織があって今回の男達もその組織の人間かもしれないそうだ。


子供達が入れられた袋はおそらくマジックバックでかなり高価なものなので持っている人は本当に少ないことや、


一瞬で消えるような転移魔法を使える人も少ないのでそこから人さらいの犯人を追えるかもしれないと言っていた。



しかし結局、子供らも見つからず人さらい組織も手がかりさえも見つからないままだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ