4.マウルカナム王国魔法学園
◎マウルカナム王国学園◎
・魔法科と普通科がある。
・12歳から18歳までの子供が任意で通う学校である。
・魔法科は4段階に分かれており、優等な者は飛び級。
大抵の者は1段もしくは2段を終えたら卒業する。
1段-主に初級の生活魔法を学ぶ
2段-中級魔法全般、各自が選択した専門的な職業魔法を学ぶ
3段-魔術師、錬金術師などを目指し上級魔法を学ぶ。狭き門。
4段-知恵の塔と呼ばれる。魔法を極めることを求める者の研究所。
・学費は無料、家が遠いものは無料の寮完備。衣食住の全てと生活が保障される。
・任意ではあるが卒業すると就ける仕事の幅が広がり、貰える給金も倍額程変わるためほとんどの国民が通う。
・王都以外でも国内の大都市に分校がある。分校は1段と2段のみ。
・事情があり通えない者は各地にある教会で最低限の読み書きと魔法操作を学ぶ。
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そんなこんなで、今日から魔法学園に通うことになる。
時期的にちょうど入学シーズンだったので、途中入学とかしなくてすんだ。
だが、私一人だ。
魔力検査で千太郎くんが特上だったことで受け入れ側の学園から、
何かあった時の対処が難しく、特上レベルの者の指導もレベルが違いすぎて無理。とお断りされた。
そのため千太郎くんは王城で魔術師長に個別指導をうけることなった。
邸からは馬車で30分ほど。
ぽこたんが玄関まで送ってくれたので手を振り馬車に乗り込み出発。
マルセルさまは数日前に領地へ戻ったのだが、ペイヤンを私達の専属護衛として残していってくれた。
普通のおじさんの服装を着るとどこにいても全く目立たなくなるペイヤンは
今日は私達の馬車の馭者をしていて、帰りも迎えに来てくれる。
ちょっと緊張しながら学園に到着。想像していた通りのマンモス校でとても立派な学校だった。
受付で手続きして入学式会場へ向かう。
「きゃあ!!!」
かわいい声に振り向くと、ピンクのフワフワ頭の可愛い女の子がキラキラしい男の子にぶつかったみたいで尻餅ついていた。
ちょっと待って。これ...乙女ゲーム?嫌な予感が。
転移も転生もあるっていう話だったからそんな展開もあるの?
ここ乙女ゲームの世界なのだろうか。
この世界は理の歪みのせいでいろんな設定がごちゃ混ぜになっていて、
複数の乙女ゲームの世界でもあり、冒険系の異世界転移の世界でもあり、ただの事故転移もあって、特に何の意味もなく転生してる人もいる。みたいな。まさにカオス状態だと聞いていた。
私は魔力が多いから、魅了とか洗脳されることは無いからあまり関係ないけれど、攻略対象に恋とかしないよう気をつけるようにと。
でも私も恋愛体質じゃないし大丈夫だろう。
あ、悪役令嬢っぽい人来た
本当に見た目が天使なのにこいつ悪役令嬢だなーって雰囲気の意地悪そうな娘がいた。
ヒロイン風の娘に、走ってぶつかるとかマナーがなってないとか文句を言って、キラキラしい男の子の腕に抱きついて二人は会場の中へ入って行った。
地面に尻餅をついたままのヒロイン風の娘に、君はモブだね!と断言できちゃう雰囲気の太った男の子が手を差し出したんだけど、
彼女は太った彼の顔を見てからめちゃ嫌そうな顔してその手を無視して自分で立ち上がりどっかに走って行ってしまった。
極力かかわり合いにならないようにしよう。自分のことで手いっぱいだよ。
その後の入学式で挨拶した生徒会長はあのキラキラの男の子で、彼は第3王子のルキウス殿下であった。
新入生代表の挨拶したのはあの悪役令嬢で彼女はこの国の王女様で、ルキウス殿下の妹のチョチョリーナ姫だった。
姫の名前を聞いた時おもわずちょっと笑ってしまった。
この学園は巨大なマンモス校で、私の入った1段は一番人数が多い。
段が上がるごとに人の数は少なくなるのだが、1段は1クラス50人で30クラスもあるのだ!
家の都合で途中入学の子も多いので後でもっと増えるらしい。
凄いねぇ。
授業は1段は午前が魔法理論で座学のみ。午後が実技。
2段は反対に午前が実技で、午後が座学。
3段と4段は別校舎。
席に着いて、周りに悪役令嬢とヒロインが居ないことをチェックする。
いませんでした!よかった!
どっちにしろ魔力多いからすぐ3段まで飛び級するだろうって話だったからあんま関係ないんですけどね。
担任のマシュー先生の挨拶と学校の説明、そして一人づつ自己紹介があったが、人数多すぎて全員覚えるのは無理だった。
クラスは大まかに貴族4割、平民5割、他国の留学生1割で、獣人やドワーフ、魚人間みたいな人、虫人間とかシャドーという影人間など人属以外も混じっている。
友達出来るかな。