表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

12 必殺技

 グレイトアッシュの必殺技。

 それは高速で繰り出される拳の嵐。


 しかし、無駄にあちこち殴るのではない。

 おんなじ場所をひたすら高速で殴り続けるのだ。


 その名もハンドレッドクラッシュ。

 数秒のうちに同じ場所を100回殴るだけの必殺技。

 あまりにもシンプルではあるが、これが怪人たちにはかなり効いた。どんな屈強な怪人であっても、高速での連続攻撃には耐えられない。


 しかし、この技にも難点がある。


 同じ場所を殴り続けなければならないので、相手がある程度消耗しないと極められないのだ。

 そのため、この必殺技を繰り出すまでに、素早い動きで相手を翻弄しつつ、じわじわとダメージを与えて敵の体力と耐久を削らなければならない。


 回復能力を持ちで、なおかつ高い俊敏性の持ち主である近藤は、敵がヘロヘロになるまで粘りに粘る。

 それが彼の戦闘スタイル。

 グラットニーとは真逆である。


 少しずつ相手の体力が消耗するのを待って、必殺技を使う機会を見定めればいい。

 ……と思っていたのだが。


 今のグラットニーは遊んでいるように見える。

 体力を温存しようとしているのか、それともからかって遊んでいるだけか。


 どちらか分かりかねるが、このまま無駄に時間を費やすのは悪手だろう。

 何をたくらんでいるのか分からない。


 であれば、思い切ってハンドレッドクラッシュを発動してしまうか?


「いい加減に覚悟を決めろ!

 俺を倒したいと思わないのか!」


 挑発的に両手を広げて大声を上げるグラットニー。

 まるで必殺技を使えと言わんばかりの態度だ。


 ここで敵の挑発に乗れば、何かしらの反撃を食らうだろう。

 間違いない。


 だが……。


「ああ……お前が望むなら、やってやるよ」


 近藤はグラットニーの求めに応じることにした。


 今の奴は隙だらけだ。

 懐に入って必殺技を極めれば……。


 もしかしたら倒せるかもしれない。


「うおおおおおおおおおお!」


 一瞬で距離をつめてグラットニーの懐に入る。

 そして、そのまま必殺技を発動。



 ドドドドドドドド!



 高速で繰り出される連続パンチ。

 この必殺技は摩擦によって発生した熱により、あたかも腕が燃え盛っているように見える。


 真っ赤に燃え盛る近藤の右腕が、グラットニーの胸を殴りつける。

 何度も、何度も、何度も。


「うらああああああああああ!」


 最後の一発を撃ち込んだ近藤は確かな手ごたえを感じた。

 さすがのグラットニーもこれには……。


「その程度かよ、この負け犬が」


 次の瞬間、近藤の顔面にグラットニーの拳が食い込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] さすがに面白い! グラットニーがどういうつもりなのかとか、あれこれ予測しながら手に汗握ってしまいます。 これぞバトル漫画!……じゃなくて小説! [気になる点] ヒーローのリングへの登場…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ