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1 絶対無敗と呼ばれた男

 世界征服を狙う悪の組織!

 その野望を阻むヒーロー!


 彼らは互いに力の限りを尽くして戦い、世界は平和になった!

 人々は平穏な生活を取り戻したのだ!


 だが、悪の組織が軒並み廃業した結果、ヒーローたちは戦う相手を失ってしまった。

 その結果……ヒーローたちは互いに戦うことを選択する。


 超人的な力を手に入れたヒーローたちが互いのプライドをかけて戦うエンタテインメント。

 それがバトルキングダムである!








『今回も厳しい戦いでしたねぇ』


 リングから降りて来たヒーローにインタビュアーがマイクを向ける。

 勝利した仮面の男は戦いを終えたばかりだと言うのに、冷静に受け答えをしていた。


 テレビに映るそのヒーローを退屈そうに眺めるのは、かつて絶対無敗の王者と呼ばれたヒーロー近藤四郎。

 またの名をグレイトアッシュ。


 彼はかつて悪の組織と戦い、大戦果を挙げた英雄だ。

 最恐最悪と恐れられた組織であるマントイーターと一人で戦い、勝利した。

 その時の戦いぶりは今でも語り草となっている。


 政府からは勲章を授与され国民的な英雄となった彼だが、今やかつての面影はない。


 世間ではヒーローたちの戦いであるバトキン(バトルキングダムの略称)が主流になってから、彼の評判はすっかりと鳴りを潜めている。

 というもの、彼は負けそうなマッチングは極力避け、勝率の高い相手だけと戦っているからだ。

 ネット掲示板やSNSでは彼を『雑魚狩り専門』と揶揄する声まで上がっている。


 そこまでして彼が負けたくないのは、絶対無敗の二つ名を失いたくないからだ。


 近藤は悪の組織との戦いで一度も負けずに常に勝利を収め、民衆は彼を賞賛して褒めたたえ二つ名を授ける。

 その二つ名が彼の重荷となっている。


「はぁ……次は……ああ、アイツか」


 スマホで今後の予定を確認してため息をつく近藤。

 次は最近デビューしたての新人。

 負けるはずのない相手だった。


「適当にちゃちゃっとやって、さっさと済ますかぁ」


 皮張りの上等なソファに寝転びながら、スマホに写る対戦相手の顔を眺める近藤。

 かつての栄光を消費するだけの人生を送っている。


 その栄光が長続きしないことを本人も理解していた。

 タイムリミットは刻々と近づいてきている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うわ……。 たらこ様のご発想っていったいどうなってんだ?? なんでこんなネタが思い浮かぶんだろう??? 嫉妬のしようもない。 着眼点もすごいし、話の展開はもちろんすごい。 文章は読みやす…
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