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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第二章 下積
7/394

§006 盗賊

移動、1日目。


宿の女将にお礼を言って宿を出て、トラッサに向かって旅立った。

まずは半日掛かる村まで向う事にする。


日和ひよりは晴れで吹く風も穏やかであり、心地良い。


昨日と同じような天候ならば、昼前には暑くなるのだろう。

ペットボトルの水を口に含んだりしながら涼を取り、

ロイ村長が居た村までの道程を再び半日掛けて戻った。


一度は見た道であるので足取りも軽い。

宝石を隠した大岩を通り過ぎた際には、

そこに何かを埋めたなんて解りっこ無いだろうと再確認して安堵した。


村に到着して直ぐに、集落の中央にあった井戸で水を汲んで補給をする。

女将さんに頼んで昼ご飯を用意して貰ったので、

木陰で一息吐きながらパンと焙っただけの肉を喉に流し込んだ。


相変わらず村の女たちは芋を洗い、荷台に載せていた。

先程のアムルへは、毎日この荷馬車を出しているのだろう。

3日の距離にあるトラッサへ向けて荷を出すような状態ならば、

こんな乱雑な状態に積むはずが無い。


そしてアムルからの移動はフィールドウォークに頼るのだろう。

つまりここは陸の孤島なのだ。

辺鄙へんぴな地域では余程大きな荷物を運ぶので無い限り、

徒歩で行き交うのは難しそうだ。


村から暫く歩くと数名の集団を遠くに見掛けた。

こちらに向かって来ているようだ。

往来は珍しいはずの荒れた街道、例の荷馬車は後8日。


商隊か盗賊か、考えるまでも無い。

商隊であれば、あるはずの荷物らしき馬車が無い。


張り裂けるような息苦しさと、動悸、そして全身から汗が出て来た。


彼らは・・・・・・そう、自分を狙う盗賊たちだ。

この世界で死んだら・・・当然死ぬのだろうな。

再び現世、いや日本の実家に戻るなんて甘い話は無いのだろう。


石鹸を売った店主から情報が洩れたのかもしれない。

馬車も護衛も無いただの行商人と思われていたはずだ。

こういった辺境で商いの仕事をするなら、

多少の悪事やら売り捌く先に伝手つてがあってもおかしくない。


逆に考えると、これはチャンスでもあるのだ。

英雄を取るために、どうやって盗賊を倒すか悩んでいた。

1つだけ好機と取るならば、これ以上の増援は無い。

喜ばしい事に何も無さ過ぎて、遠くの方まで良く見える。


強い奴が交じっていないと助かる。

なんせこんな辺境だ。

頭目争いをするような敵対組織はそれ程多く無いだろう。

ゆっくり歩きながらキャラクター再設定と念じ、スキルを調整する。


ここで終わる訳には行かない、全力で立ち向かうべきだ。

デュランダルは絶対必須だ。

それを補助する対人強化が付いたアクセサリ、決意の指輪も。


キャラクター設定を開き、絶対必須なスキルを揃える。

キャラクター再設定、鑑定、武器6、アクセサリ2だ。

詠唱設定は短縮で良い。

一度鑑定が終わったら不必要だ。


ここまででボーナスポイントは69。

残り30で最大の防衛力を発揮しなければならない。


必要なのは敏捷性と防衛力だ。

その他に振っても、どうせMPを使うようなスキルは持っていないし、

ここで形勢大逆転を狙えるようなボーナス設定なんて無いのだ。


防衛力・・・抵抗力(VIT)と生命力(HP)だろう。

しかし防刃チョッキを着ているのだ。

盗賊が強い武器を持っていたとしても、たかが知れている。

幾ら何でも、辺境の盗賊が超高級武器なんて持ち出して来ないはずだ。


致命傷は何とか回避できると算定した。

それを踏まえて15ポイントずつ、腕力と敏捷に振った。


 ・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 村人 Lv1

   聖剣デュランダル(HP/MP吸収 攻撃5倍 防御無視 詠唱中断)

   決意の指輪(攻撃上昇 対人強化)


 ・BP99

   鑑定          1pt   詠唱短縮        1pt

   キャラクター再設定   1pt   腕力         15pt

   武器6        63pt   敏捷         15pt

   アクセサリ2      3pt


一旦デュランダルを消し、設定画面は開きっぱなしにして置く。

残りの63ポイントで、いつでもボーナス武器6を取り出せる。

全員をざっと見渡しながら鑑定、鑑定、鑑定・・・と呟いた。


 ・ハリム   人間   男 37歳 盗賊 Lv21

   鉄の剣 革の鎧 柳の皮靴

 ・アリッサ  人間   女 26歳 盗賊 Lv12

   ダガー 皮のジャケット 皮のサンダル

 ・ブルス   猫人族  ♂ 28歳 海賊 Lv15

   銅の剣 皮の鎧 皮のグローブ 皮のサンダル

 ・ガイ    エルフ  ♂ 26歳 山賊 Lv09

   銅の剣 皮の鎧 皮のグローブ 皮のサンダル

 ・ルシファー 人間   男 30歳 盗賊 Lv07

   銅の剣 皮の鎧 皮のグローブ 皮のサンダル

 ・バナード  人間   男 25歳 盗賊 Lv05

   銅の剣 皮の鎧 皮のサンダル

 ・ノルグ   人間   男 18歳 盗賊 Lv03

   銅の剣 皮の鎧 皮のサンダル


鑑定の結果でも盗賊だと言っている。

もう間違い無い。

ハリムと言う奴が頭目だろう、1人だけ強い。

良い装備もしてるし。


その横にいるのが頭目の女。

2番手がLv15のブルスとか言う奴なのか、

頭目の女の方なのかは、ちょっと判断できない。


まだ盗賊たちとは距離がある。

もう鑑定は必要無い、詠唱短縮もだ。

両方を解除して、2ポイントを獲得経験値上昇と必要経験値減少に分けた。


これで準備は万全だ。

狼狽うろたえているような素振りを見せてはいけないし、

盗賊と気付いている素振りも見せてはいけない。

通りすがりの見知らぬ人を演じるのだ。


こちらの油断を誘うためだろうか。

仲間たちとは距離を置きつつ、頭目の男だけが近付いて来た。


「よーぉ、こんな所で1人か?どこ行くんだ?」


残り10メートル・・・と言った所で声を掛けて来た。

こちらも警戒せずに、できるだけ普通に対応するべきだ。


「ええ、向うの町まで行こうかと」


後ろの手下どもはニヤついている。

お前はそこまで行けないんだよ、と言っているようだ。

頭目の作戦は正解だと思うが、子分たちの態度でバレバレだと思う。


気付いていない振りをしながら頭目の男だけを注目する。


「皆さんは向こうの町から来られたので?」


我ながら頓珍漢な質問で返してしまった。

どう考えても連中の恰好は旅の装いでは無い。

向こうまで3日の距離なのだし、そういう装備では無いからだ。


冒険者、いや狩人のそれだ。

簡単な服装に、簡単な装備品。

この辺りで狩りをしている、そんな感じだ。

そして狩られるのは間抜けな村人や旅人、そして自分だ。


「いや、俺たちはこの辺に住んでるんだ」


そう言いながら、頭目はゆっくり近寄って来る。

自然な振りで腰に手をやったのが判った。


しかしまだ剣の間合いでは無い。

幸いまだ油断をしている。

いや、こちらが無警戒だと思っている。

チャンスだ。


「この辺は少し物騒でな、俺たちが護衛な──」


話の途中でデュランダルを出し首をね飛ばした。


「え・・・」「なっ!」「えええ!」「ハリムッ!」


飛んで行った頭に駆け寄る女盗賊と、

No.2と思しき奴は、何が起きたか未だ理解が追い付いていないようだ。


正面に向かって走り出して武器を構えていなかった盗賊を追い越し、

奥に並んでいた一番手前の盗賊Lv9の胸へ剣を突き刺した。


突き刺した剣を右へ払って胸部を切断しながら、

直ぐ横にいた盗賊Lv7の下腹部を薙ぎ斬る。

このひと振りで上位の雑魚2人を殺った。


相手は鎧を着ていたが、驚く程軽く剣が通った。

そうか、防御無視・・・。

デュランダルの前ではどんな装備を以てしても無防備なのか。


 防御無視 +攻撃力5倍 +腕力15 +攻撃力上昇 +対人強化


発動している強化スキルは、恐らくこういう構成なのだろう。

人がトマトのように柔らかかったのだ。


盗賊Lv5とLv3は見習いか新人らしく、やや距離があった。

2人目を殺った時点で、既に警戒態勢で剣を構えていたが、

駆け寄って振りかぶり、上から斬ると見せ掛けて足先をすくった。


盗賊Lv5の右足の膝下を切断したが、もう一足には当てられなかった。

振り回した力を弱めて、更に頭部を狙う。

頭上から降り下げた攻撃は、盗賊の持つ剣で往なされてしまった。


ガードは防御では無いようだ。

剣を貫通して刃が通って行ったり、

当てた事でダメージが入ったりはしないらしい。


しかし、腹は無防備だ。

ボディがガラ空きなのだ。†

腹を目掛けて思いっきり蹴って突き飛ばした。

実戦は剣技だけでは無い。


片足になってしまった盗賊Lv5は、立ち上がれずに転げ回った。


ここまで順調に数を減らしている。

少し心に余裕が生まれた。


盗賊Lv3は抜刀しているものの、

剣を両手で握りしめてオロオロしている。


当然だ。

自分より偉かった奴が副頭目と女以外、皆やられたのだ。


身構えた盗賊目掛けて斜めに剣を振り下ろし、体の半分まで刺さる。

大事そうに真っ直ぐに構えられた剣刃に当たって、カチンと音がした。

そのまま引き抜くと、盗賊Lv3は倒れた。


このデュランダルは恐ろしい程スパッと切れる。


昔、名刀の刃を下に向けて手で持ったら、

そのまま指が落ちるぞ、と聞いた事がある。

夜の通販番組で出て来る万能包丁さながら、スッパスパなのだ。

恐ろしい。


この剣が自分に向けられた物で無くて本当に良かった。


「てめえ・・・よくも!」


後ろからNo.2の男が迫って来た。

真っ直ぐに首へ向かって、剣を突き立てて。


喉元を狙われると言うのは恐ろしい。

それだけで恐怖が高まる。


ここで終わってたまるか!

剣先を振り上げて、切っ先を往なす。


しかし、相手は技量もLvもそれなりの強者だった。

直ぐさま腹に目掛けて2段目が来た。

腹に熱い衝撃が走った。


「ぐっ・・・」


胴を切られた。

ここで終わってしまったかもしれない。


吐き出す前のような、しょっぱい胃液が口に上がって来た。

全身から汗がドバドバと出ているのが解る。

更に、それ以上に腹部へ熱感を感じる。


急いで持ち上がっていた剣を振り下ろし、

腹部にめり込んでいる剣先を弾きながら距離を開ける。

腹をさする。

幸いな事に、自分の胴体は切断されていなかった。


それでも、もう一撃食らうのはまずい。

そもそも今の時点で相当(まず)い。

時間経過すら危険だ。


同じ場所に2、3回も受ければ完全に切断されそうだ。

なるほど、普通の人間が銅の剣で攻撃を受ければ3回位で瀕死なのだ。


浅く切られた腹からは、血が流れ出ているのが判る。

防刃チョッキを着ていたはずなのに、攻撃が貫通している。

この世界の「武器」で攻撃を受けたら、

この世界の「防具」でしか身を守れないのだろう。


血は噴き出すまでの様子では無いから、

まだ、そこまで深く傷を付けられた訳では無いとは思う。


No.2の盗賊と間合いを取りながら、次の一手を考える。

再び副頭目が踏み込んで来た。

また突きだ。


今度は払わず、身をかがめて回避を狙う。

その動きに合わせて突きの挙動を変えて来るが、

首を守り、切っ先が喉から逸れてくれれば十分だ。


間合いに入った所で胴体へデュランダルを突き入れた。

副頭目の剣が鎖骨付近を狙う。


普通なら相打ちだ。

いや、この副頭目は鎧を着ているから、

普通の剣の一撃位は、恐らく耐えられたのだろう。


鎖骨を狙う理由は理解できる。

こちらの利き腕を潰し、剣を振れなくなったら奴の勝ちなのだから。

しかし、デュランダルの攻撃力の方がまさった。


腹を貫通した一撃に、剣を握り締めた力が抜け、

勢いだけで上胸部に刺さった。


文字通り、肉を切らせて命を絶ったのだ。


じわっと右胸の痛みが増す。

恐らく血が出ている。

防刃チョッキは完全に無駄だった。


だが、まだ終わりでは無い。


デュランダルの持つHP回復は多少効果もあっただろうが、

最初の攻撃は大ダメージ、

更に次の一撃も無防備に食らってしまっている。

何なら「防具」すら身に着けていないのだ。


相当に痛苦しいが、まだ何とか自分は動けるようだ。

片足を失い、転がったまま虫の息の盗賊Lv5に剣を突き立てる。

少しだけ肩の痛みが引いたような気もした。


最後に残った頭目の女であろう盗賊は、

千切れた頭目の頭部だけを抱きしめて嗚咽おえつしていた。


そっと後ろから近付いて、首を刎ね飛ばした。


女を殺すのは少し躊躇ためらいがあったが、

こちらには背を向けていたし、顔も表情も判らなかったので冷静だった。


全ての盗賊を始末したのを確認し、

急いでデュランダルをしまい、ボーナスアクセサリLv5を出す。


ボーナス武器や防具は、昨夜寝る前に一通りチェックした。


ミチオ君だって、ボーナス武具の性能調査は行ったはずだ。

その性能から重きを置かれず、語られなかっただけなのだろう。

それらの装備品をこの手で調査できて、その時は好奇心に興奮した。


その時得た知識での予想が正しければ・・・、運が良ければ・・・、

この世界の神様が自分を見放さなければ・・・。

これで傷が治ってくれるはずだ。


 ・看護の指輪(HP回復速度上昇 MP回復速度上昇 状態異常抵抗)


そして、残ったポイントで体力のステータスを上げられるだけ上げた。

ボーナスポイントで積み増しした事で最大HPが増えれば、

自然回復速度も割合で上昇してくれないかと言う目論見だ。


指輪をめ、その場に寝転んで目をつむる。

時間と共に、少しずつ痛みが収まって来た。


特別に止血などしなくても、肩と腹の出血は止まったような気がする。

想像通りだ。

助かったと安堵した。


デュランダルにHP回復効果があるとは言え、

倒す敵がいなければ、もうそれ以上回復のしようが無い。

ボーナスアクセサリとボーナススキルのお陰で命が繋がった。


緊張が安堵に変わり、流れ出た汗も、体を冷やすだけになった。

呼吸は落ち着いている。


このまま野ざらしで風を受け続けるのは、

逆に体力を消耗してしまって良くないかもしれない。

重症の怪我人の手当なんて知る由も無い。

精々、大学の1年で習った救急救命実習の程度だ。


起き上れる程度にはなったので暫く腰を落としていたが、

更に動ける位に痛みが引いたので行動を再開する。

まずはカラカラの喉を潤した。


頭目の懐を探すと紫魔結晶が1つ出て来た。

他の盗賊たちは、装備以外は何も持っていない。


全ての盗賊から装備を回収し、

リュックに入らない分は、盗賊たちの服を千切って袋にした。

胴体を貫いたり切断したりしたはずなのに、

脱がした時点で皮の鎧に在ったはずの傷は復元されていた。


装備に魔法が掛かっている・・・?

と言うよりある程度は自己修復するのだろうか。

ミチオ君を襲った盗賊、

ハインツ達が持っていた決意の指輪は傷が入ったりしていたらしい。


自動修復する装備品に限定要素・・・、

いや装備品に依って破損した傷は回復するのかもしれない。

長い事使い続けた自然な摩耗は対象外なのだろう。


魔物相手であれば刃毀はこぼれなどしないが、

やぶを切ったり岩を叩いたりして刃に傷を付けてしまうと、

そちらは元に戻らないのだろう。


つまり、手入れは大事だ。


ロクサーヌは気分の問題ですとか言っていた気もするが、

どこかにぶつけて刃毀れしたりする可能性があるのであれば、

少なくとも手入れの際に確認したほうが安心だ。


刃毀れした武器は想定されたダメージを通す事ができるのだろうか?

・・・例えば折れた剣を想像してみて、

本来の刃の部分が無いにも関わらずダメージが通るなんて事がある訳無い。


手入れと言うよりも、使用前後の確認の方が大事なのだろう。

勿論汚れたりしていれば、

破損したかどうか見分けも付かないので掃除も必要だ。

そう言った意味での手入れなのだ、恐らくは。


散乱する遺体を纏めていたら、盗賊たちの手からカードが浮き出ていた。


あの盗賊に懸賞金が掛かっていれば、

これである程度の収入になるはずだ。

合計7枚のインテリジェンスカードを入手した。


頭目の遺体と頭は、街道から離れた土場に穴を掘って埋める。

スコップ代わりにされる聖剣。

後ろめたさも感じたが、どうせ出し入れしたら新品になる。

気にしてはいけない。


頭目が倒されたと言う事実は広めない方が良い。

一味はやられたが、ボスは逃げ延びて再起のチャンスを窺がっている。

そういう設定にした方が牽制にもなるし、目を付けられずに済む。

全員埋めるだけ掘るのはとても大変だし。


それよりも、石鹸を売ったあの商人は怪しい。


一仕事終えた所で、休憩がてら確認をする。

肩や腹を打たれた際に、

どういう訳か攻撃が貫通してシャツは血で汚れていた。

そもそも切断されてしまっている。


これはもう着られないだろう。

下着も血を吸っている。

このまま町に入ったりしたら怪しまれるのは間違い無い。


替えの下着と交換して捨てた。

足を落とした、血で汚れていない盗賊の服を拝借する。

全員胴体をぶった斬らなくて良かった。


効果を発揮しない防刃チョッキも脱ぎ捨てた。

この世界に於いては、只の動き難いサポーターだった。


そしてジョブ設定と念じてみた。


 設定:村人(3)

 取得:商人(1)英雄(1)


ちゃんと英雄が取れている。

全てを手に入れたような、大きな安心感があった。

オーバーホエルミングがあれば、これから盗賊に負けるような心配は無い。

迷宮でも強敵を相手に有利な立場で向かう事ができるだろう。


しかし乱発するにはMP不足を解決しなければならない。

英雄の持つスキルは消費が多いらしく、

ミチオ君は初期の段階に於いて相当な息切れを露呈していた。


ではLvを上げよう。

英雄を取得できた事で、いつでもLvを上げられる状態となった。

当面の生活費を稼いだらLv上げに専念しよう。


千里の道も1Lvから。

地道な努力が実を結ぶのだ。



   ***



道中でスローラビット3匹と出遭う。

経験値系にポイントを割り振り、この出遭いを最大限活用する。

多分デュランダルではやり過ぎだし、ポイントも勿体無い。


あちらは攻撃をして来ないので、

あれこれ準備する時間はたっぷりあった。

後はゆっくり近付いて一方的に斬殺するだけだ。


最大限の経験値上昇ボーナスにポイントを継ぎ込み、

ウサギの毛皮3枚を入手した。

どうにかして持って帰りたいが、

自分には収集品をしまうアイテムボックスが無い。


1つ10ナール、3つで30ナールなのだから、

パンで換算すると3つ分、3食分だ。

路銀も乏しい現状に於いて、たった3食分の小銭であっても大事である。

戦利品でギチギチになったリュックへ無理やり詰め込んだ。


道中に小さな林があったので、薪を拾ってキャンプを作ろうと考えた。

暖かい地方で野宿をするとしても、最低限焚き火は必要だろう。

そこら辺で寝ていたら野生の獣に襲われて死んでしまうとも限らない。

荒野はそれだけで危険なのだ。


手頃な枝かと思って引っ張ったらニードルウッドの足だった。

ロクサーヌが話していた内容から察するに、

外を徘徊する低ランクの魔物はアクティブでは無いはずであったのだが、

そんな事は関係無しにいきなり攻撃を受けた。


どうやら引っ張っただけでも手を出した事になるらしい。


顔面に不意の一撃を食らったが、

落ち着いて距離を置き剣を取り出して始末する。

植物系の魔物は足が遅くて助かった。


ドロップ品のブランチはどう見てもただの枝であった。

もうリュックの中には入り切らないので、外のポケットに突き挿す。


林から出て暫く進むと、街道沿いには大きな岩があった。

これだけの大きさなのだ。

一息入れたりする目印となっているのだろう。

焼けて変色した土や砕けた炭など、人の手に依る痕跡があった。


ここでキャンプしよう。

抱えて持っていた木切れを組んで、持ち込んだライターで火を点けた。

携帯食料を消費して腹を満たす。


いつもならお腹が満足するまで食べてしまう所だが、

まだ数日歩く事となるのだから計画的に消費しなければならない。

カロリー計算的に1袋で1食分なのだろうから、

腹の減りと無関係にこれで夕食は終了だ。


暫く腰を落として休んだ事で幾分体力も回復した。


しかし、だいぶの距離を歩いた事で足はもうヘトヘトであった。

今までこれ程の運動をした経験が無かったので、根本的に体力が無いのだ。

辺りも段々と薄暗くなって来ており、

ここまでの疲れと緊張感が抜けた事で急速に眠気が襲って来る。


このまま火があれば、獣の類は寄って来ないだろう。

残りの木の枝を一気に燃えないよう離しながら組んで横になった。


  *

  *

  *


浅く寝始めた頃、腹に蹴り飛ばされるような強い衝撃を受けて目が覚めた。

盗賊の襲撃か報復か?嫌な汗が流れ出る。

目を開けると背の低い生き物が這い回っている。


・・・・・・?

・・・ッ!!

魔物だ!


鑑定するとランドドラゴンと出た。

迷宮深層階の魔物、つまりアクティブだ。

Lv1とは言え、今の段階でコイツに勝てるかと言えば怪しい。

そもそも暗くって何匹いるか解らない。


血こそ出ていないが、

衝撃的には先程の盗賊から食らった一撃に匹敵する位の痛みがあった。

傷などの視覚的にも解るようなダメージでは無く、

体力そのものが減るような数字的なダメージなのだろう。


ランドドラゴンは見える限り4匹、キャンプの火に集まっている。

こいつらは灯を好むのか?それとも火属性だったっけ?


あれこれ考えたが、ここで無理するのも良くない。

そもそも周りは真っ暗で、足元も見えない。

どこに何匹いるかさえ判らないのに戦えるはずが無い。

それに奴らは魔法も使って来たはずだ。


交戦は危険だと考え、焚き火をそのままにこの場を離れた。

その少し先にあった岩場の物陰で、身を潜めて寝る事にしたのだった。

∽今日のステータス (2021/07/21)


 ・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 村人 Lv1

  設定:村人(1)


   聖剣デュランダル(☆)決意の指輪(☆)


 ・BP99

   鑑定          1pt   詠唱短縮        1pt

   キャラクター再設定   1pt   腕力         15pt

   武器6        63pt   敏捷         15pt

   アクセサリ2      3pt


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 村人 Lv4

  設定:村人(4)英雄(1)


   魔剣フラガラッハ(☆)

   革の鎧(-)皮のグローブ(-)柳の皮靴(回避上昇)


 ・BP102(余り1pt)

   鑑定          1pt   2ndジョブ      1pt

   キャラクター再設定   1pt   武器5        31pt

   獲得経験値上昇×10 31pt   詠唱省略        3pt

   必要経験値減少/10 31pt   敏捷          2pt



 ・取得品

   鉄の剣、ダガー、銅の剣×5

   皮の鎧×1、革の鎧×5、皮のジャケット

   皮のミトン、皮のグローブ×3

   柳の皮靴、皮のサンダル×6

   紫魔結晶


   ウサギの毛皮×3

   ブランチ



 ・異世界2日目

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