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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第囲章 新生
340/394

§327 売込

可愛い2人の妻にゆっくり起こされた後、

丁寧なお辞儀をするメイドに朝の挨拶を受け、

大きく伸びをしながら目を擦る。


大きな問題が粗方片付き、ゆっくり迷宮生活を送れるようになった。


思えばこちらに転移して以降、

生活基盤を整えた後だって面倒な事が多すぎた。


あれこれ手を出してしまうのはやはり性格なのだろう、

そのうちのいくつかはやらなくても良い事だった。


もし仮に、就職して社会人になっていたら・・・。

気になった事全てに手を出し過ぎた結果、

最初の1か月でギブアップしてしまっていたかもしれない。


驚く程いい加減で計画性の無さが何度も露呈した。

この世界の人間が持っていない転移ボーナスのお陰で、

これまで何とか回して来られていた。

チートも何も無い己の力だけで戦わざるを得ない地球であったならば、

自分は典型的とも言える駄目社員になっていただろう。

そもそも就活自体に失敗してしまっていた。


ギュッと目を瞑って欠伸で出た涙を絞り出し、ゆっくりと階段を下りた。

そういえば手摺が無いや。

バリアフリーだなんて発想すら無いよな、こんな世界なのだし。


台所に向かいエミーとクルアチが朝の支度を整える中で、

その後ろにいるイシャルメダはエミーから説明を受けていた。


エミーも説明ができる位には話せるように声量が大きくなったし、

イシャルメダもギリギリ話に付いて行けているようだ。


そこへナズとアナが加わる。


「おおっ、珍しいな。イシャルメダが朝から起きているなんて」


「おはようございます、ご主人様」

「あっ、ユウキ。おはよ」

「私が昨夜、朝はちゃんと起きるようにと伝えました」


「そうなの?」

「将来的に厨房での仕事を任せるとお聞きしましたので、

 朝から見て学んだ方が良いかと思いまして。

 この後に商館でブラヒム語の勉強もする事になりますし、

 どちらにせよ目覚めは早い方が宜しいかと」


「そうか、アナも済まないな」

「いえ、大丈夫です。イシャルメダさんに直接お願いできるのは、

 私かナズさんしかおりませんので」


そうなの?と思ったが、

一般人と同じ扱いにしろと言って置いたな、そういえば。


奴隷が主人を起こすのはあるかと思うが、

それはそう命令をされた時だけだ。

客人だと説明した訳だから、クルアチの判断だけでは起こせないのか。


「じゃあ明日以降はクルアチが起こしてやってくれ」

「はい・・・?私ですか。かしこまりました」


エミーと調理を続けるクルアチが、一旦手を止めてこちらにお辞儀をする。

ナズは監修するだけに留まっているようで、

彼女の手間はだいぶ軽減された事だろう。


ま、朝食だし量は多くない。

イシャルメダの練習もこの位の難易度からで十分だ。

元々多少の調理はできるらしいし、

後は売り物になるかどうかと言うだけの話だけである。


その場は彼女に任せ、次は庭を見に行く。


庭には10本のカモーツの木が植わった。

多湿で湿潤な地域の果物の木のようだが、

果たして自宅の庭で育つのだろうか。

最低でもしっかりと水をやる必要はあると思う。


ジャーブに全てを任せた手前、

どうやって移植したのかは解らずじまいだが、

それでも庭はちょっとした果樹畑となった。


タライに水を出してあるのでここから水をやるのだとは思うが、

ハーブの畑と違ってより沢山の水が必要になるのだろう。

・・・作るか?庭に水槽を。


栓か何かをひねれば少しずつ水がやれるような機構を付ければ、

水やりも今よりはずっと楽にはなると思うが、

そもそもどの位必要になるかも知らないし、

それがどの位の労力なのかも不明だ。

追々だな、追々。


なんて暢気な事を考えながら、

風呂場で水を出して自分の朝の仕事は完了した。


「おはようございます!ユウキ様」


「ジャーブか。庭作業だな?」

「はい、新しい作物も植わったので、

 イルマ殿と相談しながら手入れをして行こうと思います」


「ジャーブもあれは育てた事が無いよな?流石に」

「そう・・・ですが、基本的に果実であればどれも似たような物です。

 虫が付かないように痛んだら捨て、

 土にも虫が湧かないように落ちた果実は拾って捨てるだけです。

 あちらの環境に合った水の量を、これから試して行きたいと思います」


「水やりは桶ではもう難しいだろう。タライ1つで足りそうかな?」

「こればかりは何とも言えません。

 葉を見れば状態が判りますので、足りなければ汲んで参ります」


「いや、足りなかったら言ってくれ。

 水ならいくらでも出せるのにわざわざ汲みに行かせるのは忍びない」

「ありがとうございます!イルマ殿にも伝えて置きます」


「それから、食後にこの実を使った飲料を提供する。

 そちらもジャーブとイルマに任せようと思うので、やり方を覚えてくれ」

「おっ、俺に調理などは難しくて上手くできるとは思えませんが・・・」


「調理じゃないから大丈夫、簡単だ。ジャーブでも直ぐ覚えられると思う」

「そうですか、分かりました。やってみます」


焙煎・・・いや昨日はあぶっただけだ。

それでも十分だったと言える。

中まで十分に焦がせば、蒸らす必要は無かったのかもしれない。

それで満足できる味と風味であったのだから、

ひと先ずは簡単な方法で良いだろう。


活用法が判れば、育てる方にも力が入るはずだ。

今のジャーブに取ってみれば、

酸っぱくて苦くて食べられない認識のままである。


遅れてイルマが水の入ったタライを重たそうに抱えてやって来た。


「あっ、イルマ殿!俺がっ、俺が持ちますので!」

「いえっ・・・この・・・位は・・・大丈夫です。

 お屋敷でも・・・水汲みは・・・した事がっ・・・ありましたので」


そう言ってイルマは水で満載のタライを畑の手前まで運び、

ドカッと盥を落とすと柄杓で水を掛けて行った。

あー、そうだな・・・持って来るだけでも大変だ。


朝は風呂場で飲料用と掃除用を、畑で水やり用を出した方が良いな。

と言うか丸い器では零れる分が勿体無いので、

もうやっぱりアクアウォールを出す専用の水槽があった方が良い。


またしてもウッツに依頼したい物が増えてしまった。

次は四角い水槽である。

どうせ後でリアナさんの所に行こうと思っていたのだ。

ついでだ、ついで。



   ***



朝食後にジャーブとイルマ、そしてクルアチを呼んで、

カモーツの実を黒くなるまで焙った物を用意した。


実そのものは移植作業中に全部落としたので、

それらは昨日の夜ナズが実を剥いて洗い、種だけを取ってくれていた。

今はフライパンでやるしかないが、

専用の鍋か何かがあった方が良いかも知れない。


グルグル回す機構も作らなければ焦げてしまう。


うーん、できればこの竈門かまどに設置して使える様に、

下が半円の形状が良いと思う。

パーティグッズによくあるビンゴゲームの、

ハンドドローシェイカーのような構造を思い浮かべた。


・・・それを金属でか。


できるのだろうか?

メッシュ構造の器に回転機構ベアリングと丈夫な鋼線のクランクだぞ。

道具鍛冶に聞いて貰って、無理ならまたアララビ工房だ。

世話になる事はもう無さそうかと思ったが、また用ができそうだ。


余計な事を考えているうちに、豆からは良い香りが漂った。

横で様子を見ていたナズとアナが、昨日嗅いだ香りに気付いて声を上げる。


「わぁ、ご主人様、昨日と同じ香りになりましたね」

「かなり黒くなってしまっているようですが、

 これで焦げてはいないのでしょうか?」


焦げ・・・てはいるのだと思う。

結局の所炙って焦がしているだけだ。

より良い焙煎方法は時代が経てばそのうちに誰かが閃くのだろう。


自分にそんな高尚な事など無理な訳で、

素材本来の味と言う事で納得して頂きたい。

ユウキコーヒーは原始的な手法で行わせて頂く。


「どうだ、ジャーブ。この位に色付くと、中まで焦茶色になる」


一粒を割って中を見せる。


「本当ですね、苦みと・・・少しだけ深みのある匂いがします」


「最初は失敗する事もあるだろうから、

 何度か練習して一番良い状態を探してくれ。

 そういえば砂時計があったよな?

 それを使って時間を計っても良いと思う」


戸棚にしまわれていた砂時計を、エミーが持って来た。


以前使っていた食器類を入れてあった棚は、

すっかり調味料や食材置き場になってしまっている。


食器類は全て立て付けで作ってくれた棚があって、

そういえばカーテンを掛けて使うのだとかウッツは言っていた。

しかし、別にカーテンなんて無い方が取り出し易いだろう。

見栄えなんて気にする必要は無いのでこのままで良い。


イルマはエミーから砂時計を受け取ると、

興味深そうにクルクルと引っ繰り返していた。


「で、豆を潰してそこから汁を抽出する」

「汁・・・ですか」

「昨日は酪に直接入れておられましたよね?」


実際のところサイフォンなんてものは無い。

昨日は強引に酪と混ぜて少しだけ風味を楽しんだが、

今回はしっかりと出したい。


ただお茶と違って煮出したりしたら駄目だろうし、

コーヒーとして楽しむのであれば、

熱湯を注いでゆっくり抽出しなければならない。


うーん・・・。


あっ!


あるじゃないか、自分の部屋に。

ガラスで作ったコック付きフラスコとビーカーが。

まだ次の薬を作るまでにはカビの培養が不十分なのだ。

この際だから洗って使い回してしまおう。


木枠を含む、抽出3点セットを2階から持って来た。


台所のテーブルに設置し、

フィルターとして以前米を買った時に一緒に購入した絹袋を利用する。

豆を包丁の腹で潰して粉砕し、簡易式のドリッパーに投入した。


基本的にコーヒーならばお湯で出すのが普通だ。

熱湯は・・・今から用意しても直ぐには湧かないのでな。

水出しコーヒーとか言うのもあるようだし、水でも良いだろう。


結局の所、自分は魔法で水も湯も作れるのだから、

風呂場で出して来れば良い話なのだが、

ジャーブ達に任せると言った手前、

手本は水で行った方が良いだろうと判断した。


水瓶からフラスコ上部にゆっくりと流し込んで器を満たし、

下のコックをちょっとだけ捻ると黒っぽい液体が滴れ落ち始める。

黒い雫は下にセットされたビーカーにゆっくりと注がれた。


あー、化学実験室で作るコーヒーだ。

マッドサイエンティストのアレだ。

結局やってしまった訳だよ、ビーカーでコーヒー。


(ふふっ)

   「旦那様?」


「い、いや、何でも無い、何でも無いんだ。ちょっと昔を思い出してな」

「昔・・・と言うとユウキ様はこのような事を、

 過去にも行った事がおありなのでしょうか?」


「んー、いや、た、他人がやっていた事をちょっと思い出してな?

 自分は初めてだ。だから見様見真似だ」


そう、ドリップだなんて高尚な事は初めてだよ。

そもそもコーヒー豆を煎るだなんてのも人生初だ。

見知らぬ異国でドリッパーだ。†


よくある物語のチート主人公は何でもやった事があるし、

道具だっていつの間にか作ったりするし、おまけに1発で成功させる。


自分の場合は、たまたまだ。


たまたまあの実を焼却した事で、こうして処理すれば飲めると気付けたし、

たまたま果樹園生まれのジャーブがいたおかげで移植ができた。

ガラス器具だって、本来このために作った物では無い。


全ての偶然が一致して、ここに至っている。

抽出した汁がコーヒーっぽいかも知れない、それだけなのだ。

この液体が果たして本当にコーヒーとして機能するかどうか、

それはまた別の話である。


「牛乳はあったかな?」

「ええと?」


ナズが目配せをすると、エミーが氷冷庫から取り出して来た。

15ポットのデカい瓶が取り出される。

まあ11人家族だし、氷冷庫があれば一度に沢山買うだろう。

7ポットの奴よりは相対的に安いのだし当然だ。


クルアチがコップを1つだけ用意したが、

アナが追加でここにいる全員分をと指示した。

合計7つが机に並ぶ。


「この量だと、これ程沢山を用意できないと思うのですが」


ジャーブ、お前はこの原液を直接飲む気か・・・。

苦かった事をすっかり忘れていないだろうか。


「このまま飲んでみたいか?」

「えっ・・・い、いえ、もしかしてこれでもまだ苦いのですか?」


「まあ、この苦みが良いと言う人もいる。

 このまま飲む人もいない事も無いが、お勧めはしない」

「そっ、そうですか、で、では旨い方法で・・・その、お願いします」


ゆっくりゆっくり抽出されてビーカーに溜まる液体を、

皆は生唾を飲み込んで見詰めていた。

台所は香ばしいコーヒーの匂いが立ち込め、

まだこれを飲んだ事のないジャーブ、イルマ、エミー、クルアチは、

謎の黒い液体にそれぞれの想いを馳せながら見守っていた。



   ***



「と言う訳で、外国で見付けて来た果実を絞った飲み物なんだ。

 どうだろうか?」


品評が終わり、直ぐにできたてのコーヒー風飲料を酒場に持ち込む。

勿論バンディールもセットだ。

ここで売るにはコーヒーではなく、カルーアコーヒーの方が良い。


木の実自体はカモーツらしいので、カルーアカモーツだ。

豆自体を発酵させた訳では無いので、

正確にはカルーアコーヒーですら無いんだが。


風味と雰囲気の話である。

既にギーや酪で割った酒はあるのだから、

カルーアコーヒーっぽい味なら更に飲み易い酒になるだろう。


「うーん、変わった味だねぇ」


「果実自体が外国の物だし、皆味わった事は無いだろうな」

「で、これをどうやって作れば良いんだい?」


「作るの・・・ちょっと大変だな。

 豆を焙って、粉にして、水をゆっくり通して。

 1,2時間位掛けて抽出した物がそれの原液になるのだ」


「いちに・・・時間かい、それはちょっと準備出来ないねェ。

 これ以上仕込の手間が増えちゃうのは難しいよ。

 あのタコスってのがサ。

 注文が増えると唐黍粉を用意するにも時間掛かるからねェ」


やっぱりそうなのか。

カモーツを挽く手間自体はそう大した事は無かったが、

準備に時間が掛かるとそれだけで敬遠される。


「うちで作って卸すのはどうだろう?

 水を入れるだけで作れる状態にできるし、

 何なら液体を水瓶に入れて卸しても良い。

 酒まで混ぜ終えて、いつでも出せる状態に仕上げた物を用意できる」

「そんな事ができるのかい?

 でもどの位出るかどうかは解らないし、

 まずはちょっと出してみる量で試させておくれよ」


「ああ、それは勿論」

「となると、やっぱり気になるのはこれに合う摘まみの方だねぇ」


「原液自体は苦みが強いし、甘い物が受けると思うんだ」

「となると・・・以前アンタが持って来てくれた、

 フワフワでプニプニの平パンみたいな奴が合うのかい?」


「ええっと、クレープかな?」

「くれぇぷって言うのかい?あれは」


「ああいう物は食べないか?」

「生クリームと果物をパンに付けて食べるのはあるよ。

 でも、あの生地が良かったねえ。

 タコスの方も不思議な生地だったけど、

 くれぇぷっての生地も良く合ってたね。

 よくあんな作り方知ってたね?アンタ騎士団に居たんだろう?」


「ええと、ほら。じ、自国の、郷土料理って奴だ」

「へぇ、サンドラッドにはそんな物もあるんだねぇ。

 アタシもいつか行って見たいわぁ」


い、行かないで頂きたい。


仮にこの女将さんが店を空けてグルメ旅なんて始めでもしたら、

自分がそちらから来たと説明した事や異国料理だと言って紹介した物が、

実際には存在しないと言う事に気付かれてしまう。


一般人が貿易船に乗っておいそれと国を渡る事ができないので、

ギリギリ成立する言い訳なのであった。


タコスの主な原料はサンドラッドから仕入れる唐黍粉。

それを大量に使う生地で食べる料理なのだから、説明としては矛盾しない。

どうかそのままでサンドラッド名物と言う事にして置いて頂きたい。


「じゃ、じゃあ、今日はナズが歌う日だっただろう?」

「ああ、そうだね。今日も後から来るんだろう?今日は何人だい?」


「いや、余り書き入れ時に邪魔しても悪いかと思ってな。

 うちの子達の目当てがタコス1点なので、

 日をずらして落ち着いた時にお邪魔しようかと」

「そうなのかい?最近はホラ、新しい酒を入れてくれたおかげで、

 毎日そこそこに忙しいさね。大して変わりゃしないよ」


「そっ・・・そうか。では混雑しない早い時間にするよ」

「律儀だねぇ、別に良いのに」


「あっ、それからナズはもう奴隷じゃなくなったので、

 一応女将さんには報告を」

「ええっ!?解放したって事かい?良いのかい?

 高かったんだろう?ナジャリは」


「ああ、その代わり自分の妻になった。

 と言う事なので、今後とも妻を宜しくお願いしたい」

「ええええっ?いやいや、そういう事ならお祝いだよ。

 アンター!おおい、アン──」


「いやいやいや、お祝いトカはホラ、まっ、また夜に来るので。

 余りおおっぴらにしないでも」

「何言ってるんだい!そういう訳には行かないヨ!

 サー、今日は盛り上がるよー。

 アンタも逃がさないからね、今日は最後まで残るんだよ?」


あっ・・・これは逃げられない奴だ。

強制イベントとかそういう系の。

イベント進行中はスキップ不可能で、一切操作を受け付けなくなる。


黙っていても今日ナズ自身の口から説明をするだろうし、

遅かれ早かれ自分は客たちの酒の肴にされてしまう運命だったのだ。

しかし普通に考えてみれば、自分はここの歌姫を娶ったのだから、

どうしたって避けられる訳がなかった。


「でっ、では、夜にまた。今度はコレを水瓶で持って来るので」

「アンタもそんなに色々できるンなら、

 いっその事ナジャリと一緒に食堂やりゃ良いんだよ」


「いやぁ、そうは言ってもなあ。

 店を構えるにはまだまだ難易度が高くって。

 自分は細々と迷宮に行く方が──」


──バンッ!


「そんな不安定な仕事よりも、

 ナジャリを大事にしてやるンなら食堂だよ、食堂!」


女将さんにまで念を押されてしまった。


絶対そっちの方が生活は大変になると思うんだよなあ。

地図を作って売れば日銭は稼げるだろうし、

コーヒーを作って売れば貴族相手にひと財産築けると思うのだが。


・・・それにしても不安定な仕事かぁ。


迷宮へ行く事自体を生業にするのは、

派遣社員やらフリーターと変わらない位の地位なのだろうか。

社会に出るための必要なジョブを得に行く所、

手に職、地に役を持つ者に取ってはそういう扱いなのだろう。


よくある異世界物の小説なんかでも、

ギルドに登録して冒険に出てモンスターの素材なんかを集めて来るのは、

どちらかと言うと成らず者の集まりのような風潮があった。


要するに日雇い労働者なのだ。

しかもボウズで終わる可能性もある。

そりゃ確かに不安定だな。


女将さんの気迫に押され、やる気のない返事をしてその場を離れた。


次はウッツの家だ。

そういえばウッツ達もそんな事を言っていたっけか。

果たして楽な仕事はどっちなんだろうな。


いや、普通に考えれば危険が伴う迷宮よりは、

多少忙しくたって安定収入の見込める商売の方が良いに決まっている。

だがそれが自分の場合、安定収入を見込めるのは迷宮だって訳で。


店をやるにしても、リアナさんの店を手伝うのも、

結局の所全てはイシャルメダの資質に掛かっている。


彼女を上手く育成できれば、皆楽になって全員ニッコリだ。

その位の恩は返してくれ。

頼むぞ、イシャルメダ。

∽今日の戯言(2022/06/04)


世の中に偶然なんてありません。


空があんなに青いのも、電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも。

全ては全部計画通り・・・そう、全ては必然。

起こり得る全て、実は最初から計画されている事が大半です。


私の計画ではこの後私が宝くじに当たり、

可愛い彼女ができて、

ディズ〇ーランドには年パス顔パス連泊で豪遊し、

郊外に別荘を建てたら庭では犬を放し飼いにして、

時には家族や友人たちとバーベキューを嗜み、

子供は野球ができる位に・・・ええと、何の話でしたっけ。

あれ?



 ・異世界94日目(朝)

   ナズ・アナ89日目、ジャ83日目、ヴィ76日目、エミ69日目

   パニ62日目、ラテ41日目、イル・クル38日目、イシャ12日目

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