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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第囲章 新生
333/394

§320 意味

言語学習のために商館で寝泊まりさせていた、

クルアチとイシャルメダを引き取ってその帰路に就く。


勿論徒歩である。

ホドワの街並みを覚えて貰い、

これから1人で外出できるようにするためには仕方が無い。


クルアチは引き取って直ぐ商館へ送ってしまったし、

そもそもイシャルメダはホドワの街自体が初めてだ。

お使いに行って貰ったりもするだろうから、

街道沿いの商店などを説明しながら帰宅した。


「へえ、ここがユウキのおうちなのね」


「あ、ええとそうだな、これからイシャルメダはここで生活するから、

 後で皆に紹介するがまずは掃除だ。

 建てたばかりで色々汚れているのだ」

「えっ、ソウなの?ソか。ソうじ・・・がバルね」


「クルアチ、この女性はまだブラヒム語が多く理解できない。

 手間は多くなるが、同室となるので色々助けてやって欲しい」

「かしこまりました」


「昨日引き渡しを受けたばかりなので、

 木くずや土が入って色々汚れていると思うから、

 まずはこのイシャルメダと共に自室を掃除して欲しい」

「かしこまりました。

 クルアチと申します、宜しくお願いします」

「え、あ。うん、イシャルメダ、です」


クルッと向きを変えて、クルアチはイシャルメダに挨拶をした。

宜しく位は判ったのだろう。

イシャルメダが返事をした所を見るに、ブラヒム語で返答したと思われる。


結局の所自分が何語で喋っているのか良く解らないので、

オールマイティーである自動言語理解のスキルも、

意外と万能では無いと言う事が骨身に染みる。

イシャルメダには早くブラヒム語で意思疎通ができるようになって欲しい。


2人を作業部屋に案内すると、ヴィーが机を拭き上げた所であった。


「あっ、お帰りナサイ、ご主人サマ」


「ただいま、机は拭き終わったか?」

「うん、次は何すればいーの?」


「うーんそうだなあ・・・」


ヴィーにはあまり細かな作業をさせられない。

知識不足で雑に仕事をされても困るし、

難しい作業を任せて器具を破壊されても困る。

風呂の掃除・・・はラティに任せておけば良いだろうし、

残るは庭の手入れかな?


「ジャーブの手が空いたら2人で庭を手入れして欲しいな」

「前みたいに何か育てるの?ますか?」


「そうだな。

 そのためには土を掘り返して柔らかくして置かなければならないので、

 2人で畑を再興させてくれ」

「ハーイ」


ヴィーは部屋を出ると、ドタドタ音を鳴らして階段を駆け上がって行った。

上り方に一言注意した方が良いのか?

・・・ま、まあ良いや。


「それじゃ、ここが2人と後はラティと言う女性の部屋になるので、

 床などを拭いてくれ。

 掃除道具は今いた女の子、ヴィーが使っていた物を使ってくれ」

「かしこまりました」

「エエっと?」


「床掃除だ、この桶と手拭いで」

「あ、ウン」


「クルアチは風呂場にいるラティに頼んで、

 追加の手拭いを出して貰ってくれ」

「はい、そうさせて頂きます」


イシャルメダが手拭いを絞り始め、クルアチは礼をして出て行った。


他の様子がどうなったか色々と見て回る。

風呂場に向かうとクルアチが桶を担いで出て来る所だった。

ラティはまだ拭き掃除を続けている。


「ラティ、どうだ?」

「はっ、はいっ、きっ、綺麗にしていますっ」


・・・?


ま、まあ言わんとする事は判った。

まだ時間が掛かるのだろう。


見た所風呂桶には水が抜かれてしまっているし、

桶一杯にした水も残り僅かであった。


──アクアウォールッ!


「あっ、ありがとうございますっ」


追加で給水してやると、ラティに感謝された。


「ん?」

「おっ、お水が足りなくってどうしようかと思っていましたっ」


・・・言えよ。

どうだって聞いたじゃないか。

ジャーブに頼んで井戸から水を汲んで来て貰っても良かったのに。


ヤレヤレとため息を吐きながら部屋を後にした。


台所の掃除はあらかた終わったようだ。

エミーだけが釜の奥の方を丁寧に水拭きし、

ナズは食器を乾拭きして建付けの収納へ納めていた。


「あっ、おかえりなさいませ!」

「おかえりなさいませ」


「あ、良いぞ?手を止めてくれなくても。そのままそのまま。

 それが終わったらエミーは今日の分の食材をお願いしたい。

 11人分だし、余っている物は何も無いから買う量は多くなると思う。

 パニを荷物持ちに連れて行って移動魔法を活用してくれ」

「かしこ・・・まりました」


「ナズはそれが終わったら一緒に出掛けたいので、

 このまま残ってくれないか?」

「はい?私もお買い物を手伝わなくって宜しいのですか?」


「ああ、別の用事がある」

「はい、では急いで終わらせますね?」


2階に上がるとパニとジャーブが廊下の掃除をしていた。

ヴィーも手伝っている。


「おっ、部屋の掃除は終わったのかな?」

「そうですね、小さいお部屋でしたので大した労ではありませんでした」

「アナ殿から指示を受け、こうして皆で廊下を掃除しています」

「これ終わったら庭掘りでしょー?」


「そうだな、また農具を買って来なければならないな」

「ええとその事なのですが、

 パニ君が言うにはそう言った用途に向く武器があるらしく、

 そうであれば以前のようにスキルを使って耕しても、

 農具を駄目にしないかと思います」


「ほう?パニは良く知っていたな?」

「いえ、先日仕事をさせて頂いた鉱山では、

 アイアンピックと言われる武器を貸して頂きまして、

 戦士の方がスキルを使って掘っていた事を思い出しました。

 この後ヴィー様が庭を掘るのだと聞きましたので、

 もしかしたら使えるのでは無いかと」


アイアン・・・ピック?

鉄の爪・・・いや、鉱山で使うのであれば鶴嘴つるはしだろう。

ピック・・・ピッケル?

それならば確かに掘り易いかも知れない。


「判った、後でナズに用意させてみよう」

「そうですか!宜しくお願いします」


「終わったらパニはエミーの買い物を手伝ってくれ。

 たくさん買う事になると思うので、荷物持ちが必要だ」

「かしこまりました」


「おっと、それからジャーブのジョブを戦士にして置く。

 ヴィーもそうして置くので、後で呪文を教えてやってくれ」

「分かりましたッ!久しぶりにスキルが使えますね」


「おーっ?アタイも何かできるようになるー?」

(ヴィー様にジャーブ様のような強力な一撃を放つジョブに就けて頂き、

 その方法を教えてくれるのだそうです)


(おおおっ、もしかしてソレ使えばアタイ超つよい?)

(ヴィー様は元よりお強いですよ・・・)

(そ、そっか、へへへっ)


自室に入ると、アナとイルマが細かい箇所の掃除をしていた。

部屋の隅や窓枠を丁寧に拭いている。


「アナ、お疲れ様。終わりそうかな?」

「はい、これで終わりかと思います」

「ご主人様のお部屋ですので、丁寧に掃除をさせて頂きました」


「イルマの部屋でもあるぞ?」

「えっ、いえ、そ、そのような事は──」


「そこのベッドはお前専用だ」

「えっ・・・」


自分とナズ、アナの寝るベッドが1つ。

病気を持っているイルマと同じベッドに寝る訳にも行かないので、

イルマ専用のベッドは別に用意してある。

出入口直ぐ横に置かれたベッドを、イルマはじっと見詰めた。


「あ、あの・・・ほ、本当に私はこの部屋で寝ても宜しいのでしょうか」


「イルマ、その話はもう終わったはずです。

 エミーの次はあなたの治療を行うのでしょうから、

 その際は私達が面倒を見ます。この部屋にいるべきでしょう?」

「そっ、そう・・・ですか、何もかも申し訳ありません」


「それじゃ悪いがイルマは最後にトイレの掃除をお願いしたい。

 まだ誰も使ってないので綺麗だとは思うが、

 ついでにトイレの桶に水を足して置いてくれ。

 風呂桶の中に水を貯めてある」

「か、かしこまりましたっ」


「じゃあ、アナは手が空いたら一緒に来て欲しい」

「どちらに行かれるのでしょうか」


「アレクスムに用がある」

「ジャミル様ですね?帰宅のご報告でしょうか」


「まあそんな所かな、台所で待っているからな」

「はい、こちらを片付けましたら直ぐ向かいます」


台所に向かい、自分専用のちょっと豪華な椅子に腰掛ける。

新しくなったテーブルは向こうまで長く見え、

これに白いテーブルクロスを掛けて中央に燭台でも置いたら、

いわゆる貴族の食卓台のような雰囲気だ。


しかしながらこれは木目が剥き出しなので、それ程上品な感じはしない。

そもそも、そんな豪華な物は自分に似合わない。


そうだな・・・。


居酒屋に団体で訪れた際の結合席みたいな、そんな乱雑な感じだ。

その方が自分らしい。

明日にはここで再びどんちゃん騒ぎが行われる。

良いじゃないか、その方が。


辛気臭いのは苦手である。

マナーやら面倒臭い作法なんかはもっと遠慮願いたい。

今日からまたここで、自分らしく生活するのだ。


「どうぞ・・・」


椅子に深く腰掛けてもたれ掛かっていると、

エミーがハーブティを出して来た。

既に用意していたのか、流石である。


タイミング的に。

先にハーブティを煎れてから掃除に掛かったような、そんな感じだ。

料理をする者の手際の良さを舐めていた。


「ありがとう、エミー。

 11人分だと大変だとは思うが、

 後でナズも手伝うので献立は相談して決めてくれ」

「かしこまりました」


「あっ、エミーちゃん、早速ですけどxxxxなんてどうでしょう?」

「宜しいかと思います。では買い物に行って参ります」


エミーはパニを呼びに向かい、部屋を後にした。


と言うか、ナズが提案した献立が意味不明だった。

こちらの言語?

オリジナルメニュー?

翻訳不能な何かって事だ。

出て来た時のお楽しみにしよう。


「ナズ、これから出掛けたいのだが、

 その前にアイアンピックとか言う装備を作って欲しい」

「はい?ええっと、そのような装備は本に書いてあったでしょうか」


「実際にヴィーやパニが鉱山で使ったらしいのだ。

 知らなくてもあるはずなので適当に材料を渡す」

「かしこまりました」


鉄10個と革5個、皮5個ブランチも10個手渡す。

つるはし的な物を想像するに、多分この位の量で行けるはずだ。

手持ちの部分に滑り止めの皮か革が巻かれるに違い無いと判断した。

鉄製の武器は持ち手の部分がそうなっているためだ。


「でっ、では行きますね?ええっとアイアイ?」

「アイアンピックだ。ア・イ・ア・ン」


「かっ、かしこまりました。天の真神の宿りたる・・・」


微妙に英語と言う概念が無い。

和製英語的に装備アイテム名として浸透はしているものの、

アイアンが鉄だと言う認識が元から無いのだろう。

全ては良く解らない固有名詞扱いで、それが常識となっている訳だ。


ナズが詠唱を終わらせると、

鶴嘴つるはしよりはもうちょっと尖端部分がいかつい、

攻撃に向きそうな「武器」が現れた。

一般的な鶴嘴つるはしならば尖端の掻き手は1つだが、

こちらは熊の爪の様に3つに分かれて殺傷力がありそうだ。

そこはやっぱり武器なのか。


ああ・・・だからピックか。

ピッケルの先端がピックね、成程成程。


ナズの手に乗る部分は武器の中心であり、

先端が重たい形状である鶴嘴つるはしはその手を滑り落ちて、

真新しい床にドカッと落下して傷跡を作った。


「あっ、ああ!も、申し訳ありません、床が・・・」


ナズは慌ててアイアンピックを拾い上げ、穴が空いてしまった床を撫でる。


「い、いや、良い、良い。

 こんなもの生活して行く内に段々とそうなる物だから」


余った材料を返却されたが、革は使用しなかった。

ブランチは無くなってしまったので、

次に鍛冶を行う際はまた買って来なければならない。


と言うか1本だけか。

ジャーブとヴィー合わせて2本必要だと思うので、

大急ぎで買取カウンターに向かいブランチを20個買って来た。


戻って来ると既にアナが台所で待っており、

ナズには2つ目のアイアンピックを作成して貰った。

今度は手から落下する前に、ナズはちゃんと柄をキャッチした。

偉い。


でき上がった2つのアイアンピックは庭に突き刺して置いた。

ついでに自室用の皮サンダルを4足作って貰ってアレクスムへ飛んだ。



   ***



「ナズ、この住所へお願いしたい」

「はい・・・ええっと、4区の28の21,5番ですか?

 この町は斜めに道が入るので・・・4区は北東の東ですね」

「こちらは治安が悪いと言う話では無かったでしょうか?」


そういえば前にそんな話も聞いたかな?

中心部からは離れているし、28番の通路と言うとかなり向こう側だ。

更にそこから21番目の奥地へと向かう訳で、

怪しい場所だと言う事は良く解かる。


大通りに面した場所ではやや豪華なたたずまいだが、

道1本を入って10番目の通路辺りから民家の状態が怪しくなって来た。


ここから先に2階建ては無い。

もっと言うと扉の下部が割れていたり床が見えていたり。

壁なんかも補修がされずに塗装が落ちてしまって中のレンガが剥き出しだ。


ボロボロの住宅地、ここはアレクスムのスラムだと言える。

そうは言っても流石に城壁の中であるので、

ここは悪党の巣窟(グリーンウッド)かと言ったらそうでは無く、†

単純に貧乏な者達が暮らしているだけだろう。

或いは怪しい商売をしているとかだな。


そんな民家を抜けて当該住所にやって来た。

他の家とも劣らず見た目はボロボロだが、

周囲の家とは違ってちょっとだけ大き目だ。


「ここ・・・でしょうか」

「このような場所に一体何があるのでしょうか」


「まあまあ。そう言うな」


一応念のために探索者以外のジョブを全て解除して色魔を付ける。

あ、いや、勇者だけは付けて置こう。

困った時のオーバードライブだ。

危なかったらグワッっと加速できる保険は大事である。†


建物の扉を拳でノックすると、

建付けが悪いのか扉が薄っぺらいのかギシギシと音を立てて揺れた。


「xxx?」


中から声がするが基本的に理解不能であるならば人間語だと思う。

と言うか色魔のギルド神殿があるはずなのだから、

当然中にいるのは人間だろう。


「ご主人様、人間語です」


「解ってる、ええっとアナは解るのだっけ?」

「ごく僅かな言葉しか知りません。通訳するには私では難しいでしょう」

「すっ、済みません、私も献立とお会計位しか」


流石に色魔ならスキルの詠唱もあるし、ブラヒム語は話せるだろう。


「ええっと、ブラヒム語で良いだろうか?」

「xxxxxx?」


良く解らないが少しだけ戸が開いたので、一歩後退して中の人物を待った。


「xxxxxxxxx」


中からは中年だがダンディな、

チョイ悪親父ワルオヤジっぽい男が出て来た。

いっちょ前にちょび髭だ。

お前のあだ名は今日からチョビだ。


 ・コンサビーラ   人間  男  36歳  色魔  Lv38


やはり色魔だ。

Lvも38とそこそこに高い。

迷宮に行っている男なのだろう。

それなりに筋肉質だし所謂いわゆる体育会系で女性受けはしそうだ。


「xxxxxxxxxxx?」


「す、済まない、ブラヒム語でお願いできないか」

「何だ?お前は人間だろう?」


「いや、ほら、この2人がブラヒム語でしか理解ができないのでな」

「ン・・・?ああ、成程」


ドワーフと猫人族、別種族の女性を侍らせて来たので通じない、

我ながらナイスな言い訳だ。


「結婚か?フフッ・・・若いな」


「そうなのだ、お願いできないだろうか」

「ああ、良いとも。登録料は1人当たり1万ナールだ」


とっ、登録料!


「金を取るのか!?」

「嫌なら良いんだぜ、別に。

 他のギルド神殿じゃ複数人とは結婚できないからな、それだけの話だ」


くぅっ・・・足元を見られておる。


高い金を払ってまでして見合う相手かどうかと言う足切りでもある。

2人を抱えて結婚生活が本当に送れるのかと言う財力の査定でもある。


そうまでして結婚した相手に子供ができても、

その後は財産相続で荒れたりして行く末まで危ういのだ。

それが色魔。

いや、それが重婚。


「い、いや、勿論払わせて貰う」

「ほう?若いのに裕福なんだな、どこのお坊っちゃんだ?

 相手は人間じゃないし本妻がもう1人いるのか?」


「い、いや、この2人と初婚だ」

「へえ、そうかい。ついでに色魔に成って行くか?

 アッチの方で喧嘩しなくて済むぜ」


色魔のおっさんはナズとアナの方を見てニヤっと笑った。

やめてくれ、色魔の目で見ないで欲しい。

何だか汚された気分になる。


この男は迷宮に行くのだから当然今は禁欲中だろう。

従って、そういう目だ。

さっさと金を払って用件を終わらすに限る。


「いや、色魔は不要い。この通り自分は既に色魔だ」

「おおっ、そうか。別の所でジョブに就いたんだな?

 おナカマって訳だ、へへっ。

 集会・・に参加して嫁に怒られないようにな」


集会・・・?

怒られる?

良く判らんが参加すると怒られるような怪しい集会が色魔には有るのか。


うーん・・・ジョブを得たら性欲は貯まる一方だし、

ジョブを得るためにも複数の異性と相手をする必要がある。

そのための・・・ああ、なるほど。


そりゃ怒られるし、病気が蔓延しそうだ。

恐ろしい。

つまりそういう場所なのか、ここは。


そうだとしたら、確かに領主から見たら不適なギルドハウスと言える。

公序良俗には相反する、許しがたい施設だ。

それでこんなスラムにひっそりと。


ここは街の暗部と言う事になる。

ホドワの商館主が地元のギルドをお勧めしない訳だ。

噂になると色々危ういしな。


男に金を支払ってギルド神殿の置かれた部屋へ案内して貰った。


・・・そそり立つアレ。


いや、アレだ。

他に表現しようが無い。


やっ、やだなあ、アレに向かって手をかざすのは。


「ご主人様・・・」「ナズさん、大丈夫です」


ほらみろ、ナズだって怯えている。


強引にナズの手を取り、アナがその手の上から重ねて来た。

3人でギルド神殿のアレに向けて手をかざすと、

まばゆく光るアレに包まれ、・・・違った。

アレは薄ら赤く光って、生温い空気に包まれた。


こういうのは爽やかな風とか、

そういう良い感じの物に包まれて然るべきだろう!

何だよ、この悶々とする厭らしい空間は!


先程暴利な手数料を取られた事で気が立っている。

微妙なギルド神殿を見せられて心が荒ぶっている。

色魔に就いているせいでアレが反り返っている。


や、めて頂きたい。


用件は済んだのだ。

直ぐさまファーストジョブを探索者に戻した。

色魔に就いている必要なんて全く無かったのだ。


「へへへ、まあ兄ちゃん若いからな、また追加したい時はいつでも来な」


色魔のギルド神殿管理者は更なる相手を連れて来るように迫ったが、

もう金輪際ここで世話になるつもりは無い。

お前との関係はこれで終わりだ。


イルマと結婚する気は無い。

嫁ばかり増やしてもしょうがないし、

3人平等に愛せるかといったら不明だ。

やっぱり自分の体力的には2人が限界なのだ。


「では自分はこれで」

「おう、xxxxxxxxxxxxx。へへへっ」


最後に色魔の男が人間語で自分へ向けて何か言ったが、

結局の所自分は理解できないし、

ナズもアナも人間語は理解できないので何を言ったか判らず終いだった。


どうせろくでも無い事だとは思う。

続いて商人ギルドに向かいジャミルと面談して帰宅を報告し、

最後に教会へ立ち寄って正しい呪文を教えて貰った。


神官や巫女であるならば当然職務として呪文を教えて貰える。

そうでも無いのに知る必要があるかと言えば怪しい訳で。

色々な詮索を受けたが、後学のためだとか誤魔化して事無きを得た。


はふりとは罪やけがれをはふり清める事らしく、

神の前で身を綺麗にする事を指していたようだ。


まじないは解る。

神の力を借りて災いや病気などを起こしたり、

それを取り除いたりする神威術だ。


つまりこうだ。

怪我をしても慌てず落ち着いて心を静め、

みずからの行いの正しさを神の前にさらけ出し、

審判を受けた上で怪我を直してくれと懇願する意味合いとなる。


全体手当ての呪文は神官や巫女がする所である祈祷なのであった。


正しく意味を知らねば呪文は成功しない。

であるならば意味も含めて正しい呪文をイルマに伝えるべきだろう。


ひとつ賢くなった事に加え、

そんな意味まで含めて世界を作り上げた原作者そうぞうぬしに感激し、

満足げに自宅へ戻った。

∽今日のステータス(2022/05/27)


 ・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)

     金貨 30枚 銀貨 38枚 銅貨 51枚


  アイテム購入        (800→560й)

   ブランチ × 20         800 


  手数料             (20000й)

   婚姻誓約 ×  2       20000


     金貨- 2枚 銀貨- 6枚 銅貨+40枚

  ------------------------

  計  金貨 28枚 銀貨 32枚 銅貨 91枚



 ・異世界91日目(14時頃)

   ナズ・アナ86日目、ジャ80日目、ヴィ73日目、エミ66日目

   パニ59日目、ラテ38日目、イル・クル35日目、イシャ9日目

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