§319 撤収
32層のボスであるゼリースライムを倒し、
ナズから昼が告げられるまでは33層を少しだけ回った。
最後の階層の魔物はもう確定している。
ダイダリの迷宮でこれまで出現して来なかったブラックフロッグだ。
一層前のグミスライムも火魔法に弱点があるため、
1戦の所要時間は大幅に減少した。
ドライブドラゴンは稀、ケープカープも火魔法が弱点且つ更に稀。
ノンレムゴーレムはもう滅多に見掛けなくなった。
ゼリースライムに斬撃が効き難い以外は、もう全てが雑魚なのだ。
32層でも取ったアナとラティを先行させて、
後衛が魔物を倒して追い付く戦術を取らせて頂く。
欠点として後衛は連戦となり負担が集中する事になるものの、
基本的にはヴィーとパニに盾でガードして貰って魔法で倒すだけだ。
懸念していた戦闘中の負担は最小であると言えなくも無い。
これまで最も負荷が高かったのはドライブドラゴン、
次いでロックバードやノンレムゴーレムだろう。
ロートルトロールも中々厄介な魔物であった。
殆ど怪我をする事が無いこの状況で、
イルマが手当を使用する必要性は無い。
従って経験を稼がせるために巫女へ戻して置いた。
仮に誰か怪我をしたら自分が使用すれば良いだけだ。
「ご主人様、そろそろ昼食の時間かと思われます」
ナズからの催促があった。
では今日はここまでだ。
残念ながら中間部屋までとは行かなかったが、
現在戦っている魔物を蹴散らしたらアナに撤収を合図する。
あ、いや、イルマに追わせよう。
「判った、これで終わりにしよう。
イルマ、先行してアナに撤収を告げて来てくれ」
「かしこまりました」
グミスライムを抑え込んでいるヴィーの横を抜けて、
イルマは迷宮の奥へ小走りにアナを探しに向かった。
楽になったとは言え、敵の殲滅まではボーナス魔法込みで3ターン。
無しであれば6ターン。
MP的に猶予を持たせたいのでずっと5ターンで倒して来た。
結局1戦闘あたり2,3分程度、一般人に比べたら半分以下なのだ。
それがたかだか3,40秒程度延長された所で、
皆の負担が大きく変わる事は無い。
どうせ最後だしと思い、
豪快にガンマ線バーストを発動させ魔物を蹴散らした。
いや豪快なエフェクトなんて一切無く、
ヴィー達は眩しがって顰蹙を買うだけなのだが。
散乱したアイテムはパニに任せて集めて貰い、
自分はイルマを追った。
その先ではアナとラティがドライブドラゴンに捕まっており、
ラティは画版をイルマに渡して戦っていた。
アナは裏側から突くだけだ。
即座に状態異常耐性ダウンを掛け、アナを援護する。
「アナっ、これで帰還するっ。止めたらそのまま残ってくれッ」
「かしこっ・・・まりました!」
アナのサーベルが何度かヒットし、
ドライブドラゴンはくねったまま地面に落下する。
「麻痺です」
相変わらず良く解かるな。
色が変わっていないからかな?
そもそも色の変化すら自分には判らないのだが。
麻痺だと告げられたラティは、
持っているアルマスでバコバコと叩き、
イルマは聖槍を重たそうに持ち上げて、
転がっているドライブドラゴンを餅つき機のようにドスドス突いた。
いや・・・うん。
ちょっと同情するよ。
自分があんな風にされたら嫌だなあと思いながら、
ウインドウォールとサンダーストームで援護した。
「お疲れ様でした。残りは後日と言う事になりますか?」
ドライブドラゴンを片付け、アナはサーベルを収めながら尋ねる。
「そうだな、地図完成のためにもう1日は来る必要があるし、
地図を売るためには何日かこちらへラティを派遣する必要があるな」
「わっ、私がう、売るんですかぁ?」
「作成者はお前だろう?大丈夫だ、ナズかアナを付けてやるから」
「そっ、そうですか、あ、あ、あの、あ、ありがとうございます」
初っ端からラティ1人で商売なんてできる訳が無い。
そんな無理強いはさせない。
但し金の出し入れはラティで無いとな。
現金を持ち歩く間抜けな行商人などいないだろう。
そういえばどこかに財布を擂られた間抜けな奴がいたナァ・・・。
ナズ達が追い付いて合流した。
名残惜しいがこれにて撤収だ。
「どこまで描けたかな?」
ヒョイとイルマの背にしている画版を見ると、
中間部屋らしき空間をラティは感じ取っていたようだ。
枝道の先に、広々とした空間であるだろう1辺が繋がっていた。
ただ単に長いだけの直線通路かもしれないが。
しかし後は半日もあればボスまで行けそうなのか。
上出来では無いだろうか。
ラティに頑張ったなと褒め撫でた後、
先行をしたアナにもご苦労様と労った。
旅亭に戻ると、既にエミーは昼食の準備を終えて待っていた。
急いで食べてこの後は旅亭を発たなければならない。
「それじゃ時間も無いので早く食べて、直ぐにこちらへ集まってくれ。
退室の際に各自の服を持って来る事を忘れるなよ?」
「「かしこまりました」」「ハーイ!」
そういう自分はリアナさんに頼まれた、
アラの瓶を買って帰る事を忘れないように気を付けたい。
***
昼食のワゴンを返却すると同時に、受付で鍵を返却した。
旅立ちの日は良い天気に恵まれ、
これなら酒を買い付けに行くのも問題は無さそうだ。
雨の多い地域は買い物にも不便である。
「あれ?ご主人サマ、魔法で帰らないの?ですか?」
「うん、帰りに頼まれた物を買ってから帰るのでな?」
「えー、何ナニー?」
(ヴィー様、いけません。
ご主人様が個人的に依頼された物ですから、聞くものでは無いのです)
(あ、そ、ハイ)
ヴィーもパニの忠告を素直に従っているのだな。
もっとこう最初こそ険悪だったが、
今はかなり仲の良い間柄になったと言える。
我が家に帰ったら同室生活を楽しんでくれたまえ。
「まあ隠すような事では無いからな。
ヴィーにも手伝って貰うぞ?
酒の瓶を10個買って来て欲しいと言われたので、
1人1瓶だ」
ひとりひとかめ、やっとかめ。
8人ならな。
我々は9人なので、1人は2つ持つ事になる。
ジャーブかな?ジャーブだろうな。
「ジャーブは2個頼むぞ」
「ええっと、はい。分かりました!お任せ下さい」
最近のジャーブは頼もしい。
良い事である。
旅亭から酒を売る商店まで団体で歩き、
そこでアラの瓶を10個と干物を15個購入する。
ヴィーの目が輝いているように見えたが、残念ながらお預けだ
と言うか、そのまま食うな、炙ってから食え。
その方が絶対旨いから。
そもそも10個分は宴会用である。
それぞれが1つずつ瓶を持った9人の団体は、
プタンノラの冒険者ギルドに向けて隊列を成した。
別にそこら辺の木から帰っても良かったのだが。
「それじゃ今から自宅に送るが、アナから先行してくれ。
納屋へ繋ぐので鍵を外し、混雑しないように直ぐ外へ出て欲しい。
瓶は納屋の外へ置いてくれ」
「かしこまりました。お先に失礼します」
アナはそう言ってゲートを潜って行った。
まずは1人、問題は無い。
MP回復速度は20倍にセットしてある。
「次、ナズ」
「あ、はい。では行って参ります」
舞い戻って来なくて良いので、瓶を綺麗に並べて置いて欲しい。
2人目、まだまだ平気だ。
プタンノラから自宅まではかなりの距離がある。
シルクスからサンドラッドまでの距離は、
荷物を持った3人でギリギリだったのだから警戒するに越した事は無い。
いつでも飲めるように滋養剤を手に握り締めている。
「じゃあ次はヴィーだ」
「はぁい!」
瓶の所在が一番危なっかしい奴を先行させたい。
あちらにはナズもアナもいるので、
よもや乱暴に置いて壊したりはしまいて。
まだまだ精神的な負担は無い。
もう1人位は行けそうだ。
だがこれは罠だと言う事を知っている。
無理をせず強壮剤を口に入れ、エミーとイルマも送り出した。
先行した5人のパーティを解除し、残りの3名を加える。
「じゃあパニとジャーブ、行って良いぞ」
「かしこまりました」
「移動魔法と言うのも大変なのですね・・・」
「距離が遠いからな。こうしなくては難しいのだ」
「済みません、僕が──」
「だから冒険者では無理だと何度も言っているだろう。
パニはできない事よりも、できる事に対してもっと素直に喜べ」
「かっ、かしこまりました。ありがとうございます」
ジャーブは瓶が端に当たらないよう注意しながら、
体を横に向けて潜って行った。
その後を抱えて持つパニが付いて行く。
相変わらずパニは華奢で可愛らしい。
これでも多少逞しくなったとは思うが、
体躯の方は数日で変わる物では無いか。
2粒目の強壮剤を口に入れ、
ラティには十分注意して潜るように言い聞かせた。
そそっかしい奴なので一応再確認だ。
ラティに必要な事は詳しい説明と綿密なサポートなのである。
最後に自分が瓶を担いで潜り、
長かった外国生活に終わりを告げた。
いっ、いやいや。
まだ33層の地図を作るためにもう一度向かうさ。
終わらせないでくれ。
誰もいない納屋に、自分だけがその場に瓶を置く。
廊下へ出ると全員が一列に勢揃いしていて、丁寧に出迎えられた。
「「「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」」」
悪くない。
寧ろ心地良い光景だ。
だが待って欲しい。
ユウキは一市民であり、それもかなりの小市民だ。
こんな光景は気持ちが悪いし、
そんな高尚な人間では無いと自分が知っている。
恥ずかしいし照れくさいし、何より自分らしく無い。
「ハイ、ハイ、解散。あ、待て、掃除だ掃除。
水を出すので風呂場へ集まってくれ」
「「「かしこまりました」」」「分かりました」「ハーイ」
アラの瓶は廊下へ一列に置かれていた。
自分が持って来た物もその場所に移動させ、
廊下一面には甘く芳醇なアルコールの匂いが漂った。
既に桶や盥は風呂場へ並べてある。
このまま水を出して盥と桶に溜め、
掃除する場所は各自割り振れば良いだろう。
──アクアウォール!アクアウォール!ウォーターウォール!
桶や盥に溜めた水以外にも、
湯船も掃除したいので風呂桶にも水を少し張る。
板の間も当然水拭きだ。
水壁をあちこち出して部屋一帯を湿らせた。
「ええと、ナズとエミーは台所だ」
「はい!頑張りますね」「かしこまりました・・・」
「イルマは2階の一番広い部屋を」
「ええと、はい。広い・・・ご主人様のお部屋ですね?」
「パニは2階の手前、一番狭い部屋だ」
「かしこまりました」
「ジャーブは2階の奥の部屋だ」
「分かりました」
「ラティはここを頼む」
「はっ、はいっ」
「アナは廊下を掃除しながら各自へ指示を頼む」
「かしこまりました」
雑巾代わりの手拭いを各自に渡し、
桶や盥を担いでそれぞれの場所に散って行った。
「あれ?アタイは?」
「1階にも2階にも椅子や机がある。
それらを綺麗に拭いて来てくれ。はいこれ」
「ハーイ」
その間に自分は瓶10個をリアナさんの酒場へ届け、
クルアチとイシャルメダを迎えに行こうと言う算段である。
勿論掃除を手伝って貰うぞ。
ワープのゲートを開いて瓶を1つ掴み、酒場へ向かった。
***
「これで全部かな。1つ1000ナールなので全部で1万ナールだが」
「はいはい、はいよ。ありがとね
やっぱりこのお酒、一番評判良いのよ、安いし女の子受けが良いし。
最近ちょっと若い男女の客も増えちゃってね?
ナジャリも今日から何だろう?今日は大忙しさね。
アンタらの分も用意してあるからサ、来たら直ぐ出せるからね」
それは頼もしいが、ナズの歌の日は掻き入れ時だし忙しいだろう。
もう見張りも必要無いし、道中に襲われるような危険なんて無い。
別に歌の日で無くても良いのだと思う。
「今は2人程増えて10人になったのだが良いだろうか」
「あー、そうかい。また奴隷増やしたんだね?
良いね!儲かってるね!いいサ、裏の部屋開けといてやるさね」
「それは助かる。ではまた夜に」
「はいよー!」
儲かっては無い。
無いが、どういう訳か奴隷ばかりが増えて行く。
侍らせている訳でも無いし、そもそも自分にそんな統制力など無い。
皆良い子達だからこそ、彼らの自制に依って助けられているだけだ。
ヴィーが暴れたら手に負えないし、
ジャーブに反旗を翻されたら色々困る。
トボトボと歩きながらホドワの商館前までやって来た。
ノッカーを叩き、ジャーハンから出迎えられていつものように奥へ。
ソファに座りハーブティを頂く。
──ガチャッ。
「これはこれは、ユウキ様でしたな。
ええっとお預かりしました奴隷のお引き取りで間違いありませんね?」
アクバルは手を組みながらニコニコして対面の席に付いた。
「ああ、2人はどうなったかな?」
「ええ、後にお預かりした奴隷に関しましてはまだまだと言った所。
今は簡単な挨拶のみですが、是非今後にご期待頂きたい」
「もう1人の方は?」
「はい、既に多くの言葉を話せますので、十分役に立つでしょう。
元々狩猟者だったらしく、ある程度武器の扱いにも慣れているようです。
迷宮に向かわせても問題無いでしょう」
そうなの?
良く解らないが、クルアチは戦闘向きだったのか。
それにしては村人Lv1だったので、
元々魔物では無く野生動物を狩って暮らしていたのだろうか。
生い立ちに付いては今後改めて聞こうじゃないか。
「そうか、後でゆっくり聞くとしよう。
クルアチに関しては話が通じなかったので困っていたのだ」
「そういえばユウキ様はサリニク語がお得意でなかったのでしたな?」
「結局の所サリニク語の文字が判らないので話にならなかった。
本から覚える線は難しい」
「それではお預かり致しました奴隷から学ぶのも手かもしれません。
別種族の奴隷が主人に言葉を教える事も無い訳ではございませんので」
「そうなのか、ではゆっくり教えて貰う事にする。
それよりも、結婚に付いてなのだが」
「はい?番にするための奴隷をお求めで?」
「い、いや、そうでは無いが、
以前2人以上でも結婚できると聞いたのだが」
「はい、そのように聞かれましたね?」
「実際にギルド神殿で行おうとしてもできなかった。
話に依ると2人以上と結婚するには、
色魔のギルド神殿で無ければならないらしいと聞いたのだ」
「おお、まさか本当にお2人と結婚するとは思いもしませんでした。
色魔のギルド神殿に付きましては、この町には御座いませんね。
ユーアロナにはあるのかもしれませんが、
表立って公言はされておりません。
何かと悪評が高いジョブですし、
ルイジーナやマルアドの領主様も反対の意向を示しておられます。
ご紹介できるとしましたらアレクスムでしょうか」
アレクスムならもう何度も行った事がある。
そこにあるのであれば全然構わない。
「では、もし判るならば場所を聞きたい」
「ははは、余程の相手と見受けられます。
くれぐれも片方に入れ込んで喧嘩などなさいませんように」
アクバルがサラサラとパピルスに何かを書き、
それを折り畳んでこちらに回した。
「ありがとう、感謝する」
「いえいえ、こちらこそ。今後ともご贔屓にして頂ければ私はそれで」
──ガチャ。
「準備ができました」
いつの間にか居なくなっていたジャーハンが扉を開け、
その後ろにクルアチ・・・(こんな顔だったな、そういえば)と、
萎らしくなったイシャルメダが後に続いて入って来た。
「お帰り、クルアチ、イシャルメダ」
「ご主人様、言葉を教えて頂きありがとうございます」
「え、えっと?ユウキ?あ、ありがとう?」
「それではもう暫くお待ち下さい。
今騎士様を呼びに行っておりますので」
「ああ、そうだ。イシャルメダとの契約がまだだったな、そういえば」
「はい、騎士様の前で奴隷となる事を誓わなければ、
一般人を奴隷には落とせませんので少々手間でございます。
今直ぐと言う事でもなければ、
税金を支払わずにそのまま放置しても宜しいのですが」
「うーん、まあこんなナリなのでな。他の者に目を付けられても困る」
「そうでございますね。まだまだ妾奴隷に向く位の年齢ですし、
彼女ならば非処女であっても値が付く事でしょう」
29でも若く見えればそれだけ引く手あまたと言う事らしい。
胸もそこそこにあるし、何より彼女は性格的に丸い。
処女と言うアドバンテージが無くったって欲しがる者はいると言う事だ。
自分の座るソファの横に2人がやって来たが、
ずっと立ったままであった。
流石にソファへ座れとは言えないが、せめて床はどうなのだろう。
「床に座らせても?」
「ええ、どうぞ?」
「座って良いぞ、2人とも」
「失礼します」「あ・・・ええっと、ここ?」
「奴隷の身分では椅子に座れない。これからは床に座れ、イシャルメダ」
「そ・・・そっか、はい。ごしゅじんさま」
多分だが、今のはバーナ語だ。
挨拶位しか理解できないと言っていた。
家では椅子に座っても良いと思うが、
この場ではそういった事は許されない。
説明するチャンスは今だろう。
人間であるアクバルやジャーハンがバーナ語を理解出来るとは思えない。
前回不安を口にしたイシャルメダに対し、
その内容に付いて理解を示さなかった。
「イシャルメダ、家では椅子に座りベッドで寝て、
食事も同じ物を食べさせてやれるが、
こういった場での奴隷は床で寝起きし、出される食事は粗末な物になる。
申し訳無いがそこは理解してくれ。
イシャルメダを奴隷として扱うつもりは無いが、
他人との体裁を保つため公の場ではそうして欲しい」
「え、あ、う、うん。ワかタ。
ユウキスごいヒトだものネ。ワタシ、ワかるよ」
納得ができたようで、イシャルメダも床に腰を落とした。
ぺたんとお尻を床に付けるお姉さん座りは、
イシャルメダの容姿とはミスマッチだ。
折角長い髪で妖艶な顔付なのだから、
深めの椅子に足を組んで座り、
グラス片手に誘ってくる構図の方が似合っている。
──ガチャッ。
「お成りです」
アクバルが騎士を通す。
・サリコフ 人間 男 42歳 聖騎士 Lv28
騎士と言うか聖騎士だった。
やはり一般人を奴隷へ落とすような強権を持っているのは、
ただの騎士では無くって聖騎士だ。
戦士上がりの乱暴者が粗相をしないようにと言う事だろう。
騎士として長年に渡り勤め上げ、
上級職に任命されて初めて人の人生を左右させられる権力を得るのだ。
社会のシステムが実に良くできている。
「xxxxxxxxxxxx」
騎士は自分に向かって何かを尋ねたようだが、
生憎人間語であったようだ。
例に依って何を言っているのか解らない。
「申し訳ございません、騎士様。
私は人間語に疎いのでブラヒム語でお願いできませんでしょうか?」
「む?そうなのか?珍しいな。そういう人間族もいるのだな?
それで、奴隷になる事を希望する者はどちらの娘なのだ?」
「はい、こちらの髪の長い娘でございます」
「うむ、では手を出せ。左腕だ」
「イシャルメダ、左の腕を出してくれとさ」
「あ、ウン。はい」
「滔々(とうとう)流るる霊の意思、脈々息づく知の調べ、
インテリジェンスカード、オープン!」
聖騎士はインテリジェンスカードの呪文を詠唱すると、
イシャルメダのカードを書き換えた。
自分で行えばタダなのだが、
これはいつか平民に戻って欲しいと願う、
自分からイシャルメダへのプレゼントなのだ。
「娘は自分の意思で決定を行ったようである。後はお主たちの仕事だ」
「いつもありがとうございます、サリコフ様」
騎士がイシャルメダのインテリジェンスカード操作を終え、
奴隷商アクバルは礼を述べた。
いつもか。
この商館に於ける贔屓の騎士様と言う訳だな?
聖騎士ともなるとそうそう数も居まい。
とすれば彼はこのホドワに常駐する騎士団の中でも、
それなりの地位がある人と言う事になる。
「ありがとうございました、騎士様」
「うむ。では私はこれにて」
聖騎士サリコフはアクバルから謝礼金の袋を受け取って部屋を後にした。
来て、インテリジェンスカードを操作して、1万ナールか。
ボロい商売だな、聖騎士は。
いや、町の治安維持と迷宮の管理が本命だよな、流石に。
お偉いさんに忙しい所をわざわざ来て頂いた訳なのだから当然か。
「それではユウキ様、腕をお出し下さい」
「あ、はい。これで良いですかね」
「はい、結構ですよ。
滔々(とうとう)流るる霊の意思、脈々息づく知の調べ、
インテリジェンスカード、オープン!」
開きっぱなしであったイシャルメダのインテリジェンスカードを再利用し、
アクバルは自分の所持奴隷にイシャルメダを追加した。
「これにて手続きは終了でございます。
また明日以後、彼女の語学学習を続けさせて頂きます」
「ああ、ありがとう。明日からも宜しく」
揉み手の奴隷商2人に礼を述べ、その場を後にした。
いや、もう流石にこれ以上世話になりそうな事も無いと思うけどなあ。
「じゃあ自宅に帰るが、イシャルメダは道を覚えて置いてくれ。
明日以降この商館に歩いて通わなければならないからな?」
「え、あ、うん、えト、ミチ、おぼえられなかタら?」
「一応明日の朝は付き添ってやるので大丈夫だ。
どこで曲がるかを覚えれば簡単だぞ?」
「そ、そうね、がバておぼえるね」
「クルアチは家を覚えているか?」
「いいえ、殆ど覚えがありません。
1日半いえ、2日でしたか。
その位しか滞在しておりませんでしたので」
「と言うか、凄く丁寧な言葉使いだな。凄いじゃないか」
「左様でございますか?ありがとうございます」
「後で色々説明するのでな。家に付いたらびっくりするぞ?」
「かしこまりました」
2人を連れて、ホドワの街並みを歩きながら家路に就いたのだった。
∽今日のステータス(2022/05/25)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv66
設定:探索者(66)魔道士(43)勇者(33)
道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(39)
神官(45)博徒(40)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 隻眼 Lv28 1st
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 忍 Lv28 1st
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 聖騎士 Lv25 1st
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜王 Lv15 1st
・エマレット 狼人族 ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 冒険者 Lv23 2nd
・ラティ 人間 女 28歳 探索者 Lv43 2nd
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 巫女 Lv9 1st
・クルアチ 兎人族 ♀ 18歳 村人 Lv1 OFF
・イシャルメダ 猫人族 ♀ 29歳 探索者 Lv3 OFF
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv66
設定:探索者(66)魔道士(43)勇者(33)
道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(39)
神官(45)博徒(40)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 隻眼 Lv28 1st
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 忍 Lv28 1st
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 聖騎士 Lv25 1st
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜王 Lv16 1st
・エマレット 狼人族 ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 冒険者 Lv23 2nd
・ラティ 人間 女 28歳 探索者 Lv43 2nd
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 巫女 Lv12 1st
・クルアチ 兎人族 ♀ 18歳 村人 Lv1 OFF
・イシャルメダ 猫人族 ♀ 29歳 探索者 Lv3 OFF
・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)
金貨 30枚 銀貨 11枚 銅貨 97枚
食品店 (10495→7346й)
アラの瓶 × 10 10000
干物 × 15 495
酒搬入 (10000й)
アラの瓶 × 10 10000
銀貨+27枚 銅貨-46枚
------------------------
計 金貨 30枚 銀貨 38枚 銅貨 51枚
・収得品
岩 × 1 寄生ワーム × 2
肝 × 3 竜皮 × 6
スライムスターチ × 14 カルバミ × 36
・異世界91日目(10時頃)
ナズ・アナ86日目、ジャ80日目、ヴィ73日目、エミ66日目
パニ59日目、ラテ38日目、イル・クル35日目、イシャ9日目
プタンノラ・シュメールの旅亭出発の日
・ダイダリの迷宮
29 ノンレムゴーレム / レムゴーレム
30 ケープカープ / カーブカープ
31 ドライブドラゴン / ランドドラゴン
32 グミスライム / ゼリースライム
33 ブラックフロッグ / フロックフロッグ




