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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第囲章 新生
331/394

§318 疎覚え

「ご主人様、おはようございます」

「ナズさん、旦那様ですよ」


そんなやり取りが聞こえて、ゆっくりと体が揺さぶられた。


目は開けずにそのままナズの声がした方へ腕を伸ばして体を寄せ、

やはり目を閉じたまま顔らしき場所に向かってキスを迫る。

迫ったと言うよりは、ナズから仕掛けて来た。


頭をゆっくり撫でながら顔を離し、

振り返るとアナから頭ごと包み込まれて逆に撫でられてしまった。

心地は良いけれど口の中が戦場だ。


息継ぎをする猶予すら許して頂けない。

降参して離して貰って深呼吸を2回した。

微睡み加減でモヤモヤしていたが、今のでバッチリ目が覚めた。


「ふう・・・お、おはよう」

「おはようございます。ぐっすりお休みになられましたね」

「今日は日も出ておりまして、1日良い天気のようです。

 これ以上暑くなりますと逆に居心地は良くありませんね」


正に梅雨明けの1日だ。

湿気があり朝からそれなりに蒸す。

幸か不幸か我々は今日ここをつので、

忌々しい湿気とはこれでおさらばである。


日本の何が嫌かと言うと、梅雨明けから夏に掛けての重苦しい湿度だ。

それが無い分だけ、拠点にしたホドワは暮らし易いと言える。

そういえば雨季があるのだっけ?


まだその季節を経験した事が無いので何とも言えないが、

どうせ迷宮に行けば天然クーラーさながら、

快適な生活ができるのだから問題は無い。


少し北の地域に別荘を持ったって良いじゃないか。

この世界では住民税と言う概念は無く、

人権税のような物が個人に課税されるのだから、

家は持てば持ち放題、持っていれば貸し放題だ。


そうか、それで一定以上の金がある人は大家になる訳だ。

フッとリアナさんの顔が浮かんだ。


身支度を整えて旅亭の中を確認し、

残りの荷物が無い事を確認して部屋の鍵を手に取る。


「この旅亭も最後だな」

「はい、私達のために用意して頂きましてありがとうございました」

「ありがとうございました」


え、えーっと、そういう事だったっけ?


・・・違うよな。

元々はアララビ商会からの窓口のため・・・いや、良い。

そういう事にされて置こう。

余計な事を考える必要は無い。


「忘れ物は無いよな?」

「あちらの壁掛けは如何致しましょうか?」


「あっ、持って行く、持って行く。もうここには戻って来ないので」

「では私がお持ち致します」


アナが気付いて外しに行ってくれた。

うっかり忘れてアレでプタンノラに戻ってしまう所であった。

このままだとプタンノラに設置した壁掛けも忘れかねない。

帰る際は冒険者ギルドから帰ろうか。


一応ここの旅亭にもロビーには絨毯が貼られているので、

それを使って移動する事ができる。

高級旅亭ならではのサービスだろう。


プタンノラで取った旅亭ではグレードを落としたせいもあって、

そういったサービスは用意されていなかった。

食事も湯桶も自ら申し出に行く必要があるし。


もう一度部屋を確認し、何も残っていない事を確認して受付に向かった。


「やあ、ありがとう。快適な宿だった」

「ええっと、302のお客様ですか。

 随分とお早いおちですね?」


「昼も頼んでいないし、これから用があるのでな」

「そう・・・でしたね、これは失礼。

 追加で頂くような清算金はありませんのでこれで結構です。

 次回お越しになられた際には、

 是非当旅亭自慢のお食事をお召し上がりになって下さい」


「ちなみに、どんなものが自慢なのだ?」

「はぁいっ!よくぞ聞いて頂けました!

 5年前まで王宮に仕えておりました元宮廷料理長が監修致しました、

 この辺りで採れる獣肉を用いたジビエが特徴なのでございます。

 ほら、天然のお肉は高級品ですからね。

 シカ、イノシシ、バルモーダ、

 それからマンドールの肉などもご用意しております」


「バ、バルモーダとかマンドールと言うのは?」

「ご存じ・・・ありませんか?おお、そういえば外国の方でしたね!」


「そ、そうだ、ちょっと後学のために詳しく」

「バルモーダはこの地方に生息する、騎乗動物ですね」


「と言う事は乗って移動したりしているのか?」

「手懐けるのが大変な上に作物を良く荒らすので、

 基本的には街に近付いて来たら狩りを行います」


「じゃあ余り見掛けない?」

「体格が大きく一度に沢山の荷を運べるので、

 ドラッハとの交易によく使われております。

 バルモーダの荷車が商会や城の搬入口に出入りする光景は、

 この辺りでは良く見る事ができますよ」


うーん、何だろう・・・象的な動物か?

気性は意外と荒く力持ち、手懐けに成功すれば乗れない事も無い。

異世界だしもっと斜め上の獣かもしれないが。


「マンドールとか言うのは?」

「マンドールは猿の大きい奴ですかね?

 こちらは果物の木を荒らすのでやはり見かけたら捕獲対象です。

 隣国のフローダルに多く住むようですが、こちらにも生息していますね」


こちらは猿・・・いやゴリラかな?

響き的にマンドリルでは無いだろうか。

気性はそれ程荒く無さそうだが、農作物を荒らすならば害獣扱いだ。


野生の肉と言う事になると希少だろうし、どうしたってお高いのだろう。

迷宮産の肉と違って独特の臭みや味わいがあるのだと思うが、

良いんだよ。庶民のユウキにそんな高尚な物は似合わない。


こちらの世界に来るまでは酒の良し悪しも解らなかった男だぞ?

回らないお寿司なんか人生で一度きりだった男だぞ?

ふぅ・・・改めて自問すると悲しくなるから、

これ以上はめて置こう。


どうせユウキとは迷宮産の食材で満足できるバカ舌である。

無駄に高い金を払って貴重な物を頂く必要は無いのだ。


「そっ、そうか、まぁ、またいずれ・・・な?」

「はい、ぜひその際はご贔屓に!」


揉み手のエマーロを後に、ロビーにある絨毯からプタンノラへ飛んだ。


「「おはようございます」」


エミーとイルマが列を成してお辞儀をして出迎える。

エミーはもうすっかり良さそうだ。

イルマも昨日は仕事の後直ぐに迷宮へ向かって貰ったようだが、

特に辛そうな素振りは見せていない。


見せないように気を使っているのか、

本当に疲れが取り切れているのかは判断できないが、

そこはどうなのだろうか。

多少は無理を押してもやってしまう性格だと思われるので、

オーバーワークには注意してやる必要がある。


「イルマ、無理は無いか?疲れているならちゃんと申告をしてくれ」

「ええと、はい。大丈夫です」


「無理をして倒れられては、結果的にご主人様が困るのです。

 休めとご命令を受けるまで休まないと言うのは、

 あってはなりませんからね?」

「お気遣いありがとうございます、アナさん。

 この通り、本当に疲れなどはありません。

 救助活動とは言え、私は手当てを行っていただけですので」


じゃあ良いのか。

良いって言うんだから良いんだろう。

倒れたら・・・別に困らないよ、休んで寝てくれ。


このパーティは冗長化が既にできている。

誰かが欠員しても迷宮を進めて行けるのだと言う事は、

先日、先々日との戦闘で証明した。


ヴィーとパニがいなくたって、ナズとアナがいなくたって、

ジャーブとイルマがいなくたって、5人が集まれば何とかなるのだ。

それだけパーティが強固になったと言える。


装備品のお陰でもあるし、各個人の突出した才能もある。

それを生かせるジョブ構成になっているのだ。

いや、そのように自分が導いた。


「それじゃ、今日の朝と昼でここの食事は最後になるから、

 味わって食べようじゃないか」

「はい、では私が取りに行って参りますね」

「魚料理もこれで見納めですか」


「そんな事は無いだろう、マーブリームの白身ならば沢山あるし、

 エミーもこちらの国の調理法は多少覚えただろう?」

「・・・はい。頑張ってみます」


「ほら、大丈夫だって」

「そうですか、楽しみにしていますよ、エミー」

「おまかせ・・・下さい」


「アナは魚の方が好きだったか?」

「あ、いえ、肉料理の方も美味しく頂いております」


「干物か?」

「そ・・・そうですね。中々の味でした」


「ヴィーも好んで食べていたようだし、いつでも買えるからな?」

「お言葉に甘えても宜しいのでしょうか?」


「勿論」


アナが自分の食べたい物を申告し主人に強請ねだると言う行動は、

事情を知らないエミーやイルマには奇異に見えた事だろう。

少なくとも奴隷に許される行為では無いし、

これまで規範の塊であったアナが逸脱している。


アナは少しであるが奴隷と言う立場から脱却し、

我儘を言うようになったのだと見受けられた。


ナズやアナの立ち位置が変化した事はまだ誰にも話していない。

家に戻り、全員集まったタイミングで言うのがベストだとは思っている。

驚いた様子のイルマの肩を叩き、その場を解散させた。

エミーはそもそも隣で食事を取るのだし。


「ほら、ラティも起きろ。食事が来るぞ」

「は、ひゃい・・・いっ、いま起きまぁす・・・」

「ちょっ、ちょっと、ラティ様、お待ち下さい!」


もぞもぞと動く塊からボサボサのラティが誕生して、

掛け布団を引き擦りながら移動して行こうとしたのでイルマが止めた。



   ***



午前は皆で32層を駆け抜けた。

探索の手を休める事無く効率的に地図を取るためには、

魔物を引き付けたらそのまま自分と前衛だけが残り、

なるべくアナとラティは通路を進める。


パーティの表示機能があるお陰で、大体はどこへ行ったのかの見当が付く。

先行したアナが魔物に捕まれば、追い掛けてそれを討伐する。

こうする事で停滞する時間は最小になった。


ドライブドラゴンが大集団で現れず、

他の魔物もあまり動かないからこそ可能な探索方法である。


中間部屋を越していた事も幸いして地図が埋まるのはあっと言う間であり、

グミスライムのボスであるゼリースライムとは直ぐに対面する事ができた。


「ラティ、32層の入口で待っていてくれ。

 直ぐに終わらせて迎えに行く」

「は、はいっ、かしこまりましたぁっ」

「ではお待ちしております」


相変わらずボス部屋に向かうのはいつものメンバーである。


パニとラティはサブパーティとなってしまうのは仕方が無い。

そのうち彼らも33層までのボスを経験させようとは思うが、

それは忙しい今で無くとも良いだろう。

まずは33層までの地図を完成させなければ。


各自の準備が終わった所でボス部屋へ侵入する。


ボスはゼリースライム、それは良い。

だが、お供が頂けない。

りにって2匹ともドライブドラゴンであった。


ナズとアナが左右へ分かれて取りに向かった。

ゼリースライムはジャーブとヴィーになる。


基本的に斬撃しかないパーティなので、

スライム系は対処が困難である。

これまでも前衛陣である程度抑えて貰って置いて、

ダメージソースは自分の魔法に頼り切っていた。


斬撃は殆ど無駄であると全員が知っているので、

グミスライムを相手にする際ヴィーは徹底して守りの構えを見せていたが、

果たしてボスはどうだろうか。


早速グミスライムの3倍はある大きな塊がヴィーに向かって襲い掛かった。

襲い掛かると言うか飲み込むと言うか、津波のようにも思える。

浸潤し大楯の壁を優に乗り越え、

更には沁み出してヴィーを足元からも覆って行く。

いや、越波えっぱと言う表現が合っているのだろう。


そのまま盾は無かった事にされて、ヴィーはゲル状の物質に取り囲まれた。

いや、待て、色々(まず)いだろう!

あのままでは窒息死するぞ?


オーバードライブを掛けて、急いでヴィーに駆け寄った。

その間にもみるみるヴィーは飲み込まれて行く。


埒が明かない。

博徒と英雄を入れ替えた。

状態異常耐性ダウンは後回しだ。


オーバードライブが切れたタイミングで、

オーバーホエルミングが有効になる。


そこでオーバードライブも重ねた。

ようやく自分だけのターンがやって来る。

重装備で重たくなったヴィーを押し倒して、

ゼリースライムの檻から引き抜く。


びっくりしたのか、ヴィーは大楯を持つ手を離してしまった。

ただでさえ重たかったので今はこれで好都合だ。

アレごと運ぶのは流石にしんどい。


片手が空いたヴィーの手を両手で掴んで可能な限り引っ張った。

ヴィーには時間がほぼ経過していないのだから、

超高速で手を引き抜かれているのだろう。


絶対痛いと思う。

肩の関節が抜けたりしないかと心配になった。

後でイルマに手当てをして貰うとして、

今はこのゼリースライムから遠ざける方が大事だ。


まさかこんなに液状で浸潤して来る奴だとは思わなかった。

グミスライムから学べって事か?

そんな要素有ったっけ?


・・・うーん、大分前の事になるが麻痺の状態で切り刻んだ後、

吸い付くように元の形状へ戻った事がそういえばあったな。

それがヒントだとすると、相当に難易度が高くないだろうか。


と言うか、そうだ。

まだここの階層の敵を相手にして1日しか経っていない上に、

グミスライムはほぼ自分の魔法で片付けて来た。


雑魚の魔物を相手に死闘を繰り広げて来なかったのだ。

そこは反省だ。

やはり強引に駆け抜けたりするとろくな事にならない。

慎重に慎重を重ねるミチオくんの攻略方法は正しい。


・・・我々も以後そうしたい。


2回目のオーバードライホエルミングでヴィーを安全圏まで抜き出し、

慌てて強壮剤を口に入れた。

次のオーバースキルはMP的にもう無理だ。


驚いた顔のままのジャーブを横目に、

ヴィーが楽に立て直せるよう腹這いの格好へと体をひねった。

これで安心だ。


──時間が戻る。


「ウワッ!いッ、痛たた、あ、あれ?」


ヴィーは自らの身に起こった急激な変化に対し、

脳の処理が追い付かず戸惑っているようだ。


「ヴィー、立て!離れろ!」

「えっ、あ、あっ、あいっ!」


剣をつっかえ棒にして何とか体を起こし、

ゼリースライムに足を取られたようだが地面を蹴って退いた。


そして距離を取ってゼリースライムに対面する。


「ヴィー、思いっきり引っ張ったが痛くないか?」

「い、痛い、肩っ、肩が痛いッ!ですっ!」


「イルマ!」

「はっ、はい!あやまちあらば安らけく、

 巫女のいわいののろいの、

  全体手当て!」


「どうだ、ヴィー?」

「ま、まだまだ全然痛いっ・・・ですっ!」

「え、あ、もう一度行きます!あやまちあらば安らけく、

 巫女のいわいののろいの、

  全体手当て!」


ヴィーが後退している間、ジャーブがかわしながら斬撃を入れる。

かわすと言ってもやはり後退しながらだ。

ヴィーの惨状を目にしたので、捕われたらまずいと悟ったのだろう。


ナズもアナもなるべくゼリースライムと接触しないように注意しながら、

部屋の隅の方へドライブドラゴンをおびき寄せた。

2人は詠唱中断もあるし、今の所問題は無さそうだ。


脅威度が減ったこの場でようやく博徒を再セットして、

ゼリースライムとドライブドラゴンに状態異常耐性ダウンを使用する。


「まだまだ痛いよ!」

「お、おかしいですね、あやまちあらば安らけく・・・」


イルマのLvが下がったとは言え、

もう3回も全体手当てを使用しているのに、

ヴィーは痛みを訴え続けた。


全体化するとそれ程までに回復量が減少するのだろうか?

Lvが低過ぎるのかと思い確認したが、

イルマは既に巫女Lv9と成っていた。


「全然変わらないよっ!姉ねーちゃん!」

「お、おかしいですね、詠唱はちゃんと行えていると思うのですがっ!

 ・・・巫女のいわいののろいの、

  全体手当て!」


い、いや、ちょっと待て、いわいののろい?

そんな文面だったか?

違うだろう?


巫女はいわったりのろったりしない。

神様の声を聞いて伝えたり、神様に物申したりするのが巫女であるはずだ。

いわったりのろったりするのは祭事師とか祈祷師がする事だ。


「イルマっ、呪文が違う!いわいでものろいでも無い!」

「ええっ、で、では何と読めば宜しいのでしょうかっ!」


今から読み方を修正している暇は無い。

詠唱文を確認するだけならば自分が詠唱短縮で確認したら良いだけだが、

それが正しく読めるかと言ったら怪しいのだ。


・・・何だったっけ。


考えるだけ時間の無駄だ。

幸いにも自分は神官のジョブをセットしてある。

全体手当てを無詠唱で2度使用すると、

ヴィーは「治った!」と元気な声で返事をして戦線に戻って行った。

先ずは置き去りにしてしまった大楯を拾いに行く。


「も、申し訳ありませんでしたっ」


イルマは申し訳なさそうにオロオロしている。


だが今は未知のボスとの戦闘中である。

アナだってダメージを食らっているはずなので、

この状況のまま放置はできない。


「いや、構わない。昨日きちんと確認しなかった自分の責任だ。

 正しい詠唱の文言は後日教会に行って聞けば良いだろう。

 今は緊急時だし回復が無いままでは困るので、

 手当ての魔法を使ってくれ。一時的に僧侶へ戻す。アナの手当も頼む」

「か、かしこまりました」


減った分のMPを回復すべく、ゼリースライムに向けて矢を放つ。

大きいから狙い易いが相手は液状だ。

果たして効果があるのだろうか。


グミスライムでもMPは回復できたのだから、

あたたりさえすればダメージになり、回復もできるのだろう。

信じて矢を放つ。


オーバードライブは掛けない。

もうそんなにMPが残っていないのだ。


──ジャボッジャボッ。


水面に何かを入れたような、

そんな音がして矢はゼリースライムの体を貫通し、地面に落ちた。

矢を当てられた事など気にもせず、

ジャーブに、ヴィーに向け、液状の触手を伸ばして取り込もうとしている。


2人はそこに斬撃を加える。

切り取られた触手の先端は張力を失った風船のように破裂して飛び散り、

それを本体が吸収して再び触手に戻って行く。


スライムならではの動きだ。

もっと言うと、スライムと言うより流動体だ。

意志を持つ水風船、そんな言葉が適切であると言える。


これまで色々なゲームの世界のスライムを見て来たが、

これ程までに水っぽい奴を見た事があるだろうか。

水っぽくはあるが、先程取り込まれたヴィーの体は濡れていなかった。


全てはゼリースライムの意思の元、

攻撃に値しない量のゼリーは本体へ戻って行ったのだろう。


水っぽいが直ぐに乾いてしまって水臭くは無い。

湿っているようだが、

いつまでもネチネチとダメージを与え続けるような湿っぽさは無い。


やはりこの世界の魔物は欺瞞ぎまんに満ちている。


2人がやや距離を置いた所で、

ゼリースライムに向けてバーンウォールを出してみた。

直ぐさまヴィーとジャーブは2手に分かれて、炎の壁を左右から挟む。


お、考えたな。


ゼリースライムは2人を襲おうと触手を伸ばすが、

2人は対極に位置するためにそれ以上伸びて来なかった。

脳が無い所為せいなのか炙られている感覚すら感じていないようで、

ずっとバーンウォールの上に居続けてくれるようだ。

全てのダメージが入って満足した。


牽制の予定だったのに、これはもしや特攻か?

ゴーレム族に近しい物がある。


やっぱり脳が入ってない奴は駄目だな。

コボルト以下じゃないのか?

奴だって最低限の知能は持っていた。


対処法が判ったので、

後はバーンウォールが切れるたびに延々と燃やし続けた。

勿論サンダーストームも忘れない。


いつの間にかアナはナズを手伝っていた。

1匹を仕留め終わったのだろう。

向こうの壁には勇ましい竜の置物が転がっていた。


2対1になった所でやっぱりナズはドライブドラゴンを床へ叩き付け、

アナはそれに対して手際良く突くだけであった。


うーん、餅つきにも見える。

ドッカン、ザクッ。ドッカン、ザクッ。

ペッタン、チョイ。ペッタン、チョイ。

見ていて何とも軽快である。


折角米も入手できる事が判った事だし、作ろうか。

白玉餅。

餡子あんこは無いが黄な粉っぽい物なら作れそうだ。

魚醤もあるし、みたらし団子も行けそうだぞ?


明日の宴会メニューの1品にしようかと考えながら、

後は彼女らを眺めながら時折魔法を追加した。

∽今日のステータス(2022/05/25)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv66

  設定:探索者(66)魔道士(43)勇者(33)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(39)

     神官(45)博徒(40)


 ・BP164

   鑑定          1pt   6thジョブ     31pt

   キャラクター再設定   1pt   詠唱省略        3pt

   獲得経験値上昇×20 63pt   メテオクラッシュ    1pt

   必要経験値減少/20 63pt   ワープ         1pt


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv28 1st

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv28 1st

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv25 1st

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜王  Lv13 1st

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv23 2nd

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv43 2nd

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 巫女  Lv4  1st

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 村人  Lv1  OFF

 ・イシャルメダ   猫人族  ♀ 29歳 探索者 Lv3  OFF


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv66

  設定:探索者(66)魔道士(43)勇者(33)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(39)

     神官(45)博徒(40)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv28 1st

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv28 1st

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv25 1st

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜王  Lv15 1st

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv23 2nd

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv43 2nd

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 僧侶  Lv37 1st

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 村人  Lv1  OFF

 ・イシャルメダ   猫人族  ♀ 29歳 探索者 Lv3  OFF



 ・収得品

   岩        ×  2   寄生ワーム    ×  6

   肝        ×  3   竜皮       × 20

   スライムスターチ × 45   オブラート    ×  1



 ・異世界91日目(朝)

   ナズ・アナ86日目、ジャ80日目、ヴィ73日目、エミ66日目

   パニ59日目、ラテ38日目、イル・クル35日目

   プタンノラ・シュメールの旅亭出発の日



 ・ダイダリの迷宮

  28 モロクタウルス    /  ボスタウルス

  29 ノンレムゴーレム   /  レムゴーレム

  30 ケープカープ     /  カーブカープ

  31 ドライブドラゴン   /  ランドドラゴン

  32 グミスライム     /  ゼリースライム

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― 新着の感想 ―
通算16章の筈だが、事前予想は数値表記とタイミングだけしか当たらなかったなぁ(苦笑) 帰宅しても、地図作成と販売でまだまだ外国と行き来するでしょうし、あちらでもう一波乱ありそう
新章だぁぁぁぁ(もう何章だかわからんw) 新居の完成楽しみ クルアチのお迎えも楽しみ それにしてもユウキくんは詰めが甘いw >清算金はあませんので  →ありませんので
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