§304 水
ドラッハにやって来たのはナズ、アナ、ヴィー、パニの4人である。
ジャーブとラティは留守番だそうなので、
折角だし新たな課題を与えて置いた。
先日話した文字を掘る作業と言うのを気にしていたようであり、
ジャーブから練習を申し出たのだ。
研究熱心であり勤勉で真面目、おまけに手先が器用な所は、
そういう日々の鍛錬を怠らない所から培われたのだろう。
文字を彫る練習と言っても何の準備もされていない訳で、
ラティにも協力を要請し文面は彼女任せ、
ラティ自身も鏡面文字の練習と言う事になった。
「それじゃ行くぞ」
「はいっ!」「いつでも大丈夫です」
「また最初からやるのかナ?」(ヴィー様、今日は迷宮ではありませんよ)
(えっ、そ、そーなの?)
ヴィーは迷宮に行く物だと思っていたようた。
勇敢過ぎるが、今日は観光のつもりなので勇ましいのはお休みだ。
パーティには既にイシャルメダを入れたままであったので、
丁度6人となり一息でグループ移動ができた。
結局は昨日迷宮に行った時と同じメンバーであったので、
ヴィーが勘違いするのも仕方無いのか?
ナズがどう説明したのかの問題だろう。
誘い方が悪かったのであれば申し訳無い。
***
移動の先はドラッハの街の冒険者ギルドである。
「うわぁ~、ここがドラッハと言う国ですか」
ナズが着くなり感嘆の声を上げた。
同種族が王の国とあれば思う所があるのだろう。
それもそのはず、この国はドワーフが多く暮らしており、
その分鍛冶師だって多いはずだ。
彼女のアイデンティティーが最も肯定される国なのだろう。
とは言え。
ざっと鑑定してみても鍛冶師のドワーフは中々見当たらないので、
やはりこの国であってもその「才能」とやらは解明に至っておらず、
貴重な存在であるのは変わりないようだ。
この国自体へ興味深々のナズは真っ先に依頼ボードの方に駆け寄った。
どこの国、どこの街であっても、
冒険者ギルドに依頼ボードがあるのは変わらない。
それにより、その土地では何が求められているのかが一目瞭然だ。
・・・読めればな。
「アナ、済まないが・・・」
「かしこまりました」
2人でゆっくりとナズの後を追い、
掲示板の前に来るとアナは小声で耳打ちした。
「荷役依頼は全て戦士か剣士のジョブが必須のようです、
恐らくは護衛なのでしょう。
それから鉱夫の募集がほぼ全てです。
鍛冶品の依頼が2件、匿名・代理人可とあります。
それから、これは珍しい依頼なのでしょうか?
こちらの札では新しく店を構えるに伴い、
料理人を募集しているようです」
「なるほど、やはり鍛冶師は少なからずいてここでも希少だ。
それから鉱山関係の仕事が溢れているのだな」
「そのようですね」
「ナニナニ?アタイでも何かできそう?」
(ヴィー様はユウキ様にお仕えするのがお仕事です!)
(え、わ、分かってるよ、ナンか手伝えたらいーじゃん)
片言でそもそも文字すら読めないんじゃ仕事にならないだろう、ヴィーは。
「取り敢えず鉱山とやらに行ってみようか。
街の北にあるらしい。入れないと思うから遠巻きに見るだけだな」
「そうですか、どんな感じなのでしょうね」
「当然、そこで働く者達がある程度補給をできるような、
ちょっとした拠点となっているはずです」
「オイシイものあるかな!あっ、ありますか!」
「判らんな、とりあえず行って見なければ」
冒険者ギルドの受付に鉱山までの道程を聞き、
40分置きにやってくる馬車に乗れば良いと言う事まで教わった。
街の北側には王城が在り、
その左右の道から北へ1時間程歩くともう鉱山だそうだ。
と言う事はここから見えるあの物々しい城の奥に見える、
比較的低そうな山がもう鉱山な訳だ。
低いと言っても登るには半日以上掛かるだろう。
観光用の遊歩道なんて整備されているはずが無いのだから、
ガチで登れば1日丸々掛かるかもしれない。
その中はどんどん掘り進められている訳で、
もう何百年も前からここに町があると言う事は、
相当下層まで掘り進められているはずだ。
つまり我々はドワーフの掘ったトンネルの上を歩いている事になる。
日本では戦時中の燃料確保に、
柔らかく掘りやすい亜炭と呼ばれる燃料を使用した。
産出される場所は比較的低層で、
多くは岩盤層ではなく粘土層に挟まれている事からも、
碌な補強もせずに掘り進んでしまったために、
現代に於いても陥没事故が多発すると言うニュースを耳にする。
ここは大丈夫だろうか?
ドンドンと地面を踏み付けてみた。
そんな事で崩れるような脆い地盤であったら、
もっと昔に王宮を建設した時点で落盤でもしていただろうよ。
「どしたの?ご主人サマ」
「い、いや、何でもないぞ」
「ふぅん?」
ヴィーに説明しても無駄だと思って濁した。
「あっ、ご主人様!あの馬車では無いでしょうか?」
ナズが指さす方向からこちらに向けて、
幌無しで人が座れる台が設置されている馬車がやって来た。
到着して直ぐに厳つい格好をした数名がそこから飛び降りると、
彼らは冒険者ギルドの2つ隣にある食堂へ向かって行った。
間違いない、鉱夫だ。
ついでなので鑑定をしてみる。
・ドゥリン ドワーフ ♂ 29歳 採掘士 Lv8
・ローニ ドワーフ ♂ 32歳 採掘士 Lv10
・レギン ドワーフ ♂ 30歳 採掘士 Lv6
おおおおっ、採掘士!
初見ジョブだ。
ドワーフの種族ジョブは鍛冶師なので、多分これは自分にも取得できる。
だが多分土を掘った位では採掘士には成れないだろう。
宝石とか鉱石を掘り当ててこそだ。
許可無く鉱山には入れないだろうし、許可を得るとしたら就職だ。
それはご勘弁願う。
目の前にゴールと道しるべが見えているのに踏み出せない。
それがこの世界に於けるジョブ取得の難しさであり、
こればかりはズルができない難所でもある。
スキルには興味があったが、リスクへの興味は全く無いので諦めた。
自分達も馬車に乗り込む。
「この馬車は鉱山行きで合っているか?」
「ああ?そうだが1人10ナールだぜ」
「じゃあ6人だ、宜しく頼む」
「あんだって?こいつらもか!
オイオイ、遊びに行くトコじゃねーぞ?」
「まあまあ、ちょっと寄ったついでなのだ。
どんな所なのか見て見たいだけだ」
「そりゃ別に構わんが、珍しい物なんて何も無いぞ?」
「我々からしたら、もう鉱山その物が珍しい」
「そういうもんかい、余所モンは良く分らんな」
「これでも一応商人なのだ、色々見て回って商機があれば乗って行きたい」
「そういう事かい。確かに鉱山周辺には飯屋があるし、宿もある。
へへへ、娼館なんかもあるが・・・お前には用が無さそうだな」
やはり。
首都としてこれだけ近辺に栄えた町があるが、
職場周辺にも簡易的な街が形成されているようだ。
「ちなみに鉱山へは入れるのか?」
「入れねえ事はねえけどよ、身体検査が要るぜ?
何せ採れるのは宝石だ。
剥かれてケツの穴まで見られるから覚悟しとけよ」
う・・・。
そ、それだけはご勘弁願いたい。
誰でも入れると言うのはとても有難い。
ジョブを得る機会が誰にでも在ると言う事だ。
比較的低層で宝石らしき物を拾ってジョブの開放を得たら、
そこでようやく晴れて正規採用と言う事なのだろう。
そして・・・当然規約があるはずだ。
破ったら盗賊行きの。
行きは良い良い、帰りは怖い。
出て来た宝石はギルド管理の物なのだろう。
隠す奴がいるからこそのチェックだ。
持ち出して逃亡する奴がいるからこそのギルド規約だ、多分。
シュメールの城門に近い恐ろしさを感じる。
例え何も得られなくたって貞操の危機ならば遠慮して置こう。
そこまでのリスクを冒して新たなジョブを得たく無い。
恐い処は通りゃしないぜ。
そうこうしているうちに別のドワーフ数名が乗り込み、
最後にはガチムチの竜人族の男が飛び乗って馬車は出発した。
ドワーフも竜人族も言葉は通じる。
ここで話し掛けて色々聞いても良かったのだが、
いかんせん厳つ過ぎる。
誰にでもグイグイ行ける陽キャとまでは行かないが、
一応自分はチャラい方だ。
その自覚はある。
見た感じ明らかにアウトローな人へはお近付きに成りたく無い。
何かが琴線に触れて殴られたらワンパンだ。
その位に鍛え抜かれた肉体が恐ろしかった。
例えるならばホストがボディビルダーに囲まれた感じか?
そうだろうな、彼らは日がな1日ずっと鉱山で掘削作業を進める労働者。
鍛え方がまるで違う。
ナズやアナ達、うちの子らが5つの席を占奪してしまっているので、
彼らとの距離が離れている事に安堵した。
済まんな、パニ。
無言の馬車に揺られる事15分。
目的地である鉱山の袂の街へやって来た。
鉱夫たちは降りるなりそのまま奥へ向かって行ってしまい、
観光気分の我々はキョロキョロとその街を見回すのであった。
「お客さんね、まずはそこに見える酒場が良いと思うよ?
何か聞くならそこが一番だ。儲かりそうなネタが見付かると良いね?」
「おお、そうなのか、ありがとう」
ドワーフの御者に礼を言い、自分達は言われるままに酒場を目指した。
***
流石はドワーフの国、
そしてドワーフが多いだけあって店構えからして背が低い。
自分やアナであれば通れない事は無いが、
先程見掛けた竜人族の大男であるならば店に入る事すら叶わないだろう。
勿論酒場なので酒を注文したい所である。
この店では親切にもメニューが壁に書かれていた。
「アナ、頼む」
「あ、いえ、申し訳ありません、私には理解できない言葉ですので・・・
ナズさんなら解るのではないでしょうか」
「えっ、あっ、はい。解りますね。ええと・・・、
・
・
・
──と、後は秘蔵の品と言うのがあるそうです」
並んでいる酒の種類はそれほど変わり映えしなかった。
オーレズから2種、ワインが2種、カクテルが果物ごとに5種。
麦酒が2つ、そしてラム、エール、ミードといった安酒だ。
資源が豊富な国に挟まれているだけあって酒の種類も多い。
それにしたって朝っぱらから飛ばして行く訳にも行くまい。
自分達は情報を買いに来た訳で、ここで管を捲きに来たのでは無い。
カクテルを3つ、自分とナズ、アナの分を注文した。
残念ながらこの店にはノンアルドリンクが存在しないようだったので、
ヴィーとパニは水で我慢して貰う。
「お待ちどさんね」
朝から飲む奴は今日が非番の者位で、当然客は少ない。
飲んだくれのドワーフ数名がいる程度、
それに食事をするならば食堂であって、ここは酒だけの酒場のようだ。
きっと夜ならもっと賑わってるのだろう。
従って自分たち以外に客は少なく、注文すると直ぐに酒が出て来た。
「ちょっと聞きたいんだが良いかな?」
「はいよ、何だい?」
「この店のその・・・秘蔵の品って何なんだ?」
「おやぁ~?オニィさん興味あるのかい?」
ニタリと不気味なしたり顔を見せて、この店の女性店員は迫った。
ナズと同じ背恰好だが小太りで耳は細く、
彼女はそれなりのお年なのだろう。
幼稚園児が座るような小さい椅子に座ると、
給仕をするこの女性店員と目線が並ぶ。
恰幅が良い女性に凄まれると小さいとは言え威圧感を覚えた。
「ある、と言うか、無いはずがない。
勿体ぶって書いてあるって事は結構な品なのか?」
「ただねえ、ちょっと高いんだよ。それでも良いのかい?」
「そっ、そうなんだ。ちなみに一杯幾らだ?」
「一杯500ナールだね、それもコップじゃない。
コンくらいの小さな器でだ」
ドワーフの女性が手をコの字状に示すと、
それはぐい飲み位のサイズであった。
おちょこ1杯で500ナール。
確かに高い。
「も、貰おうか」
金が無い訳では無い。
珍しい物であるならば行くのが基本だ。
「あら~オニィさんお酒強いのね?それともただ無謀なだけ?
恰好イイわぁ~」
何だろうか。
ドワーフの人を見る基準と言うのが色々おかしい気がする。
イルハンと言いこの店員と言い。
い、いや、ここは酒場なのだから、
秘蔵の、恐らくは強い酒精の酒を注文すると言う無謀な異種族を、
単に揶揄っただけに過ぎないのだろう。
ナズとアナがこちらを見詰める。
「な、何かな?」
「い、いえ・・・」
「察するに非常に強めのお酒かと思われます。
ご無理をなさらないようにして下さい」
「うわっ、ナニこれ!お水じゃないよ!」
「ほ、本当ですね、これはお酒ですっ」
ヴィーとパニは異質の水に気付いて口を離した。
あーね、ドワーフ相手に水って注文しちゃダメだったわ。
今更気付いたが後の祭りである。
どーすんのよ、これ。
「はいよ、おまち」
「あー。済まないがこっちの水じゃなくって、
お水、うーん、ウォーター、判る?えいちつおー」
こりゃアカンわ、呂律が回らないので存在しない。
いや存在はしているが、概念は無さそうだ。
「うんー?そっちの子達呑めないのかい。ありゃまあ、ごめんねえ」
「ウン?」(ヴィー様、ドワーフの言葉だと思います)
見た感じチビだし子供だと思・・・わないのだろうな。
ドワーフ自体がチビだし、そもそも子供でも普通に酒を飲むんだろう。
この店に入って来たんだから飲めると、そう判断された訳だ。
とは言え替わりの物は何も無いようだ。
流石ドワーフの店。
漢一徹、酒しか置かない。
で、問題はこちらだ。
出された飲み物からは強烈なアルコール臭が漂っていた。
机と顔の距離であっても感じるのだから、これは相当な物だ。
手に取って口に運び、まずはひと舐めする。
ピリピリとアルコールが口の中を刺激し、
思い浮かんだのはかつて使用していた薬用のマウスウォッシュだった。
それに風味が付いている。
何の風味かは判らないが、高そうな酒によくあるような高尚な感じだ。
そもそもの話、これまでそんな良い酒に有り付いた事が無い身なので、
自分にはこれ以上の表現ができない。
日本にいた頃もっと酒の味を知って置くべきだった。
兎に角これは良い酒であるが、
酒精は今まで飲んだ事がある物の比では無い。
このおちょこ一杯分でも相当に酔うのだろうと言う事は理解した。
既に動悸がするし胸は熱い。
飲み干したら多分、今日の行程全てが終わる。
いや、多分明日も無くなるだろう。
止めて置くのが無難だ。
だが頼んでしまった以上、これの処理はするべきだ。
いるじゃないか、目の前に。
これを処理してくれそうな娘が。
「ナズ、飲め」
「ええっ!よ、宜しいのですか!?とてもお高い物でしたよね?」
「い、いや、もう限界だ。これはナズしか飲めないのだと思う」
「そ、そうなのですね?」
「やはりそうですか・・・」
「でっ、では失礼します」
ナズはぐい飲みを渡されるとクイッと呑み干して大きくため息を吐いた。
「ふぁぁ~・・・。
た・・・、確かにこれはとても厳しいお酒でですね・・・。
わ、わたしも、ちょちょちょっと?酔いが回わってしまいそうです」
「大丈夫か?と言うか、ナズでもダメなのか?」
「そ、そんな事は無いですよぉ?
この位なら全っ然いっいっけまっすよー!」
おかしい。
どう考えても平常のナズでは無い。
まずもってテンションが高そうだ。
うっかり突き飛ばされても敵わないので撤収だ。
どこかのボンクラのようには成りたく無い。
「ア、アナ、ナズを連れて帰ろう」
「そっ、そうですね。ナズさん、帰りましょうか」
「やだぁ、アナさんてば、この位は普通ですからぁ」
「アラー、その子行けそうに見えたけどダメだったわねえ?
若い子にはやっぱり厳しいのかしら、ウフフフッ」
店のおばちゃんはケラケラと笑っていたが、そういう問題では無い。
ナズには前科があるのでこちらの命が掛かっている。
速やかに会計を済ませ、
店の中にあった絨毯を利用させて貰ってシュメールへ繋ぎ、
既にフラフラしているナズをベッドまで導いた。
「ご主人様ぁ、隣が空いていますよぉ」
ベッドに倒れ込んだナズが添い寝を所望する。
立場が逆。
態度も本来ならばおかしい。
いや、それ以上に身の危険を感じる。
「そ、そうだな、まだちょっとやる事があるので先に寝て置いてくれ。
な、なあ?アナ?」
「そ、そうですね。私はハーブティーを入れて参りますので」
「解りましたぁ。お待ちしており・・・・・・」
そのままナズは動かなくなってしまった。
俯せで寝ると翌朝首が痛くなるんだぞ?
アナと2人でナズを上向きに変えてやり、そっと掛け布団を掛けてやった。
「ご主人様」
「うん?凄いな。ナズがたったあれだけの酒でこんなになるだなんて」
「これは、恐らくドワーフ殺しと言われるお酒なのでは無いでしょうか」
ドワーフ・・・殺し?
あれが?
確かに、ナズはあの量で逝ってしまった。
そう言われてみれば確かにそんな感じはする。
これを?
セリーは?
小さいとは言え瓶で3本飲んだのか・・・。
恐らく徳利のサイズだろう。
徳利1本おちょこ約5杯分。
を3本だから、先程の小さい器で15杯飲んだ事になる。
やばっ。
セリーはザルだった。
とんだ酒豪だよ。
対してナズは、その名の通りアレにやられてこの通りだ。
飲んだのはナズだが、酒には呑まれてしまった訳だ。
この辺りもドワーフらしからぬ弱さ、非力なドワーフと言う事なのだろう。
「ごしゅじんしゃまぁ・・・」
普段のナズからは想像できない痴態が繰り広げられている。
その抱き着いている枕は自分らしい。
くれぐれも力強く抱き過ぎて肋骨など折らないで頂きたい。
それは旅亭の備品であり、借り物であるので。
「い、行こうか」
「そ、そうですね」
再びドラッハの鉱山に戻る。
「あっ、お帰りナサイ。ナズ姉ちゃん大丈夫?・・・ですか?」
「ああ、心配要らない。酔っただけだ」
「ナズ様は酔っても暴れたりはなさらないのですね」
いや、暴れた結果を知っているから何とも言えない。
しつこく迫った者を振り払ったと言う事なので、暴れた訳では無いのか。
「・・・そうか。パニはそういう親を持っていたから心配だな?」
「そっ、そうですね。
そもそも僕たち奴隷がお酒を飲む事などまずありませんので、
酔って暴れたりしたらそれこそ首が飛ぶと言いますか・・・」
「ナズやヴィーが暴れたら手が付けられないから困るが、
ジャーブ位までならば別に平気だろう。
その位で怒ったりしないから大丈夫だぞ」
「えっ、いや、あの・・・」
「それよりアタイ何か食べたい!・・・です!」
「ああ、そうだな。3つ隣が食堂らしいのでそちらに行こうか。
そこでならヴィーも飲める物もありそうだ」
「ヤッター!」(ヴィっ、ヴィー様っ)
ヴィーはパニの手を引いて一目散に店に入って行った。
どうせパニが金を持っている訳だし、別に問題無いだろう。
自分とアナはその後をゆっくりと追い掛けて行くのであった。
ドワーフ殺し、名前の通りドワーフをダメにする強烈な酒であった。
ナズは他と比べて特別弱いのかもしれないが、
多くのドワーフをダウンさせる位でなければその名前は冠さ無いだろう。
自分もひと舐めで限界であったので、
この酒を無理して買い付ける必要は無さそうだ。
あの量で500ナールだって言うのだから、
セリーが飲んだ徳利のサイズであれば銀貨25枚だ。
3本で7千5百ナール。
バンディール30年物の樽どころの騒ぎでは無い。
仕入れ値はもう少し安いとは思うんだが、1/3だったとしても高過ぎる。
酒も恐ろしいがセリーも恐ろしく、
そんな物をポンポンと振舞う帝国解放会の権力も財力も恐ろしく思えた。
っパ、貴族よ。
∽今日のステータス(2022/05/09)
・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)
金貨 46枚 銀貨 26枚 銅貨 5枚
移動費 (60й)
馬車代 × 6 60
酒場代(ドラッハ鉱山) (640й)
水 × 2 20
カクテル × 3 120
秘蔵品 × 1 500
銀貨- 7枚
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計 金貨 46枚 銀貨 19枚 銅貨 5枚
・異世界87日目(8時頃)
ナズ・アナ82日目、ジャ76日目、ヴィ69日目、エミ62日目
パニ55日目、ラテ34日目、イル・クル31日目
プタン旅亭宿泊17/20日目 シュメ旅亭宿泊17/20日目
トラッサ旅亭宿泊5/6日目




