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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第冊章 実験
304/394

§291 一人

この世界にやって来て初めての拠点としたトラッサの旅亭。


そこで一室を取り、病気持ちの女性イシャルメダを連れ込んだ。

そして治験の協力をしてくれないかと頼んでいる。

危険が伴う実験であるし、本人の同意が必要不可欠なのだ。


他に方法が無い。

彼女はそれを理解しており、

助けて欲しいとは思うものの、

その強引な手段を聞いて戸惑っていた。


なるべく彼女の緊張を解こうと、暫くは彼女の身の上話を聞いた。


かつて働いていた仕事、かつての恋人、そして娼館での毎日。

家族からも重きを置かれていない末の子で、

初めてできた恋人に言われるまま家を飛び出したのだとか。

こういった原因は大体家庭環境だ。


勿論出世コースをわざと外れて転落して行く者もいない訳では無いが、

話を聞く限り落伍者の多くは歪な家族関係から始まる事が多い。

大体小説やら漫画やら映画やら、事件の犯人には過酷な人生が描写される。


フィクションなのだからお涙頂戴と言うのも勿論あるが、

そういう背景が一般的に多いからそう作られるのであって、

有りもしないような設定であれば誰からも評価をされないだろう。


今はただひたすら、彼女の傍に寄り添ってやる位しかなかった。


「・・・おキャクさん、ナンのしごとしてる?」


一通り彼女の言いたい事を放出した後は質問だ。

女性は聞くに徹するに限る。

人生に於いてのアドバイスなんて必要無い。


こちらからは多く語らず、質問されたら答えてやる。

それだけで十分なのだ。

それがこの世界の女性でも同じであれば、話は早い。


男女の性差によるバイアスで語るなとお偉いさんたちは言うが、

思考やホルモンの量、脳神経の発達の違いなど、

何を以て満足するかはDNAに依って刻まれてしまっている。

こればかりは抗いようが無い。


「自分は・・・迷宮に行って生計を立てているな」


果たして生活費全てが迷宮に依るものかと言えば違うだろう。

ナズに作って貰った装備品の売却益は結構なウェイトを占めていたし、

今後はラティに作らせた地図を売って稼ぐ予定だ。


自分で決闘をして得た利益に付いては除外するものとする。

あれは再現が不可能なので生計を立てているとは言えない。


「めいきゅう・・・そイえば、ボけんシャさんだったね」


「まあ、そう・・・なのかな?」

「このアトもめいきゅう・・・イくの?」


「行くか行かないかと言えば、行く。

 その時は大人しく留守番していてくれ」

「ワかた・・・ワタシもナニかする?」


「いや、特にイシャルメダへ求めるような事は何も無い。

 先程も言ったように、自分の実験に協力してくれれば」

「ソう・・・」


再び沈黙だ。

言いたい事は言ったのですっきりしたのだろう。

頭の中が空っぽになってからで無いと、この状況は飲み込めない。

どうせ他に選択は無い。


逃げ出してもどこで生活ができようか。

逃げられないように追い詰めているのは解っているが、

それは元々追い詰められていた女性であったので今更だ。


「ベッドで休んでくれていても良いし、このまま起きていても良い。

 何だったら街の様子を見に行ってくれても構わない。

 ここは娼館では無いからな、自由にしてくれ」

「えト、イイの?」


「良いも悪いも、イシャルメダは奴隷でも何でも無いだろう?

 自分には縛る権利が無いからな」

「ソう・・・アナタ、フしぎなヒトね」


後5歳若くて病気持ちでなければ判らなかったが、

それでも手は出さなかったと思う。

目的がそもそも違うのだ。


エミーとイルマを治してやりたい。

言い方は悪いが、彼女は実験体なのだ。

このまま逃げられてしまったとしても、

それは2人への投資として割り切れる。

その場合はまた他の誰かを探すだけだ。


彼女は自由人なのだから、その自由を奪う権利は無い。

未完成の薬のせいで死亡させてしまった場合、

何かしらの犯罪ステータスが付くのだろうか?


この世界、盗賊行為には煩いシステムが用意されているが、

殺人に至っては不明なままだ。

殺人者と言うジョブがあるかも知れない。

無いかも知れない。


たった1人殺した位でジョブが変動しない事は解っている。

ナズがボルドレックのボンクラをってしまっているから、

それは身内で立証済みだ。


だが無差別に何十人何百人となると、これは判らない。

なるべくならこの実験が成功し、

イシャルメダも助かりエミーとイルマも救えるのが理想的だ。


無骨な椅子に深く腰掛けて足を机の上に投げ出し、

椅子後面の2本の脚でバランスを取ってユラユラする。

お行儀が悪いと怒られそうな格好だが、

ハンギングチェアなんて無いだろうから仕方無い。


作るか?ハンギングチェア。

暇だし図面でも書くか?


「ちょっと出掛けて来る」

「えっ、い、イヤ、ワタシもイきたい」


「直ぐ帰って来る。書く物を取って来るだけだ」

「う・・・ウン」


ゲートを出してプタンノラへ。

ペンとパピルス数枚を掴んで直ぐに戻る。

イシャルメダは拳を握り締めて自分の行動を見続けていた。


「心配するな、一緒に居てやると言った」

「ソ、ソだね。ありガと。

 でも・・・めいきゅう、めいきゅうはドウするの?

 おかね、カセがないと。でも、ワタシ」


「ある程度の蓄えはあるんだ。無理せずとも暫くは生活できる。

 大体、この宿だって結構するんだぞ?」


ハハハと笑みを浮かべて、彼女の懸念を一蹴してやった。


イシャルメダは日銭を稼がないと生活ができない。

客相手に500ナールを取っていたようだが、

税金を考えると毎日278ナール必要だ。

娼館主の取り分を考えれば、

ほぼ毎日客を取ってギリギリかもしれない。


ええっと臣民なら年間3万ナールで1日当たりは80ナールなのだっけ?

多分そっちだろうな。

2日か3日に1回客を取って彼女の稼ぎは7万ナール前後。

食費と税金を引いて約3万ナールが商館主の儲けだ。


だがそれもサンドラッドの国民、プタンノラの住民であるならと言う条件だ。

こうして国外に出て来てしまった以上、

税金は自由民と同じ10万ナールが加算される。


そんな生活を送っていたのだから、

こうして仕事をせずに何もしないと言うのは、

彼女に取ってみれば恐怖なのだろう。


税金が支払えなければ、盗賊か奴隷だ。

いや、もういっそ奴隷の方が楽なのでは?


「娼館から出て来てしまった以上、お前の税金は年に10万ナールだ。

 それが奴隷なら1万ナール。

 自分の奴隷になると言う選択もあるからな?

 無理強いをしたりはしないが、やっぱり少し考えてみてくれ」


とは言えこのまま彼女を子飼いにしたまま放って置いても、

今年の税金が払えず奴隷となる。


良く考えてみれば身請けした自分が婚姻なりして面倒を見てやらなければ、

結局の所彼女の行く末は奴隷なのだ。


そこに思考が辿り着けば、彼女自身が申告して来るだろう。

後は彼女が納得できるまで待っていれば良いや。


我ながら酷い事をしていると言う実感はある。

だが彼女を救えるのはこの手しかないのだし、

あのまま病婦の娼館に居ても、

このまま逃げ出したり解放されても、

どちらにせよ彼女は助からないのだ。


結論に因って自分の行動が肯定されている、変な話だ。


持って来たパピルスにハンモックチェアを書き込んで、

ついでに版画のパピルスを乾かす棚を描いてみた。

これをウッツに。


最近追加注文をしてばかりだ。

生活をして行くと不便に気付いてあれこれ欲しくなってしまう。

そういうのは贅沢だと一時は戒めたが、棚は仕事に必要である。

つまり投資だ、問題無い。


ハンモックチェアは・・・あれだ。

心のゆとりだ。

投資・・・だと思う、たぶん問題無い。


「おキャクさん、ジョうずね」


「何度も言うけれど、客じゃない。ユウキだ、ユウキ」

「ユウキ・・・カわたナマエ」


「そうそう。相手をするにしても、まずは病気を治してからでないと」

「そ・・・ソだよね。ユウキ、やさしい。

 おかねもある。エもジョウズ、ボけんシャでめいきゅうもイく。

 ツよいしかこイイ」


「そうか?そんなに褒められると何だか照れるな」

「ワタシ、コワかた。けどユウキ、いまシンじる。

 でもまだコワい。モちょとマてほシい」


「ああ、構わないさ。実験には何度も痛みを伴うと思う。

 無理強いをしたい訳では無いんだ。嫌なら嫌で良い。

 その場合は助けられないだけだ」

「う・・・ん、ワかタ」


ややイシャルメダの緊張が解けたような気もする。

少しだけ彼女は笑った。


「ワタシ、ヒルはネてる。いまもうネムいから、ちょとネるね?」


「ああ、ゆっくりしてくれて構わない。

 出掛けても良いからな。ここに少しだけお金を置いておくから、

 無駄遣いしないようにしてくれ」

「おかね・・・ワタシ、ほシいのナイ」


「そうか?じゃあ暫くしたら夕食が来るだろうから、その時に起こそう」

「ワかた。ちゃんともどてキテね、やくそく」


「戻って来るも何も、イシャルメダの協力が必要なんだ。

 こちらの方が、逃げないで欲しいとお願いする立場なのだ」

「ソか、ふふふ。ユウキかワてル」


暫くしてイシャルメダは寝息を立てて寝てしまった。

こういった商売の女性は客を取るとしたら夜だ。

夜型人間。

昼間は眠くて活動できないのは判る。


と言う事なら、昼寝て夜は彼女に付き合うと言う生活になるな。

ナズやアナに報告をして置かないと。

・・・その前にウッツかな?


ペンとパピルスを掴み、自宅の納屋へとゲートを繋いだ。


──ヴォン。


う・・・。

見えない、真っ暗だ。


取り敢えず床をまさぐって酒の樽を探し位置を確認する。

後は這いながら出口の扉を探す。


納屋の戸を閉めると真っ暗闇だ。

そりゃ当然。


扉を発見したのでぐいぐい押してみたが、微動だにしなかった。

やばっ、これ閉じ込められた?

い、いや、そういえば引き戸だった気がした。


押して駄目なら引いてみなっ。


恋愛指南じゃないんだからさ。

引いてばかりだったよ、大学時代はさ。

扉を引くとするっと動いた。

ちょっとだけ焦って汗ばんだが、安堵と共に冷やされる。


明かりが入って来て扉の全貌が見えたが、

お願いした錠が付いていた。

錠、といっても簡単に作ったかんぬきだ。

枠に木の棒を落として簡単には開かないようにするだけの物。

勿論それで十分である。


だが納屋に繋いだ際に真っ暗なのは困る。

かと言って常備灯なんて無いし、

納屋に向かう際は明かりを持って飛ぶ必要があるな。

以前のこの家の納戸は、天井付近に明り取りの為の小窓が付いていた。


防犯対策の為か、完全に窓を無くしてしまった事は改善と思うが、

少しだけ不便になると言う事だ。

廊下側に作れば良いのでは?

これも後でお願いしようかな。


1階はこれでもうほぼ完成なのだろう。

トイレもしっかりと戸が嵌まり、

2ヶ所ある排泄溝は衝立ついたてに依って隔離されていた。

いつぞやあった風呂場の衝立ついたてと同じ物だ。


あれ?

と言う事は同じ物を作ってくれたのか?

1つは家具屋に預けてあるはずだったが。

余ったもう1つはまた別の場所の仕切りに使えば良いか。

もう風呂場には必要無いので。


2階からは今日も相変わらず足音と声がする。

階段を上り、開きっぱなしになっていた扉から声のする部屋に入った。


「やあ、どうも」

「おお、アンタか。もう殆ど家の方は終わってる。

 これ終わったら、明日からは建付けの家具だな」


「建付け?」

「おう。借家だと勝手に作る訳にはいかねぇが、

 個人宅なら最初から台所や個室には棚や箪笥を作るもんだぜ」


「そうなのか?ここら辺の家の事情は詳しくないのでな」

「どの家も皆そうなってるぞ?

 決まった場所に設置して、絨毯や壁掛け布で隠すのが普通だ」


ほー。

ここはそんな文化なのか。

日本家屋にあるような押し入れ収納と言う事なのだろう。

ふすまや障子といった文化が無いので、そこはカーテンなのか。


「知らなかった、では大きな布が必要だな?」

「おう、それは好きなのを選んで貼ってくれ」


では折角なのでサンドラッドで見付けた薄手の麻布にしよう。

柄も豊富で肌触りも悪くなく、丈夫そうであったので。


「それよりも、納屋のカギを付けてくれたんだな、ありがとう」

「おう、あんなんで良かったのか?

 中から鍵掛けたら冒険者しか入れねえから注意してくれ。

 衝立ついたてか壁掛け忘れんなよ?」


「ああ、大丈夫だ。

 しかし戸を閉めると真っ暗になってしまってな?

 廊下側の上の方に明り取りを作りたいんだが」

「アァン?・・・そう・・・いえばそうだな。

 あそこに冒険者が飛んで来たら見えねえな、分かった。

 そんな予定は最初に無かったから別料金だぜ」


まあ、そうだろうな。


普通は廊下から開けて使用すれば多少の光は入る。

納屋に直接フィールドウォークして出て来るといった利用法を、

最初に提示しなかった此方が悪い。

再度穴を開けての手間が発生するのだし仕方あるまい。


「それからこれが以前お願いした棚と、

 それとは別に作って貰いたい椅子だな」


「何だこれは・・・良く判らんが、こんなに薄い棚で何をしまうんだ?」

 皿を入れるにしたって大きなのは入らんだろう」


「まあ、そう言うな。その形状で合ってるんだ」

「お・・・おう。まあ頼まれれば作っけどよぅ、

 アンタに頼まれるモンは変な物ばかりだよな・・・。

 この前の丸い奴とか、薄っぺらい手掻きとか・・・」


「まあまあ、必要なんだから仕方無い」

「じゃあえーっと、窓作んのが30枚でこの棚は10枚。

 この変な足の椅子は・・・ちょっと加工が面倒臭ぇな、20枚だ」


合計して銀貨60枚か、意外と高い・・・。

まあ、相手さんも初めてだからな。

失敗して無駄になる分も込みなのだろうか。


「じゃあこれで」

「あー、駄目駄目。金貨で払われたってこんな所で釣りは無いぜ。

 現場に金なんて持って来てねえからよ。

 崩して来るか家に持ってってくれ」


「そ、それもそうだ、失礼した」

「おう、カミさんに払っといてくれりゃその方が助かるから宜しくな」


そう言うとウッツは再び扉をバタバタと開け閉めして、

金具の位置を調節し始めた。

職人の仕事だ、邪魔しない方が良い。


現代のような精密な設計図に基付く、

ぴったりした建材なんて無いのだから、

こういった部品は調整に次ぐ調整が必要なのだろう。


他の弟子たちにも一言挨拶をして家を後にした。


ほぼ完成に近くなっていた家は以前と比べかなり住み易くなっており、

改善点は直ぐに反映されてより使い勝手が良くなっていた。


早く新居に住みたいぞ?

リフォームしたとは言え、もう新築そのものじゃないか。

憧れの新築一戸建てだ。


ウキウキしながらウッツの工房まで向い、

その途中の雑貨屋でパピルスとインクを買って金貨を崩し、

釣銭が出ないように銀貨60枚を確保する。


その後ウッツの奥さんに事情を話し支払いを行った。

インクとパピルスは寝込んでいたエミーが補充を行っていたはずなので、

この位は自分が代わってやらないと。


ホドワでやれる事は全て終わったので、

ここでようやくプタンノラの旅亭に戻れた。

ホドワはもうだいぶ日が傾き始めていたが、

プタンノラではまだまだ日が高い。


しかし戻ったのは昼食からかなり経った後であったので、

そこには何も用意などされておらず、

テーブルは作業台と化していた。


「あっ、おかえりなさいませ!ユウキ様」

「お帰りなさいませ、いかがでしたでしょうか」

「あ、ご主人サマお帰りなさいー」


作業に当たっていた3人から次々に挨拶が降り掛かって来る。

イルマもエミーの傍にいながらも、立ち上がってお辞儀をした。


「エミーの様子はどうだ?」

「はい、この通りまだまだ熱はありますが、

 特に変わった事はございません。

 妹にご慈悲を頂きありがとうございます」

「ごしゅ・・・さま・・・かえ・・・・さい」


「無理をして話さなくて良いからな?

 パニ、これを。パピルスとインクの補充だ」

「あっ、はい。ありがとうございます」

「ご主人様、お食事はお済みでしょうか?

 一応あちらの旅亭に運ばせでありますので、

 まだのようでしたらお食べになって下さい」


「そうか、ありがとう。運んだのはパニかな?済まないな」

「い、いえ、僕はこの位の事しかできませんので」


アナとパニを撫でて、ついでにイルマも撫でて、

エミーには氷を出してやった。

早く熱だけでも引いて欲しい。


「ああ、それから、アナ」

「何でございましょう?」


「暫く夕食は必要無い。余ったら皆で分けてくれ。

 それから夜はパニに送って貰って、先にあちらで休んでくれ」

「・・・はい。かしこまりました」


暫くはトラッサの宿でイシャルメダの面倒を見なければならない。

彼女は夜型で、その際は一緒に居てやる必要がある。

恐らく自由に動けるのは彼女が寝ている昼の間だけだ。


朝食と昼食はこちらで取れるかもしれないが、

夕食はあちらでイシャルメダと一緒に取るしかない。

何だか出張先の浮気相手みたいな感じになってしまっているが、

・・・大丈夫。


そもそもそういう相手では無いし、

そんな事をしたら自分が病気になってしまうのでな。


ナズとアナには誤解の無いように説明してやる必要があるが、

それは今の仕事を中断してまで言う事では無いだろう。

夕食前に説明すれば良い。


自分は遅めの昼食を取りにシュメールの宿に向かった。

既にこちらの空は薄暗く、

もう暫くすると雨が降りそうな雰囲気を醸し出している。


誰が開けたのか窓からは冷たい風が入り込んでいて、

閉めようと向かうと人々が慌ただしく行き交う音も聞こえて来た。

皆この後の雨を予想して、濡れる前に用事を済ませたいのだろう。


このところの寒暖差がかなり激しく、

カビの培養を桶の中で始めた事はある意味正解だったのかもしれない。

外気温に関わらず中の温度はある程度に保たれるし、

封をしたのは暖かかった日だ。

実験を成功させるためにも、早く大きく沢山育って欲しい。


窓を閉めても冷たい空気に満たされた薄暗い旅亭の一室で、

1人寂しくかなり遅めの昼食を取った。


冷めたスープに冷めた魚。

少し水分が抜けて硬くなったパンを冷たいスープで流し込み、

一緒に持って来てくれたであろう水瓶からハーブティーをコップに注ぐ。


いくら纏まった金があっても、

いくら奴隷を沢山抱えていても、

主人の食事が1人寂しくこれでは楽しい事なんて何も無い。


やはり皆で一緒に食事を囲って、寝る時は愛人達に挟まれて眠りたい。


ボルドレック邸へ潜入した際に、奴は1人で眠っていた。

奴隷達は妾も含めて、一室に押し込められているようであった。

奥さんも既に亡くなっていたようだし、息子は騎士団宿舎で寝泊まりだ。

1人で食事をして1人で眠る、そんな生活などもう自分には考えられない。


それがこの世界では普通だと言われても、何ら納得できる事では無い。

自分は皆に助けられている。

それが実感できる昼食であった。

∽今日のステータス(2022/04/26)


 ・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)

     金貨 47枚 銀貨 26枚 銅貨 94枚


  家具作成依頼           (6000й)

   ハンモックチェア         2000

   乾燥用棚             1000

   小窓の設置費           3000


  雑貨                 (90й)

   インク                30

   パピルスの束 × 3         60


     金貨- 1枚 銀貨+40枚 銅貨-90枚

  ------------------------

  計  金貨 46枚 銀貨 66枚 銅貨  4枚



 ・異世界83日目(14時頃)

   ナズ・アナ78日目、ジャ72日目、ヴィ65日目、エミ58日目

   パニ51日目、ラテ30日目、イル・クル27日目

   プタン旅亭宿泊13/20日目 シュメ旅亭宿泊13/20日目

   トラッサ旅亭宿泊1/3日目

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