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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第冊章 実験
302/394

§289 告知

娼館のおばちゃんに言われた通り一旦噴水のある中央広場まで戻り、

そこから西側に向かって歩いて行く。

街並はだんだんと商店から民家、二階建てから安普請となり、

疎らに空き地が現れ、大きな木々が街の門の替わりになっているのか、

そこから先は雑木林が続く荒れ地であった。


と言う事は、この木が例の待ち合わせ用の木なのだろうか。


3本と言った。

街道を挟んで右にはそれ程大きくも無い木が無数に立ち並び、

左には大中大小の順に木が並ぶ。

その向こうは低木の雑木林だ。

ではこちらだろう。


真ん中にある中位の背の木の袂に腰を落として凭れ掛かる。


まだ朝食を終えて間もない時間だ。

そんな時間から娼館を利用したい客がいるものかと我ながら思う。

もしかしたら夕方までこのまま誰も来ないかもしれない。


その筋の者からは、

ここで待つ者は病気持ちの女性を選んで遊ぶと知っている訳で。

多く人が通れば自分の事を病気持ちだと認識するのだろう。


ここが生活の拠点とする町で無くて良かった。

ホドワでやったら直ぐに広まって有名人だ。

ナズの歌の仕事も無くなるかもしれないし、

近隣住民から家ごと追い出されそうである。


流石にそこまでは無いか?

この世界の住民が、病気持ちの者に対してどう思っているかは知らない。

知らない物事には迂闊に近寄らない。

それが鉄則だ。


苦労して船で国を渡ったお陰で、

普通はできない事をやれると言うのがまた良い。

例え噂になったとしても、もう2度とこの地を訪れる事は無いのだから。

あ、いや、酒の定期購入を頼まれたな。


まぁええやろの精神である。


余りにも暇だったので腕を組んでごろ寝してみた。


湿度は高いがそれなりに天候には恵まれている。

悪くない朝ではあるが、いかんせん藪の傍と言うのは虫が多い。

寝転んで直ぐその事に気が付いて体を起こした。


「xxxxxxx?」


背に付いた土を払い落していると、男から話し掛けられる。

スキンヘッドで服はだぼつき、身なりは悪そうだ。

ビンゴか?


「ブラヒム、バルド、バーナ、スラク」

「xxxxxxxxxxxxx?」


「ブラヒム、バルド、バーナ、スラク」

「アーッ、xxxxxxxxxxxxxxx・・・」


男は背を向けて帰って行く。


言葉のハードルはやはり高い。

自分が人間だったので人間語で話されたとは思うが、

この男は他言語が理解できないので帰って行ったようだ。


イルマかラティを連れて来るべきだったか?

いや、しかし彼女らがそういう目で見られるのは困るな。

それにイルマはエミーの看病で抜けられないだろうし、

ラティは木彫り作業の要であるので中断させるのは不利益だ。


余欲あまよくばここで病気持ちの女を1人買い、

実験に協力して貰おうと思ったのになあ。

怪しい所なら怪しい人物もいると思うし、

金を持っている事を醸し出せば狙われて、

おびき出した所でとも考えたのに。


やはり現実は厳しい。


一応、男の後を尾けてみる。

男の方もこちらに気付いた様子だが、振り切ったり逃げたりしないようだ。

逆に案内されているのか?歩調を合わせて来た。


客だと思われて店に案内するのだろうか。

それはそれで好都合ではあるが。


男は町の方に戻って行ったが途中何度か民家の隙間を曲がり、

その度にこちらを待っているようであった。

やはり自分は誘導されている。


男は平屋だがやや大きい建物の前で立ち止まり、

そこでドアをノックして中に入っていった。

自分もその後に続いて入る。


ドアは開かれたままだったのだ。


客であればそのまま女性を取らせるだろう。

これが怪しい賊の住処であれば一斉に襲い掛かって来るかもしれない。

流石にそんな所をワンクッションで娼館の女郎が紹介して来るだろうか?

ここで大暴れしたらそりゃあ穴持ケツもちは来るだろうけどさ。


先程の男は村人であったので、案内の業務なのだろう。

少なくとも盗賊では無かった。

さて、中はどうなっているのやら。


窓の少ない土壁に囲まれた簡素な造りの家屋だ。

入って直ぐに廊下が続く。

入口横にはソファっぽい物も置かれているがボロボロだ。

建物自体も異様だったが、中も異様であった。


刑務所の独房・・・。

いや、刑務所自体に入った事が無いので知らないが、

雰囲気的にはそうだ。

以前繋がれたルイジーナの牢屋の方がまだ整備されていた。


スキンヘッドの男が手前の部屋に入り、

直ぐに厳つい大柄な男と一緒に出て来た。


でっ、でたわね?


奴がここを仕切るドンなのだろうか。

2人で何かを言い合っているが、やはり人間語は判らない。

頬に傷、腕まくりしたシャツには刺青が入っており、

腕にも傷跡が幾つか窺える。


あれ?

この世界、受けた傷は手当てや教会で治療できるのでは無かったっけ?

と言う事はこの大男は自力で怪我を治した事になる。


教会においそれと行けないジョブ、盗賊か?


 ・ナミル  人間  48歳  男  戦士 Lv23

  ・ヴァーダ  人間  36歳  男 村人 Lv9


そう思って鑑定をしてみたが、男は戦士であった。

一応真っ当な店?なのかな?


良く解らない。

この男が直接手を出さなくても、

盗賊行為をする別の者が居れば幾らでも回避はできるのだから。


「xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxxx、xxxxxxxxxxxxx?」

「xxxxxxxxxxxx。xxxxxxxxxxxxxxx?」


言葉は通じない。

ではジェスチャーしかない。


手を頭に当てて、耳のようにパタパタと折り曲げる。

頭頂部でパタパタ、猫人族。

耳の上でパタパタ、狼人族。

腕に手を当てて棘の様に指を出して竜人族。

手で三角形を作って鼻に当てエマーロ。

手の平を腹の辺りで水平に切って、耳を尖らせてドワーフ。


自分が相手をできる言語はこれしか無い。

他の者とは会話ができないのだから、ボディランゲージしか無いのだ。


「・・・xxxxxxx」

「アッ!xxxxxxxxxxxxx!」

「xxxx・・・、xxxxxxxxxxxxxx・・・xxxxxx。xxxx」

「xxxxxxxx」


「xxxxxxxxxxxx。xxxxズール、イシャルメダ、サンドラ」

「アイッxxxxx」


最後だけ理解できた。

恐らく女性の名前だ。

少なくとも3人の名が出たようだが、

スキンヘッドが連れて来たのは猫人族の女であった。


 ・イシャルメダ  猫人族  29歳  ♀  村人 Lv1


結構なと言ったら失礼か。

そこそこな年齢である。

病気持ちばかりの女性を集めた店なのだから、彼女も病気持ちなのだろう。


取り敢えず彼女を購入しようと打診してみようじゃないか。

勝手に連れて言ったら怒られるだろうし、

身請けしたならば後は自由なはずだ。


「言葉、解るか?」

「え?あ、ウン。ワかるよ」


「お前は娼婦の病に掛かっていて、ここで働いているのだな?」

「えと、よくワからナイ。マエはまちのショカンでシごとシてまシた」


「どの位ここにいるんだ?」

「2ねんくらイ」


知らずに連れて来られているのか。

発覚した際に検査を受けていると思うが、知らされていないのか。

或いは病気だと解かった男に買われたので、こちらに捨てられたか。


本人の知らない内にここで従事させられていると言うのが、

それだけでもう悲壮感を漂わせる。

別に老け込んでいる訳でも無いし、彼女は元気そうに見えた。


病気が判明して2年ならば、そう状態は悪化していないのだろう。

ほぼ健常者に近い、と言った所。

概ねこちらの希望する要件は満たす事ができそうだ。


「解った。お前を買いたい、そう伝えてくれ」

「ハイ、わたシ、ヒトばん500ナール」


「あー1日では無い。お前の全てを買いたい、そう伝えてくれ」

「ええっ!?あ、あの・・・」


「良いからそう言え」

「ハイ・・・ハイ。

 xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxxxxxx?」

「xxxxxxxxxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxxxxx」

「オイっ、xxxxxxxx、xxxxxxxx。xxxxx?xxxx」



自分の意向を伝えると、猫人族の女はデカい男と人間語で会話を始めた。

どうなっているのかさっぱり解らないが、

金さえ出せばええやろの精神である。


「あ、あの、ワタシ、ウるのできナイって」


「金はある。言い値で良いと言ってくれ」

「え、あ、あの・・・」


「早くしてくれ」


「xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxxxxxxxx?」

「xxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxx・・・エルダンアテラナール、xxx」

「xxxxxxxエルダンアテラナール、・・・xxxx。へへへへっ」

「エルダン・・・アテラ・・・ナール・・・」


何トカトカナールと聞こえるな。

エド、エルダ、エルト、エルトド・・・、エルダが2だったっけ?

アテラ?2万ナールかな?

まあその位だろう。

エミーが1万ナールだったし。


「にっ、にジュウまんナールです・・・そんなオカネ・・・ナイよね」


に・・・十万か!

高っ!


・・・と思ったが、そうか。

奴隷でもないし、彼女にはまだ女性としての価値がある。

エミーはそれと込みで喋れなかった。

家に置くメイドとしては何の価値も無いと言う訳だ。


この女は日に500ナールを稼ぐ事ができる。

20万ナールまでは400日。

客を取れない日もあるだろうし、

病気が悪化して働けなく成るまでを考えても5年あればペイできる。

年齢的にも、まだその位の猶予は十分ある。


妥当な値段であった。

チッ、仕方無い。

彼女を買って薬漬けだ。


字面じづらだけだと酷い奴だな。

とは言え未承認薬の人体実験を行う訳なので、

やっぱり酷い奴だ。


エミーとイルマで失敗する訳には行かないのだ。

悪く思わんでくれ・・・。

奴隷とは違って協力してくれたら後は自由にしてくれれば良い。


「解った、その前に1つ聞かせてくれ。

 お前は娼婦が罹る病に侵されている。

 ここで働いてもお前の命は持って数年だ。

 自分の元で、ある実験に協力して欲しい。

 もっと長く生きられるかもしれない。

 その後は自由にして良い。どうだ?」


「えと・・・ワタシ・・・やパり、ビョきなのカ」

「そうだ、ここはそういった女性ばかりを集めた娼館だ。

 ここに来る客もまた病気持ちなのだ。

 ここで客を取った事があるなら、お前は間違い無く患っている」


「そ・・・ソウな・・・の・・・」


猫人族の女性は初めて知った事実、

いや、今まで考えないようにしていた事実を宣告され、

気を落としているようだ。


娼婦の行く末は厳しい。


病気になって朽ちるか、老いて買われなくなり捨てられるか。

その前に見付けた太客にたっぷりサービスして身請けて貰うか、

脱走して見知らぬ地で何かしらの職に就くしか方法が無い。


仮に娼館から脱する事ができたとしても、

安定した金が得られなければ税金が払えず、

その先は盗賊か奴隷だ。


自分が身請けて好きに暮らせと言った所で、

手に職が無ければ結局はまた同じ所へ落ちてしまう。


悲しい現実だが、彼女達には先を見越せるような選択肢が無い。

その日その時に水面に落ちたわらすがり、

一寸の先も見えない暗闇の中で藻掻き続けるしか無いのだ。


「おっ、おネガします」


この女性は天から伸びて来た1筋の糸を登る事にしたようだ。


「解った。お前を買おう」


アイテムボックスから20枚の金貨を取り出してスキンヘッドに見せる。


「おっ!xxxxxxxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxxxxxxxx・・・」

「xxxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxx、xxxxxxxxx」


元締めの男に金貨が渡され、

スキンヘッドは客を呼び込んだ報酬を受け取ったようだ。

交渉成立だな、多分。


「これで良いか?」

「えっあ、あの・・・」


「良いかどうか聞いてくれ。金は払ったから連れて行って良いのだな?」

「あ、ウン。xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx?」

「xxxxxxxxx」


「xxxxxxxxxxxxへっへっへ」

「イイです」


もう連れ出して良いらしい。


女性を連れて店を出るが、彼らは追って来なかった。

まあ、あちらさんもそういう商売なのだから、

自分が金を持っていると知って襲い掛かって来るような事も無いだろう。

そんな事をしたら彼らは表立っての商売ができなくなる。


盗賊として生きるよりはこの仕事の方がちゃんと収入を得られ、

安定した生活が送れるのだろうな。


「自分はユウキと言う」

「イシャルメダ・・・です」


「お前を身請けはしたが、そのまま手放してもお前は生活ができないし、

 そのままでは税金も掛かる」

「ウン・・・」


「奴隷になれば税金も掛からないし、

 毎日ちゃんとした生活ができるがどうだ?」

「え・・・」


身請けしたらその相手と添い遂げるのが普通だろう。

その際に夫婦となれば3万ナールで済むが、

そうなると自分としては高いので困る。

何とか安く済ませたいので1万ナールにしたい。


「ゆっくり考えてみてくれ、悪いようにはしない。

 ひとまずパーティに入ってくれ」

「う、ウン・・・」


イシャルメダをパーティに入れ、元来た道を戻る。

町の内外を決めている立木の一番太い物に向かってゲートを出し、

イシャルメダにはそこで待つように言った。


「ちょっと待っててくれ、荷物を取って来る」

「ウン・・・」


シュメールの旅亭の机に置かれたフラスコ瓶を持ち、

ドキドキしながら彼女の元に戻る。


人体実験だ。

仮にカビの毒素が取り切れていなければ、彼女は最悪死亡する事になる。

いや突然死ぬ事は無いにしろ、

高熱が出たりのた打ち回るような痛みがあったり、

どうであれ彼女には苦痛を強いる事になる。


全てを話し、同意を得た上で行わねばならない。

申し訳無いが、拒否はできない。

知った上で生かしても置けない。

奴隷の件は良いとして、薬の実験に付いては完全な同意を得たい。


準備はできたので、彼女を迷宮に送る。

まずはスローラビットだ。

どういう訳かダイダリもトラッサも、スローラビットは9層であった。

最悪4匹が出て来てしまうかもしれない。


確かホドワが7層だったかな?

しかし一度も行った事が無いので、ホドワに入れるとしたら1層のみだ。


面倒だしダイダリで宜しかろう。

一度に沢山出て来たらデュランダルで葬るだけだ。

イシャルメダを連立ち、ダイダリの迷宮横の大木に出た。


「イシャルメダ、まずはお前の病について説明する」

「ウン・・・?」


「娼婦の病、花の病とも言われるが、調べる方法は知っているか?」

「えと、シらないです・・・」


「簡単だ。迷宮に出て来るスローラビットと言う魔物がいる。

 これに病に侵されていた者が血を掛けると緑色に変色する」

「そなノ?」


「まずはその検査をしたい。

 お前の血を少し貰う事になるが安心しろ、直ぐに治療する」

「うっ、ウン、ワかっタ」


イシャルメダを連れて迷宮へ。

9層へは・・・一度アナに送って貰った事があるので問題無い。


アナのように効率良く探せないので、全てが手探りだ。

ウロウロとあちこち回ってようやくスローラビットが見付かった。

オーバードライブで駆け出してスローラビットを叩く。


以前トラッサで戦った際は通常攻撃で7発と思ったが、

現在は1発で煙と化してしまった。

探索者Lvが相当上がっているのに加えて、

オーバードライブで強化された分の補正もあるのだろう。

余りに余裕があり過ぎて、もう1匹も効果時間中に葬った。


出て来たスローラビットは3匹だったのでこれでゆっくり実験できる。

残った効果時間で、スローラビットを後ろから押さえ付けた。

暴れたり噛み付かれないように、首元を後ろから抱え込む。

しかしこれでは手が塞がってしまって色々できない。


再びオーバードライブだ。

アイテムボックスから木の矢を取り出し、口に咥えた。

デュランダルは危ないので消す。


「イシャルメダ、この木の矢を取ってお前の腕に刺せ。優しくで良いぞ?

 血を付けたら、このスローラビットに刺し込んでみてくれ」

「う、ウン・・・」


イシャルメダは恐る恐る矢じりの先端を腕に近付け、優しく突き刺した。

エミーやイルマが豪快にブッ刺したのとは違い、

イシャルメダは相当安全マージンを取っている。


奴隷とそうで無い者との違いか?

奴隷であれば命令には逆らえない。

いや、度胸の差だろうな。


イシャルメダの腕からはほんの少しだけ血が出ている事を確認したので、

それで良しとした。


「その血をできるだけ先端に付けて、この魔物に刺せ」

「う、ウン。ドこでもイイ?」


「背中辺りを横からが良いだろう。

 真正面からだと暴れて噛み付かれるかもしれない」

「わ、ワかタ」


ジタバタと暴れるスローラビットは、小さい体で意外にも反動が大きく、

油断をすると手から抜けて飛び出して行きそうである。

イシャルメダに被害が及ばないように、

矢を突き刺すその時は更にきつく体を押さえ付けた。


「これで・・イイ?」


矢はしっかりとスローラビットに刺さるが、

暴れて飛び出して行ったり、

イシャルメダが引っ掻かれるような事は無かった。


やはり、押さえ付けているとは言え魔物相手に真正面は怖い。

兎キックと言えども爪はあるので、掻き毟られたら相当痛いだろう。

そもそもタックルは鉄球のように重かった。

自分はLv差があるので平気かもしれないが、

イシャルメダは村人Lv1だ。


一応探索者にして置いてやるか。

何も補正が無いよりは良いだろう。


勝手に人のジョブを変更するのはどうこうとか言って置きながら、

自分の利便性だけを考えて勝手に人の職業を変更してしまう男。

それがこのユウキである。

あ、後で戻せば良いんだよ!


スローラビットは緑色だ。

まあ、そうだろうな。


「イシャルメダ」

「わ、ワかテます・・・ワタシ、ビょきネ?」


確認ができたので後はもう不要だ。

オーバードライブしてデュランダルを取り出して切り捨てた。


「では戻ろう」

「えっ?あっ、アレッ?・・・ウン」


戻る、といってもシュメールの宿には上げられない。

プタンノラの宿に連れて行ってもひと悶着在りそうだ。


それに自分が連立った女性がいつの間にか亡くなったとあれば、

ナズやアナたちが恐怖するかもしれない。

彼女の事は知らない方が良い。


とすれば、やはり別の拠点で彼女を保護する必要がある。

んー・・・トラッサかな?

あの旅亭に置いておけば、食事は自室に持って行けるしそれで良いや。


かつて初めて自分がこの世界で拠点としたトラッサの旅亭。

家を手にした後にはもう用も無いかと思っていたが、

自分はこうして再び戻って来てしまった。


ある意味初心に戻ったと言うか、原点回帰と言うか。


別に人生に悩んでいる訳でも何でも無いが、

ただ単に始まりの地へ戻った事に対する懐かしさと嬉しさが、

ご褒美であるかのように感じられた。

∽今日のステータス(2022/04/25)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv65

  設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(30)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)

     神官(42)博徒(37)


 ・BP163

   キャラクター再設定   1pt   詠唱省略        3pt

   獲得経験値上昇×20 63pt   メテオクラッシュ    1pt

   必要経験値減少/20 63pt   ガンマ線バースト    1pt

   6thジョブ     31pt


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv65

  設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(30)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)

     神官(42)博徒(37)


 ・BP163(余り1P)

   鑑定          1pt   獲得経験値上昇×20 63pt

   キャラクター再設定   1pt   6thジョブ     31pt

   パーティー項目解除   1pt   ボーナス武器6    63pt

   パーティージョブ設定  1pt   詠唱短縮        1pt



 ・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)

     金貨 67枚 銀貨 35枚 銅貨 76枚


   身請け

    イシャルメダ          金貨20枚


     金貨-20枚

  ------------------------

  計  金貨 47枚 銀貨 35枚 銅貨 76枚



 ・収得品

   ウサギの皮    ×  3



 ・異世界83日目(10時頃)

   ナズ・アナ78日目、ジャ72日目、ヴィ65日目、エミ58日目

   パニ51日目、ラテ30日目、イル・クル27日目

   プタン旅亭宿泊13/20日目 シュメ旅亭宿泊13/20日目



 ・ダイダリの迷宮

  9 スローラビット    /  ラピッドラビット












~蛇足のコーナー~


「女を探してるのか?」



「ブラヒム、バルド、バーナ、スラク」

「何言ってんだ?」


「ブラヒム、バルド、バーナ、スラク」

「アーッ、人間じゃねえのかよ参ったなこりゃ・・・」



   ***



「なんか客みてぇなんですが人間族語通じない変な奴でして」

「耳の短いエルフか背の高いドワーフか?」

「パッと見人間ぽく見えたんですがね。話できる奴連れてきましょ?」



「・・・何か変な事やってんな」

「あ!もしかして選びたい種族じゃ!」

「うーん、狼人族か猫人族かドワーフ・・・は居ねえな。後は解らねえ」

「こいつ狼人族なんですかね」


「ま、良く判んねえが客なら女見せれば良いだろ。ズールかイシャルメダかサンドラを呼べ」

「アイッ、取り敢えず1人連れてきます」



   ***



「解った。お前を買いたい、そう伝えてくれ」

「ハイ、わたシ、ヒトばん500ナール」


「あー1日では無い。お前の全てを買いたい、そう伝えてくれ」

「ええっ!?あ、あの・・・」


「良いからそう言え」

「ハイ・・・ハイ。

 ワタシ、キョウ、チガウ。ゼンブ、ホシイ。イウ。ワタシ、イク、オニィサン、イエ」

「はぁ?身請けしたいってか?」

「コイツ金持ってるようには見えないんですがね」

「ガキはこれだからよ」

「おい、売るのは無理だ。諦めるように言え。わかるか?ムリだ」



   ***



「あ、あの、ワタシ、ウるのできナイって」


「金はある。言い値で良いと言ってくれ」

「え、あ、あの・・・」


「早くしてくれ」


「オニィサン、ワタシ、カウ。オカネアル、スキナダケ」

「コイツそんな金持ってんのか?」

「どこぞのお坊ちゃんなんですかねえ」

「まあそうだな・・・20万ナールなら売ってやって良いぞ」

「20万ナールも持ってるんですかねぇ・・・このガキ。へへへへっ」

「20・・・万・・・ナール・・・」



   ***



「おっ!ほんとに出しやがった」

「金持ちのガキには見えなかったが・・・」

「どうぞ確かめてくだせえ」

「本物の金貨だな、間違いねえ」


「これで良いか?」

「えっあ、あの・・・」


「良いかどうか聞いてくれ。金は払ったから連れて行って良いのだな?」

「あ、ウン。ワタシ、オニィサン、イエ、イク、イイカ?」

「おう、好きにしろ」


「たっぷり可愛がって貰えよ、へっへっへ」

「イイです」

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