表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第一章 旅立
3/394

§002 推測

「あの世界」に行くためには、ミチオ君と同じ設定を辿る必要がある。


同じ設定をしても全く同じ世界に行ける保証は無いし、

似たような違う世界、同じだが時間軸が違う世界、

同じ時間軸だが他の誰とも共有しない、自分だけの世界の可能性もある。


できればミチオ君の後を行きたい。

全く同じ世界で、同じ時間軸で、

可能であればミチオ君にも会ってみたい。


目標は色々あった方が良い。


悲観的だった自分の人生に、久しぶりに充実した目標ができた。

未来への希望があれば、人は幸せなのだ。


  ──ミチオ君と同じ世界を選ぶ。


それは難しい事だ。

あの世界の名前が何とかで、

選択後にその結果が表示されるならともかく、

どの設定項目も、大雑把でいい加減なのだ。


その辺りもあの小説の中では緩く説明をしているだけで、

具体的な設定値は明かされていない。

そもそも誰かが後を追うだなんて事を、作者は想像しただろうか。


ある程度は推測でやって行く他は無い。


「世界」──は「剣と魔法」だろう、間違い無い。

 大航海と海賊やら近未来のSFでは絶対無いと言い切れる。


「人種」──「人間と亜人と獣人」これも間違い無い。

 残りの選択肢は「人間のみ」と「人間と亜人と機械」だったからだ。


「文化」──「少ない」のか「やや少ない」のか、

 マヨネーズが無かった位だ。

 少ない側だろう、決して「多い」側では無いのだと思う。


 ミチオ君はあの世界の半分も冒険していないはずだ。

 遠くの地「カッシーム」と言う名の地名は出て来たが、

 そこまでの半分以下しか踏破していない。


 世界は広く、無数の文化が未だ交わっていない可能性もある。

 ここは「やや少ない」に設定してみようか。


「戦争」──これは判る。

 迷宮と言う人類共通の敵に対して、

 戦争なんてやってる場合では無い。


 実力者が討たれてしまっては迷宮の台頭を許し、

 すなわち人類の敗北を意味する。

 有っても小競り合い程度だ、「少ない」で確定だろう。


「資源」──「多い」のでは無かろうか。

 迷宮からは豊富に鉄やら食材が湧く。それも無限に。

 これは「多い」以外に無い。


 あれで「少ない」のならば、どれだけ消費人口が多いのだ。

 町や街道に家がひしめき合っていた描写はなかった。


「男女」──あの世界では男も女も迷宮に行く。

 戦争や争い事が多ければ、家で子供を育てる女性が多くなる。


 文化が多くなれば人は寿命が延び、

 労働をする人より家庭を守る人の方が寿命は延びる。

 つまり女性が多くなる。


 近未来の世界なら男女同権が進み、

 男女差は無くなるかもしれない。


 自然出生比は105:100と習った事がある。

 何も無ければ男性の方がわずかに多いが、

 基本寿命のせいで(高齢だが)女性がやや多くなる。


 「あの世界」に於いていうなれば、

 女性が結納をするとか言っていた気がする。

 女性が多く立場が弱い「選んで頂く側」なのだ。


 消去法で「男<女」となった。


ここまで設定していくうちに、

最後の「言語」の項目が設定を弄る度に変化している事に気付いた。


判っているのは2つ。

作中に出て来たのは「ブラヒム語」と「バーナ語」だ。

この2つが一致すれば概ねあの世界と同一と考えて良いのではなかろうか。


今のままだと「ブラヒム語」はあるが、

「バーナ語」は表示されていない。


設定を間違えたか。

文化を「少ない」に変えたところ、「バーナ語」が現れた。


これで正解か?


いや「男女」の項目は設定しても変わらなかった。


男<女、男=女ではバーナ語が残るが、

男>女ではアルキトラ語に変わった。


どちらを選んでもバーナ語がある世界に行けるのか?

それとも似たような別の世界か。

同じ世界の、誕生地が違うと言う線も考えられる。

設定値により誕生地が変化する事で、

使用する種族が多い言語が表示されている可能性が高い。


この2つの言語が一致した所で、

他の言語が違っていれば同じ世界にはならないかもしれない。

しかしどうやっても検証はできないのだ。

ミチオ君が適当にやったせいで。


イチかバチか「男=女」にしてみた。

どちらかが多くても世界は混乱するだろうし、

どうせ間違ってしまうなら安定している世界が良い。


「言語」──ミチオ君は「何だこれ?」と言って碌に設定をしなかった。


実際、読者であった自分だって何だソレだ。

だけど・・・発見してしまった、複数選べる事を。


ミチオ君は解からないからと、そのままにした。

しかし複数選べるといっても、

それが何の言葉であるかは推測すらできない。


取り敢えず「ブラヒム語」(共用語)「バーナ語」(獣語)は選んでみた。

物語にも登場したため判る。


「バルド語」とは何だろうか。

何となく勇敢そうだしドワーフか、竜人族か。


語感のカッコ良さだけでチェックしてみたが、

今この時点で何かしらの言語を習得したような様子はなかった。


「スラク語」を選ぶと、残り2つがグレーアウトした。

選べなかった残りは「ドリード語」「サリニク語」だ。


結局これが何の言語であろうと、

解らない物は解らないし、もうどうしようも無い。

少なくともミチオ君よりは多言語を理解できる、

そのマージンだけで充分だ。


後はボーナスポイントを決めるルーレットがあるはずだ。

最大値である99が出るまで回す。


画像認識と自動化ソフトを使えば勝手にやらせる事もできるが、

なにせこの画面以外は固まって何も受け付けないのだ。

手動で、目視で、根性でやるしか無い。


そもそも自殺をしそうな程に困窮している奴に、

99が出るまで回すデスマーチなんて嫌がらせにも程がある。


人生に於いてサクッと99が出ないからこそ、

自殺したい程までに追い込まれたのだ。


とは言え異世界ルールに突っ込みを入れても無駄である。

せめてこの間に勝手にやってくれそうな事をやって貰おう。


お宝データが詰まった外付けドライブを

スマホに繋いで物理フォーマットを始めた。


最近のディスクは容量が大きい。

物理フォーマット完了まで12時間と出た。

もっと早くやっておくべきだった。

今からスマホが12時間使えないのだから。


晩御飯も用意する。

と言っても袋麺をお湯で湯がくだけだ。


こちらは直ぐに終わったので

ラーメンを啜りながらルーレットを回す。


深夜2時になった所で疲れを感じたので、

今日の作業はここで終了にした。


一晩寝て画面が消えていたらどうしよう。

ショックはショックだが、その時はその時だ。

運が無かったと思って諦めるしかない。


しかしボーナスポイントをケチったせいで、

あちらの世界でうまく立ち回れなかったとしたらその方が損だろう。


眠たくなってベッドで横になったのに、目を閉じても眠れる気配がしない。

明らかに高揚している。

気分が高まり過ぎて寝付けない。

しかし、まぶたは今日は閉店だとシャッターを下ろしてしまった。


仕方無い。

いつも通り頭の中で、ロクサーヌやセリーが暮らす世界を冒険した。



   ***



今日の妄想はいつもと少し違っていた。


いつもは自分がミチオ君になったつもりで、

他のハーレムメンバーたちと一緒に生活をする妄想だった。


今日は彼らと一緒に自分のパーティメンバーたちが、

ベンチに座って話している姿が自然と出て来たのだ。


いつか会えるかもしれない。

自分の奴隷、自分の生活、知らない場所、気になっていた事。

全てを自分の手で解き明かしてみたい。


小説の中では語られない事が沢山あるのだろう。

あの世界のことわりを、もう少しだけ紐解いて肌で触れてみたい。


その妄想はもはや生活すると言う視点から外れ、

あの世界で、どんな事をやってみたいかに据え置かれた。


期待もあったが、不安もあった。


何より科学技術は進んでいないし、

変な実験を繰り返して行けば、吊るし上げられたりするかもしれない。

現世での知識や技術、道具を持って無双したら目立つだろう。


尊敬では無く奇異の目で。


あっと言う間に殺し、殺されるような世界なのだ。

悪目立ちしない程度にちょっとだけ得をしながら、

こっそり生きていく事が無難だ。


この世界には無い幸せがきっとある。

いやどんな世界にも幸せはあるのだろうが、

少なくとも現代の日本では手に入らないモノが沢山あるはずだ。


そんな事を考えているうちに、やっと自分の意識は微睡まどろんだ。

∽今日の戯言(2021/07/21)


文章を作ってから、その回のタイトルをつけています。

何処をピックアップするかは適当です。


適当すぎて、余り焦点にしなくてもいいような

変なタイトルがついてしまったりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >そもそも自殺をしそうな程に困窮している奴に、99が出るまで回すデスマーチなんて嫌がらせにも程がある。 >人生に於いてサクッと99が出ないからこそ、自殺したい程までに追い込まれたのだ。 感心…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ