§276 酩酊
朝、暑くて寝苦しく、隣で眠る2人からの熱量もあって目が覚める。
かなりの早い時間の目覚めだが、不思議と怠さは無い。
その代わりに喉が渇く。
こちらの旅亭は食事を取っていないので、飲料などは何も無い。
何か欲しければ一旦プタンノラ側の旅亭に戻るしかないのである。
蒸し暑さの正体は昨夜遅くから降り始めた雨だ。
食後に2人を可愛がっていた辺りから窓を叩く雨音を聞いていたが、
その後から今まで夜通し降っていたようだ。
まさしく梅雨の末期のような重怠さと不快感が、
暑さと湿気により齎されている。
一刻も早く移動したいが、まずは2人の隣人と挨拶からだ。
勝手に抜け出して水を飲んで帰って来たら、また2人の猛攻を受ける。
まずはナズを揺さぶって起こし、軽めにキスをする。
当然アナは既に目覚めている訳で、
主導権を取られないように注意しながら軽めのキスで留めた。
ふー、朝のミッションは完了した。
これでようやく堂々とゲートを出して、旅亭の移動を行える。
プタンノラの旅亭もムッとする熱気が籠り、
たとえこちらであっても寝苦しい夜だったのだろう。
この国の町民たちは皆どうしているのだろうか。
水瓶からコップに水を注ぎ、温めのハーブティで喉を潤す。
水は旅亭から支給されているが、
本当いつの間に茶を沸かしているのだろう。
「おはようございます、もうお時間でしょうか」
「・・・はよう・・・ざいます」
口調からして今起きた感じでは無く、
横になっていただけのイルマが体を起こしてお辞儀する。
続いてエミーも。
この状況では寝苦しかろう。
不快感で目が覚めてしまったのは自分だけでは無かったようだ。
「寝苦しかったか?今日は暑いな」
「そうですね、いつもよりは早く目が覚めてしまいました。
ご主人様の向かわれた旅亭でもこのような状態だったのでしょうか」
「ああ、この辺り一帯はこういった気候らしい。この国の人々は大変だ」
「あっ、そういえばご主人様。
こちらの町民は夏用の寝具が別にあるそうですよ?」
「まだ後数日はこちらに宿泊なさるのであれば、
ご主人様もお買い求めになっては如何でしょうか」
「そのような物があるのですね・・・。
私達の暮らしていた国とは何もかもが異なりますね」
えーっと、夏用の寝具か。
・・・ああ、そういえば移動用の掛け布を買った際に、
荒く織られた麻布を敷いて寝るのだとか言っていたな。
確かに通気性が良く、あれならば蒸れないだろう。
では人数分買って来て貰おう。
「ではナズ、アナ、その敷布を、9・・・いや10枚分買って来てくれ」
「かしこまりました」「この先にある商店街で宜しかったでしょうか」
「ええっと、私達の分まで・・・でしょうか。宜しい・・・のですか?」
「宜しいも何も、お前たちは大事な戦闘員だ。
寝苦しくて寝就けず、その結果迷宮でフラフラされては堪らない。
快適な環境を用意する事は大事だ」
「そ、そうですね、申し訳ありませんでした」
と言う建前であるが、皆寝心地の良い方が良いに決まっている。
イルマはお堅い性格なのだし、
ちゃんとした理由があれば従ってくれるのだから、それで良い。
「・・・とご主人様は仰っておられますが、
単にお優しいだけですのでイルマも余計な事を考えなくて良いのです」
「ご主人様は何かお与え下さる際に尤もらしい理由をお付けになりますが、
私達が身構えないためにそれらしい事を仰っているだけですので、
イルマさんも心配はいりませんよ?
有難く頂きましょう。ご主人様は元々お優しいのです」
なっ・・・なんて事を言いだすんだ!
言い包めたと思ったのに、即座に種明かしされてしまった。
と言うかもうだいぶ前から2人はそう思っていた訳だ。
これはやり難くなってしまった・・・。
流石に与えられて当然とまでは思っていないだろうが、
素直に頂く事が最善と思ってはいる。
それを・・・イルマに教えた。
そうか、イルマをこちらに迎え入れるとは言った。
ナズとアナ、2人が得た価値観の共有をしている訳だ。
でもサ、それ本人の前で言うか?
結局の所、屁理屈は通じませんよと牽制されてしまった。
これからは2人・・・いや3人には、
自分の思った心情を正しく伝える必要が出て来た。
煽てて乗せて、コロッと騙されていたナズはもう居ない。
高級ドレスにあたふたと慌てるアナももう居ないのだ。
と言うより最初からアナは自分の言動に懐疑的であった。
2人の仲は当初から良かったようなので、
自分が知らぬ間にこれまでの待遇の見解を擦り合わせたのだろう。
アナは人を良く見ているし、ナズは人当たりが上手い。
2度同じ手に乗らない、いや乗せられた振りをしていた可能性がある。
恐ろしいな・・・この2人にはもう何もかも隠し通す事ができないのだ。
今後はそれが3人になる。
先に言って置こうか。
「あー、例えそう思っても他の者の前でそういう話はしないでくれ。
その・・・何て言うか、威厳・・・そう、威厳に関わるので」
「あっ、そうですよね、申し訳ありませんでした」「かしこまりました」
「わ、分かりました。エマレットも、良いですね?」
「(こくっ。)・・・いじょうぶです」
ただでさえ蒸し暑い部屋に、焦った所為で汗が噴き出て来る。
窓を開けようにも外は雨だし、
せめて通気性でも確保しようかと、
入口の戸と窓をほんの少しだけ開けて空気を通した。
時折通る風の流れを感じて心地良い。
しかしやはり暑いものは暑い。
荷物が多くなってしまったこの部屋に、
寝る時用の敷布を増やせば更に荷物が増える事になる。
恐らく帰る時には荷物が一杯で大変だ。
自分達が元々家から持って来た引っ越しの荷物の他に、
魚骨酒の大瓶やら生ハム原木も結構なサイズだし、
彫り進めた木の板はもう15枚だ。
これらはアイテムボックスに入らなくなってしまったし、
かと言って捨てる訳にも行かない。
ラティが描いた地図の原本や、
刷った地図を保管する木箱も5つ重なり合っている。
削った板は鍛冶の材料としても使えなくなっているので、
失敗した物は燃やすしかないのも困りものだ。
完成品だって全て手運びで持って帰る必要がある。
更にこれ以外にシュメールの旅亭にはガラス器具が置かれている。
本当に荷物が増えたな。
幾つか持って帰りたいが、まだ自宅は完成していない。
せめて入り口の扉を先に付けて貰い、
鍵でも掛けてくれれば荷物だけでも持って帰れるのに。
そういった部品を作るには工期があって、
決まった日取りで用意しているのだろうから、
先に扉だけと言うのも難しいのだろう。
資材を運び入れるに当たり扉があっては邪魔なのだし。
***
食事後は今日も版画作業だ。
ナズとジャーブが彫り進め、ラティは地図を板に写す。
写す際に反転する必要があるため、
階層が進んで更に複雑になった反転写しは他の者では上手くできなかった。
やはりラティは空間認識能力があり、絵図の才能があるようだ。
印刷をするのはパニとアナ。
アナがインクを、パニがパピルスを載せてインクを伸ばして剥がす。
疲れたら交代をしているようなので、
これから暫く2人の作業は主にこれだろう。
刷りあがったパピルスはヴィーが床へ並べて乾かしている。
更にヴィーは画版の掃除だ。
版画板の溝に残った余分なインクを落とさないと、
印刷面が真っ黒になってしまうらしい。
印刷用インクでは無くって質の悪い筆記用インクなのだから仕方無い。
エミーは水桶を変えたり雑巾を拭ったり。
パピルスの補充やインクの買い増しも行っている。
それぞれがそれぞれ得意な、
或いはできる範囲の場所に収まった形となった。
誰しも得手不得手はあるはずなので、
無理無く仕事を進めて貰えればそれで十分である。
自分は製薬の作業を進めるため、今日はカビの苗床を用意したい。
エミーには先日小麦粉を買って来て貰ったが、
もしかして米の方がカビも発生し易いのかと思い、
食料品店に向かって米の方をお椀2杯分買ってみた。
直ぐカビてしまうから輸出に向かないと言っていた事を思い出したのだ。
と言っても旅亭では煮炊きするような場所は無い。
サンドラッドでは無理を言って借りたが、
あの時はかなり無理を聞いて貰えたのだと思う。
エミーはここプタンノラの旅亭でも厨房を借りて、
勝手にハーブティーを煎れているようだし、
流石にこれ以上迷惑は掛けられない。
五徳も炭もあるので、迷宮に持ち込んでそこで煮炊きを行う。
一体この世界の誰が迷宮内で自炊を始めた事だろう。
恐らくこの世界初だ。
世の先駆者となった事に対して、何ら誇りも自慢も無い。
寧ろ見付かったら馬鹿にされて末代まで語られそうである。
「はぁ・・・」
1人ぽつんと迷宮の中間部屋で米が緩くなるまで煮る冴えない男。
それがユウキである。
大体、奴隷9人も抱える主人のする事では無い。絶対に。
ミチオ君の物語は華があって起伏に富んで映えもあったが、
こんな自分を物語化したとしたら失態だらけで失笑モノだ。
彼はハーレム、
自分は飯盒。
彼は行く貴族。
自分は家無し根無し草。
異世界迷宮で無双どころか自炊だ。
侘し過ぎて悲しい。
あっ、ぐつぐつ煮えて来た。
今回は粥を作ってペースト状になった糊の苗床で培養したいので、
赤子が喚く前に火を止めて終了だ。
煮えたばかりの粥は熱過ぎて鍋すら持てないので、
アイスウォールを出して削って入れれば宜しかろう。
消火もウォーターウォールで良いし、魔法って便利だ。
こんな場所でも炊事ができる。
洗濯だってできない事は無いし、お風呂は無理でも体位なら拭ける。
あれ?
魔法があれば迷宮の中で生活できないか?駄目かな?
中間部屋で敷き布を敷いて寝てる間に、
死んだと認識されて飲み込まれてしまうのは御免蒙る。
そろそろ良いだろう。
ウォーターウォールを出し掬って水を掛け消火し、
更にアイスウォールを出してデュランダルで削った。
これを鍋に投入だ。
はー、もう何だか。
ボーナス武器をドアストッパーに利用したり床板を抜いたり、
畑を耕したりと、これまでも碌な使用をしていない。
この世界を作った神様に怒られそうな勢いである。
カルクに至っては完全に電卓代わりとして使用しているし、
英雄も勇者も、合わせてセットのタイムストップ機能だ。
あ、これは戦術として使っているので良いのか。
冷めた五徳と鍋を拾い上げ撤収の準備を始める。
床には炭が散乱して煮炊きの痕跡を残してしまっているが、
どうせそのうち吸収されて消えるだろう。
この世界のゴミは迷宮に捨てれば良いらしいので、
ある意味究極のエコだとは思う。
有害物質だって核のゴミだって、暫くしたら消えるんだろ?
・・・迷宮は生物だと言っていたよな。
ごみを捨てて吸収された場合、迷宮は体内に毒素を含むのだろうか。
迷宮と言う生物自体が被爆して死んだり、
通路が核物質で構成されて移動する者まで被爆するとか・・・。
これはいけない、現代知識を持ち込んでは。
この世界には無い物だ、良いね?
***
程々に粥となった液体は十分煮沸消毒されているはずなので、
このままシャーレに分けて行く。
5つのシャーレに半分程度の嵩まで入れた後、
青カビの元株を5つに割って漬け込んだ。
昨日今日は蒸し暑く不快な気温だったのだから、
もう3日もあればカビだらけになるだろう。
培養が楽しみだ。
ジャーブも畑仕事が楽しいと言っていたが、
自分で育てた物が有効に使われると言う事実は、
やはりやりがいを感じる。
うーん。
となると、ラティもそろそろやりがいを感じても良いはずなんだが・・・。
そうか、刷り上がったパピルスの束をラティは知らない。
ずっとパピルスから木の板へ複製をして彫っているだけだ。
昨日は8層まで裏表が仕上がっており、
パニが続きを行って9層まで仕上がっていたはずだ。
ともすれば今日は11層までが完成するはずなので、
これを製本したら浅階の1層から11層までの冊子が完成する。
製本と言っても、糊で端を軽く止めてばらけないように抑えるだけだ。
初版なのだし大雑把に作ったサンプル品で良い。
30部できるはずなので、完成次第ダイダリの迷宮前で売ってみよう。
この国では許可無く商売をしても罰せられないはずだ。
本来はどこでも自由に商売をして良い事となっているからこそ、
シュメールの城内に入った際には忠告を受けたのだし。
ウキウキしながらシャーレのガラス蓋を落とした。
勿論手指や蓋はアルコールで消毒をした。
ここで雑菌が入って無駄になっても困るので。
ついでにアルコールの蒸留も進めて置く必要があるかも知れない。
無いかも知れない。
現状でペニシリンっぽい物は作成できているようであるので、
余計な事はせずに必要となった時考えれば良いのかもしれない。
注射ではなく別の手法で薬剤を入れる事にしたので、
消毒のためわざわざアルコールで腕を拭く必要も無いのだ。
別に必要ならばそのまま酒を直接肌へ掛け流しても良い。
一応切り裂く時に使うナイフは消毒するが、
それも炙って加熱消毒すれば十分だろう。
傷跡が手当てに依って100%治癒できると言う事実が、
現代医学の常識を軽く超えて行ける。
他のガラス器具を迷宮に持ち込んで煮沸消毒をして戻した。
現状簡単に滅菌できる便利な魔法がある事は、
そういった物の必要性を更に下げているのだろう。
ひと仕事終えたんだから、
フローダルの銘酒バンディールの30年物とやらを1杯頂きたい。
ずっと気になっていたのだ。
魚骨酒もそれはそれで旨かったが、
同じかそれ以上の代金を払ったこの酒の味に、
興味を抱かないはずが無い。
と言っても酒を注ぐ入れ物も何も無いので、当然ビーカーである。
マッドな科学者が朝のコーヒーを丸底フラスコとガスバーナーで作り、
ビーカーで飲んでいる姿は漫画やアニメの定番スタイルであった。
まさか自分でそれを行う事になろうとは。
中身は酒だが。
科学者でも何でも無いのだが。
まずはビーカーに振られた1メモリまで酒を注ぐ。
ビーカーには1ポットずつにメモリを振って貰っている。
メモリは5つあるので最大5ポットまで量れて、
恐らく容器一杯まで居れたら満水が6ポットだ。
いっただっきまーす!
──コクッ。
喉が焼け、胃がビックリして、目もチカチカ、頭はフラフラだ。
こんな物グビッとは行けない。
凄いな、ペイルネッタは。
彼女はエルフだったぞ?
薄めずにそのまま直接飲んで、おいしいと言っていた。
・・・どう考えても同僚であるバラエボのせいだろうな。
同僚が酒飲みならそういった席で酒を注がれ、釣られて飲むようになる。
段々と鍛えられれて酒に強くなる訳だ。
そういえばバラエボは職場でも水代わりに飲んでいた。
・・・恐らくペイルネッタも。
一般的な人間である自分にこれをストレートで行くのは厳しい。
そこはロックで。
丁度氷は幾らでも出せるのだし、
チョチョイと迷宮で出して削って来るだけだ。
洗浄したビーカーに注いでカラカラと回して薄めた。
高級で酒精の高い酒を一流ホテルの一室で1人静かに飲み耽る。
字面だけでは優雅に見えるが、手に持つ器はビーカーだ。
本来液体を別の容器へ注ぐための絞り目からは、自分の口へと注がれる。
頼んで振って貰ったメモリは溶液の量を計る1ポットでは無く酒の量。
見た感じ氷を入れた状態で3ポット分ある。
これを飲み干せばオリーブオイル3つ分、3倍に薄めた格好だ。
どうでも良いな。
摘まみが欲しくなったのでプタンノラへ戻り、
エミーに頼んで生ハム原木を切って貰った。
仕事を任せて酒盛りをする訳だ。
自分だけ食べるとなると後ろめたいしヴィーの目線も鋭く付き刺さるので、
隣の部屋の分も含めて9人分、3切れずつカットして貰った。
皆突然のご褒美に沸いたが、済まんな・・・。
自分はこの後1人で酒盛りだ。
良いだろ?その位。
ここまでずっと、ノンストップでやって来たんだ。
優雅な1日位過ごさせてくれても。
既に焦点が合わなくなった目を擦りながら、
ゲートを繋いでシュメールの旅亭に戻った。
生ハムを指で摘まんで少しずつ味わいながら、
ビーカーの中の氷をカラカラと回してひと時を楽しんだ。
*
*
*
「・・・ウキ様、ユウキ様?」
揺さぶられて目が覚める。
ええっと・・・ここはシュメールの宿だから、
揺さぶって起こしたのはナズ・・・では無くパニだった。
そうだな、プタンノラからシュメールへ飛べるのはパニ以外に有り得ない。
連れて来た可能性もあるが、どうやらここにはパニ1人しかいないようだ。
「んあ・・・ああ、済まない。ちょっと寝てしまったようだ。
・・・どうした?」
「あの、はい。お食事の時間が過ぎていますが、
ご主人様がお戻りにならないようでしたので皆心配しておりました。
お休みの所を申し訳ございません。
ナズ様から起こして来るようにと申し付けられましたので、
このように失礼させて頂きました」
「あー、そうか、済まん済まん。酔いが回って寝てしまったようだ。
食事の時間だったか、みんな待たせてしまって済まんな」
「い、いえ、大丈夫です。どうぞ、ご案内致します」
1杯目は割とすんなり飲んでしまったので、
お代わりして2杯飲んだところまでは覚えている。
食べ掛けの生ハムは残り1切れの1/4位になっているが、
酔いが回り過ぎてベッドに突っ伏したようだ。
体を起こして目を擦る。
頭がグルグル回っているので、まだまだ酔いは残っているようだ。
気持ち悪さも若干あるので、ゲートをくぐってまずハーブティーを頂いた。
「遅くなって済まない、頂きます」
「「「「いただきます」」」」「あ、は、はい、いた・・・(ダキマス)」
そもそもがフラフラであったので、
とてもじゃないが座って食事をできるような雰囲気では無い。
ナズがぼんやりブレて見える。
アナの尻尾は4本に見える。
あっ、こら、動かすな、見てると気持ち悪くなって来る。
「す、済まないが、そのまま食べてくれ。自分は寝る」
「大丈夫でしょうか、ご主人様?」
「こちらでお休みなさいますか?」
「いや、大丈夫だがフラフラなのでな・・・。
また後で起きるのも大変なので自分のベッドで寝たい」
「そ、それではまた宿までお送り致しましょうか?」
「いや、良い。ナズは食事を続けてくれ。コップを1つ貰うぞ」
自分で水差しからハーブティーを注ごうとしたが、
足元がおぼつかずにフラフラしたのでイルマへ任せた。
先程1杯飲んだばかりだが、まだまだ渇きは癒えない。
もう1杯飲み干して更に1杯を注いでシュメールの旅亭に戻った。
ばたりと布団に倒れ込む。
目が覚めてしまったので即眠りに落ちるような事は無かったが、
ぼやぼやする状態である事に変わりはない。
調子に乗って2杯も飲んではいけなかった。
相当に酒精が強そうだ。
そりゃそうだよな、火が付く位なのだし。
地球でも火が付く酒は相当に酒精が強い。
スピリッツはアルコール度90以上だとか言う。
流石にそこまでの物では無いとしても、
ウォッカやブランデーならば50度はあるはずだ。
対してビールは2度から3度。
とすると2ポット分のバンディールはビール換算で50ポット、
あのビーカーのメモリ一杯までを10杯分呑んだ事になる。
そりゃぶっ倒れるわ・・・。
エルフもドワーフも異常だろう。
モヤモヤしているとゲートが開き、
アナが食事のトレイを、ナズが水差しを持って来た。
さらにイルマは空の桶と手拭いを持って来た。
「ご主人様のお食事と、飲み物をお持ち致しました」
「気分が優れないご様子でしたのでまずはお休み下さい。
ご機嫌が良くなりましたら、お食事を召し上がって下さいね?」
ビーカーから零れる酒の匂いに直ぐ2人は気付いたようだが、
そのままベッドへ寄り添うと3人で横になった。
これは心地良い。
イルマは来て直ぐ水を汲みに出て行ったようだ。
暫くして戻って来ると自分の額には濡れタオルが乗せられ、
イルマは空いたベッドへ座って休む事にしたようだ。
「ありがとうイルマ。とても心地が良い。このまま休ませて貰う事にする」
「はい、ごゆっくりお休み下さい」
病気でも何でも無い只の酔っぱらいなのだが、
たまにはこうしてぐうたらしたって良いじゃないか。
美女3人に添い寝されて、幸せなまま再び眠りに就いた。
∽今日のステータス(2022/04/13)
・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)
金貨 74枚 銀貨 9枚 銅貨 19枚
酒場代 (12й)
オーレズ ×2 12
銅貨-12枚
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計 金貨 74枚 銀貨 9枚 銅貨 7枚
・異世界80日目(朝)
ナズ・アナ75日目、ジャ69日目、ヴィ62日目、エミ55日目
パニ48日目、ラテ27日目、イル・クル24日目
プタン旅亭宿泊10/20日目 シュメ旅亭宿泊10/20日目




