§275 朗報
「よしアナ、イルマ、帰るぞ」
「もう宜しかったのでしょうか?」
「あの、どうなったのでしょう」
「うん、まあ実験は成功だ。
毒は治せない事が判ったし、毒には成らない事も解った」
「それは何よりです」
「ええっと・・・?」
アナはウサギの皮2枚とコボルトソルトを拾い渡して来た。
ワープでゲートを出し、2人をプタンノラの旅亭に戻す。
しまった、イルマはフラスコとビーカーを持って行ってしまった。
慌てて追い掛け、
2つを回収してビーカーを迷宮で洗浄してからシュメールの旅亭に戻す。
ひとまず生成に成功したフラスコ内の溶液を、
できるだけ安全な状態で保存したいのだが・・・。
蓋付きガラス瓶、作るべきだろうなあ。
ともあれ、アプローチは間違っていなかった。
あの状態で精製を重ね、使用に足るだけの分を量産して行くべきだろう。
版画に関してアナは不器用さを露呈するので、
もう暫くはずっと遠心分離機の作業をやって貰おうか。
それにはカビの培養を急がなくてはならない。
5つのシャーレに分割したカビの株を増やすには、
苗床となる小麦粉の生地が必要だ。
しかしシュメールでは食料品店がどこにあるか不明だ。
プタンノラの商店ならばエミーが詳しいだろう。
「エミー、食料品店は解るか?小麦粉を買いたい」
「はい・・・お酒を売っているお店です」
「ああ、あそこか。小さい袋で良いので頼んでも?」
「かし・・・ました」
「気を付けてね、エマレット」
イルマからの抱擁を受けた後、エミーはペコっとお辞儀をして出て行った。
さて、そろそろ夕食のために場所を空けなければ。
「後は手分けして片付けだ。
この状態で夕食が運び込まれても食べられないからな」
「かしこまりました」
「ハーイ」(ヴィー様、せめて分かりましたと・・・)
(えっ、あ、ハイ)
そのまま任せて隣の部屋の様子を見に行く。
既に机の上は片付けられており、
3人で床に散らばった木屑を集めて掃除をしていた。
「お、片が付いたのか?」
「あっ、ご主人様、お疲れ様です。
もうじき夕食かと思いまして中断致しました」
「お帰りなさいませ、ユウキ様。
この通り3人でしたので15層までを彫り進められました」
「ほう?半分まで行ったじゃないか。
とは言うもののここから迷宮が広く複雑になるし、
同じペースで進めるのは難しいだろうな」
「俺もラティ殿も作業には段々と慣れて来ましたので、
以前よりは効率良く行えております。
ナズ殿に細かい作業を担当して頂きましたので、随分早めです」
「そうか、ナズは器用だからな。明日も3人で任せても?」
「はい、私なら大丈夫です」
「俺も他に仕事がありませんし、頑張ります」
「わ、私も、が、がんばらせて頂きますっ」
「この仕事はラティがいなければできなかった。これからも頼むぞ?」
「あっ、あっ、ありが、とう、ございまっ・・・す」
ラティの横に立って、肩を寄せて頭を撫でた。
頑張ったら褒めてご褒美だ。
何が褒美になるのかは判らないが、そのうちラティの好みも判るだろう。
その様子を見ていたナズも後ろに並ぶ。
ラティが解放されるのを今か今かと待ち構えている様子は、
朝のアナを思い起こさせる。
余り待たせるとラティを払い除けて飛び掛かって来そうな勢いだ。
済まんがラティ、今日はここまでだ。
両手を開いてナズを呼び込むと、すっぽり収まるように飛び込んで来た。
丁寧に撫でてやっていると、ジャーブと目が合った。
うん?
ジャーブは撫でらてる事を拒否していたが、
一応何かしら一言あった方が良いのか?
「ジャ──」
「いえっ!俺はその・・・大丈夫です」
「知ってる。お前の褒章はもう目の前だ。もうちょっと我慢してくれ」
「ええと・・・?」
「薬は一応できたようだ。エミーを治せるかもしれない」
「なっ!!!!本当でございますか!」
「馬鹿っ、大声を出すな、シーだ、シー!」
「もっ、申し訳ありませんでした・・・」
「本当ですか?エミーちゃんはこれでもう大丈夫なのですか?」
「薬は概ね作れる事が判ったのだが、安全かどうか調べなければならない。
ナズも見て知っている通り毒素の強い物から作っているので、
仮に少しでも失敗していたら危険だ。それから量が足りない。
作った量は極僅かで、それだけでは恐らく治す所までは至らないだろう」
「そう・・・ですか」
「いえっ、そのような物をユウキ様はお作りになられると判っただけでも、
十分凄い事だと思います。俺は待ちます」
「待つのはジャーブでは無く、エミーなのだが」
「は、はいっ。エミー殿は待ってくれるはずです」
「あ、あの・・・ええと、おっ、お話からすると、そっ、その・・・、
えっ、エミー様はご病気なのですか・・・」
あー、そうだよね。
ラティには全く説明してなかったね。
恐れられるかと思い病気の事は伏せて、触るなと命令しただけだった。
「そうだな。今更で申し訳無いのだが、エミーもイルマも病を患っている。
だから触れるなと命じたのだが、黙っていて済まなかったな」
「あっ、あの、い、いえ、だい・・・大丈夫です」
「一応聞くが、エミーやイルマの血に触れたり体へ接触した事は無いな?」
「はっ、はい、だだだだ大丈夫です」
おいっ!
狼狽えているのか、いつもの活舌が悪いだけなのか、どっちなんだ。
「心当たりがあるなら検査するが、本当に大丈夫だろうな?
ラティの喋り方はいつも不安が残るから、これだけはハッキリしてくれ」
「あ、あのっ!・・・・・・だい・・・(じょうぶです)」
最後が聞き取れない!
不安そのものだ。
「後からラティも感染していましたでは、話にならんからな?
申告するなら今の内だぞ?」
「い、いえっ、ほほ、本当ですっ、さささ触ってませんっ」
焦らすと余計しどろもどろになるタイプだ。
ラティが隠し事をしようとした時は、
真実を聞きだす事は難しいかもしれない。
ラティの恐怖心を解いてやる事も、今後は考えて行かないとだ。
一先ずは信用する事にする。
薬が余れば念のために打ち込んで置いても良いかも知れない。
感染していたら困るし、手っ取り早くは検査すれば良いだけか。
まだ夕食には間もある。
今のやり取りをしていた間にも、こちらの部屋も綺麗に掃除されていた。
後は自由時間にしてやって、自分はガラス器具の追加を注文しに行こう。
ガラスシャーレ5個で培養できる量はたかが知れているのだ。
一度に沢山作るには、もっと多くの量のカビが必要になる。
早速シュメールの旅亭に向かい、
アララビ商店の事務所を訪れ、ガラスシャーレを追加で10個発注した。
出来上がった物を保存するための平底フラスコもだ。
丸底フラスコの図面の下半分をカットするように斜線を入れて、
上に栓をするためのガラスコックも付けた状態で、
図面を渡して発注した。
シリンダーも2倍の長さにした物を発注だ。
現在のシリンダーに入る液体の量では、
安全マージンを取って上下2/3を捨てると、
残りは極僅かになってしまう。
回す労力も半端無く大変だったので、
効率を上げるには元の量を増やすしかない。
それから濾過の工程が多く、その都度器具を洗うと言うのも大変だ。
濾過するに当って専用の漏斗が欲しい。
コック付きビーカーではそもそもの洗浄が大変過ぎた。
これは木製で構わなかったのでこの後ウッツへ頼みに行けば良いだろう。
以上ガラス器具3種とシリンダーケージ1つ、合計4点をお願いした。
一度は作って貰った物ばかりだし、
再度作成するにそれ程時間は掛かるまい。
実績を積むと言うのは大事なのだ。
何事も経験だ。
自分だっていつぞや毒を受けた事に依って学習し、
その後は冷静な対処が出来るようになった。
フィールドウォークで自宅の納屋に飛ぶ。
既に納屋部分は完成していた事を知っているので可能となる芸当だ。
樽もそのまま積まれており、動かされたような形跡は無かった。
建設中の家に入るような泥棒も居まいて。
盗める物と言ったら材木位だ。
2階の方ではドタドタと大工達の駆け回る音がした。
こちらはもう直ぐ夕焼けになりそうな位陽が傾いている。
もう少し遅かったら全員撤収していたかもしれない。
時差が1時間以上ある事をすっかり忘れてしまっていた。
間に合った事へほっと溜息を1つ。
階段を上がり2階を見ると、
これから壁を設置するであろう木枠の骨組みができており、
そこに2人掛かりで木の板を嵌め込んで打ち付けている所であった。
「やあ、頑張ってるね」
「ちぃーっす」
「これはどうもご主人。この一面終わったら帰る所でしたよ。
今日はどうなさったんで?」
「親方いるかな?頼みたい物ができたんだが」
「親方はもう帰っちまいましたねえ」
「俺たちでできる事なら今聞きましょうか?」
「あー、液体を壷や瓶から小さい入れ物に注ぐ時等に使う、
漏斗と言う物が欲しいのだが、解るかな?」
「いや、ちょっと解んねえな」
「ご主人、図面描けるんでしょ、見たら分かるかもしれないからさ」
あー、そうね。
何度も図面を渡しているが、今回は何も持って来ていない。
と言っても書く物は・・・。
「ちょっとそのナイフを貸して貰えるか?」
「これか?ホイよ」
ナイフで木の板へ緩めにガリガリ引っ掻いて漏斗を描いてみた。
こんなんで判る物なのかな?
駄目なら一旦旅亭に戻って書いて来るしかない。
「あー?これはマシュバーハかな?」
「そうだな、多分それだ」
「ましゅ?・・・えっと」
「移し替え具だろ?水とか酒用の」
「おお、そうだな、それだ」
「そんなら雑貨屋に置いてあると思うぜ、別に俺たちに頼まなくっても」
「そうか、済まないな。感謝する」
「あいよー」
大急ぎでホドワの雑貨店へ向かう。
商店街一帯は移動魔法に適している木々が無く、いつも徒歩であった。
折角フィールドウォークが使えるようになったのだし、
商店最寄りのゲートを出せる位置を探して置いた方が良いかもしれない。
知らない状態で一気にワープで飛ぶのは恐ろしい。
そんな事を考えながら軒先を片付けている最中の女将さんに声を掛けて、
ましゅ何とかと注文した。
「えぇっ?えっと、何だい、ます?ナントカって言う水を入れる物?」
「いや、移し替える時にこう・・・、
円錐の形をしていて水が零れないように集める道具だ」
「あー、ハイハイ、マシュバーハね。あるよ、ちょっと待っとくれよ」
ホント、何でこの地域の物品の名称は現地語だらけなんだろうな。
かと思えばモンゴルスープがあったり、ジンギスカンがあったり。
世界の各地ではそれぞれ独自の文化があるようには見えるが、
でもどうして言語は種族で統一されているのか不思議でならない。
自分が共通語を日本語として認識できていると言うだけで、
他種族の言語であっても認識できるという自動翻訳の仕組みを知った以上、
ブラヒム語がイコール日本語であるという線も薄そうだ。
それならスキル名みたいな古語っぽい奴も普通に現代語に直してくれよ。
そう思うと、やっぱりスキル詠唱は日本語の古語なのかもしれない。
じゃあやっぱりブラヒム語は日本語なのか?
良く判らんな。
女将さんは瓶から瓶に移す小サイズ、水瓶から瓶に移す中サイズ、
そして壷から壷へ移す大サイズを持って来た。
中サイズで良いだろう。
大は小を兼ねないし、小も大を兼ねない。
中なら頑張れば大を兼ねうるし、かなり気を付ければ小を兼ねられる。
木製の漏斗1つで100ナールであった。
対して作らせたガラス器具は1つで数千ナールだ。
職人の作り上げる技巧品が如何に高いか良く解った。
商店の軒先で壁に向かってフィールドウォークを念じる。
・・・反応は無い。
やはり多くの家屋では基本的に遮蔽セメントで覆っており、
敢えて絨毯などを設置しないと正規の移動魔法のゲートは開かないようだ。
自宅の隣家にゲートが開けたのは、民家であったためだろう。
商店の横にゲートが出るのであれば、
不在や寝込みを襲えば直ぐに撤収できてしまう。
これまで色々な場所の壁にゲートを出して来たが、
それが如何に不可解であるかと言う事は理解できた。
他にも平面が担保できない洞窟の壁なんかも駄目だろうし、
ましてや航行中の船だったり荷馬車の幌なんかも当然無理だったはずだ。
ワープは直接迷宮に行く時以外封印した方が良いかもしれない。
いや、そもそも直接行く必要すら無い。
今後は緊急的な用途以外封印しよう。
ボーナスポイントも1余るし、フィールドウォークで事足りる。
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv65
設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(30)
道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)
神官(42)博徒(37)
取得:村人(5)英雄(50)戦士(30)剣士(34)商人(30)
色魔(1)奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)
暗殺者(45)武器商人(30)防具商人(35)農夫(1)
薬草採取士(30)錬金術師(30)料理人(18)村長(1)
盗賊(30)魔法使い(50)僧侶(19)遊び人(53)
細工師(50)冒険者(1)機工師(26)目利き(26)
・BP163
キャラクター再設定 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×20 63pt メテオクラッシュ 1pt
必要経験値減少/20 63pt ガンマ線バースト 1pt
6thジョブ 31pt
ここへ来た当初はデュランダルのお世話になっていたし、
結晶化促進も最大まで振って金稼ぎに勤しんだ事もある。
決闘の際にはスピードを盛るためにステータスへ割り振った事もあるし、
MPを増強するため回復速度に振ったりもした。
今はどうだろう。
火力は十分に伸びたし、自分は剣より魔法の方が向いていると判明した。
金策も基本的には不要だ。
慎ましくならば暮らして行ける十分な額を稼いでしまった。
自分の生死を賭けた闘いに全財産を注ぎ込むだなんて事を、
一体誰が想定しただろうか。
それも事前にだ。
迷宮で地道に魔結晶を育てて、
一月10万ナールだと試算したあの頃の自分はもう居ない。
今はまだボーナス魔法に頼って戦っているが、
これも魔道士を極めて行けば威力が逆転したり、
それ以上の上級ジョブを得たりすると不要になるのだろうか。
ただでさえ消費が激しいボーナス魔法は、
なるべくなら使いたくはないのが心情だ。
エフェクトが明らかにおかしいし、見られて騒ぎになるリスクもある。
英雄と勇者の重ね掛けは戦術の幅を大きく広げたし、
オーバードライブの威力上昇はハッキリと違いが判るまで伸びて来た。
今後世話になるのは、やはりキャラクター再設定と経験値のボーナス、
そして複数のジョブが持てるパラレルジョブだろう。
それら全てを盛るとボーナスポイントは190。
これにパーティー項目解除と詠唱省略、鑑定まで入れると+5
ジョブ設定とパーティライゼーションはスイッチすれば良いので不要だ。
195ポイントとなると、探索者は97Lvだ。
迷宮の階層2倍まではLv上げができると言っても、
それは膨大な数の魔物を倒さなければならないので、
現実的に考えたら2/3位までは進めるべきだろう。
ともすると迷宮は65層までは入る必要がある。
きり良く66層なら、魔物のグループ2巡目が終わる所だろう。
その位の位置に迷宮最後のボスが待っている。
迷宮を制覇できる位の難易度がある階層で、
探索者は99Lvと成り理想のステータスへ到達できるのか。
途方も無いな。
現在31層でおっかなびっくり、対処法を模索している。
そこから33層先に、果たしてこれから進む事ができるだろうか。
トラッサの55層や56層を制した事で気が大きくなっていたが、
あの階層はどちらかと言うと楽な階層であった。
カーブカープやロックバード、ドライブドラゴン、マザーリザードは、
55層を制する事ができた自分達でもかなりの難敵だった。
特にマザーリザードは脅威である。
6匹湧いてお供を通路一杯にまき散らされたら、
並の探索者では一溜まりもあるまい。
・・・そこで魔法使いか。
或いは耐性のある装備で固めたエリートでなければ突破できないのだ。
迷宮は果てしない。
潰して終わりでは無く、次から次へと現れるそうじゃないか。
まき散らされた魔物だらけになって対処が追い付かず、
放棄された村や町があるかもしれない。
この世界で生きて行くのだから、
50層辺りでお仕舞いなどと言う甘い考えは捨てて、
迷宮を制覇できる位の実力を準備して置くべきかもしれない。
万が一の事を考えると、そういう結論に至る。
買った漏斗をクルクルと手で回して遊びながら、
ホドワの中心部に位置する迷宮の傍へ置かれた、
移動用のシンボルストーンに向かってフィールドウォークを唱えた。
***
夕食後、清拭のため各自バラバラとなって部屋を後にする。
自分達はお湯の桶をアナが担いでシュメールの宿だ。
先に自分とアナがゲートをくぐり、最後にナズがやって来た。
「ごっ、ご主人様・・・こ、これはっ!」
ナズはガラス製品が沢山置かれた机を見て驚いたようだ。
フラフラとしていたのでアナは一旦床に置いた桶を持ち上げ、
床にへたり込んだナズを支えた。
おいおい・・・見て驚くのは判るとして、
サンドラッドの高級旅亭では何1つ動揺を見せなかったじゃないか。
今更過ぎるぞ。
ナズは部屋の豪華さや装備品よりももっと身近な、
食器だとか食べ物に対して良く反応するのだろう。
頭の中で直ぐに値段が出て来るからなのか。
ナズの金勘定を行う電卓は、食堂の娘だった頃から変わっていないのだ。
あ、しまった。
そういえばこれらの機材を隠すために掛ける布が必要だったな。
「ちょっと被せる布を取って来る」
「はい?ええ、お待ちしております」
「いっ、行ってらっしゃいませ」
──ヴォンッ!
「アレー?ご主人サマ忘れモノー?」
湯桶を移動させていたヴィーが反応した。
もう少し遅かったらドキドキ生着替え・・・。
いやドキドキ湯浴みだったようだが、そもそもお子ちゃまには興味無い。
「うん、まあちょっとな。
エミー、自宅で使っていた大きな布はどこにしまったか覚えているか?」
「はい・・・こちらです」
こちら、と言いながらもしっかりと探し出して1枚を手渡して来た。
あっちにあるから勝手に持って行けば?と言うのはやはり駄目なのだろう。
使用人と言うのは非常に助かる存在ではあるが、
やはりそれに甘えていてばかりでは主人の動きが少なくなる。
大金持ちがブクブクしている原因なんだろうなぁ。
エミーを撫でて布を担いでシュメールの旅亭に戻って来た。
ナズはベッドに腰掛けていた。
「もう大丈夫か?」
「は、はい・・・物凄い物を見てしまいました・・・」
布を広げてガラス器具を隠す。
これでどう見てもただの部屋だ。
怪しい科学者の実験室などでは無い。
食事が置いてあるのかと思われる位にはカモフラージュできている。
「驚かせて済まないな、これはエミーのための薬を作るための道具だ」
「こっ、このような物を用いなければ、作れない物なのですね・・・」
「そうだな。器具が無ければ薬はできない。
薬が無ければ病気は治せない。
作り方を知っていなければ、その用途に合った器具を作れない。
従って本来遊女の病は治せないのだ」
「ご主人様はそのような物が書かれた書物をお持ちでしたが、
ご主人様のお出になられた国では治療法が知られているのですね?」
「ああ、もっと技術や文化が進んでいる。
光を出して照らし出す道具や瞬時に炎を出せる道具などもだな。
トルキナやこの国にはまだそれらを作り出す技術が育っていない。
自分は神様では無くって全てどこかで知った知識、それだけの事だ。
ちょっとだけ賢い人々が集まった国からやって来ただけなのだ」
アナはこの話で納得ができたのか、
手拭いを絞り自分の服を脱がせ、清拭の作業を始めた。
ナズもスクっと立ち上がったので、一応は回復したようでなによりだ。
先程腰の性が抜けてしまったナズに、
再び立てなくなるような事をこれからする自分は鬼畜なのだろうか?
いや、そんな事は無い。(反意語)
準備が整った2人の愛人達を、何時ものように愛でるだけだ。
∽今日のステータス(2022/04/13)
・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)
金貨 75枚 銀貨 29枚 銅貨 19枚
木工製品注文 (100й)
漏斗 100
ガラス器具発注 (11400й)
シャーレ ×10 5000
シリンダー × 8 6400
お使い (500й)
小麦粉 × 1 500
金貨- 1枚 銀貨-20枚
------------------------
計 金貨 74枚 銀貨 9枚 銅貨 19枚
・異世界79日目(夕方)
ナズ・アナ74日目、ジャ68日目、ヴィ61日目、エミ54日目
パニ47日目、ラテ26日目、イル・クル23日目
プタン旅亭宿泊9/20日目 シュメ旅亭宿泊9/20日目




