§263 錯誤
朝食を取った後、我々はダイダリ30層の攻略へとやって来た。
ラティ曰く現在の攻略階層は28層のままで、
その後探索階層が進展した情報は無いそうだ。
人気商品であるバラ肉が出るはずのモロクタウルスの階層に、
難敵であるロックバードが多く混ざるからだろう。
モタモタするとあっと言う間に回遊するロックバードから囲まれてしまう。
危険を冒し苦労して収入を得るよりは次の階層が開くまで待ち、
楽な狩りができるまで待っている訳だ。
本当に迷宮を制しようとするランカー以外は攻略など他人任せ。
そりゃそうだ。
ボス戦は助けも無く逃げられないので危険なのだし。
30層程度が美味しいと思っている中堅探索者では、
50層以降のボスになんて当然太刀打ちできまい。
従って探索深度を押し上げようとする意味が無い。
逆に迷宮を本気で制しようとする者は、
33層までの攻略情報が無ければ、
以降の階層に何が出て来るか判断を付けられない。
彼らに取って低層階である50層未満を攻略するのも時間の無駄であろう。
どこか他の地域の40層後半を狙った方が実入りは多いのだし。
要するにお互い待ちの姿勢なのだ。
他力本願ここに究まれり。
自分も33層まで潜ったらお暇させて頂く訳だし、
あまり人の事をあーだのこーだの言えた義理では無い。
「この階層では、ゆっくりと漂う魔物が散在しているように思います」
「まだ出現していない魔物は、鯉、蛙、スライム、竜のどれかだ。
空を飛ぶならドラゴンか?」
「いえ、ドラゴンにしてはゆっくり過ぎるかと思いますので、
同じ場所を行ったり来たりする辺り、恐らく鯉かと思われます」
「ならばケープカープだろう。ラティ、ケープカープだ」
「は、はいっ、ケ、ケープカープは魚の魔物で、空を飛び回ります。
魔法が得意で近接戦であっても頻繁に唱えて来ると言う話ですので、
前列の方も注意して下さいっ。
特に水魔法は脅威らしいので、宜しくお願いしますっ。
攻撃方法は他に体当たりをして来たり、
尖った口による啄みがあるそうですっ!
噛まれたら食い千切られますので気を付けて下さいっ」
ラティがいつに無く長文をスラスラと述べる。
やはりラティは迷宮の申し子なのだな。
探索者として仕事を全うする時だけキラッと光り輝く、さながら夜光石だ。
「だそうだ、アナとヴィーは心配要らないが、ジャーブ。
お前の対峙している魔物が詠唱を始めたら直ぐに言ってくれ」
「分かりました」
「イルマは魔法だ。今お前のジョブは魔法使いとなっている。
今回も魔法を使って行ってみてくれ」
「かしこまりました」
「この階層に出て来る魔物はケープカープ、ノンレムゴーレム、
モロクタウルスにロックバード辺りだ。
このうちモロクタウルスだけが火魔法に強く有効では無いが、
殆ど出て来ないだろうから気にせず全部ファイヤーストームで構わない」
「ファイヤー・・・ストーム・・・はい。
以前何度も使用させて頂きましたので、抜かりありません」
「ナズは中衛に位置して貰って、
いつでも後列からロックバードが来ても良いよう待機してくれ」
「はい、1対2の形にならないように気を付ければ宜しいのですね」
「それじゃ、アナ、ラティ、頼むぞ」
「かしこまりました」
「は、はいっ、そ、そ、それでは、まずこの奥が十字路なので左側に──」
「そちらは直ぐに魔物と遭いそうです。
例の、空中を漂う魔物ですのでケープカープなのでしょう。
ノンレムゴーレムもいるようです。
数は5、恐らくケープカープが4匹です」
入り口から直進の通路を行くとラティの言った通り十字路があり、
クネクネと曲がった後アナの感じ取った魔物の群れが現れる。
早速ノンレムゴーレム1体とケープカープ4匹がお出ましした。
ほわーー、デカい。
体長2メートルはあるんじゃないか?
横に並んだら2匹が限界だ。
こちらに顔を向ける状態であれば余裕で5,6匹入りそうだが、
そんな事になってしまったらギュウギュウで身動き取れないだろうな。
それに、これを釣り上げたら魚拓を取りたくなる感じだ。
現代人なら間違い無く寝転んで背比べをしてSNSにアップだろう。
そんな文明の利器も無ければ、インクも墨も紙だって無い。
倒した所で煙となって消えてしまうので、何の自慢にもならないのだが。
ミチオ君はソウギョみたいな感じだと言っていた。
確かに、サイズからしてデカいのでそう見えなくも無い。
しかし、色模様は確かに鯉だ。
赤やら黄色やら斑やら。
草魚であるならばもっと鮒っぽい色合いだ。
草魚と書いてソウギョ。
草食魚で水草であれば何でも食べる事から、
そこら辺の水草を釣り餌にして簡単に釣る事ができる。
このため草魚と呼ばれるようになったのだとか。
鯉の仲間であるが、日本土着の魚では無く中国由来だそうだ。
水草を食べ尽くして生態系を荒らす厄介者らしい。
大きいと2メートルにもなるソウギョは、その分沢山食べるのだろう。
迷宮に水草などは無い。
食べられるのは我々探索者だ。
草食系男子はひとたまりも無いだろう。
ミチオ君は草魚だとか梭子魚だとか、魚にも詳しかった。
梭子魚の口の先が尖っているだとか、一介の男子高校生の知識量では無い。
自分はあの物語で知って、ネットで検索して調べた口だ。
彼は補正の掛かった主人公、自分は凡人なので仕方が無い。
兎に角、デカめのこの魚は何ちゃって人魚や鮒と違って、
紛う事無くしっかり魚であった。
そして巨体のせいか、動きはそれ程速く無い。
ロックバードのように高速で回遊して来たら厳しいが、
ゆっくり目の動きならどうとでも対処できる。
早速後列の3匹が魔法を使って来た。
4種の魔法を使い熟す、マジックファイターだったはずだ。
ナズが槍を右の1匹に通し、自分は左の1匹を狙う。
「ヴィー、もう1匹頼みます」
「あいっ!」
アナが前線から前に飛び出して中央の1匹の詠唱を中断させた。
ヴィーはノンレムゴーレムのパンチを大楯で押し返しつつ、
横から分け入って来るケープカープを大剣で受け止めた。
二刀流の本懐を発揮している。
直ぐにアナが前線へ戻り、
後ろ向きになっているケープカープを何度も叩きのめした。
鯉のタタキ?
コイツは刺身にならないらしいので残念だ。
状態異常耐性ダウンを入れていたお陰か、
そのままケープカープ1匹はポトリと地面に落下する。
生きた魚が地面に転がっていたらビチビチ跳ね回りそうであるが、
麻痺か石化しているのだろう。
落下してそのまま静かになっている。
では鉄の矢で頂こうか。
バーンストームを掛けると木の矢では燃えてしまうので。
折角、魚に鉄の棒を刺して炙るのに焼き魚とは成らない。
理不尽である。
今日の夕食は焼き魚にして頂きたい。
巨体でかつ動かない相手に外しようが無い。
6発を撃ち込んで、次の魔法を準備する。
イルマも遅ればせながらファイヤーストームを発動させたようだ。
そして2ターン目のガンマ線バーストでノンレムゴーレム以外が煙となる。
弱点を2回突いているのでかなりのダメージが期待できるのだろう。
いやイルマの魔法も込みだったな。
と言う事は、この階層の魔物も敵では無い。
ノンレムゴーレムはしつこく残るが、
それも次の魔法・・・サンダーストームで消えた。
道化師のLvが上がるにつれて威力はどんどん伸びている事を実感できる。
何せ1ジョブで倍の効果なのだ。
魔道士4人分の知力を持っている状態である。
イルマの魔法使いのLvも上がって来たし、
我々パーティの火力は相当高い所にありそうだ。
「どうぞ、ご主人様」
「このニク食べられるー?」
アナが矢を、ヴィーがドロップ品の肝を持って来た。
ジャーブは岩だ。
岩はいらない。
邪魔だし、買い取りカウンターに持って行くと怒られる。
「それは肝と言って食べ物では無い。食べたら竜になるぞ」
「アタイもともとリュージンだよ?」
た、確かに。
ヴィーに肝を投げ付けてもドライブドラゴンへ成るのだろうか?
「兎に角、食べ物では無い。
勝手に拾って食べて腹を壊しても知らんぞ」
「ひっどーい!アタイ勝手に食べたりしないモン!」
「ハイハイ、判った判った。ラティ、次だ」
「はっ、はい、こっ、こちらですかね・・・」
それにしても、ケープカープの肝か。
不思議なアイテムだとは言える。
これまでの迷宮産のアイテムは、
皆須らく実社会に役立つアイテムばかりであった。
しかしながら、これだけは魔物に対して強化を掛ける変なアイテムだ。
人や他の生物へ使用しても魔物に変化してしまうのであれば、
もっと一撃死的なアイテムに成り上がっているだろうから、
世の中の運用を考えるとそんな事は無いのだろう。
では、やはり食用に向かない対魔物専用のアイテムなのだ。
もしかしたらドープ薬とやらの材料になるのかもしれない。
登竜門らしいし。
他に有効な活用となる実例が思い当たらない。
流石にそういった高度な薬品を作るに当たって、
レシピなどを公開したりしていないだろうし、
薬草採取士では作れそうな気がしない。
もう1つ上のジョブなのだろう。
ジョブを開放したところで材料が非公開なのであれば、
部外者が迂闊に手を出せる領域でも無い。
鍛冶師のようにレシピブックを頂戴できるとは到底思えない。
勝手に作って捌いた所で、誰が作ったのかと問い詰められても困る。
特に自爆玉なんかは厳しく流通量が制限されているように思う。
イルハンやルスラーンが介入できるあたり、
作成や出荷に検閲が入っていそうだ。
「ご主人様、次は後ろから来ます。ロックバードが2匹、間も無くです」
「隊列を逆に!パニ、イルマ、前へ行け。ヴィーとジャーブは後列へっ!」
「分かりました」「あいッ!」
「ロックバードでしたら僕でも戦えますのでこのまま後列に待機しますっ」
「では後は宜しくお願いします、パニ様」
あら、意外とパニが勇敢だった。
後列をパニに任せ、イルマが前列へと走る。
途中でラティから画板を受け取り首に掛けた。
ラティもやる気のようだが、相手は2匹。
パニとヴィーで十分な上、ジャーブまでいる。
ラティの出番は来なさそうだぞ?
そしてパニはヴィーと肩を並べて、竜人族2人が後列を塞ぐ。
左端にジャーブが立ち、背が低い2人の頭上をナズの槍が警戒する。
「これでは私は前に出られませんね」
アナは本来ナズが立っている位置に留まっていた。
仕事を取られて不満そうに漏らす。
そういうアナだってロックバード相手には割と手古摺るので、
結局の所誰が前に出ても結果は一緒なのだ。
「良いじゃないか、たまには休んで置け」
「かしこまりました」
自分の直ぐ後ろでイルマが先行して魔法の詠唱を開始する。
間も無く自分達の歩いて来た方向からロックバード2匹が現れた。
飛び回って延々と獲物を探し回っているのだろう。
ずっと羽を休めないで居て疲れないのだろうか?
魔力的に飛んでいるのだろうから突っ込んでは駄目な奴だな?
魔法が絡むと直ぐ変態力学的な作用の発生する世界なのだから。
今回アナは参戦できないが、一応状態異常耐性ダウンは当てて置く。
もしかしたらサンダーストームで麻痺になってくれるかもしれないし。
目視で捕らえた瞬間にオーバードライブして魔法の3連射だ。
後は誰かがロックバードの体当たりを受け止めるまでじっと待つ。
高級な鉄の矢を折られたくないので、番うのは木の矢だ。
イルマが先行して詠唱をしていたのはファイヤーストームだったので、
これから撃ち込む矢は恐らく回収できない。
無駄になると解かっていても、必要なコストである。
──カキンッ!
ジャーブが大剣の腹で止めたようだ。
貰ったッ、オーバードライブ!
直ぐさま4本を撃ち込んで次の魔法1発分は稼ぐ事ができた。
──キンッ!
今度はヴィーが楯で止める。
えーっと・・・ヴィー自体が邪魔だし、
そもそも楯の向こう側なので狙えっこない。
パスだ。
──ガンッ! 「うぐっ」
パニは肩を突かれたようだが、
その位の痛みで抑えられているのであれば上々だ。
折角神官のジョブも取っているので、
オーバードライブして全体手当てを2回使用した後矢を放った。
再び4発が入る。
もうサンダーストーム2発分位は行けそうな位に回復したと思うが、
その前にイルマのファイヤーストームが入り、
合計8個のパンが燃えてしまった。
違った。
8本の矢は燃えてしまった。
「あー・・・」
解ってはいるが、覚悟はしていたが、
やはり目の前で燃やされるのは忍び無い。
「ロックバードだけの時はウォーターストームで」とか、
細かく注文を付けて置けば良いのだろうが、
余り戦闘慣れしていないイルマに状況判断のタスクを重ねると、
却って混乱を呼ぶ可能性もある。
仕方無い。
8個のパンを燃やされたら16個分のパン代を稼げば良いじゃないか。
ポジティブ思考だ、ポジティブ思考。
再びジャーブが剣先で止めたタイミングで矢を放ち、
オーバードライブ中の魔法3連射で仕留めた。
念のため強壮丸を1つ口に放り込む。
「パニ、まだ痛かったら言ってくれ」
「大丈夫です。
イルマ様から手当てを頂きましたので、もう全然痛くありません」
「えっ?いえ、私は手当てを使用しておりませんが?
その、今は魔法使いですし・・・」
「手当てを使用したのは自分だ」
「そ、そうなのですか、申し訳ありません。
ありがとう御座いました、ユウキ様。この通り痛くありません」
パニが肩を回して元気そうな様子を見せる。
それで十分だ。
「よし、平気なら良いんだ。頑張ったな?」
「パニ、カッコよかったよ?」
「そうでございましょうか・・・まだまだヴィー様には及びません」
「アタイはいーんだって、ほら、キタエ方が違うしっ」
仲良き事は何とやら。
そのままにしてラティへ先を急がせた。
*
*
*
結局この階層でも厄介なのはロックバードだけで、
ケープカープは魔法さえ止めてやれば大した事も無かった。
自分も含め、我々のパーティには詠唱中断を掛けられる者が3人もいる。
この階層は詠唱遅延だけでは厳しいだろうが、
装備品さえ揃っていれば余裕なのだ。
ここまでの間に装備を整えよと言う難易度でもあるのだろう。
つまり、33層を超す者達は前後列含めある程度まともな戦力があり、
装備も耐久に絞っただけでは無く優秀なスキルをも揃えている訳だ。
安い装備品であれば何度も合成が試せるし、
オークションで買ったとしても安く上がる。
しかしそれでは深層の魔物相手に歯が立たない。
武器なら予備に持ち替えると言う事もあるだろうが、
こと鎧や足具に関しては履き替える訳にも行かないので、
防具こそ優秀でなければならない。
勿論、食らわないと言うのも1つの手ではあるが。
ミチオ君たちは、その食らわないと言う戦法だったはずだ。
ロクサーヌが多数を引き付け回避する。
詠唱はセリーとミチオ君で止める。
危険な敵はミリアが確率を超越して抑え込む。
ベスタもデカいらしいので、装備品はそのサイズになるだろう。
ここで出て来るような巨大魚だって、
ベスタに掛かれば小魚・・・、とは流石に行かないか。
しかし、ある程度余裕を持てるサイズ感である事は間違い無い。
ヴィーとケープカープを並べたら、
胴体でぐるっと簀巻きされそうなサイズだからな。
一番でかいジャーブだってケープカープより小さいのだから、
我々は体格差でも不利ばかりだ。
「ご主人様。ラティに依ると、ここを曲がれば中間部屋ですが、
その前にケープカープが3匹、モロクタウルスも混じります」
「解った。ラティ、画板をイルマに預けてお前はモロクタウルスだ」
「えっ?あっ、は、はいっ」
どうせ火魔法を使うので、最後には奴が残る。
その際ちょっとでもダメージを稼ごうと言う魂胆だ。
モロクタウルスは何度か出て来たが、その際は常に最後まで残っていた。
いつも通りジャーブ、ヴィー、アナが前列を抑えケープカープを捉える。
ヴィーの上空を抜けようとする際はナズの槍で押し返す。
オーバードライブからの魔法3コンボが決まり、
遅れてイルマのファイヤーストームが放たれる。
魔法でケープカープが怯んでいる隙に、
ラティはヴィーとアナの盾の隙間を抜け出して、
奥のモロクタウルスの不意を突いた。
そのまま近接戦へと縺れ込む。
ラティはガードしながら攻撃すると言う芸当を平然とやって退ける。
アナの場合弾いてトスしたり転がす事はあっても、
受け止めながら攻撃と言った荒業はこれまで見た事が無かった。
アナの手が出る状況と言えば、
上手く逸らせて横から、或いは身の軽い魔物ならば留めて刺す。
従ってアナより体格の良い魔物と対峙すると途端に手数が少なくなる。
レムゴーレムは左右に振って避ける事を学習したようだが、
やはり巨大魚相手には手数が少ない。
状態異常耐性ダウンを常に掛けてはいるが、
これまでケープカープが石化や麻痺をしたのは数回きりだ。
初回あっさり落とせた際は、ヴィーが受け止めた奴を背後からであった。
盾で逸らせるギリギリの位置取り、
持って行かれないように衝撃を殺しながら、
ついでに前傾気味で自分の体を前へ出すと言うのは、
体幹が鍛えられて且つ、度胸や技量が必要だ。
これがアナにはできない。
そしてラティならできる。
同じ位の背格好なのに、やはりラティは凄い。
改めて良く見て感心した。
そしてラティが相手取ってくれているお陰で、
モロクタウルスはこちらに対して背を向けている。
丁度、魔物の群れを前後から挟み込んでいる恰好だ。
これならばモロクタウルスは背後から斬られる事も無く、
刺さった矢を折られる心配が無い。
2回目の魔法はアクアストームとサンダーストーム、
それから撃ち込めるだけ矢を撃ち込んで、
最後にオーバードライブ無しでガンマ線バーストを発動させ煙へ変えた。
イルマの2発目のファイヤーストームが発動する前であったので、
最後に撃ち込んだ木の矢は無事回収できた。
回収できた矢は8本なのでパン8個分だ、結構大きいぞ。
酒だのなんだのと高級品をポンポンプレゼントとして送って置きながら、
吝嗇臭く小銭を掻き集める吝嗇家だ。
良いんだよ、1ナールたりとも無駄にしない節約志向で。
「お疲れ様です。中間部屋ですがご休憩なさいますか?」
アナが警戒を解き、サーベルを鞘にしまう。
ラティは中間部屋先端まで走って行き、
一心不乱に地図を描いているようだ。
「ちょっと早いかもしれないが、旅亭に戻ろう。続きは午後で良い」
「そうですね、まだお昼には40分位ありますが、
丁度頃合いと言えばそうかもしれません」
食事のタイミングはやはりナズにしか判らない。
ナズがそうだと言うならば、もうちょっと進める時間はあるのだろう。
しかし仮にもう40分先に進んだとして、
3,4回の戦いを挿めば大した移動距離にはなるまい。
「いや、早く帰って休んでも良いと思う。
40分では大差は無いだろうから、午後頑張ろう」
「かしこまりました」「お疲れ様でした」
「大きいだけで大した事はありませんでしたね。
これならば午後もどんどん進められそうです」
「おサカナ・・・食べたいなー」
えーっと、昨日のおやつに齧っていた干物は?
あれはヴィーの中では魚では無いのか?
無かった事に成って無いか?
と言うか、プタンノラの旅亭料理はほぼ魚ばかりなのだが。
つみれや半片擬き等に加工されてはいたが。
まさかケープカープが食べたいとか言わないよな。
アレに齧り付いた所で、腹に貯まるのは煙だぞ。
霞を食べて生きる仙人じゃないんだからさ。
「オホンっ。昼食で魚が出るだろうからもうちょっと我慢なさい」
「ハーイ」「では僕達は後で戻りますので。・・・ラティさーん」
自分達のゲートに全員は入れない。
例に依って地図をまだ描いているラティへ向かって、
パニは小走りに駆け寄って行った。
***
今日のプタンノラといえば、
出掛ける前には曇り空であったが、
帰って来た昼近くでは日差しが出ていた。
そういえばラティも朝しっかり目覚めていた。
湿気が残るものの、淀んでいた空気も晴れて温かく爽快である。
恐らく今日は漁ができたに違いない。
旅亭の昼食メニューにもしっかり反映されたようで、
今日のおかずは中型白身魚の切り身であった。
迷宮産とは違い、天然物はやはり骨がある。
塩焼きだけのシンプルな味付けだったが、これまた旨かった。
魚は鮮度が命。
今日揚がった魚を今日食べる。
これはかなり贅沢な事だ。
恐らくヴィーはそんな事など考えていないだろうが。
良かったじゃないか、念願の魚らしい昼食になって。
∽今日のステータス(2022/03/23)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv65
設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(29)
道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)
神官(38)博徒(35)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 隻眼 Lv24 1st
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 忍 Lv24 1st
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 聖騎士 Lv22 1st
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv49 1st
・エマレット 狼人族 ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 冒険者 Lv14 2nd
・ラティ 人間 女 28歳 探索者 Lv43 2nd
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 魔法使いLv29 1st
・クルアチ 兎人族 ♀ 18歳 村人 Lv1 OFF
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv65
設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(30)
道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)
神官(40)博徒(36)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 隻眼 Lv25 1st
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 忍 Lv25 1st
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 聖騎士 Lv23 1st
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv49 1st
・エマレット 狼人族 ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 冒険者 Lv14 2nd
・ラティ 人間 女 28歳 探索者 Lv43 2nd
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 魔法使いLv31 1st
・クルアチ 兎人族 ♀ 18歳 村人 Lv1 OFF
・収得品
羽毛 × 6 バラ × 18
岩 × 38 寄生ワーム × 49
肝 × 68
・異世界77日目(8時頃)
ナズ・アナ72日目、ジャ66日目、ヴィ59日目、エミ52日目
パニ45日目、ラテ24日目、イル・クル21日目
プタン旅亭宿泊7/20日目 シュメ旅亭宿泊7/20日目
・ダイダリの迷宮
27 ロックバード / ファイヤーバード
28 モロクタウルス / ボスタウルス
29 ノンレムゴーレム / レムゴーレム
30 ケープカープ / カーブカープ




