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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第卅章 外国
237/394

§224 握飯

商館で料理のお披露目を終え、エミーと帰宅する。

既に全員が帰還しており、各々ベッドや椅子で寛いでいた。


ホテルのスィートルームで休暇を満喫する光景は、

彼らが奴隷である事実を曇らせる。

そう仕向けているのは自分なのだからそれに付いての文句は無いのだが、

恐らく他人から見たら異常事態なのだろう。


尤も、今の所枷かせを付けさせたのはラティだけ。

それも足首だけであって、ズボンの裾に被っているので目立たない。

詳しく調べられたりしなければ問題無いと言えば無いのだが。


「ただいま」

「お帰りなさいませ」

「ご商談お疲れ様でした、まだ食事の用意はされていないようです」

「お帰りなさいませ、ユウキ様。

 迷宮は9層まで到達致しましたが、

 懸念しておりましたパーンはまだ出現致しませんでした」

「食べものじゃナイのがなー」

「ら、ラムの肉を1つ手に入れましたよッ!」


(えーでも1コじゃん・・・)

(ヴィー様っ、それでも僕たちには貴重な食材ですっ)


今日潜った階層のどこかでチープシープが出たらしい。

不満を言うヴィーにすかさず突っ込みを入れるパニの姿を見て、

ここ数日足りなかった何かが戻って来たような安心感を得た。


ダイダリの迷宮は午前中に5層まで行って来たと昼に報告を受けたが、

午後は9層まで進められたようだ。

ラティから地図を回収した。


相変わらず地図だけで、出る魔物に対する知見がまるで入っていない。

入っていても読めないのだが、何か情報を書き込めと言ったはずだ。


「ラティ、以前にも言ったが出現する魔物も地図の端の方に書け。

 それから階層も入れないと、これが何層の地図だか判らない」

「もも申し訳ありませんでしたッ!すすす直ぐ入れ直しますっ!」


ラティにパピルス9枚を返すと、机に広げて文字を入れて行った。

その様子をヴィーとジャーブが覗き込む。


ソファに座るとイルマがハーブティを淹れた。

加熱できる場所も水場もこの部屋には無いと思うのだが、

多分自分がいない間に厨房を借りたのだと思う。

この宿泊客は勝手に料理を始めたり茶を淹れたりと、やりたい放題である。


それにしても、自分以外のメンバーだけで9層も潜ったのか。


やはりアナとラティがいると探索の方は捗るのだろう。

魔物に関してはLv差が3倍以上あるので、全てが雑魚だ。

ここで苦労をするような事など無いとは思うが、

迷宮の攻略ペース的に言えば想定以上では無いだろうか。


ダイダリの迷宮に向かわせてから、たった1日だ。


ラティも徒歩で地図を描く事には大分手慣れて来たようで、

後から継ぎ足された線がよくも綺麗に繋がるもんだと感心した。

しかも定規等は無く、全てフリーハンドだ。


空間認識能力が高くないと図形を描くのは難しい。

高校時代の数学の教師は、黒板に綺麗な円や3次関数の曲線を描いていた。

グラフを作図する解答を求められて指名された生徒達の図は、

線が歪でグチャグチャだった。


もしかしてラティにも数学的センスがあるのでは無いだろうか。

できた所で使う機会は無さそうであるが。


ではご褒美としてパニとラティには握り飯を食らわそう。

具などは入っていないが、少々塩味があって旨いはずだ。

と言うか、もう絶対旨い。


自分も1つ食べたいので、

作成したおにぎり4つのうち3つは行き先が確定した。

最後の1つは今日一緒に付き合って貰ったエミーへ与える事にした。


「今日頑張った3人にはご褒美だ」


「はい。えっ?ボ、僕なのですか?皆様をお運びしただけで特に何も」

「わわわ、私はその、大層な物を頂いてしまっても宜しいのかと言うッ」


「家が完成したらいつでも食べられるが、

 今日頑張ったお前たちは先行して食べて良い」

「は、はぁ・・・、ありがとう御座います」

「でっ、ではああ有難く頂きますぅぅ・・・(はむ)・・・!!

 (むぐむぐむぐ・・・ゴクッ!)なっ、何なのですかこれは!

 塩味だけなのにめられない美味しさです!」


ラティに与えた途端いきなり食べ始めた。

まあ別に良いけどさ、もうちょっとお行儀良く・・・無理か。


皆の前で先行したラティがあまりにも美味しそうに食べたので、

ナズもジャーブもヴィーも興味津々に見詰めていた。


アナは・・・冷静そうに見えるが、もうお前の事は解かっているぞ。

尻尾に注目すると尾先がクリクリと動いていた。

食べたくてウズウズしているのだろう。


ナズとアナは後で1口ずつ与える予定だ。

ヴィーとジャーブとイルマは次回だな。


と思っていたら、エミーは半分を割ってイルマに与えた。

この子は非常に優しい子なのだ。

1人で褒美を満喫するのでは無く、姉と幸せを分かち合おうとしている。


イルマの慙愧ざんぎの念はエミーにしっかりと伝わっているようだ。

いや、元々エミーは姉を恨んでなどいなかったのだと思う。

寧ろ遠く離れてしまった事に対し、慕情に近い想いを抱いていたはずだ。

だからこそイルマを迎え入れようと画策したのだから。


イルマが勝手に申し訳無いと思っていただけで、

エミーは再び姉と暮らせる事を素直に喜んでいるだけなのだろう。

姉妹愛の活劇を傍目で見ながら、食い入るジャーブとヴィーを散開させた。

このお邪魔虫どもめ、空気を読め。


その後に給仕が運んで来た豪華な夕食がテーブルへ陳列されると、

ズルいズルいと連呼していたヴィーは大人しくなった。

アナとナズにも少しだけ与えるつもりであったが、

食事後直ぐでは厳しいだろうから、

体を拭いて貰った後にこっそり食べさせよう。



   ***



「ではご主人様、体をお拭きしますね」


「ああ、宜しく。ちょっと他の皆は部屋から出て行ってくれ」

「分かりました」「え?なんで?」(ヴィー様、何故では無くご命令ですっ)


ナズとアナ以外がぞろぞろと部屋を出て行く。

扉の前で待機だ。


シャツを脱いでタライに被せると、

ナズとアナが一斉に飛び込んで来た。

夜はアナからなので、ナズは抱き着いたまま待機している。


ここ3日いや4日か?

2人のお務めは無かった。

だが、出て行って貰ったのはその為では無い。


家が完成するまで待てと言われたら自分は待てるが、

40日前後も仕事をパスされる2人の心境を考えると、

どこかでそういう機会を作ってやらなければ駄目なのだろうか。

アナから解放されて、ナズからも激しい口撃を受ける。


既にどちらが主人だか判らない。

可愛い2人から迫られるのは悪い気がしないのでもうこのままだ。

劣情が次第に大きくなり始めたが、

アナが準備をする前に引き剥がし、体を拭くだけに留めるよう指示をした。


「その為に皆を出した訳では無いのだ」

「どういう事でしょうか?」

「私たちに何か不手際がありましたでしょうか」


「ち、違うぞ、そういうのは家に帰るまでは暫くお休みだ。

 それよりもこれだ」

「これは先程パニやラティ達に与えたご主人様のお料理ですね?」


米を炊いただけだが、料理と言われるとしっくり来ない。

これが彼女達に取って貴重な物であると言う事は理解できるが、

料理と言われると・・・うーん?


「そうだ。自分用に取って置いた物だが、お前達にも1口ずつだ。

 遠慮せず口に入るだけガブっと行け」

「そ、そのような事は」

「あ、あの、このまま食べても宜しいのでしょうか」


「自分の国では、これはこのままかぶり付く食べ物なのだ。

 持ち運びに便利なので、携帯食料としてよく食べられる」

「そ、そうなのですね。それでは・・・」


ナズが口を小さく開けて、

おにぎりのがった先端をかじろうとする。

遠慮がちだ。


「そんな先っぽだけでは美味しさが伝わらない。

 もっとガブっと行け。せっかく作ったのだから美味しく味わえ」

「はっ、はい。失礼します・・・(はむ)」


ナズがモゴモゴと咀嚼を始める。

味わえと言った手前、1口を大事に食べてくれるようだ。

噛めば噛むほど味わいが広がる、それが米だし食べ方としては間違い無い。


「では次はアナだ。さっきはとても食べたそうにしていたからな」

「いえ、私はそのような・・・」


おにぎりの3つある先端部分の1か所はナズにかじられたので、

くるっと120度回して別の先端をかじらせる。

ついでに尻尾を掴んでしごいた。


「アナの事はもう大分理解している。さっき欲しそう目で見ていたよな?

 言い逃れはできんぞ」

「ほっ、ほえは・・・ほも・・・ほうひはへはりまへん」


モゴモゴしながら何か言ったがよく解らない。

2人は黙って初めて食べる米を味わった。

残りの半分を自分で食べる。


・・・旨い。


品種のせいか多少パサ付き感はあるが、やはり米は米だ。


日本人なら米を食え。†

もう日本人では無いが、米は食いたい。

2ヶ月ぶり位に頬張った米の塊は懐かしい故郷の味だった。


いつの日か自分の手でカレーライスを作成しなければ。


「ではこの後は軽く拭いて終わりにしよう」

「はい、このような物をお与え頂き、ありがとうございます」

「とても美味し──(むぐ)」


「シーッ、折角皆を退出させたのだから黙っておけ。

 どうせ家に帰ったら幾らでも食べられるんだ」

「は、はい」

「失礼しました、ではお拭きさせて頂きます」


ナズとアナから前後に挟まれてごしごしと拭かれ、

その後2人はお互いを拭き合った。

自分はおにぎりで粘っこくなった手をゆすいだ。



   ***



翌日の朝も、朝食としては重過ぎるメニューがやって来た。


昨晩は夕食後に握飯を食べるつもりだったので、

豪華な料理は控え目にしていた。

だが後数日、ずっとこれでは流石に胃が厳しい。

高級過ぎる旅亭も考え物ではある。


自分の部屋の料理だけグレードを落としてくれと言っても難しいだろう。

こういった所では料理長が腕によりを掛けて、

自身の威信と名誉に懸けて最高級の料理を提供する。


飽きたのでめろと言うのも大変失礼だし、

この部屋だけグレードを落とす料理を作るとなると手間も2倍だ。

そもそも庶民の料理なんて作れないかもしれない。


炊かない米なんて料理のグレードとしてはかなり劣りそうだし、

自分の口に合う物は自分で調達するしかない。


日本にいた頃の生活はナズと似たようなものだ。

貧民と言う程では無いものの、

一般層なのだから朝はパンと野菜炒めで十分である。


「毎日食事が豪華だが、お前たちは平気か?」

「そう・・・ですね、たまのご馳走でしたら宜しいかと思いますが、

 毎日ですと少々・・・」

「頂けるだけでありがたい事です。贅沢は言いません」

「俺は何でも行けます」「アタイもー!」

「あ、あの、僕はパンとスープだけで十分ですので」

「屋敷にいた頃のお料理を思い出します。

 私達は見るだけでしたので食べた事が無く、気にはなっておりました」


「イルマの屋敷では料理は誰が?専属の料理人はいなかったよな?」

「イェーラとクルアチが行っておりました。

 イェーラはそれなりに料理が得意でしたので」


そうか、そのイェーラもボルドレックの命令に因って爆死してしまった。

クルアチもこちらに貰い受けてしまった事だし、

あの家で調理をする者が居なくなってしまったのでは無いだろうか。


もう1人、いや2人。

夜の警備をしていた男と何番目かは知らないが妾がいた。


彼女達にやらせたとして、直ぐできるようになるとは思えない。

ま、どうせ金持ちだし新しい奴隷を入れるのだろう。

替わりの料理人と替わりの妾、替わりの庭師。


新たな愛憎劇が繰り広げられる事になるが、

そちらに関してはもう自分の知った事では無い。

知った所でまた決闘だの云々は面倒だし、

これ以上騒ぎを大きくしたくないのはある。


謎の商人ユウキはボルドレックに打ち勝ったが

その後は商売人としての名も聞かず、

肝心の歌姫ナジャリは行方を眩ませて音沙汰不明。

どこへ行ってしまったのだろうと噂になるが、

次第にその話も人々から忘れられる。


人の噂も75日だが、その半分の期間でも十分落ち着く事だろう。

一時は噂の歌姫、ナズの話を広めるためにユーアロナまで乗り込んだが、

今では逆に引かせようと試みている。

おかしな話だ。


「ボルドレックは3人も奴隷を失って、暫くは大変だろうな」

「ええと、ヴァルドル様とバラブダ様も倒されたのですよね?

 それでしたら5名でしょう。

 屋敷までは配下が抱える冒険者を使って帰ったのだと思われますが、

 今後どうやってお出掛けしたりお食事されるのかは気になります」


「ヴァルドルと言う奴もボルドレックの奴隷だったのか。

 まあでも、そいつは麻痺させただけなので倒した訳では無いかな?

 それよりもバラブダと言うのはあの屋敷で夜の見張りをしていた男か?」

「見張・・・そうですね。私達が就寝した後で屋敷の警護を。

 それからボルドレック様が外出する際は案内をしておりました」


「そういえばあいつは冒険者だったな。

 ・・・そうか、4人も一気に失うと大変だ」

「決闘代理人を依頼した名家の方もおられました。

 かなり高額な賠償金が請求されると思います・・・」


「名家・・・?ああ、あの魔法使いか。

 身なりも良さそうだったし変だとは思ったが、

 やはり上流階級の者だったのか」

「どこかのお貴族様に仕える執事だと聞きました。

 それだけでも大変な損害かと・・・」


贔屓にして貰っていた貴族家から優秀な者を借りた訳だ。


身代わりのミサンガも巻かれていなかったし、

魔法1,2回で倒れない相手であれば直ぐ降参する予定だったかと思われる。

最初の一発に賭ける、それだけ自信を持っていてもおかしくはない威力だった。

当の本人が2発で倒れてしまう位なのだから。


本来はちょっとした権威付けのための演出だったのだ。

だが対戦相手である自分が、反射という手段で殺してしまった。


当然ながら借り受けた優秀な人材を殺してしまってはその伝手の商売に支障が出る。

切られるどころか逆に潰し掛けられてもおかしくは無い。

加えて他のレンタル奴隷も殺してしまっている。

恐らく有名人ウルファンや本命タロスは超が付く程高額だった事だろう。


イルマが説明していた「物凄い人物」とは、タロスの事であったのだと思う。

更に賭け金も、ボルドレック本人へは大量に注ぎ込んでいたはずだ。

商売人ならば勝ち馬に乗って行くのが正しい。


倍率は自分の方が圧倒的に上だったはずなので、

ボルドレックに賭けて儲けるにはそれなりの額を入れなければならない。

配下の者達も当然ボルドレックに入れたのだろうから、

ボルドレック一派全体での資産が大きく目減りした事になる。


何だか可哀想になって来たので考えるのをめた。


「ま、まあ良いや。

 しかし、毎日こういった高級な食べ物は自分に合わないので、

 何か軽めの食事があれば良いんだがなぁ」

「それでしたら、粥料理を申し付ける事が出来るかと思います。

 主人の体調が優れない場合に対応するため、

 軽めの食事も用意しているのが普通でございます」


「おお、そうか!では昼食からは1人分軽めの食事に変更するように頼む」

「あ、あのっ、私も宜しいでしょうか」


「何だ、ナズもか。どうせ値段は変わらないだろうし、好きにしてくれ」

「それでしたら、私も同じ物を」


「アナまで自分やナズに合わせなくて良いぞ?」

「い、いえ、私もナズさんが作るような食事の方が好みですので」

「では僕もっ」


「俺はどっちでも大丈夫です!」

「アタイもこのままでいー」

「わ、私はどどど、どうしましょう?」


「そんなの知るかっ!好きな方を選べっ」

「でっ、ではこここのままでっ」


ラティはゴージャスな方が好みらしい。


元は一般人だし普段から良い物を食べていたのだろう。

そりゃあ解散から15日で金が尽きる訳だ。

一度味を知ってしまった贅沢からは逃れられない。


迷宮探索が順調になると稼ぎも良くなり、

住む所も食べる物も次第に良くなって行く。

そういった意味では20層程度でパーティが崩壊すると、

もう後に引けないのだ。


Lv40位になれば中層であっても何とかソロで戦える。

それなりの装備や熟練度合い、ステータスが身に付くからだ。

Lv10程度なら別のパーティを見付け易い。

探索者はそのLvを以てしてパーティの熟練度合いの指標とするからだ。


Lv20~30と言う微妙な立ち位置が、

最も必要とされず、つ身に着いた贅沢を忘れられず、

それがラティを困窮させた原因となったのだろう。


結局、ジャーブ、ヴィー、イルマ、ラティが元の豪華な食事を、

自分とナズ、アナ、エミーとパニが粥料理に変更する事となった。


「ではそういう事で宜しく頼む。

 今日はここに商館の使いの者が許可証を持って来てくれるらしい。

 誰か留守番して書状を預かって貰ってくれ」

「ええと、ご主人様は今日はどうなさるのですか?」


「体を動かしたい。昨日は1日料理をしていたので、迷宮だな」

「解りました、準備を致します」

「先日入られた17層でしょうか?」


「そう・・・だな。

 自分はそうするが、他の者はラティの地図を進めてくれ。

 9層からだっけ?」

「いえ、10層からです。9層までの地図が作成されております」

「は、はいっ!10層はミノ、次の11層がエスケープゴート、

 続いてマーブリーム、ラブシュラブと続きます!」


いつに無くラティがハキハキと喋る。

迷宮の知識を披露する時はこれだ。

ことテリトリー内に収まる事を要求された場合、ラティは生き生きとする。


やっぱり腐り枠では無かろうか。

21世紀の日本に生まれなくて良かったな、

迷宮の稼ぎでは夏と年末に過ごす金が足りないぞ。


探索者としては頼りになる、それがラティだ。

それで良い。

それ以外を望んではいけない。


「ではエミー、留守を任せても平気か?」

(こく。)


「先程の注文を受付に申し出る事はできるか?」

「・・・・・・はい」


エミーも多少話せるようになって来た。

受付に今日の食事の変更を申し付けられるようであれば、もう十分だろう。


「ではパニ、残りの者を連れてダイダリの迷宮だ」

「はい、かしこまりました」


 ・第1パーティ


  ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv62

  ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv48

  ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 僧侶  Lv13

  ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32


 ・第2パーティ


  ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv8

  ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv7

  ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv6

  ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv8

  ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv39


自分は強壮剤の補給とイルマのLvを上げるために17層中間部屋へ直接。

ナズたちは地図の続きで10層から頑張って頂く。

これからパーンが出るらしいのでナズの詠唱キャンセルは必須だろう。

1層から経験して来た事はパニに取っても有意義であったはずだ。


イルマは直接戦闘しないし、

より実戦に近い深層からの方が僧侶の仕事をまっとうできると思う。

エミーは当然留守番だ。


料理人のLvを上げておく事は、

何時の日か食材を集めて回る際には役立つ。

第2パーティに振った者はLvこそ低いがそれを覆す強さを持っているし、

そもそもが上位ジョブなので大丈夫なはずだ。


自分達は早速中間部屋からボスまでのルートを移動した。

今回はアナがいない。

ラティもいない。

自分とヴィー、後方にイルマが立つだけだ。


先陣を切って迷宮を回るなんて初めて迷宮に入った時以来だ。

ずっとアナが先陣を切ってくれた。

初めて迷宮へ入ったあの時、心細くその先には闇を感じた。

今は心に余裕を持って回る事ができている。


勿論緊張感は大事である。

油断をしている訳では無い。


何故なら手元にはラティが途中まで描いた地図があるからだ。

中間部屋までは既に描き終わっており、続きの道も半分が描かれていた。

残り半分なら自分にだって探索できる。

超便利!絶対迷わないし、出る魔物も解っている。


攻略本を持ち込んで挑む迷宮は相当に楽だという事だ。

やはり、地図は売れる。

そう確信した。


角を曲がる際だけは気を付けて、後は遠巻きに魔物を見付けたら、

ヴィーを走らせて遠距離から魔法を撃つだけである。

余裕であった。


あっと言う間にボス部屋へ辿り着き、以後は周回作業となる。


ボスもお供は瞬殺だし、ボスだってボーナス魔法無しで3ターン。

込みでは1ターン目で煙になる。

MPに余裕が無くなったら矢を放ち、回収はイルマに任せた。

ボス戦の時はイルマの詠唱する声が聞こえる。


手当ては恐らくヴィーに掛けているのであろう。

別段ダメージを食らっているようには見えないが、

練習をして置けと言った手前、彼女も頑張ってくれているようだ。


胃靠いもたれを引き起こした朝食がこなれて来る頃合いには、

アイテムボックス1枠の半分に陳皮チンピが溜まり、

お供として出て来た魔物からは附子ブシ遠志オンジ

豚バラ肉もそこそこに集まった。


ただし豚バラ肉はここで集めても調理ができない。

肉が出る事にヴィーは喜んだが、この肉は食べずに売ってしまおうか。

ヴィーには申し訳無いが、済まんな。

バラ肉ばかり集まっても困る。


そういえば1~9層まで回ったラティからはまだ荷物を預かっていない。

一旦回収して置いても良いと思う。

ラティは現在みんなの装備品の管理も行っているので、

空きスペースが足りないと思うのだが・・・。

と言う事はパニが持っているのかな?


  *

  *

  *


その後、強壮丸の材料である遠志オンジが3枠目に貯まり出し、

これを満載にしたら帰ろうかと思っていた所、

中間部屋にナズたちが集まっており、昼だと告げられた。


「ラティ、ついでに今日までの戦利品を回収する」

「あ、はいっ、いまお出ししますっ!

 八百やお千五百ちいほのお宝を──」

「あ、僕もですね。八百やお千五百ちいほの──」


ラティとパニから結構な量のアイテムを預かり、

自分のアイテムボックスにしまった。


現状で自分のアイテムボックスは探索者の62枠と勇者の50枠がある。

3600程度と2500個が入るはずなのだが、

どこまでが62個入る枠で、どこから50個入る枠なのかは不明だ。


恐らく62個入る枠を埋めると50個入る枠を消費するのだろう。

それって先に1枠1個だけしか入らない装備品で埋めたら勿体無くないか?


そこら辺のシステムが良く解らないが、

アイテム枠は余っているのでジャラジャラと詰め込むだけだ。

埋まってしまってどうにもならなくなる日は多分もう来ない。

最上級職である勇者も、Lvの上がり易い探索者も、

この先はずっと固定であるからだ。


自分とは別行動組のグループからも、

一定の収入が得られるようになった事に満足した。


貯まったアイテムが圧迫するような状況に無いので、

売却するのはもう少し様子を見てから纏めて行う事にしよう。

先程売ってしまおうかと思った豚バラだって、

沢山あった事で何かの役に立つかもだ。


この先何がどうなって、どんな要求があるか判らない。

わざわざその都度買うのも勿体無い。

ある程度は在庫として持っていた方が良いと言う判断だ。


枠から溢れてしまった場合はその時に考える。

∽今日のステータス(2021/12/31)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv62

  設定:探索者(62)魔道士(34)勇者(20)神官(26)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(29)


 ・BP160

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   パーティー項目解除   1pt   MP回復速度×3    7pt

   パーティージョブ設定  1pt   詠唱省略        3pt

   獲得経験値上昇×20 63pt   メテオクラッシュ    1pt

   必要経験値減少/20 63pt   ガンマ線バースト    1pt

   結晶化促進×4     3pt   ワープ         1pt


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv8  2nd

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv7  2nd

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv6  2nd

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv48 1st

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32 1st

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv8  2nd

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv39 2nd

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 僧侶  Lv13 1st

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 村人  Lv1  OFF


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv62

  設定:探索者(62)魔道士(34)勇者(21)神官(27)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(29)

 

 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv8  2nd

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv8  2nd

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv7  2nd

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv48 1st

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32 1st

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv10 2nd

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv39 2nd

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 僧侶  Lv17 1st

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 村人  Lv1  OFF



 ・収得品(ラティ)

   コーラルゼラチン × 34   ニカワ      × 1

   オリーブオイル  × 39   パームオイル   × 1

   毒針       × 31   蟻酢酸      × 1

   ブランチ     × 26   リーフ      × 1

   スパイダーシルク ×  7   スパイス     × 1

   糸        × 39   絹の糸      × 1

   羊毛       × 38   ラム肉      × 1

   コボルトソルト  × 46   コボルトスクロース× 1

   ウサギの毛皮   × 40   ウサギのカード  × 1

   皮        × 38   革        × 1

   ホモール     × 36   ヤギの肉     × 1

   白身       × 37   赤身       × 1

   木の板      × 29   削り掛け     × 1


 ・収得品

   陳皮       × 97   遠志       ×135

   豚バラ肉     × 53   附子       × 21

   鑄        × 4



 ・異世界63日目(夕方)

   ナズ・アナ58日目、ジャ52日目、ヴィ45日目、エミ38日目

   パニ28日目、ラテ10日目、イル・クル7日目

   サンドラの旅亭宿泊3/10日目



 ・ダイダリの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  14 ロートルトロール   /  ロールトロール

  15 サラセニア      /  ネペンテス

  16 ピッグホッグ     /  ピックホッグ

  17 フライトラップ    /  アニマルトラップ

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― 新着の感想 ―
愛 餓男さん>「ちなみに、勇者のアイテムボックスには複数ものが入るようだ。」 これは1つの枠に複数種入るという意味ではなく、枠が複数あるという意味だと思います。探索者の場合は枠の数と枠の容量はどちら…
[気になる点] まとめて売却するとまた怒られるのでは?
[一言] 備忘録的な蛇足 §224 収得 ウサギ ---------------- 合成済)珊瑚×2、ウサギ×3、山羊×2、コウモリ×2、件、挟み式、壷式、アリ×3、羊×4、灌木×5、牛、トカゲ…
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