§223 調和
「では行くぞ」
(こくっ。)
ゲートを出して商館の傍にあった太い木を指定する。
エミーには食材と鍋、杓文字等の調理具、
お椀等の食器類をリュックに入れて背負わせ、
手にはマヨネーズの椀を持たせている。
ハーブティのセットも持って来た。
カレーだけでは辛くて飲み物が欲しくなるだろう。
日本の喫茶店などでカレーを頼むと水が出て来るが、
金持ちに水は叱られそうなので、
ジャスミンの香りがする茶葉を持って来たのだ。
この国にも同じ茶葉があるかどうかは判らない。
産地が変われば茶の味も変わる。
この国では高級品だったとしたら評価が上がるし、
あったとしても口を整える只の飲料に過ぎない。
と言うかジャスミンって元々インド北東部や、
中国西部のヒマラヤ地方原産では無かったのだっけ?
それならばカレーにも合うだろう、多分。
輸入品であれば自国の雑貨屋などで売っている訳が無いので、
恐らくジャスミンっぽいハーブティはルイジーナ産で間違い無いと思う。
準備万端にしていざ商館の裏戸を叩いた。
中から用心棒であるナイドゥが顔を見せる。
「お待ちしておりました、どうぞ中へ」
「ああ、宜しく頼む」
勝手口からそのまま厨房に案内され、
この館の料理人と思しき人物が自分とエミーをまじまじと値踏みして来た。
作業を見られた所で簡単に真似できるような物では無い。
恐らくは見て真似て、今後の食卓に活かせと命令を与えられたのだろうが、
カレーのルーは入れるだけだ。
中のレシピまでは判りっこないし、
マヨネーズだって少なくともトルキナでは一般的では無かったはずだ。
米だって庶民の調理法は粥なのだから、
知識も無く1回見ただけでは上手く炊けるはずが無い。
ライターやLEDライト、
万能ナイフこそがオーパーツであると認識していたが、
米を炊く技術そのものがもう既に未知の物であった。
このカレーのルーだって大概な代物だ。
まったくナイスだぜ過去の自分?
材料を並べ、鍋に水を入れて米を研ぐ。
研げば研ぐほど白米に近くなって甘みが増す。
いや白米と言って良いのかな?
赤い品種なのだが。
先程賞味した米は胚芽が残っている状態であったため、
昼食後、エミーにはひたすら木のスプーンで搗いて貰った。
なにせ手動なので白米には程遠いが、
それでも玄米とは全く味が異なるだろう。
現地人たちが研がずに玄米のまま粥として食べるのだとしたら、
当然味は落ちるし柔らかくも無い。
なるほど、この国で米食のヒエラルキーが低い訳だ。
研いだ後は水に浸して寝かす。
鍋に水と米を入れてそのまま放置だ。
続いてエミーには野菜をぶつ切りにして貰う。
食べ易く均一にカットされたものでなければ、
金持ちの食事とは言えないのだろう。
エミーが下拵えをする様子を見て、
料理人達は冷ややかな笑みを浮かべていた。
鍋に火を掛けて湯がく。
ついでに赤身を取り出し、柵状に切って投入する。
魚の油も滲みて良い味が出るのでは無いだろうか。
ぐつぐつと音を立て始めた所で赤身を取り出し、
大きめの椀で潰して解す。
料理人たちが何かを言っているようだが、人間語は判らない。
却ってそれが今は心地良かった。
馬鹿にされていると言うのは解るが、通じないって素晴らしい。
スルースキルLv99だ。
解した赤身をマヨで練り込んでシーチキンマヨを完成させる。
試しに少し口へ運んでみたが、完璧なツナマヨであった。
若干酢が多い事でアクセントになっている。
茹でた芋2つをマッシュして、これもマヨで練る。
茹でた玉葱も少し刻んでポテトサラダの具にした。
程良くシャリシャリとした歯応えが残っており、
これも良いアクセントになるだろう。
更にカレー用の具は煮込みを続ける。
水分が半分になった所でルーを投入だ。
ここで火を中火にしてとろみが出るまでは寝かす。
豚バラは湯煎した状態で取って置き、
最後にカレーと混ぜる事で肉が硬くなるのを防ぐ。
つまり、しゃぶ肉である。
しゃぶ肉カレーである。
そろそろ米の方は水を吸った事だろう。
ここで初めて鍋を火に掛けた。
先程実験した時と同じように中強火で沸騰まで持って行く。
今回は水を張った状態でしばらく寝かせたので、
弱火で撹拌させるのはパスだ。
その間にサラダを完成させる。
湯がいて置いた唐黍をナイフで削って実を落とし、
粒コーン状態にした。
更にオリーブオイルの油で揚げて、カリカリコーンへ変える。
そしてこれもポテトサラダに合わせて練り込む。
葉物を適当に刻んで盛り、ツナマヨ、ポテトサラダ、
緑のトマトを乗せて彩った上に、
ちょこんと揚げ唐黍の粒を掛けた。
これを5人分完成させる。
ドレッシングはオリーブオイル、塩、酢、ペッパーのシンプルな物だ。
エミーに混ぜて置くよう指示をすると彼女は鞄から小さな壷を取り出し、
何かの粉末を混ぜ込んだ。
いつの間にそんな物を・・・。
サラダの皿はこちらの館にある小皿を使用させて貰った。
そして5人分の先割れスプーンをそれぞれの皿に刺して行く。
フォークの替わりだ。
ナイフとスプーンではサラダを食べ難かろう。
鍋の方はかなりトロトロの状態になっており、
カレーはしっかりと煮込まれて香ばしい匂いを漂わせていた。
カレープールとして使用する予定の深い椀へしゃぶ肉を均等に入れ、
後はそこにルーを入れるだけの状態となった。
米を炊く鍋の蓋がカタカタと動く。
炭を集めて火力を集中させ、強火で煮る。
程無くして泡がジュクジュク、コポコポ、プクプクして来たので、
ここで中火に切り替えた。
エミーはその様子をじっと観察する。
先程は1合で10分ほど蒸らしてみたが、今回は5合だ。
少しマージンを取って、15分程蒸らしてみた。
・・・蓋を開ける。
どうだっ?
炊けた分搗米は何とも言えない米らしい香りを放ち、
米粒はトントン、ふっくら、ツヤツヤとしていた。
もう湯気だけで涎が出て来そうな具合である。
今直ぐ杓文字に掬って貪り付きたい。
先程炊いた米は1口ちょこっと食べただけで、
残りはおにぎりにしてしまってまだ食べていないのだ。
一応4つを作ったが、9人がいる現状では喧嘩になるだろう。
今日、何かしら頑張った者がいたらご褒美として与えたいと思う。
杓文字で米を引っ繰り返して十分に解し、
後は鍋が冷めないように炭の量を調整した。
夕食の時間までこの状態にして置けば良いだろう。
暫くはこのまま休憩させて貰おうか。
おっと、ハーブティを忘れていた。
折角入れる道具まで持って来たのだし、準備せねば。
カレー鍋をどかして湯を沸かし、ある程度煎じた状態で水瓶に注いだ。
遠巻きにこちらを見守っていた料理人達にも、
調合されたスパイスの香ばしい匂いが届いているとは思う。
カレーの匂いは特徴的であり、良く香る。
この商館にいる者達も、仄かに漂う香りには気付いたはずだ。
済まんな、奴隷達は多分食べられない。
余ったら鍋にパンで刮ぎ取って食べても良いかもしれない。
その辺は商館主が決める事であって、自分からはどうにもできない。
仕込みはほぼ終わったので、厨房にある椅子に座って時間までは暇を潰す。
椅子は1脚しかなかったので、もう1脚持って来て貰った。
これでエミーも座る事ができる。
***
日も暮れ、夕食の頃合いとなった。
こういった大商人の食事としては、
カレーライスとサラダだけの2品ではどう考えたって足りないのだろう。
2品を作り終えた後ずっと椅子で腕を組んで休んでいたのだ。
料理人達がヒソヒソ話しているのは解かった。
足りないのは想定済みだ。
当然もう1品作る予定である。
厨房から1切れのパンを貰い、エミーに削らせて粉々にする。
パン粉は下賤な物だったはずだ。
そこに卵だ。
マヨに使わなかった2玉を溶いてペッパー。
豚バラをミルフィーユ状に重ねて卵へ浸し、
そこにパン粉を塗した物を5つ用意する。
天婦羅は上手に揚げられないが、
フライなら一介の大学生だってちゃんと揚げられる。
ミチオ君だってやったのだし、自分にだってその位はできる。
ここまで準備したが、合図があるまでは揚げない。
そろそろ準備を・・・と言われてから、揚げたてを頂いて貰う算段だ。
先に上げると萎びてサクサク感が無くなってしまう。
何だって熱々が美味しいはずだ。
再び動き出した自分の姿に、お抱え料理人達は神妙な顔付きで眺めていた。
恐らくは米も下賤な、或いは下級層の食べ物なのだろう。
粥では上品に食べる姿を想像できない。
寧ろ野菜や肉がまだ残っている骨などを混ぜて、
奴隷の料理として提供する方が似合っていると思う。
それに崩した赤身や豚バラ肉、パン粉だってそうだし、
唐黍は貧乏人の食べ物だと食糧店の商人も言っていた。
どれも食材としてはグレードが低く、
そもそも細かく砕く行為はミンチを想像させるのだと思う。
ハッキリ言って上流の者が食べる料理では無い。
ただそれは構成する部品ごとの話であり、
纏まって完成されたツナマヨコーンポテサラと、
ミルフィーユカツしゃぶ肉カレーには平伏して詫びざるを得ないのだ。
館主たちが食した後、彼らに何と注文を付けるのか見ものである。
カツは完成品を見れば直ぐに作り方を想像できてしまうが、
ツナマヨにポテサラ、そしてカレーは完全に理解できないだろう。
もう既にマヨの原形すら留めていないのだし。
もう一度作って欲しいと言われても、カレーは自分にだって再現が難しい。
厨房に入って来たナイドゥからそろそろ用意をとの催促を受けたので、
既に熱してあったカメリアオイルの中へカツを投入した。
──シュワァァァ・・・。
1回で揚げられる量は2切れ。
きつね色に揚がったら一旦作業机へ置き、2センチ程の太さでカットして行く。
中は程良く白に近いピンク色となっており、
肉汁もしっかり残る最高の状態に仕上がった。
続いて2枚を揚げ、その間にご飯を平皿へ載せる。
ライスとカツが乗った皿には、
ベストパートナーである福神漬けが無いが、それは許して貰おう。
昼から漬けて置けば紅生姜位は作れたかもしれないが、
今更気付いた所で後の祭りだ。
程良く温かくなったカレールーをお椀に移し、
トレイにはサラダとカツライス、カレーのお椀、
冷めたジャスミンティーと唐黍粉のスープ、
そしてカレー用に大きな匙を添える。
完成だ。
でき上がったトレイから、屋敷の料理人に運ばせた。
エミーにも1つを持たせ、自分も最後のカツを仕上げて付いて行く。
廊下から昼前に通された応接室を抜け、
通路を隔てた反対にある食卓の間へと運んだ。
流石は金持ち、食事をするだけの部屋がちゃんとある。
ここだけ見ると本当は貴族の家じゃないかと思えるような、
真っ白なクロスで覆われた長机。
この家の者達は毎日ここで食事を取っているらしい。
自分達の生活環境からは相当に掛け離れた世界である。
既に5人は集まって着席しており、
食事は一番奥のナイドゥから順番に運ばれて行った。
エミーは4番目なので館主の直ぐ右隣に座る女性へ給仕する。
彼女が館主の夫人なのだろう。
その反対に座る2人の若いカップルは恐らく息子夫婦。
こちらは既に料理人達が配膳を終え、
興味津々にカレーの入った椀やライスの上に乗ったカツを眺めていた。
さあ、盛るゾ。
「どうぞ、お待たせしました。
私の考案しました料理、カツカレーになります。
どれも皆、下賤な物と称される食材ばかりですが、
調理の仕方に依っては大変美味であると言う事を知って頂きたく、
今回ご用意させて頂きました。
急拵えな物に成りますので材料は厳選できませんでしたが、
お気に召しましたならば、次は是非より良い食材を用いてみて下さい」
用いてみたところでカレーは再現できないがな。
「ほお・・・カッカレイなる物か。
このような香ばしい香りは今まで嗅いだ事が無い。
それにこのサラダも、妙な塊りが乗っておるが」
「そちらはツナマヨになります。材料は解した赤身です。
紫色の塊は潰したイモになります。ポテサラと申します」
「それでは、こちらの少し焦げておる物は何だ?」
「それこそがカツでございまして、
中は肉を柔らかく揚げ焼きした物になります。
こちらの椀に入ったカレーを、
お好みに合わせて掛けて頂いてお召し上がり下さい。
少々辛くなっておりますので、
お口が熱くなりましたらこちらのハーブティーを合わせますと、
辛味も和らぐでしょう」
「わ、解った。頂こうか」
「ええ、頂きましょう。勤勉なる者たちの営みに感謝致します」
「「致します」」
ほーう、この世界、いやこの国での作法はそういう物なのだな。
頂きますでは無く感謝か。
そういえばルティナも何か言っていた気がする。
細かいセリフは忘れたが、上流の者たちは下流の者達に生かされており、
その事に対して感謝をしているのだと言う事を改めて認識した。
それが恰好だけであったとしても。
早速サイクリッシュがカレーを匙で掬い、
ご飯に掛けてカレーライスとなった物を口へ運ぶ。
「んんっ」
それを見て息子夫婦が続き、夫人はカツの方にカレーを掛けて頬張った。
──サクッ!
揚げ立てのカツが心地良い音を立てて咀嚼されて行く。
本来それは自分が食べたかった物だ。
くそう・・・。
これでもうカレーのレシピを解明するまではカツカレーはお預けだよ。
生唾を飲み込んで成り行きを見守るしかないのは酷だ。
あの鍋に残った少しのカレーでも良いので舐めさせて欲しい。
これではどっちが奴隷だか判らんな・・・。
主人が食べているのを見る奴隷の心境だろうか。
それでか、自分と同じ物を食べたエミーは初日に涙した。
今ならエミーの気持ちが少し解ってやれる。
カレー、カレー、カツ、カレーと来たら当然口直しが欲しくなる。
そこでサラダだ。
マヨで和えられたシーチキンやポテトサラダには、
辛みをマイルドにするマヨネーズが入っている。
口直しには最適だ。
ジャスミンティーも香りが強く、
カレーの匂いに飽きた頃に口に含むには最適の飲料である。
そして唐黍粉のスープ。
甘く滑らかな舌触りはカレーの辛さを完全にリセットし、
フラットな状態へと回復させる。
緩い甘みで口が刺激を求め結局はカレーに誘われてしまうのだ。
正解と正解の組み合わせがここに並んで調和している。
トレイの上に乗ったたった3品だけの簡素な食事は、
この5人を唸らせるには十分であった。
何かやっちゃいました俺?では無く、
これだけ現代知識を駆使したメニューで何もやれていなくては困る。
「正直に申しますと」
サイクリッシュがスプーンを一旦置き、食事を中断した。
「オーレズは下々の食べ物、特に貧しい民の食べ物です。
通常は粥にして食べる物ですが、
このように柔らかく歯応えがあるよう調理されたのは貴方が初めてです。
それだけでは無くこのソースの方も、
フワッと仕上がったオーレズに完全に調和しており飽きが来ない。
それにこのパンの屑を焦がした肉料理も、
・・・ええと何と言いましたかな」
「カツですね」
「そう、このカツも、今までに味わった事の無い食感で、
ただ肉を焼いてソースを掛けて食べていた我々には、
想像だにできなかった調理法ですな。
更にこのサラダに至っては、簡素で何も特徴が無いように見えて、
小さく解された赤身は噛む程に味があり、
潰されたイモなどはオーレズの辛いソースを打ち消して、
再び口に入れたくなる絶妙な釣合いです」
「お口に合いましたようで、何よりでございます」
「正直。感服致しました。
当家の料理人はそれなりに修行を積んで来た者達ばかりですが、
これを作れと言っても難しいでしょう」
「お褒めに与り光栄です」
「貴殿は新しい調理をするために、
貴殿の設計したガラス器具が必要なのだと言っておられましたな。
当家商会から許可証を発行させますので、
是非その新しい料理を考案された暁にはまた振舞って頂けますかな?」
「はい、喜んで」
って待て待て、これ以上の物は思い浮かばないんだが。
どうしようか。
ピザ?・・・は弱い。絶対弱い。
タコスだって弱すぎる。
あれは酒のつまみだって言っただろう?
ラーメンと餃子、小籠包で許して貰えないかな?
次があれば、の話である。
「それでは明日、
使いの者を送りますのでそれに持たせましょう。
ええとどちらにお泊りでしたかな?」
「ええと、暁の?旅人亭です」
「はて?旅立ちの暁亭ですかな?」
「ええと、恐らくそちらです。
名前を覚えるのは少々苦手なものでございまして」
「はっはっは。なるほど、完璧な人間などおりますまい。
ではそちらに使いを回すので、お待ち下され。
その許可証があれば、シュメールの町中に入る事も許されましょう。
失礼ながら、シュメールの法に付いては?」
「冒険者を連れて行くのは駄目だと言う話以外は存じません」
いやそれに関しても無知ではあるが、
多分ダメだろう、と言うのはある程度判断できる。
冒険者ギルドに飛んでから堂々と歩いて行くのであれば問題は無いはずだ。
帰りも送って貰う必要はあるが。
あ、しまったな。
冒険者ギルドで待機していた送り返し専門の飛ばし屋には、
自分がフィールドウォークで帰る所を見られている。
その時には別の者である事を祈ろう。
あ、いや、パニを連れて行ってギルド建屋で待たせれば良いのだ。
「それから商人も駄目ですな。
失礼ながら貴殿は商人ではありませんですかな?」
「え、ええ。食材を集める必要から探索者の職に就いております」
「そうであるか。それなら問題は無いが、
食材を集めるなら料理人の方が良くは無いかね?」
「こちらの娘が料理人でございます。彼女は良く働きます」
(ぺこっ。)
紹介をすると、エミーは話に合わせて頷いてくれた。
色々偽っていると言う事を知った上でこの対応だ。
エミーも中々に演技派である。
「なるほど、それならば良い組み合わせだ。
ではまたいずれ、その新たな料理と言うのを楽しみにしていますぞ。
完成の暁には是非ともこちらで振舞って頂きたい」
「私からも、宜しくお願い致します。
このような料理は、恐らく宮中に居ても食べられないのでしょう。
広まって庶民でも楽しめるようになると良いですね」
この夫人は金持ちである事を鼻に掛けず、
庶民に対しても寛容な心を持っているのだろう。
広まってもっと食べたいと言う気持ちの表れかもしれないが、
独り占めしない辺りに好感を持てた。
「それでは、残りをごゆっくりご賞味下さい。
鍋にはまだ少量のソースが残っておりますが、
明日の朝食時、パンに付けて召し上がりますと更に楽しむ事ができます。
是非お試し下さい」
余計な事を吹き込む。
カレーパンであれば食が進む事だろう。
奴隷達に少量おすそ分けがあるかもしれない希望を潰してしまった。
済まんな、この館に住まう者達よ。
勿論他人が管理する奴隷にまで振舞う必要があるかと言えばノーだが。
斯くしてサイクリッシュからは紹介状を得るまで取り次ぐ事ができ、
満足して旅亭に帰った。
大きな損失を被ったが、大きな進展も得られた。
カレールーとエミーの命なら、エミーを取ってやりたい。
当のエミー自身は自分の持ち込んだカレールーと引き換えに、
治療薬を作成する器具を交換したのだと言う事実を知らぬまま、
いつもと同じように帰り道を付いて来た。
恩着せがましいような事はしたくないが、
いつか今日の事を思い出して感謝してくれる日が来ると良いな、
と思いを馳せながら帰路に就いた。
∽今日の戯言(2021/12/29)
先行して書き溜めると良い事があるんですよ。
何度も読み返せるので、展開が気になった場合には、
過去に立ち返ってこっそり修正したり、
誤字脱字の修正をじっくり時間掛けて行えます。
それでも相変わらず見逃す誤字率は高いんですがね。
元々勘違いして入力してしまっている事もたびたび。
・・・マァそれはいいや。
現時点でなろうに公開されているのは「028 成功率」なので、
この章やこの話が掲載されるには何ヵ月後になる事やら。
当初は100話くらいかなぁなんて思っていたら、
あれよあれよと200話。
用意したイベント全てを消化するとなると、
ざっと計算してさらに倍くらい掛かる予定になってしまいました。
1日1話頑張って書いたとしてもあと180日頑張るのか・・・。
ここまで書き始めて5か月、残り6か月かかるとして1年。
毎日書くのは大変です。
所々日が開いているのは外す事の出来ない所要ができてしまう為です。
設定を拡張するにあたって物語の再調整をしたり、
必要に迫られてプログラムを作ったり、計算したりと、
毎日この連載に係る何かをしております。
特に面倒なのが地図や人物の設計。
チョイ役なら急ごしらえで用意してもいいのですが、
何度も出てくる人物はしっかり設定しないとブレます。
あいつとか、こいつとか、結構ブレまくったのでその都度修正しました。
流石にもう大丈夫だと思いますが。
目下400話、エンディングを迎えるために日々奮闘していますが、
それまで更新ができるかどうかも分かりませんし
アカウントが生きているかどうかすら解りません。
二次創作と言う立場上避けては通れない問題がそこにあります。
それにしてもあと2話で、
エピソード数が原作に追いつく事態にもなってしまいました。
アニメ化が進行中で忙しいらしいです。
原作者の蘇我先生には是非頑張って欲しいと思います。
この話が公開された頃にはきっとアニメが公開されているのでしょう。
私はまだ見ていませんが、みなさんどうでしたか?
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