§196 計画
昨夜は風呂前にアナと励んでしまったので、
夜のお楽しみはナズとだけであった。
もし仮に決闘で負けるような事があれば、
ナズとは今日で最後・・・。
いや降参の声も届かず討ち負ける事になったら全員と最後だ。
勿論そんな事は絶対にしない。
ナズに起こされキスをしたままで、更に緊く抱きしめた。
「あ、あのっ・・・ご主人様・・・」
ナズが優しく包み返す。
こちらの意図が解かったのか解っていないのか。
兎に角、絶対この娘を奴には渡さない。
ナズと抱き合ったまま、アナとも朝のキスを交わした。
ナズとアナが朝の支度のために部屋を出て行った。
暫くは自分だけの時間である。
明日の準備、と言うか作戦をゆっくり考える最後のチャンスだ。
決闘が正規な状態で行われるとして、
自分のスキル構成はよく考えねばならない。
持ち物も装備品もだ。
相手は状態異常の武器を使って来るかもしれない。
その時はアナのカチューシャを借りる。
竜革製の髪留めなので、マスクの下に仕込む事ができる。
武器の選択だが、まずは焔のカトラス。
スキル付き武器なので多少は攻撃力が増すだろう。
雑魚にはなるべく奥の手を見せず、ここぞと言う時に発動させる。
次点でアナの強縮のサーベル。
ボルドレックが何人の戦闘奴隷を持ち出して来るのか不明だが、
何度も石化や麻痺で倒したらルールを変えられるかもしれない。
その場合は普段ヴィーが使っている克服の白銀剣を用いる。
流石に全てのスキル武器の使用を禁じられる事は無いだろう。
最終的には自分の弓だ。
これを持ち出すのは本当に切羽詰まった時となる。
次に防具だ。
体はミスリルジャケットが一番強い防具だとして、
鉄製の武具はやはり重くて馴染まない。
手はいつも使っている自分の竜革の手袋、
足はアナから駿馬の竜革靴を借りる。
決闘の際にも戦闘時だと認識されるのかは不明だ。
だが竜革のブーツとどちらが動き易いかを考えれば、
靴の方が良いだろう。
移動力増強の効果は発動したら儲け物だと思った方が良い。
盾は木の盾で十分だ。
以前アナが使っていた鉄の盾はやはり重た過ぎる。
防御できる範囲は木の盾より広いが、
どうせ自分には盾の才能なんて無いのだし、
扱い慣れていないので上手く往なせない。
それにどうせ時間を引き延ばして戦うだけだろ?
身代わりミサンガは、ナズとアナ以外は全て回収する。
大量のミサンガを予備としてポケットに仕込ませて置いて、
仮に千切れるような事があればオーバーホエルミングで付け直す。
そしてジョブとスキル構成だ。
まず決闘の前にはインテリジェンスカードの提示がある。
その際にファーストジョブが商人でなければならない。
ボーナスポイントの総量が減るので、予め設定して置く事はできない。
チェックを終えた後ゆっくり考えている暇など無いと思うので、
今ここで考えて置こう。
やっぱりジョブやスキルを覚えて置けるスロットのような物が欲しいなぁ。
初期設定が雑な癖に、しっかりと奥行きのあるシビアな世界なのだ。
ゲームのような設定画面は転移前の物だけで、
実際に生活をしてみればここではリアルな現実。
そんな便利な物がある訳も無い。
ゼロベースでジョブの特性の洗い出しを始める。
まず勇者は外せない。
ダメージが倍増し、時間を引き延ばすオーバードライブは必須だ。
これが無ければ自分はただの一般人なのだから。
次に攻撃は食らう事が前提として、
極力ダメージを減らすためには騎士と錬金術師だろう。
錬金術師はまだLv1であるが、
それは今日これからブーストで上げる。
今日はこれまで体験した魔物の部屋を全て回し、
低いジョブを一気に上げる予定なのだ。
錬金術師に就く必要は無い。
道化師の空きスロットにスキルだけ入れれば宜しい。
続いて怪我の手当てに神官は欠かせない。
自爆攻撃が半分反射できるとして、半分は自分の体で受ける事になる。
その際には手当てで回復しなければ、
2度目の自爆に備える事ができない。
そもそもダメージが半分になるだけで、HPが半分残る訳では無いと思う。
例えば自分のHPが300だとして、
自爆攻撃が999ダメージだとするならば、
半分反射して499。
・・・あれ?見誤った?
駄目じゃん、死ぬじゃん、終わりじゃん。
機工師のジョブを上げるべき?
こちらはどの程度ダメージを吸収するかどうかすら判っていない。
流石に完全反射と言う訳では無いだろう。
ついでにLvを上げて検証すべきだ。
破魔鏡と反射鏡、2枚張る事でダメージが半分の半分、
1/4位にカットできれば、
999ダメージだって249になって生存の可能性が高まる。
そうしよう、すぐしよう、たちどころにしよう。
ダメージ減衰効果は一度使用すれば戦闘が終わるか反射するまで続く。
厳密に言えば防御もメッキもそうなのだろうが、
こちらは接近戦に於いて何度も使用する必要があるので常時外せない。
状態異常を狙って行く事にもなるので博徒、暗殺者も必須だ。
オーバードライブ連射に耐えられるように、MP増強も必須である。
そのためには魔道士のジョブを利用する。
常時装着:探索者 勇者 騎士 暗殺者 魔道士 道化師
道化師内:神官 錬金術師
都度変更:博徒 細工師 機工師
ジョブが決まった。
道化師は2つ分のジョブになるので大変重宝する。
次にポイント配分だ。
現在の探索者はLv58。
現在156ポイントものボーナスポイントがある。
これまでずっと経験値上昇に注ぎ込んで来た。
果たして効果全振りで配分するとどうなるのか。
まずMP全解放は外せない。
敵陣営の身代わりのミサンガを千切るためだ。
ピンチの際の最終手段でもある。
それに合わせてMP回復速度上昇も最大まで上げる。
オーバードライブを使用する頻度は高いだろう。
鑑定、詠唱省略、ジョブ設定、これらは必須である。
パラレルジョブを6thまで解放すると、必要なボーナスポイントは31。
キャラクター再設定を含めて、ここまでで101ポイントの消費だ。
更にまだ55ポイントも振る事ができる。
これまでLv重視の構成でやって来て本当に良かった。
後はクリティカル率上昇?HP回復速度上昇?
安全を取るためならHP回復速度上昇だろう。
変に物凄い一撃を出して初戦から警戒されても困る。
ギリギリで勝って行くスタイルを醸し出すためならば、
多少ダメージを受けて血でも見せて置く必要がある。
その際に助けとなるのはやはり回復速度上昇だろう。
ただオーバードライブのスピードに付いて来れる者がいたらどうする?
それが初戦なら?
イルマの話では凄い奴を借りられたと言っていた。
1戦目から全力で来るかどうかは判らないが、
その相手が高速の攻撃を回避し、更には剣術の達人であったならば、
オーバードライブだけでは苦しい戦いとなるだろう。
オーバードライブを超える動きをする必要がある。
どうする・・・?
1つ思い付いた事があった。
オーバードライブ中のオーバーホエルミングだ。
やってみるしかない。
ワープとゲートは同時に出したら世界がバグった。
本来絶対あってはならない、1人で同時に2種のゲートを出したからだ。
同じ場所にゲートを出した所で、別パーティの物であれば干渉は無い。
それに道化師の空きスキルとして冒険者、探索者を取った所で、
迷宮にはフィールドウォークゲートを出せないし、
荒野にはダンジョンウォークゲートを出せない。
恐らくだが同一パーティ内の同ジョブが移動魔法を使用すると、
先に出した方が消える仕様なのだと思う。
ゲートが数珠繋ぎになっている所を見た事は無いので、
この予想は多分正解だ。
やはり同一人物やパーティによる別方向への同時発動は有り得無いのだ。
だがオーバードライブとオーバーホエルミングの同時発動は、
この世界で用意されたシステム的に有り得る事である。
勇者を取得した道化師・・・。
それは途方も無く時間が掛かる事ではあるが、
システム上その存在は許されている。
7thジョブに英雄をセットし、残りのボーナスポイントは23となる。
残り15ポイント分はHP回復で、後はステータスに振れば宜しかろう。
オーバードライブッ!オーバーホエルミングッ!
時間が揺らぐ。
モヤモヤとした陽炎に包まれた空間に、
更に視界の悪くなった2重目の靄が現れた。
これは・・・発動している。
試しに、机にあったパピルスを掴み上げ、
ハラリと落とすとハラリと落ちずに空中で静止した。
オーバーホエルミング、ないしオーバードライブのみであれば、
ゆっくりであるが落下するのだ。
それが・・・ほぼ静止している。
手から離した状態のまま。
両方のスキルの効果が切れ、パピルスがヒラヒラと舞った。
もう一度使用してみる。
昨晩エミーに淹れて貰ったハーブティがまだ少し残ったカップを、
空中で引っ繰り返してみた。
動いている事は判る。
液体がハチミツのようにトローリと重力に寄せられて流動する。
オーバーホエルミングではもう少し水らしい動きをした。
零したらちょっと掬い揚げるには難しい位の速さである。
2重に発動させた最中であれば、覆水だって盆に返りそうだ。
これは大いに勝算が高まった。
スキルが切れる前にコップを引っ繰り返して元の位置へ戻した。
ハーブティは何事も無かったかのように静かな波を立てていた。
*
*
*
朝食の席で今日の予定を伝えた。
「魔物の部屋ですか?」
「例の仮面を付けたままでございますよね?細心の注意を払います」
「既に一度経験した事がある部屋でしたら全然平気でしょう」
「アタイ、おサカナがイッパイのとこがイイなー」
「ええっ!?あ、あの・・・、
もももしや魔物の部屋を討伐して回られておられるのですか!?」
「そうですよ?」「そうですね」「俺たちにはユウキ様がいますので」
「アタイ負けたコトないよー?」
ヴィーの説明は大概である。
負けたら死んでる。
死んだらここにはいない。
「ヒェッ・・・」
「ラティ、大丈夫だ。
以前お前たちのパーティは19層で全滅し掛けたから、
その時の恐怖がまだあるかも知れないが、
自分たちは56層の魔物の部屋を攻略した事もある」
「ごっ56層!?そそそんな深層で・・・あああれ?
ででで、でも許可されているのは55層まででは?」
「騎士団と共に56層へ罪人の処刑に同行したのだ」
「あの時は喉が枯れるまで歌っちゃいました」
「流石に、少々厳しい戦いではありました」
「酒も料理も旨かったです!」「おニクおいしかった!」
「は・・・、はあ・・・」
迷宮に関して感想を述べたのがアナしかいない。
どうなってんだ。
「コホン、あー、まあそういう訳で大丈夫だ」
「はい・・・あ、あの、いえ、はい」
食事後、4人は納屋へ装備を取りに行く。
アイテムボックスが自由なラティは、本人の空間から取り出すだけだ。
自分も似たようなものだが、詠唱は無い。
ジョブとスキルをセットし直し、最後のブーストのために整えた。
今回上げたいのは勇者と機工師、錬金術師と道化師である。
神官はもうLv26まで上がって来たので、
経験値効率を考えると解除して取得倍率を上げた方が良いだろう。
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv58
設定:探索者(58)勇者(11)機工師(1)錬金術師(1)
道化師:初火魔法・中水魔法/知力中・知力大(19)
・BP156
キャラクター再設定 1pt MP回復速度×5 7pt
ジョブ設定 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×20 63pt メテオクラッシュ 1pt
必要経験値減少/20 63pt ガンマ線バースト 1pt
5thジョブ 15pt ワープ 1pt
ボーナススキルをセットし、魔物の部屋に向かう。
迷宮のエントランスや中間部屋以外に飛ぶのは、
ラティにしてみれば初めての事だ。
おかしな事に気付いても騒ぐなとナズが言った手前、
挙動不審になりながらもラティはちゃんと付いて来た。
「まずは9層のウサギの部屋だ。
ここでは多分お前たちに出番は無いだろうから警戒だけして置いてくれ」
「「「「はい」」」」「えっ、えっ、あの、い、いきなりですかっ?」
壁に触れて入口を開けさせる。
引き摺り込まれた所で直ぐさま、
オーバードライブとアクアストームを発動させた。
恐らくこの階層であればもう初級魔法でも多分1発である。
得られる物はウサギの皮なので食物では無い事が残念だ。
オリーブオイルはそろそろ補充した方が良いが、
残念ながら出現階層に魔物の部屋が無い。
9層の魔物達は一瞬で溶けた。
以前この部屋には再戦を仕掛けた事もあり、
そこから20日前後しか経っていないはずだ。
かつて初めて入り込んだ時のように密集していた訳では無いが、
それでも数は通路で出遭う比では無かった。
3人が駆け足でアイテムを拾う。
ラティは初めて見るアクアストームに腰を抜かしているようだ。
ずっと地味なサンドストームと目立たないサンダーストームだったからな。
ペタンと床に腰を落として脱力している。
「ラティ、どうした?立てるか?」
「あ、あの、ちょっと、その、助けて下さい・・・」
まったくしょうがないな・・・。
「おい、ヴィー、起こしてやってやれ」
「えーアタイぃ?もーしょうがないな・・・」
ヴィーが前から抱えてラティを起こす。
「あっ、ありがとう・・・」
「ウン?」
「えっ、あ、す、済みません、ありがとうございます」
「ん」
ヴィーは下っ端に対して当たりが・・・。
まあ良いか、序列は大事らしいし。
それにしてもラティが魔法を見る度にこれでは埒が明かない。
昨日から魔法は使って来たし、
何だったら19層で助けた際にも魔法は使った筈なのだが・・・。
そういえば昨日まで使って来た魔法は、
エフェクトがあまり激しくない土魔法だったかな。
ダートストームは物凄い土煙が発生するが、
こちらから向こうに向けて砂嵐が迫るだけである。
今回使用したアクアストームは無数の水球が敵を目掛けてぶつかり、
水飛沫が炸裂する大迫力であった。
派手さで言えばバーンストームの方がもっと凄い。
火の粉が集まって来たと思ったら、
ガソリンに着火して爆発したかのような高い炎が上がり、
見た目も派手である。
こちらが全く熱くない辺りファンタジーは凄い。
ナズ達は既に初級火魔法から慣れて来ているし、
何だったらメテオクラッシュの方が派手であったので皆見慣れている。
ヴィーもメテオクラッシュの時は縮こまっていたが、
今では気にも留めない。
ラティは・・・気が弱そうだし先に言って置いてやるか。
「もっと凄い魔法もあるから、この位で驚いていてはやって行けんぞ」
「は、はい、あの、す、済みません。お、お、お手を掛けてしまい・・・」
そういえばラティを助けた際にはまだ魔法使いであった。
その際は・・・19層だからマーブリーム。
使用したのは初級土魔法だ。
しょぼい石ころが飛んで行って当たる感じの。
魔法だったと気付かなかったかもしれない。
いや、それは流石に無いか。
全部の敵を一度に仕留めたのだし。
その時と比べたら大迫力過ぎてビビるのも仕方無いのか。
魔法使い自体がレアだし、魔道士はもっと居ない。
中層程度の探索者がお目に掛かれるようなジョブでは無いのだろう。
「集め終わりました」
ナズが皆の分を纏めて渡して来た。
ウサギの皮をアイテムボックスにしまって行く。
1枠は超えたので、60匹程度は倒したのだと思われる。
ブランチも沢山である。
ナズの鍛冶のために集めたいと思っていたので丁度良かった。
続いてワープでもう1つのスローラビットが密集する部屋へ。
9層は2部屋目があったのだ。
こちらも部屋に入るなりいきなり魔法を発動させて全滅させる。
「では拾って来てくれ」
「「「はい」」」
ラティ以外が駆けて行く。
「ラティも、足に性が戻ったらアイテムを拾うように。
折角アイテムボックスがあるのだからこういう時は率先して行ってくれ」
「そそ、そ、そうでした、すっ済みません!」
迷宮でのドロップ品の管理は当然探索者が行う。
初心者でアイテム枠が狭ければリュックに入れるだろうが、
中級者以上になれば重たい荷物など持ちたくないし、
前衛はできるだけ手ぶらが良い。
ラティもアイテム管理をする役目であったはずだ。
次からそうして貰いたい。
再びナズがアイテムを纏めて手渡して来た。
「お待たせ致しました、モンスターカードが出ておりましたよ?」
「おお、素晴らしいな」
「何でしょうね?」
ナズから最初にカードだけ手渡される。
貴重品だし、当然扱いは他のドロップ品より丁寧だ。
鑑定するとウサギであった。
あれ程欲しかった時に出なかったのに、
ある程度落ち着いた時に出て来るのは、やはり法則だ。
ついつい運営の調整が入ってやがると愚痴りたくもなる。
「ええと・・・ウサギのカードか」
「そうなのですね」
「おめでとうございます」
「ユウキ様はモンスターカードをどのように判別されたのですか?
このような状況で手に入れた場合、
商人ギルドの鑑定ボックスを利用しないと、
何のモンスターカードなのか解らないかと思うのですが」
「何かかいてないのー?」
確かにどのモンスターカードも、
同じデザインの紋章が描かれているだけで、
見た目だけでは区別は付かない。
これだけの数を纏めて倒すのだから当然出現率は上がるが、
そういった状況でドロップすると判別が困難となる。
その場合にどの敵からドロップしたかを知るのは難しいはずだ。
鑑定・・・明かすべきか?どうなのか?
そうか、明かす必要は無い。
自分は目利きを得たのだ。
この世界の理の中で判別できる。
「目利きと言うジョブがある」
「そうなのですか」「初耳ですね」「聞いた事ありません」「へー」
「そうだろうな。
武器商人や防具商人の上位ジョブで自分も最近得たばかりだ。
アイテムの名前を鑑別する事ができるスキルを持っている。
それを使うと判る」
「な・・・なるほど。
ユウキ様はその目利きと言うジョブにも就任なさったのですね」
「ま、まあそういう事だな」
同時に就くにはポイントの制限があるし、最大でも7つまで。
昨日までは就けていたが、現在は外してある。
説明としては正しいが、実際の運用に付いては間違っている。
そもそも鑑定のスキルはボーナスポイントに依るものだし。
一度も目利きのスキルで鑑定した事は無いが、そこはどうなのだろうか。
他人の持つ装備品は人物を鑑定した時に装備品一覧として出て来るが、
そこでは空きスロットの有無は確認できない。
武器や防具を対象として鑑定した時にだけその詳細が明かされる。
恐らくその人物を鑑定した時のように、
アイテム名だけがウインドウに現れるのだろうと予測する。
いや、やれば良いだけだろう、実際にやって見れば直ぐ解る。
そもそも触れずに鑑定できるのはボーナススキルの鑑定だけである。
武器商人のスキルでは、手に持たないと鑑定ができなかった。
それならば目利きのアイテム鑑定も根底は同じだろう。
アイテム鑑定!
念じるとモンスターカードの上に黒塗りのウィンドウが出現した。
・モンスターカード ウサギ
ボーナススキルの鑑定と全く同じウィンドウ、同じ表記が現れた。
武器はどうだろう・・・アイテム鑑定!
・心眼の聖天弓
駄目だな、スロットの内容は見えない。
やはり装備品にスキルを後何個付けられるか、
今何のスキルが付いているかを知るためには、
ボーナススキルの鑑定を用いるしかないようだ。
「そっ、それならば、ごっ、ご主人様は商人ギルドに行かれなくても、
モンスターカードを判別できるのですか!」
ラティが声を荒らげる。
先程からそう言っているのだが、大丈夫なのかこの女は。
「そうだぞ、どうした?」
「あっ、あの、そっ、それなら鑑定屋をすればもも儲かるのでは!」
「鑑定屋?」
「しょっ、商人ギルドの鑑定ボックスはっ、
1回100ナールも掛かります!・・・ので、
ごっ、ご主人様が半額でそっその業務を受けたらですね・・・」
「ああ、そういう事か。無理だろ」
「無理では無いでしょうか?」「無理ですね」「それは厳しいでしょう」
「ど、どうしてでしょうかっ、らっ、楽に儲かると思うのですがッ!」
「まず第一に自分の信用が無い。
嘘を教える可能性だってあるのに誰が信用するものか」
「えっ、ええと、そっ、それは信頼を積めば・・・」
「次に1回50ナールだと10人来て500ナール、
100人でやっと5000ナール。そんなに鑑定を望む客は来ない。
そもそもモンスターカードなんてそう滅多に出る物では無いし、
混戦状態で出る事は稀だ、普通はこのような状況ならば魔物を倒せない。
通常戦ならば何から出たのかなんて直ぐに判る」
「そ、それは確かに・・・」
「そんな商売をする位ならナズに歌わせて稼いだ方がマシだ。
こちらは毎日引く手あまた。
毎晩違う酒場へ流しに行けば好感度も高まるしその方が手っ取り早い」
「ええっ?ナッ、ナズ様、いえっ、ナズさんは、
おっ、お歌まで嗜まれるのですかっ?」
「ホドワでは有名な歌の酒場を知っているか?」
「うっ、う噂は聞いた事はありますケド、
わわ私はホドワの酒場に行った事が・・・その、
たっ、高そうだったので・・・」
「その噂の歌姫がナズだ」
「ええええええッ?」
「あの、私はそれ程大それた者ではありませんので・・・」
もう良い。
自分で作ってしまって置いて何だが、もうこの流れは飽き飽きだ。
ナズもそんなに驚かれてはやり難いだろう。
随分引き気味である。
「ほら、次行くから準備しろ。次は15層だ」
「はっ、はいぃぃ・・・」
ラティを捲し立てて問答を中断させた。
∽今日のステータス(2021/12/06)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv58
設定:探索者(58)勇者(11)機工師(1)錬金術師(1)
道化師:初火魔法・中水魔法/知力中・知力大(19)
・BP156
キャラクター再設定 1pt MP回復速度×5 7pt
ジョブ設定 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×20 63pt メテオクラッシュ 1pt
必要経験値減少/20 63pt ガンマ線バースト 1pt
5thジョブ 15pt ワープ 1pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv50
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv49
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv50
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv45
・エマレット 狼人族 ♀ 19歳 料理人 Lv32 OFF
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 探索者 Lv50 OFF
・ラティ 人間 女 28歳 探索者 Lv27
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv58
設定:探索者(58)勇者(12)機工師(9)錬金術師(15)
道化師:初火魔法・中水魔法/知力中・知力大(21)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv50
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv49
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv50
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv45
・エマレット 狼人族 ♀ 19歳 料理人 Lv32 OFF
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 探索者 Lv50 OFF
・ラティ 人間 女 28歳 探索者 Lv29
・収得品
ウサギの皮 ×63+58
ブランチ ×21+11
リーフ × 3+ 1
皮 × 4+ 8
ホモール × 1
・異世界56日目(朝)
ナズ・アナ51日目、ジャ45日目、ヴィ38日目、エミ31日目
パニ21日目、ラテ3日目
サンドラッド到着まで5日、決闘まで1日
・トラッサの迷宮
Lv 魔物 / ボス
6 エスケープゴート / パーン
7 ミノ / ハチノス
8 ニードルウッド / ウドウッド
9 スローラビット / ラピッドラビット




