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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第廾章 機転
204/394

§192 儚声

自分のやるべき事は終わった。

やるべきと言うか、してやれる事だ。


後はジャーブとヴィーが家具を運んで、

ナズが服を買い終わり、アナが雑貨を買って来る。

それまでは家で待つしか無い。


台所に顔を出してみたがエミーは不在であった。

いつもはここを彼女の居場所としているのに珍しい。

暇だし1人では寂しいのでエミーの部屋へ様子を見に行く。


「エミー、いるか?」


戸を開けると、ドレスを着たエミーの姿があった。


着替え中と言う事は無かったので試着中・・・かな?

と言うか頑張って1人で着たのだから、

元々こういった服への憧れがあったのだろうか。

預けた際は拒否を示していたが、

皆が居ない時こっそり着てみようと思う程度には気になっていたようだ。


「気に入ったか?」

(・・・こくっ。)


「そうかー、それは良かった。

 今日はこの後する事も無いので自分がまたピザでも焼こうかと思う。

 エミーは折角その服を着たのだし休みにしようか。

 今日は昼も1人で頑張ってくれたし」

(ふるふる。)


頑張る気持ちは解からないでも無いが、

折角着たのだし似合っているから脱がないで欲しい。


「では休みは自由にしてくれて良いので好きにしろ。夕食は自分がやる」

(・・・こく。)


今から夕食までは時間があり過ぎるし、迷宮に行くにはちょっと遅い。

そもそも、まだみんな帰って来ていない。

パニの様子を見に行っても良いが、それでも少し早い。

そういう時は料理が一番。


小麦粉を大型の椀に入れ、残り僅かになったバターと塩を混ぜて煉る。

もう小麦粉を練るのは4回目なのだし慣れたものだ。

目分量と言う概念が解って来た。

適当に混ぜながら粉っぽい部分が消えたら塊りを整えて別の皿へ。

そのまま2つ目をね始める。


エミーは石窯の用意をしてくれた。

ドレス姿であってもトングで火種を移したり、

炭を組んだりするだけなら汚れる心配は無い。


そういえばエミーはケチャップを買って来ていた。


前回のピザは、豪快にその時ある物をぶち込んだだけだったが、

今回は洒落たマルゲリータ風にしたい。

バジルソースが無いが、オリーブオイルと塩味、

カマンベールは無いが、普通のチーズならある。

後はアンチョビペーストでそれっぽく作ってみようか。


・・・全く別物だな。


「エミー、お前が買った赤い調味料はどこかな?」


エミーが部屋の隅に置かれた壷を指さす。

これか。

では生地の寝かせが終わったら使わせて貰おう。


続いてチリペーストの準備だ。

これが無いとヴィーが煩い。

今回は蜂蜜を少し足してスイートチリに仕立ててみた。

これならば辛さが苦手なパニでも安心だ。

残念な事にパニは暫く居ないが。


スープの準備も同時に始める。


煮立てたキツイ臭いのする唐辛子鍋とは別に、

大鍋に向かって適当にぶつ切りにした野菜と、

具材にはキノコ、ハサミ、豚バラ肉を投入する。


味付けには魚醤、アンチョビペースト、スパイス、カメリアオイル。

風味付けにはエミーが庭から摘んで来た、何だか解らないハーブを混ぜた。

スープなんて適当に混ぜて最後に塩味で整えれば何だって旨いのだ。


味は・・・意図せずカニ鍋スープになってしまった。

豆腐もあるし、いつかは本格的なカニ鍋にチャレンジしたい。

材料は揃っているし、できない事は無いと思う。

土鍋が欲しいかもしれない。


「果物はあるかな?」

(こく。)


エミーは冷温桶から赤い長細い物を持って来た。

匂いは・・・特にない。


見た目小さなニンジンだ。

確か赤黒い・・・違った、緑色なのがこちらの人参だったはずなので、

これはニンジンの味を期待してはいけない奴だ。


さっきチーズを取り出した時に、

何でここにニンジンが入っているのだろうかと触れなかった奴でもある。

そうか、お前果物だったのか。


確かにニンジンとは違い、土に埋まっているような根や髭は付いていない。

木で実としてった物が果物だ。

表面にはしわが無くつるつるとしていた。


「これ生でも行けるか?」

(・・・?)


エミーは首を傾げた。

行けない事も無いが、普通はしない、そんな感じなのだろう。

そういえば何だかよく解らない果物が出た時は大抵調理されていた。


現代地球に溢れ返っている甘く美味しい果物は、

気の長くなるような年月を掛けて品種改良され、

元の原種とは相当味が違って来ていると言う。


こんな時代背景なのだから、品種改良なんてある訳が無かろう。

つまりはより野菜っぽい味、悪く言えば苦くて不味い訳だ。


だから火を通し甘く煮て食べていたのだな。

それでコンポートなのか。

アレにはちゃんと意味があった。


先っちょを少しかじってみたが、確かに甘くはあるが後味が渋い。

ええと、そういえばミチオ君もそんなような果物を食べていた気もするぞ。

確か・・・こぴこ?何だかそんな名前だった。


「コピコだっけ?」

(ふるふる。)


違う。確かに、違う気がする。

もうちょっと可愛らしい名前だった気がする。

プリティみたいな女の子っぽい・・・。


「キュピ・・・」


「えっ?」

(ふるふる。)


「だ、大丈夫だ。ほら、もう一度。怒らないので言ってごらん?」


心臓がバクバクする。

今、確かにエミーは自分に向けて言葉を発した。

怖がらせたり無理強いしたりするとまた元に戻る可能性もある。


慎重に。


急いで汚れた手を手拭いで拭いて、エミーの前に膝を突いて座った。


と言うかキュピコか。

これが。

ミチオ君が初めて手に取った、ソマーラの村で主要作物だったキュピコ。

これがねえ・・・。


いや、それよりも今はエミーだ。

感心している場合では無い。


「もう一度教えてくれ、これは何だった?」

「・・・・・・」


「さっき言えたな?

 確かに聞こえたが、聞き取れなかったのだ。もう一度教えてくれ」

「・・・・・・・・・」


エミーは口をパクパクと動かす。

息が出ていない。

声帯が震えていないのだ。


話そうとする努力が足りていない。

いや、勇気が出ない。

ユウキならここにいるが。


エミーの両手を取って、じぃっと顔を見詰める。

懇願する目で頑張れと語り掛けた。


「きゅ・・ぴこ・・・です」


今度こそはっきり、しっかりとエミーの声を聴いた。

幻想では無く現実の。

高く、か細く、麗しい、エミーの容姿に似合う儚げで可愛い声だ。

エミーは言葉を取り戻した。


「そうか!キュピコだな、ありがとう。良い子だ。頑張ったな」


エミーを抱き寄せて何度も頭を撫でた。

我が子が初めて喋った時のような嬉しさを感じる。

いや、子供なんていないけどさ。


エミーは今、押し込めていた心を解放したのだ。

まだ全てとは行かないだろう。

もっと時間を掛けて、失った他の言葉と笑顔を取り戻してくれれば良い。


「・・・しゅ・・・さ・・・た・・・」

「良いぞ、最初は無理するな?

 長い間声を出さなかったのだ、

 あまり無理しても喉が焼けてしまうかもしれないでな」


エミーの返事は聞こえないし、頷いたようには見えなかったが、

胸の中で小さく動いたので恐らく首を振って返事をしたのだと思う。


「よ、よし、でで、ではピザを焼こうかな?焼こうな?」


エミーを解放して再び生地造りを始める。

頑張って声を振り絞ってくれたようだが、

それが切っ掛けで急にべらべら喋り出すなんて事は無い。


いつも通り首だけ返事のエミーに手伝って貰いながら、

2つのピザ生地を完成させた。

スープもボコボコと煮立ち、食欲が湧く香りが舞う。


チリソースはもう鍋から瓶に移し替えよう。

これ以上煮詰めては目と鼻が焼ける。

熱々のスイートチリを瓶に移し替えてミッションは終了した。


作成した鍋はウォーターウォールに突っ込んで、

中の水流で強引に洗った。


油汚れは熱湯の方が落ち易いと聞く。

ファイヤーウォールも重ねて出したい所だが、台所が火事になっても困る。


そうか、風呂場でやれば良いのだ。

風呂場に行って2枚のウォール魔法を発動させ、

熱湯の中でグルグルと掻き回して鍋を濯いだ。


エミーに鍋を預けて、後は軽く掃除をしてから湯を張った。


台所に戻り、スープ鍋の様子を確認する。

味見をしたが、まずまずだ。

エミーも頷いてOKのサインを出した。


丁度その辺りでアナが帰って来た。


「どうした?遅かったな」

「はい、雑貨屋に向かいましたが何やら前の客が揉めておりまして、

 その分の迷惑料として手拭い代は割り引いて頂けました。

 追加でもう1枚購入致しましたので、代金は2枚で1枚分でございます」


アナから釣りを受け取る。


「そ、そうか。それは得をしたな」


今更手拭い1枚や2枚の代金でああだこうだ言わないが、

負けて貰えるなら素直に乗る。

アナの金銭感覚は正しい。


モンスターカードで金策をしているような状態だと、

いつか金銭感覚がおかしくなると思う。

庶民感覚に再度気付かせて貰ったアナには感謝だ。


「ごしゅじ・・・?ありがとうございます」


アナを抱き寄せて、撫でてから解放した。

うちには良い子達ばかりだ。


続いてナズとラティが帰って来た。

ラティは最初から奴隷の服装では無かったし、靴も履いている。

今日奴隷になったのだから、着ていた物は取り上げられなかったようだ。


装備とかはどうなったのだろうか。

身売りする羽目になる位なのだから、

売り払って食費の足しにしたのかもしれない。


それは次回聞くとして、

折角買った服に着替えて貰わねば買い与えた意味が無い。


しかし、ラティは一般人。

食費にも困るのだから、宿にも困っていただろう。

当然・・・お湯など削れる所は削る事になる。


清潔面で言えばアウトだ。

エンガチョラティなのだ。


「よし、ナズ、アナ、ラティを洗うぞ」

「はいっ。では荷物を置いて参りますね。

 準備が終わるまで食事の用意をしてお待ちしております」

「では私は納屋で装備の手入れなどを。ご用の際はお呼び下さい」


「いや、もう既に準備はできている。食事も自分が用意した。

 今日はまたピザだ。みんなで食べられるし良いだろうと思って」

「そうなのですね、いつもありがとうございます、ご主人様」

「ご主人様のお料理はいつも美味しく、今日も楽しみです」


「・・・あっ、あの、もっもしかしてご主人様はお料理人なのでしょうか」

「いいえ?違いますよ?」

「ご主人様は何でもおできになります。

 そして、私達にも同じ食事をお与え下さいます。

 ご主人様の私達に対する施し全てに、皆毎日感謝をしているのです」


「えっ、えぇっと・・・」

「私は元々一般市民でしたが、

 奴隷になる前よりも良い暮らしをさせて頂いております。

 ラティさんも、この家ではとても快適に過ごせるかと思います!」

「そのためにも、ご主人様を立てお守りするのが私たちの役目です。

 ラティも私達と一緒に頑張りましょう」


  ──奴隷を7人も抱える主人は財力も懐の広さも違う、

    そう私は思った。


    洗うぞと命令をされたようなので、

    私の体は一番奴隷のお2人に拭かれるのだろう。

    流石に私はもう28歳、大人なのだ。

    こんな若い子に拭いて貰わなくても自分でできる。


    案内はして貰わないと、

    どこに何があって、どれを使って良いのか分らない。

    そこまではお願いするが、拭く位は自分でやるつもりだ。


    それにしても、私の主人となったお方は料理もなさるのか。

    ジョブは商人だったのに、フィールドウォークも使えるようだ。

    最低でも冒険者と料理人の両方の技能を持っていると考えられる。

    そんな人は見た事が無い。


    どうやったかは分らないが、

    恐らく2つ以上の職に就いているのだと思う。


    高額なお金を払えば特例が認められるのかな?

    私達一般市民に・・・いや、もう奴隷になってしまった身だけど、

    到底及ばないような事が、金持ちの中では許されているのだろう。


    最初、ナズさんから驚かないようにと言われたのは多分この事だ。


    他の奴隷の子たちも自由奔放で、本当に奴隷なのか疑いたくなる。

    そもそも枷が付いていない。

    食事も同じ物が与えられると、さっき聞いた。


    奴隷となるのだからある程度厳しい生活になると覚悟していたが、

    私はもしかして神様にでも拾われてしまったのだろうか?

    だってそうでしょ?

    本当はあの時、私は死んでいた身なのだから。


    ギルドに特例を認められる位のお金と権力があって、

    若くて優しくて恰好良くって、おまけに何でもできる神様に、

    私は一生を懸けて奉公していくのだ。


    私がしなければいけない事は・・・そう、嫌われない事!

    何としてでもこの主人から気に入って貰えるようにして、

    ここから追い出されるような事にならないよう気を付けなければ。

    なるべく・・・いや絶対に怒られないようにしないと。


    一番奴隷の子も、先輩方は皆優しそうな人ばかりだった。

    ここは安息の地、今まで頑張って生きて来た私へのご褒美。

    約束された最後の楽園。


    仕事はこれまでと変わらない迷宮での探索。

    宿では無く家、粗末な小屋ですらない。

    しかもベッドで寝かせて貰えるらしい。

    残飯でも無くって同じ食事が頂けるようだ。


    どうやら私は以前よりも遥かに良い生活を送らせて貰えるらしい。

    これ以上望むものなんて無い。

    私はここで、この凛々しい主人の下で、一生を終える。

    覚悟はできた。



   ***



「・・・おーい、何廊下に突っ立ってるんだ、早く来い」

「あっ、はい、今参ります」

「ラティ、行きますよ?」

「えっ、あっ、は、はい・・・ええと、一緒・・・ですよね?」


「ラティさんを洗うのですから、みんな一緒ですよ?」

「早くせよとのご命令です」


開きっ放しの戸を抜けて3人が入室する。

風呂の部屋には目隠しに置いた衝立ついたてがあるので、

外からでは風呂桶が見えないのだ。


ラティが風呂桶を確認できる位置まで来ると大きな声を上げた。


「えええええええっ?」


まあそうなるわな。

こういう世界の一般家庭に湯船があれば。

そしてお湯はもう溜まっている。


先程スープができ上がるまでの間にちょくちょく風呂の準備はしていた。

どうせ時間はたっぷりあったのだから、

する事が無ければ当然風呂を入れる。


「あっ、もう石鹸が残り僅かですね。取って参ります」


「せ、石鹸って、あ、あの石鹸ですか?」

「あの石鹸ですね」


「こっ、これは、あっ、あのお風呂ですよね?」

「そのお風呂ですね」


「あ、あの、いつも入られるのですか?」

「特に用事がなければ毎日洗って頂けます」


「そのっ、あああ洗って頂ける、とは・・・」

「私たちがご主人様を洗い、ご主人様は私達を洗ってくださいます」


「あ、あの、あの、あの・・・」

「ラティは自身で洗えますか?」


「い、いえ、おおおおっ、お風呂そっそのものがはは初めてですし、

 せ、石鹸も扱った事がありませんので・・・」

「では、ご主人様に洗って頂きますか?」


「い、い、いえ、その、それは流石に申し・・・訳無いですので、

 みみ見ながらじっ自分でやりますっ」

「そうですか。では、服はこちらへ脱ぎなさい。

 この籠に入れて置けば、後でエミーが洗ってくれます」


「え、えっと、そしたら着る物が・・・」

「それでしたら心配は無用です。

 先程ナズさんと一緒に服を買いに行ったかと思います。

 新しい服はこちらの籠に入れてありますので、

 お風呂から出たらこの手拭いで体を拭き、新しい服を着なさい」

「えっ、あっ、は、はぁ・・・」


「説明は終わったか?」

「ではラティ、後は見ながら覚えて下さい」

「お待たせ致しました、石鹸はこれで宜しかったですよね?」


「ああ、そうだな。台所の方も足りなくなったらいつでも補充してくれ」

「かしこまりました」


  ──ナズさんとアナさんが主人をタオルで擦ると、

    モコモコと白い泡が現れ、

    暫くして主人は白い泡だらけになった。


    ど、奴隷なのだし裸でご奉仕するのはあたりまえか。

    最初の仕事だと覚悟を決め、服を脱いで全裸になった。


    ドワーフの若い子みたいに肌の張りも無いし、胸も・・・。

    あの猫人族の女の子みたいには無い。


    この場に呼んだと言う事はそういう事なのだろう。

    私も今後はお妾として、この後主人へ奉仕をする事になるのだ。


    私が洗わなくても良いと言われたのは勝手が解らないからで、

    今は見て覚えろと言う事なのだろう。


    正直、男の人の・・・下の方なんて初めて見る。

    ずっとそういう事とは無縁だったのだ。

    酒場の酔っぱらいを相手するのは絶対に嫌だが、

    こんな若くて綺麗な主人が相手なら喜んで体を捧げるつもりだ。


    今度は主人が2人を洗い始める。

    手拭いなどは使わず手洗いだ。

    2人は良いように揉拉もみしだかれ、

    とても気持ち良さそうにしている。


    う、羨ましい・・・。一番奴隷への報労なのだろうか。

    あんな風にして貰えるのならば、

    さっき強がらずに洗って下さいとお願いすれば良かった。


    洗い終わった主人と先輩方は、

    それぞれ桶にお湯を掬って泡を流して行った。

    ふうん、石鹸で洗ったらお湯を掛けて流すんだ。


    その後主人と先輩方はお湯の中へ入られたので、

    あのお湯は体に掛けるだけで無く、中に入っても良いようだ。

    泡だらけのままお湯に入ったら多分怒られるんだと思う。


    湯気でモワモワしていたみたいだけど、

    それほど熱い訳では無いらしい。



   ***



「椅子と桶が空いたからラティが使って良いぞ、

 洗い方や石鹸が上手く扱えないならナズかアナに聞け」

「は、はい、あの、それではナズさん、おっ、教えて下さい」


「はい、大丈夫ですよ、まず手拭いにこうやって擦り付けて・・・」

「ええっ?こっこっ、こんなに沢山ですか?」

「それで大丈夫です、そしたら体を・・・」

「xxxxxですか」

「xxxxなのでxxxです」

「ええっ!?xxxxxxxxなんてxxxxですよ!」

「ふふふ・・・xxxxxxxxxxでしたよ?」

「はわわわ・・・xxxxxxxxxxxxですねぇ・・・」


ナズがレクチャーをして、ラティが風呂の入り方を学習して行く。

後は順番なのだが、ヴィーと一緒の時間で良いだろう。


序列的には鎮具破具チグハグになるが、

自分達の後はジャーブとパニ、ヴィーとラティ、

最後にエミーで良いと思う。


イルマが来る事になったらエミーと一緒で良いかもしれない。

病気への知見があるだろうし、姉妹一緒が良いはずだ。


そしてアナと2人、湯舟にいると当たる物が当たる。

そう、尻尾だ。

掴んで引き寄せてクニクニと弄ぶ。


最近はアナも解ってくれたようで、

鬼ごっこしたりペシペシと優しく叩かれたり、

尻尾で相手をしてくれるようになった。


「ご主人様、お待たせしました」


ラティへのレクチャーを終えたナズが戻って来た。


人間の女性の洗体シーンなのだが、

既に綺麗処2人に囲まれているのでリビドーは感じない。


以前ナズとアナと初めての夜を迎えた時は、

ちょっと見える事にもドキドキしていた。

好きにして良い対象、好みの美形、初めての甘美。


勿論今でも2人の容姿には衝動を感じるが、ラティにはそれが無い。

慣れた、と言うよりは対象外なのだと思う。


ハーレムに加えるとしたらイルマが良い。

芯が強そうで頭脳明晰、凛としていて容姿も好みのタイプである。

・・・おっと、2人を侍らせながら妄想する事では無いな。


立場的にもこのままラティとはフラットで行きたいと思う。


今回一緒に入ったのはアナとナズでしか入り方を教えられないのと、

2人と一緒に入る事は外せないだけだ。


ジャーブと一緒では流石に嫌だと思うし、ヴィーでは不安過ぎる。

エミーと一緒は絶対に避けなければならない。

そうなると自分達と一緒しかない。


それに、何が悲しくて自分の奴隷に遠慮し、

お楽しみタイムをパスしなければならないのだ。

ナズとアナだって配慮は無くて良いと言ったのだ。


湯は極楽。

ナズとアナは至高。

洗って貰って洗い合うのは栄華。

これが楽しみで毎日頑張っている訳で。


ラティが体を洗い終わったようだ。

湯桶を湯船に突っ込んで来た。


「ラティ、髪も洗ったか?」

「は、はい。あっ、洗わせて頂きました」


「そうか、では自分たちは先に出るから、

 体が温まったら好きなタイミングで出てくれ。

 あまりずっと長い間いると眩暈めまいがするから気を付けてな」

「えっ?アレッ?・・・あっ、あのっ・・・・・・はい?」


ラティが浸かり始めた湯舟を後にして、

アナから体を拭いて貰い自分はナズの髪を拭いてやった。


ナズの髪は以前作った団扇で乾かすようにしている。

風呂上りは台所でエミーが扇ぎ、ナズはその間に櫛を掛ける。

ナズとエミーは仲良しだ。

ナズがお願いした訳でも無く、

最初はアナが扇いでいた所を彼女から交替を求められたらしい。


今日のエミーは大きく進展した。

言葉が交わせるようになったら、2人はもっと仲良く成れるだろう。

楽しみである。


今日の出来事をナズに伝えてしまって、

「私も私も」となると却って困惑させてしまうかもしれない。

いつか本人からナズに向かって話して欲しい。

そうすればナズの喜びも一入ひとしおだろう。



   ***



風呂から出てもまだ日は明るかった。

アナをボルドレック邸に派遣して自分はパニの下へ向かう。


「パニ、どうだ?」

「はい、頂いたハーブティーはもう少し残っております。

 明日の昼までは十分持ちます」


「船の中の様子は?」

「特に変わった事はありませんでしたね?」


「そろそろパンでは飽きるだろう?」

「いえ、僕はそもそもパンを食べるにも精一杯だったので・・・。

 こうして1つ、丸ごと食べられるだけでも有難いと言いますか。

 それに、このパンはとてもパリパリして美味しくって飽きませんね」


不憫過ぎる・・・。


ヴィーが食に拘るのも、その辺りがベースにあるからなのだろうか。

旨い物食べさせてやるから、竜人族同士仲良く助け合って行ってくれ。


「そうか、それなら上々。到着まで後7日もあるが頼むぞ」

「はい、お任せ下さい」


「それからお前はもう冒険者の条件を満たしたからな?

 到着したら直ぐに転職だ」

「ええっ・・・、そ、そうなのですね、僕が冒険者・・・。

 あの、ご主人様、ありがとうございました。頑張って働きます」


「うん?まあ、そうだな。これからも宜しく。

 それからパニの代わりに探索者の奴隷を1人加える事となった。

 パニの後輩になるが、帰ったら挨拶して欲しい」

「後輩ですか・・・僕は何もしておりませんのに、大丈夫でしょうか?」


「どうせ迷宮の事をパニが詳しく知っても意味が無いだろう。

 お前は冒険者、それで良い」

「な、なるほど、確かにその通りです。失礼しました」


「ではまた明日の朝だな」

「はい、行ってらっしゃいませ」


帰る前に甲板へ出て、今日の海の様子を窺う。

と言っても素人見なので何も判断できないのだが。

気分の問題である。


健康良好、目視確認!


今日の海も水平線まで穏やかで、

綺麗な空の水色と海の青色が我々の船を見送ってくれていた。


まだここは日が高い。

段々と時間の感覚をずらす必要があるのだな。

∽今日の戯言(2021/12/02)


文章の校正がしやすいように、

なろうとほぼ同等の仕組みを自前で用意して、

そこで何度も読み返して修正をしています。


にも拘わらず、公開される度に降ってくる山のような誤字報告。


当人は頭の中で正確な文章として覚えているし、

見ても自動的に変換してしまうから気付けないんだよなあ。


校正してくれるブレインが必要ですね。

他のなろう作者さんはどうしているのでしょうか。



間違っていても正常に読めてしまう現象はタイポグリセミアとか言うらしいです。

あれは文字の入れ替えのみに限定する話かな?


  ──みさなん、およはう ござまいす たわしわ げんきん です。


ほら、ちゃんと「ゴザ椅子タワシは現金」に読めるでしょ?



 ・異世界54日目(16時頃)

   ナズ・アナ49日目、ジャ43日目、ヴィ36日目、エミ29日目

   パニ19日目、ラテ1日目

   サンドラッド到着まで7日、決闘まで3日、仮面完成まで1日

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― 新着の感想 ―
[良い点] >覚悟はできた えええええええっ?お風呂、石鹸即落ちw えっ?アレッ?ご奉仕は無しww この後ピザがまっているwww [一言] キュピコは偉大v
[気になる点] めちゃくちゃ野暮な話なんですが、奴隷商で買われたばかりのをその場で買ったわけで、風呂に入れる前に病気チェックが必要だった気がしますね 読み進めればやってる話はもうあるのかな?
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