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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第九章 進展
160/394

§148 弓術

朝の挨拶を済ませ、台所へ消えようとするナズを捕まえて、

防具に3点の耐性スキルを合成して貰う。


2回ではギリギリ。

3回連続で合成させたらまたどん底になりそうな勢いだったので、

途中で強壮剤を2つ飲ませた。


今日はこれでロートルトロールに再戦を仕掛けてみたいと思う。

自分も弓の練習をすべく、食事が整うまでは庭で自己鍛錬を続けた。


弓の講師が欲しいところではあるが、

マイナーな武器なのでそうそう使える人を見付ける事はできないだろう。

山間部の村辺りで、狩猟生活を行っている者に当たる位しか方法が無い。


弓は本来ならば剣よりも強力な武器である。

使い勝手が難しく、当てたり引く事が困難なだけで。

強化弓やクロスボウがあれば、弓術初心者でも使用し易いと思う。

よくある転生物小説では、主人公達がクロスボウを作らせて無双していた。


しかしクロスボウが発明されていない世界など、普通では考えられない。

前線で機敏に動ける位小型化された自動小弓で無くとも、

同じ機構物である攻城弓はかなり古くから発明されていた物だ。


地球の歴史で言うとギリシャ時代には既にあったのだから、

そこそこに発展した文明を持つ異世界で、

クロスボウを用いて無双する話にはかねてより違和感を覚えていた。


但しこの世界に於いて人工的に作ったモノは、

戦闘中に殆ど効力を発揮しないと言う最大の問題がある。

2連クロスボウやオートボウガンなんて作っても、

魔物へは砂粒を当てる位のダメージにしかならないのだろう。

勿論、野生動物や装備を身に着けていない対人ならば有効だと思うが。


それに人間同士の委細巨細いざこざが少ない世界だ。

城を落とす兵器など必要が無いのだろう。

武器なら鍛冶師がスキルで無限に作成できるのだし、

鍛冶技術は発達しようが無い。

せいぜい包丁を作る金物工が精いっぱいだ。


それ以上精巧な物はドワーフが15秒で作成するのだから、

張り合う意味が全く無いのだ。

オリジナルの武器を作ってみても迷宮では使い物にならないし、

完全に道楽の世界と言える。


この世界に限って言えば、便利な機工弓など存在しない。

やはりこの木の弓で当てる技術力を積まなければならない。


・・・待てよ、2連クロスボウがあるのなら、

この弓で2射同時に撃ったらどうなるんだ?

RPGなんかで弓の必殺技には、

2本撃ち、3本撃ちなんて言う技がある位オーソドックスだった。


自分にもそれができれば、攻撃力が倍増するのでは無いだろうか?

勿論誤射の確率は高くなるので近距離限定だが、やってみるべきだ。


矢を2本(つが)えて指先に挟み、引き絞って放つ。

しかしながら2本の矢はいずれもまとにした木の盾から外れ、

地へ空へと放たれた。


予想はしていたが、ハの字型に広がってしまった。


最初に引き絞った際の角度もあるし、弦に当てる部分で更に横に外れる。

真っ直ぐ引き絞るよりもほんの僅かだが中心からズレる事に依って、

射出される結果が大きく異なってしまう。

手元が1度ズレると、10メートル先では20センチずれるのだ。


しかし今放った1発は20センチどころの騒ぎでは無い。

目測で2メートル以上中心から外れてしまったように見えた。


これを成功させるためには、何度も何度も練習する必要がある。

もっと言えば距離に依って角度を微妙に変えて行かなければならない。

その匙加減も肌感覚で覚える必要がある。


正に熟練された技術が必要となる、弓に於ける必殺技だ。

2本撃ち3本撃ちは、一見地味だが実は物凄い事をやっていたのだ。


  ──弓キャラなんて2本撃ったり連続して撃ったりするだけじゃん!

と馬鹿にしていました、ごめんなさい。


手元に残った26本の矢を撃ち終わると、

ナズから朝食の声が掛かった。


矢も大分減った。

8本になった際に60本追加で作ったはずだ。

それが今は26本・・・、あれから42本が既に消失している。

後で追加で作って貰おう。



   ***



朝食を終え、今日は迷宮の続きをするのだと告知した。


攻略を中断して3日目だ。

そんなに早く熟練した技が身に付く訳も無いが、

耐性装備は確保できたので、ヴィーさえ耐えられれば問題無いだろう。

後は実戦で学習する事もあると思う。


ダメージを受けない事も勿論重要ではあるが、

それよりも食らったら麻痺して動けなくなる方が問題だった。


「ヴィー、今日はこの籠手を使え。元はナズの物だが今日からお前専用だ」

「うん?なにかちがうの?」


「これを身に付ければ麻痺もしないし、毒にも眠らされる事も無い」

「ふぅん、すごいじゃん」


は、反応うすーーー。


やっぱり無知な子はこんな感じなのだろう。

スキル武具がどれほど高くて入手困難かを、ヴィーは知らない。

ナズも当たり前のように成功させているのだし、

作る事すら難しいだなんて夢にも思わないだろう。


まあ、それでも良いけど。


「ナズ殿はそのような籠手をお持ちだったのですか?」


「いや、朝作って貰った。でき立てホヤホヤだ」

「さ、流石ナズ殿です」


「ジャーブの武器も既に強化されているぞ?攻撃すると治癒する」

「ええっ?い、いつの間に!ナズ殿、ありがとうございます!」

「えっ、あの、大丈夫です。

 そんなに頭を下げなくても・・・。何だか照れちゃいますね」


「ジャーブは殆どダメージを受けないからなあ・・・。

 囲まれた際は守りに徹さず、強引に切り込んでみろ。

 十分やって行けるはずだ」

「そ、そうなのですか。凄い武器をありがとうございます。試しても?」


「ろ、ロートルトロールはめろよ?奴は麻痺を持ってるからな」

「それもそうですね、ではマーブリームなら」


「出遭った際にやってみたら良いんじゃないか?」


今日はエミーを加えた6人で迷宮へ向かう。

エミーは勿論連れて行かないが、ナズをパーティから外した。

パニを成長させるためだ。


「ナズ、パニが加わった事でパーティが6人の枠を超えた。

 暫くはナズの成長が見込めないから、今日は別パーティだ。

 前面に出ないし、詠唱を中断させるだけなのだから危険は無いと思う」

「そうですか、かしこまりました」


一旦家に戻り、パニをパーティに加えた後、掃除と散歩を指示した。


今後何か買い物を頼む事があるかも知れないので、町の店の把握だ。

パニはホドワの商館で買ったが、この町には馴染みが無いらしい。


路銀として兎の毛皮32枚を与え、

換金するように指示をしてアイテムボックスへしまわせた。

初めてのお使いだ。


「では行こう。まずはヴィーの様子が見たいから、

 できればロートルトロールの少ない処へ」

「かしこまりました。

 3匹の群れが近くにありますが、1匹は魚だと思われます」


アナが案内したのはロートルトロールが2匹、

もう1匹はマーブリームだった。

様子見と言う意味では申し分ない組み合わせである。


「魚は俺が!」

「では私がロートルトロール1体を抑えます」


ジャーブはさっき言った事をやってみるつもりだ。

是非ボコボコになって頂きたい。


ヴィーは剣と盾を構え直して、かつての強敵に切り込んだ。


まずはロートルトロールの攻勢だ。

スピードが乗り勢いが付いたパンチは、

体格差もあってヴィーは盾の正面で受けた。

金属の盾からは重そうな音が響き、間を置かずトロールの回転撃が迫る。


インパクトした瞬間にヴィーは盾を正面から外していた。

いや、ヴィー自身が横に逸れて動いた。

回転撃の来る方向を見極めて盾を動かす。


自分は遊び人のスキルが土魔法になっていてもたついてしまった。

このタイミングで、最初のファイヤーストーム連撃1回目が発動する。

弓の2本撃ちは無しだ。

今の熟練度でやったらジャーブかヴィーに刺さる。


回転撃の次の一撃はキックだった。

受け止めて引き、ロートルトロールの体勢を崩した。

前のめりになって倒れたロートルトロールを、ヴィーが滅多刺しにする。


おお、良いぞ。

今まで防御一方だったヴィーが優勢に回っている。


起き上がりに掛けてロートルトロールは手を振り回し、

それもヴィーはしっかりと受け止めた。

これはボスであるロールトロールの寝返り攻撃・・・の前兆だ。


本来はここで学習して置けば、ロールトロールの動きが判った訳だ。

既にボス戦を一度経験しているので、

それよりも雑な動きならば対応は容易だったと思う。


意外とトロール族は体重移動が苦手なのかもしれない。

と言う事は、体勢を崩す事こそが勝利への1歩か?


2ターン目のファイヤーストームを終えた後、ヴィーに指示をした。


「ヴィー、なるべく体勢を崩せ!

 ロートルトロールは攻撃直後の足元が安定しない!」

「えっえっ・・・えっと?」


「盾で受ける振りして逸らせ!できれば足も掛けろ!」

「あいっ!」


アナも直ぐに理解したようで、

攻撃を受け止めた瞬間を狙って足払いを掛けた。

アナの対峙するロートルトロールが転ぶ。


ああ、状態異常耐性ダウンだ。

当てられないからと思って、まだ掛けていなかった。

スキルを使用した瞬間に寝転んでいたロートルトロールは、

子供が駄々をねる格好で固まった。


ロートルトロールの対処の仕方が判明した。

ヴィーの機転があったお陰だろう。

受け止める振りをして引く、と言う「外し」は中々に高度な技術だと思う。


3ターン目のファイヤーストームでロートルトロール2匹は消えた。


「ヴィー、さっき転ばせたのは偶然か?」

「なんか、ジャーブ兄ちゃんが、そうするとはんげきしやすいって」

「教えた事がもうできるのは、中々に才能が有ります」


ジャーブは生き残っているマーブリームに噛み付かれながら答えた。

いや、倒せよ。


「そ、それは痛くないのか・・・?」

「痛みが増しましたら、こう、ガツンと」


バスタードソードを振り、マーブリームの気持ち悪い脚をさらう。

それで痛くないならもう良いらしい。

敵として対面するならともかく、密着している姿は本当に気持ち悪い。

さっさと倒してしまおう。


火魔法と土魔法の連撃に合わせ、

更にヴィーから剣を借りてボコしてやった。

それでもジャーブに食い付いたマーブリームは、

どれだけ叩いても離れようとしなかった。


ピラニアかな?


「どうだ?アナも行けそうだな?」

「そうですね、こちらから騙しを掛けるとは思ってもみませんでした」


「よし、対処できるかどうか確認するため、少なめの所から狙って行こう」

「かしこまりました。こちらです」


長い時間戦う必要は無いのだ。

自分の魔法3ターンが完了する間の約45秒、それだけ耐えられれば良い。

それが崩しを与える事で大幅に時間を稼ぐ事ができる。

アナの手が出れば石化の可能性も高まる。


次のロートルトロールは3匹だった。

ラブシュラブもいるが、アレは放置で良い。


先制のファイヤーストームがトロールたちを襲う。

勿論灌木も燃える。

ヴィーは駆け寄ってジャンプ斬りを仕掛けたが、

トロールが腕で振り払って剣筋を逸らされた。


そこへ逆手のパンチが飛んで来るが、既に盾は構えられている。

勢いに乗ってヴィーはロートルトロールを追い越して反対側へと回り込み、

背面から攻撃を突き入れた。


ロートルトロールが向きを変えヴィーを追う。

更にヴィーは足元の隙間に潜り込んで股下から登り飛竜を放った。

力強い一撃を受けて、ロートルトロールが転倒する。


「やった!」


今の一撃をヴィーが自画自賛した。

これを狙ってやったか。

素早いし力もあるので、ヴィーらしい一撃ではある。


が、その隙を見せる事が仇になった。

ジャーブが相手をしていたトロールが突然方向を変え、

側面から殴り掛かられたヴィーは吹き飛んだ。


「いったたた・・・!もー!」


麻痺は・・・していない。

装備の効果が有効だったかどうかは一撃では判断できないが、

少なくともヴィーはそのまま反撃に向かって行った。


2ターン目のファイヤストームの詠唱時間だ。

さっき倒れたトロールが起き上がり、

ジャーブに加勢したヴィーと合わせて2対2の構図となった。


アナの方は・・・石化はしていない。

と言うか、状態異常耐性ダウンを掛け忘れた。

ゴメンネ。


ナズは先程の戦いから空気だ。

する事が無い。

いや、良い事なのだろうけども。

一応ちゃんと警戒はしてくれている。

ナズが暇だと言う事は、前衛が機能していると言う意味に他ならない。


ジャーブが剣体で受け止めたパンチを目掛けてヴィーが斬り込みを入れ、

そのヴィーを狙ったトロールの攻撃をジャーブが叩き斬る。


2対2で素晴らしい連携具合だ。

特訓の成果なのだろうか。

ラピッドラビットを2人でやらせた成果は出ているのだと思う。

あれは誘いと連携に依って倒すべき魔物だった。


3ターン目のファイヤーストームで、

ラブシュラブも含めて全ての敵が煙に変わった。

中々どうして、良い塩梅だったのでは無いだろうか。

これならボスも行けそうだ。


「よし、適当に倒しながら進んで、ボスにも行ってみようか」

「「はい!」」


ジャーブとヴィーが力強く返事を返した。


「わわ、何だか皆さんとても強くなってますね」

「練習した甲斐が有ったのでしょう」


頼もしい2人はその後も現れたロートルトロール相手に、

不安定さを見せる事無く快勝して行った。


「ええと、ボス部屋だが誰かいるな」

「そうですね。暫くは待つかと思います」

「今の俺たちなら、行けそうな気がしますね!」


「そうだな・・・、ロートルの方はともかく、ボスの方はどうだろうな。

 アナは前回、どうして麻痺したんだっけ?」


「はい、あの時は盾を構える力が入らず、無理をしました。

 私の攻撃を盾で止められると言う経験が無かったもので、

 かなり手に痺れが残りました」


おい、生死が掛かっている迷宮に対してなんて言う事を。

万全の態勢でなければ申告して欲しかった。

特にアナは防衛の要じゃないか。


やはり待機部屋で打ち合いは駄目だ。

消耗するだけ無意味だった。


「つ、次から、不調の際は必ず言うように。

 休憩は許さないだなんて言った覚えは無いぞ」

「申し訳ありません、私にも少しおごりがあったように思います」


今までノンストップでやって来たのだ。

ヴィー以外はそれでも何とかロートルトロールを制して来た。

本調子でなければ勝てない、それがこの20層なのだろう。


本来10年の歳月を要して到達する場所に、

自分を含めてまだ30日も経っていない初心者が3人だ。


アナは何か勘違いをしていたのだろう。

自分もナズもヴィーも、ベースからして強いのだと言う勘違い。

これまで安定してやって来た安心感とおごり、その結果の不調だ。


「今度は大丈夫だな?」

「はい、お任せ下さい。しっかりと止めます」


「よし、ロールトロールの正面は任す。ナズとヴィーでお供だ。

 ジャーブはアナを補佐してくれ」

「「「「はい」」」」


程無くして扉が開かれ、自分達の番となった。

危なくはあったものの、前回一度は倒している。

ボスからは鉄と鋼鉄が出るので、欲を言えば周回をして材料を集めたい。


入場前にエミーをパーティから外してナズを加える。

流石に別行動状態だとボス部屋へ入れないだろう。

突入メンバーはいつもの状態に戻った。


合図と共に全員が一斉に駆け寄る。

自分は煙が人型に変わる瞬間を狙ってファイヤーストームを放つ。

まずは先手だ。


お供はフライトラップだった。

これならば楽勝である。

ナズも付いているから魔法は完封だし、ヴィーも戦った事がある。

確かボスでは捕食されたが、雑魚なのでその心配も無い。


アナの対峙するロールトロールの動きだけ注目した。

石化に頼らず戦える事を確認したいので、

状態異常耐性ダウンは掛けない。


ロールトロールの連続パンチを盾の縁で受けてかわし、

その隙を狙ってジャーブがちょっかいを掛ける。

ロールトロールはそんなジャーブに気にもくれず、

ひたすらアナに対して攻撃を集中させる。


パンチからキック、裏拳、回転ラリアット、

前転からの腕の振り回し、特に回転する攻撃は多彩だ。

一体どこでフェイントを掛けられるものなのか。


ロールトロールが2回目の回転ラリアットを披露した時、

ジャーブはその足元を大剣の大振りで掬った。

ロールトロールはそのまま回転を続けていたが、

回転軸がズレてアナから遠ざかる。


これがチャンスなのだろう。

アナは身を低くして、腰元に忍び寄って蹴り飛ばした。

ロールトロールが転倒し、勢いのまま転がって行く。

2人は奴を追い掛けながら追撃を入れた。


自分も弓で狙って追い打ちを掛ける。

魔法も追加だ。

ロールトロールは火達磨となり、

熱さで悲鳴を上げながら更に転がって行った。


バランスを崩した所からの回転攻撃は無いらしい。

転がった先で身を起こすと、再びアナを狙っての連続攻撃が始まる。

パンチ、パンチ、またパンチ、裏拳の後に、距離が開く。


その後勢い良く蹴り・・・と言うよりは足で押し出すような、

盾ごと押し退ける足技を繰り出して来た。

受けるか受けないかの瞬間アナは盾を外して体を少し逸らし、

伸び出て来た足を持ち上げて転ばせる。


いや、持ち上げたのはジャーブだ。

流石ベテラン、良く見ている。


頭から床に叩き付けられたロールトロールが藻掻もがく。

バタバタと手や足を動かして近寄らせないように牽制するが、

それは却って自身も攻撃したり体を起こせない事に他ならない。

少し近寄って弓で追撃をし、3ターン目の魔法もお見舞いした。


焼かれたロールトロールが再び転げ回って、部屋の奥へと移動する。

流石に巨体が回転して転がって行くと走っても追い付けない。


殆ど猿人なのだ、熱には弱いのだろう。

アナもパーンの火魔法で転げ回っていたし。


少し距離を取ったロールトロールが、突進のパンチを仕掛けて来た。

アナが逃げる。

流石にあの勢いと重さでは、盾で受け止められないのだろう。


ナズの槍が振られ、ロールトロールが足を掛けられて前のめりに転倒した。

あれ?フライトラップは?

・・・もう居ない、流石だ。


転倒したロールトロールの背中目掛けて、

ヴィーがジャンプからの急降下で剣を突き刺す。

しっかりと肉を切って突き刺さった剣の一撃に、

ロールトロールから悲鳴が上がった。


痛みにたじろいだロールトロールが慌てて体を起こす。


ヴィーが振り飛ばされて尻もちをついたが、これは攻撃なのだろうか?

麻痺はしていない。

攻撃では無いのか、装備が有効だったのか。


背後のヴィーに気付いていないのか、

やはりトロールの怒りの矛先はアナに向けられた。

連続パンチを盾でかわし続ける間に、

ヴィーとジャーブ、ナズが攻撃を加える。

ナズは足元だけを狙っているようだった。

転倒狙いだろう。


4ターン目のファイヤーストームで援護し、

ナズには攻撃を当てるよりも片足を引っ掛けろと指示をした。

その言葉通り、ナズは狙い良く一歩踏み出た所へ槍を通し、

反対の足が出る所を潰してみせた。


再びトロールがもつれ転び、4人が集中砲火を浴びせる。

5ターン目の魔法は、ファイヤーウォールに切り替えてみた。

これは持続ダメージだ。


火球を当てたり、敵全体を狙うよりダメージ効率が良い・・・と思う。

何せ炎上し続ける炎の塊なのだ。

ロールトロールの寝そべる腹付近に合わせて出した。


3人が驚いて距離を置く。

ナズはリーチがあるので、逃がさないように横から突いて回っていた。


ロールトロールが熱さに悲鳴を上げ、

こんがりと焼き上がって煙となった。

やはり持続ダメージは強い・・・と思う。

単純に残り数発で倒せただけかも知れないが。


「うん、中々良かった。不安定要素は無いな」

「俺も驚きました。以前より簡単になったかもしれません」


「アナもヴィーも麻痺しなかったので、

 ちゃんと考えて戦えばこの程度なのだろう」

「やった!アタイすごい?」


「ああ、良くやったぞ」

「もう何度か戦われますよね?」


「そうだな。今回は鉄が出たが、鋼鉄が幾らか欲しい。

 ナズの修練に必要な材料なのでな。

 装備を鋼鉄製で揃えられたら相当心強いだろう」

「わっ・・・頑張りますね!」


皆の士気が上がっている。

気分良くこのまま何度か行けたら完全に慣れるだろう。

もう1度か2度位は石化無しで戦って貰って、後は作業だ。



   ***



昼までには鉄が25個集まり、鋼鉄は7個出た。

産出率は約20%。

5回に1回出るならは割と集め易いと言える。

たまたま運が偏っただけかも知れない。


ただ敵の強さや面倒さからして、

大量に集めるとなると骨が折れると言う事は良く解った。

∽今日のステータス(2021/10/25)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv45

  設定:探索者(45)遊び人:火魔法/MP中(35)

     魔法使い(37)英雄(37)博徒(31)細工師(25)


  取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)

     奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)暗殺者(1)

     武器商人(13)防具商人(1)農夫(1)薬草採集士(30)

     錬金術師(1)料理人(18)村長(1)僧侶(19)神官(1)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv40 OFF

   強権の鋼鉄槍(詠唱中断 +)身代わりのミサンガ(身代)

   鉄の兜(+++)抗縮の鉄鎧(麻痺耐性 +)鉄の籠手(+++)

   鉄のグリーブ(-)

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 暗殺者 Lv39

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 騎士  Lv35

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv36

   克服の白銀剣(防御軽減 +++)鋼鉄の盾(++)

   プレートメイル(++)鉄の籠手(-)鉄のグリーブ(+++)

   身代わりのミサンガ(身代)

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv14

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 探索者 Lv16


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv46

  設定:探索者(46)遊び人:土魔法/MP中(36)

     魔法使い(38)英雄(37)博徒(32)細工師(29)


  取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)

     奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)暗殺者(1)

     武器商人(13)防具商人(1)農夫(1)薬草採集士(30)

     錬金術師(1)料理人(18)村長(1)僧侶(19)神官(1)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv40

   強権の鋼鉄槍(詠唱中断 +)身代わりのミサンガ(身代)

   鉄の兜(+++)抗縮の鉄鎧(麻痺耐性 +)鉄の籠手(-)

   鉄のグリーブ(-)

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 暗殺者 Lv39

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 騎士  Lv36

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv36

   克服の白銀剣(防御軽減 +++)鋼鉄の盾(++)

   プレートメイル(++)抗縮の鉄籠手(麻痺耐性 睡眠耐性 毒耐性)

   鉄のグリーブ(+++)身代わりのミサンガ(身代)

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv24 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 探索者 Lv21



 ・収得品

   木の板×10   白身 × 4

   銅  × 1   鑄  ×46

   鉄  ×25   鋼鉄 × 7



 ・異世界38日目(朝)

   ナズ・アナ33日目、ジャ27日目、ヴィ20日目、エミ13日目

   パニ3日目



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  15 フライトラップ    /  アニマルトラップ

  16 グラスビー      /  キラービー

  17 ケトルマーメイド   /  ボトルマーメイド

  18 マーブリーム     /  ブラックダイヤツナ

  19 ラブシュラブ     /  ラフシュラブ

  20 ロートルトロール   /  ロールトロール

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