§140 高揚
「ただーいまー」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
(ぺこり。)
玄関の戸を開けると、ナズとエミーは台所から駆け付けて出迎えた。
そして直ぐに後ろにいた可愛らしい男の子に気が付いたようだ。
驚いた顔の様子でパニを凝視する。
「そ、そちらの方は?」
「さっきホドワで買って来た」
「えっ?」
「まあそれよりも何だ、靴を持っていないので頼む」
「か、かしこまりました、サンダルですか?靴でしょうか?」
「あー、パニはどっちが良い?」
「ど、どちらでも構いません」
「それでは困るんだ。うちでは選ばせてやるから、お前が決めろ」
「そ、それでは靴をお願いします」
「だそうだ」
「かしこまりました。納屋に取りに行って参りますね」
(天の・・・たる、・・・ひとつ・・・光臨、防具作成)
ボソボソとナズの声が聞こえるので、納屋で作って持って来るのだろう。
いきなり目の前で作って驚かせない配慮なのだろうか。
皮の靴を片手に、ナズが納屋から出て来た。
こっそり隠れて作る辺り、何とかの恩返し的な。
「・・・お待たせしました、どうぞ」
「その前に足を洗わせよう。
悪いがもう一度納屋に行って雑巾を持って来てくれ」
(ぺこり。)
今度はエミーが取りに行くらしい。
その位ならエミーにもできるし、どっちでも良いか。
玄関にパニとナズを待たせて、自分は1人風呂場で足湯の用意をする。
桶3杯を並べてお湯を張り、パニを呼んだ。
「準備できたから来てくれ」
「はい、失礼します」
パニの後に続いて、ナズもエミーも一緒に付いて来た。
じゃあ洗わせようか。
主人の仕事では無いと思うし。
「パニの足を洗ってやってくれ」
「かしこまりました」
パニの足を洗わせながらいくつか質問をした。
「自分はユウキと言う。ご主人様でもユウキ様でもどっちでも良い」
「で、ではユウキ様で・・・」
「普段は迷宮に入って、生活の糧を稼いでいる。パニは迷宮はどうだ?」
「ええと、行った事はありません。戦いは苦手です」
「まあそうだろうな。どうして奴隷になったか聞いても良いか?」
「家がその・・・貧乏で。
父は借金を沢山していて、母は物心付いた時から居ませんでした。
ぼ・・・私が成人したら税金を払えないので、
その前から私は売りに出されると言われていました。
一昨年の春、14に成って直ぐに売られました」
14?
売れるのか?
未成年奴隷は売却ができなかったのでは無いだろうか。
あれか?
先に売る事を決めて置く売掛みたいな状態だ。
15に成るまで誰とも主人の登録しなければ、
契約はしていないが身分は奴隷のままで運用は自由だ。
奴隷として労働をさせなければ問題は無い・・・のかな?
商館で仮押さえされている奴隷寸前の者は他にもいるのかもしれない。
と言う事ならば、余りにも不憫過ぎる。
「借金か、まあそういう事もあるだろうな。理由は判るか?」
「あの、父は酒が大好きで・・・お金があると直ぐに酒場へ・・・」
本当に酷いな・・・。
「お前は何か働いていたのか?」
「まだ未成年でしたので、ちゃんとした仕事には就けませんでした。
食堂で野菜を洗ったり、芋の皮を剥いたりしていました」
華奢なのはそういう理由か。
こういう世界なのだから普通の子供ならばもう少し逞しいと言うか、
家の手伝いをしたり外を元気に駆け廻ったりして、
小さいうちから体幹が作られているはずだ。
早くから働かざるを得ず、それもちゃんとした職には就けないとなると、
その先はこうなってしまうのか。
家が食堂だったナズの方が少しマシだが、似たり寄ったりだろう。
「お前は男娼の所に入れられていたが、そういう事は大丈夫なのか?」
「ええと、どういう意味でしょうか」
「その、何だ、男とするのはお前は平気なのかと言う事だ」
「ええと・・・、どんな要求であってもしっかりとお勤め致します」
「ご主人様、奴隷は拒否する事ができませんので」
ナズが色々察して解説を挟んで来た。
「そ、そうか。そういうつもりで買った訳では無いから、安心してくれ。
男の方が好みだったのなら残念だったと思うが」
「い、いえ、そのような事は・・・」
「まあ、パニは男でも可愛らしいからな、
そういうのが好みな金持ちもいるだろう」
「えっ?そうですか?ありがとうございます」
「で、実際の所どうなのだ?男と女、どちらが好みだ?」
「ええっと・・・?」
パニがナズやエミーを目で追って助け舟を求めた。
「大丈夫ですよ。ご主人様はお優しいので、本心でお答えなさって下さい」
(こくこく。)
珍しくエミーまで同意をしてくれている。
エミーへの愛情はちゃんと届いていたようだ。
普段から掴み処が無く扱いに困っていたが、
こちらの想いは伝わっていたようで、今日はそれだけで満足である。
よしよし。
「ええと、ぼ、私は女性の方が好みですが、
その、ご主人様がお求めでしたら──」
「あー待て待て。
何度も言うが、そういう用途でお前を買った訳では無いから大丈夫だ」
女性が好みなら大いに結構。
そうでないと買った意味が無い。
お前はヴィーの婿候補なのだからな。
ヴィーの好みは知らない。
もっとマッチョな男が良いとか言われてももう遅い。
どのみち奴隷に拒否権は無いのだ。
「戦ったりするのは苦手なのは解るが、他人を助けるのはどうだ?」
「それでしたら、私にできる事があればお手伝いしたいです」
「僧侶となって戦いを補助するか、
冒険者となって皆の移動を補助するか、どちらが良い?」
「えっ?え・・・ええと?」
パニは再びナズとエミーに視線を送り助けを求めたが、
2度目の合いの手は無かった。
ナズったら意外と厳格なんだから。
「お前を僧侶か冒険者にする。多少なりとも役に立って貰わなければ」
「ええと、よく分かりませんがどうすれば・・・」
「ご主人様はいつも、私達に選ぶ権利を下さいます。
どちらがパニちゃんのやれそうな事なのか、
それで選んでも大丈夫ですよ?」
(こくこく。)
「そ、それでしたら冒険者に・・・」
「冒険者に付いては何か知っているのか?」
「ええと、とても良い仕事だと言う事は噂に聞いています。
中々成るには難しいそうなのですが」
「まあそうだが、何とかする」
「あ、あの・・・迷宮は」
「別に行かなくて良いぞ?家でこのエミーの手伝いをしろ。
あ、一度は行って貰う事になるが、入るだけで良い。何なら今行こうか」
「え?あの・・・?」
足が綺麗になり、用意した靴を履き始めたパニに初めての命令をした。
命令と言うよりお伺いだが、主人が行くと言ったら逆らえないのだ。
たとえお伺いであっても。
本当にどちらかを選んで欲しい場合は、
行かなくても良いとしっかりと明示してやる必要がある。
この場合は、行かなくてはいけない。
いや、行かないと冒険者に成れないし当たり前だろう。
「友に答えし信頼の、心のきよむ誠実の、
パーティ編成!」
詠唱短縮を外してフル詠唱でパーティにパニを加え、
ワープもそのまま唱えた。
「幾重に及ぶ道筋よ、百里万里の旅路の果てよ、
今こそここに橋渡せ、ワープ!」
ワープのボーナス魔法、初めてフル詠唱した気がする。
そんな呪文だったのか。
発動しなかったらひゃくりで読み返す所だったが。
ゲートを繋いだ場所はホドワの迷宮入口の外。
いきなり迷宮に突入するとかおかしな真似をして驚かせない方が良い。
パニは今後ずっと家で手伝いをさせ、
冒険者となった後は自分たちの移動補助をして貰う作戦だ。
ウチの中では唯一常識内に留めて貰う事にした。
直接戦闘をしないのだし、その位はね。
「それじゃ行って来る」
「行ってらっしゃいませ」(ぺこり。)
「あ、あの・・・」
渋っているパニの手を取って強引に連れ出し、
ホドワの迷宮入口に突入した。
どうせ1階層しか入れない。
入って中の様子を確認させたら、そのまま出るだけだ。
「はい、お疲れさん、これでもうパニは探索者だ」
「はい?ええっ?」
実際には探索者ギルドで転職をする必要があるが、
自分は他人のジョブを変更できるので何も問題は無い。
パーティに入れて置けば、パニは放って置いてもいつか冒険者になる。
「何だ知らないのか?探索者に成るには迷宮に入れば良い。
冒険者は探索者に成ってから色々と経験を積むのだ」
「え、ええ。知っていますが、ギルド神殿へは?」
「手続きはやって置くから、後は家で家事の手伝いをしろ」
「は、はい・・・?」
「さあ、帰るぞ?
幾重に及ぶ道筋よ、百里万里の旅路の果てよ、
今こそここに橋渡せ、ワープ!」
ゲートを出して風呂場に繋いだ。
ナズとエミーがまだ待っていた。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
(ぺこり。)
「それじゃあ、エミーは今後パニと家事を分担してやってくれ。
調理はエミーとナズでやれば良いが、
掃除や洗濯などは一緒にやりながら教えてやって欲しい」
エミーがいつものオロオロを始める。
両手を胸のあたりに掲げ、ナズと自分を交互に見て何かを訴え掛ける。
話せないからどうやって教えたら良いかと言った所だろう。
「パニはある程度の家事はできるよな?」
「ええと?」
「掃除や洗濯だ」
「はい、大丈夫です」
「ならば大丈夫だ。このエミーは話せない病に罹っているが、
何かあった場合は手振りで教えてくれると思うので、素直に従ってくれ」
「は、はい。かしこまりました」
(こく・・・こくっ。)
何もイチから全てを教える必要は無い。
元々一般人であったのでそういう所は大変助かる。
ある程度解っている者に指示をするだけなら、
エミーでも何とかなるだろう。
彼女も納得できたようで、大丈夫そうだ。
「ウチの一番奴隷はこのナズと、今は庭で剣術の指南を行っているアナだ。
この2人の言う事を聞けば大丈夫だ」
「あ、あの、一番奴隷がお2人なのですか?」
「2人ともとても仲良しで、間違った事は言わない。
意見が大きくずれる事は無いので安心しろ」
「これから宜しくお願いしますね?」
「え?あの、・・・はい」
「それから、お前の寝室だが・・・」
パニの部屋割に困ったので当初は台所にベッドを置こうかと思っていた。
しかしヴィーにもパニ自身にも、2人を引き合わせる話はしていない。
このまま放って置けばただ仲良くしてくれるだけで、
何も起こらないのでは無いかと思う。
奴隷が主人の所有する奴隷に、勝手に手を付ける事は恐らく無いだろう。
ヒエラルキー的には逆になるのだし。
そういう事が起こり得るとすれば、
奴隷の仕来りを知らないヴィーからだろうが、
それならば思惑通りなので別に咎める事では無い。
後押しするにはまだちょっと早いかなと思っているだけだ。
じゃあ良いか。
ジャーブもいる事だし、一緒の部屋に入れてしまっても。
男2、女2で釣り合いが取れて良いじゃないか。
寧ろ今までジャーブが窮屈で、可哀想ではあった。
「まだ寝具が到着していないが、
着いたらこの風呂場の正面の部屋を使ってくれ」
「はい、かしこまりました」
「一応言って置くが、一緒に寝ないからな?」
「は、はい。あの、ありがとうございます」
「縫製はできるか?」
「ほう?ええと済みません、分かりません」
手首や足首の鱗の返しで服が傷んでしまうから、
縫製ができれば本人でやって貰いたい所だったが、
無理ならまたジャーブにお願いするか。
あいつ、何だかんだで有能なんだよな。
何かご褒美を与えてやりたいけれど、
ジャーブは酒も飲まないし喜びそうな事が思い当たらない。
昔より良い暮らしだと言っているし、当分は良いのか。
「では夕食まではする事も無いので適当にこの辺をぶらつくなり、
気になった箇所の家の掃除をするなり、好きに過ごせ」
「はい。かしこまり・・・ええっ!?」
「ナズもエミーも、もう良いぞ。
夕食の準備の時間まではゆっくり過ごしてくれ」
「はい、では私はお部屋に戻りますね」
(ぺこり。)
エミーは台所が好きなのか、
ハーブティーが気に入ったのか、
席に戻るとコップを傾けて啜っていた。
今までは出すだけで、口に入れた事は無かったのだろう。
彼女の楽しみが1つできたとするならば、大いに結構だ。
そしてナズが部屋に戻るなら自分も部屋に戻って一緒になる。
部屋に戻ってベッドの枕に凭れ掛かり、
ちょっとイチャイチャした。
「あの、ご主人様、お聞きしても宜しいですか?」
「うん?パニの事か?」
「いっ、いいえっ、そうでは無くて、その・・・。
先程仰っていた、私を・・・、その、一番に選んで頂いたのは・・・」
今朝の続きが始まった。
これは流石に選択肢を間違えようも無い。
ただ、流石にちょっと恥ずかしい。
「そ、その、か、か、可愛かったから・・・だ」
「あ、あの・・・」
自分から言って置いて恥ずかしくなって動揺したが、
それ以上にナズが赤くなっていたので、可愛くて堪らなくなり抱き寄せた。
「あっ、・・・ありがとうございます」
ナズも自分の腰に手を回して来たので、暫く2人で抱き合った。
***
迷宮に行かないとなると、一気にやる事が無くなる。
異世界スローライフの始まりだ。
幸い蓄えはあるし、何だったら食材なども野菜以外は迷宮で拾って来れる。
武具を揃えるにしてもそう直ぐには入れ替わらないだろうし、
戦闘人員やモンスターカードに至っては待ちの姿勢だ。
今できる事は・・・弓の練習かな?
久しぶりに料理をしても良い。
もうじき夕食なので、総菜やおやつを作るなら今からではやや遅い。
明日は何か1品を自分が作る事にして、
矢の本数を確認して1人で迷宮に出向いた。
相手はグリーンキャタピラーだ。
それ程速いスピードで進軍して来る訳でも無く、
的にするには十分な大きさ。
そして敵視範囲が狭いので、遠距離で見付けた場合は一方的に先制できる。
弓の練習には打って付けだ。
早速遠方に発見したので、
手数を稼ぐためにオーバーホエルミングで狙いを付けた。
多分急げば3射程度は可能だと思うのだが、
自分の腕前では狙いを定めるに時間を要する。
それに集中して狙わなければ大きく逸れてしまうのだ。
今の自分では2射が限界だ。
相手は動く生物なので、射出後の僅かな時間で逸れる。
そうか、遠距離になると当たらない理由の1つがこれだ。
動く方向をしっかりと確認し、予想を付けて狙わなければならない。
そして、矢が届かない。
矢は弾丸では無いのだ。
真っ直ぐに飛ぶ訳が無い。
遠距離になればなる程、射角も考えなければならないのだった。
幸か不幸か射出した矢は全て外れたため、
グリーンキャタピラーは攻撃されたと認識していないし、
こちらにも気付いていないので同じ位置に留まっていた。
再びオーバーホエルミングで狙う。
そもそもどうしても狙わなければならない状況になるのは、
魔物のスキル詠唱時であってやっぱり魔物は動いていない。
この距離で当てられなければ射撃は無効だと言う事だ。
命中2倍になっても、距離が2倍になり難易度が2倍になると、
倍率計算的には差し引き等倍だ。
引いちゃダメだが。
つまり、素の命中力が問われている。
聖銀製の弓があるのだから、木でも弓が作れるはずだ。
実戦では無く練習用の的に向かって、
木の弓を用いて本来の戦闘距離での練習をする方が良いかも知れない。
取り敢えずは今撃ち込んだ分の矢を回収しなければ勿体無いので、
目下のグリーンキャタピラーを始末する必要がある。
もう一度オーバーホエルミングで狙いを付ける。
まず1射。
射出するまで矢はスルスルと動くが、
発射直後から矢の動きがスローモーションとなり、
それが却って狙いを付けるに邪魔をする。
近距離ならともかく遠距離でのオーバーホエルミング射撃は、
実の所相性が悪いのかもしれない。
射出した矢が視界の邪魔にならない位置へ、
少し横にずれて狙いを付ける。
2射目を放つとオーバーホエルミングの効果時間が切れ、
2本目の矢が1本目を追い掛けるように、
未だ遠くに蠢くグリーンキャタピラーを目掛けて飛んで行った。
やや上角を狙ったので、今度はしっかりと良い位置に届く。
2射のうち1発が当たったらしく、
グリーンキャタピラーはこちらに向かって転がって来た。
再びオーバーホエルミングで狙い撃ちにする。
今度はしっかり動く的だ。
同じように角度を付けて・・・。
いや、こちらに迫って来るのだから角度を付けたら通り越してしまう。
こういう場合は見えたまま狙うべきだ。
1射を放ち、やはり少しずれて2射目を放った。
やや接近した事も起因したのか2射とも当たり、
最後の1発に依ってグリーンキャタピラーは煙へと変わった。
さて、放出した矢を向こうの奥まで拾いに行かなければ・・・。
やはり面倒だ。
木の弓でも作って貰って家で練習しよう。
命中補正が付いていない弓で狙いを付ける方が効率的だ。
自分の本当の実力も判るし。
木の矢を拾い集めて家に帰ると、ナズとエミーは夕食の支度をしていた。
する事も無く暇だし、早めに作るのだろう。
今日はナズが歌いに行く日なので、
余裕を持って仕事を終わらせたいのかもしれない。
ナズを呼んで木の板から弓を作らせる。
弓、の本体は木の弓なんだから木の板だろう。
ブランチは必要無いと思う。
問題は弦の方だ。
糸?絹の糸?蜘蛛の糸?
手元にあるのは、さっき倒したグリーンキャタピラーから出た只の糸だ。
量的に見れば割としっかりとした糸巻きなので、
弦を張ると考えれば足りると思う。
駄目なら量か種類が違う。
その時は適当に集めて来れば良い。
「では、これとこれで弓と念じて武器を作ってくれ」
「かしこまりました。
ええと、真神の宿りたる、鍛人を交えて顕したまえ、
武器作成!」
手元が光ったので成功だと思う。
大目に木の板は3枚渡したが、
光が遮られて板が残っているように見えるので、多分多かったのだろう。
・木の弓
「ど、どうぞ。本には載っていなかったのですが、流石はご主人様です」
「まあ、そうだろうな。売れない武器を作らせたんじゃあ、
鍛冶師教育的にも可哀想だからじゃないかな」
木の弓を受け取って、庭に・・・的は以前魔法でぶっ壊したんだった。
庭ではアナとジャーブが木刀を取り、
ヴィーは木刀と木の盾で防ぐ練習をしていた。
アナは盾を構えていなかったので木の盾が1つ余っている。
「ちょっと借りるぞ」
「え?はい、どうぞ。使いませんので」
木の盾を壁に立て掛け、そこに狙って撃ち込む練習を開始した。
弓ならば畑の上を利用して練習できるので、
打ち合いをする彼らの邪魔にはならない。
と言うか、昼からずっとか。
頑張っているな。
自分もやる気を出して練習をした。
初めて聖天弓を手にした時には、まるで明後日の方向に飛ばしていた。
それが今は何のスキルも付いていないただの木の弓で、
意外にも狙ったらちゃんと当たる程度には成長していた。
それでもまだまだ中心とは行かないし、数発は外れてしまっている。
自軍後方から敵軍最後尾の距離であっても、
何とか中心付近に当てられる程度には精度を上げて行きたい。
それが自信を持って行える位の腕前になれば、
超ロングレンジの対応も取れるだろうし、
その頃にはヴィーもそれなりに良い動きになるだろう。
ヴィーの方はと言うと、
打ち込み手がアナからジャーブへ、ジャーブからアナへと、
お互い休憩しながら練習しているようである。
ヴィーがへばったらアナがジャーブと打ち合いをするなどしていて、
ちゃんと考えてやっていたのだなと感心した。
∽今日の戯言(2021/10/20)
さー困ったぞ、想定外の人物だ。
ユウキ君が勝手に買ってきてしまった。
こうなったら仕方無い・・・。
***
「ご主人様、ご主人様」
「はっ!」
「夢を見られていたのですね、魘されておいででしたよ」
そうか、これは全て夢だったか。
ええと、どこまでが夢だっけ・・・。
確か、ナズとアナを商館で買ってから、宿屋で初夜を楽しんで・・・
***
ってそこからかい!
・異世界36日目(15時頃)-29日?
ナズ・アナ31日目、ジャ25日目、ヴィ18日目、エミ11日目
パニ1日目




