§120 挑戦
アイテムボックスを開いた際に、1つ枠が増えた事に気付いた。
探索者のLvが上がっていたので、
ボーナスポイントも1つ増えているのだろう。
ワープは鑑定とスイッチで使えば、
運用上は問題無い事に気付いたので後で良い。
しかし1ポイントでは他の倍率系スキルには振る事ができない。
1ポイントでは中途半端過ぎて、どこも強化する事ができないからだ。
それならばと、博徒をセットしたついでにボーナス魔法を取得してみた。
魔法使いのLvも結構上がって来たし、
聖銀製の武器を得た事で威力は高まったはずだ。
これならば以前放置した魔物の部屋も対処できるだろう。
どうせ博徒はLv1だし、今のままでは使い物にならないと思う。
一気に倒してパワーレベリングだ。
今と殆ど魔物の強さや経験値は変わらないだろう。
「以前後回しにした魔物の部屋を覚えているか?」
「ええと、はい。15層でしたね」
「行けるようになったかもしれない。やってみよう」
「ええと、大丈・・・いえ、何でもありません、かしこまりました」
アナは以前に、魔物の部屋で主人の友人とその配下を亡くしている。
前回自分が危ないからと躊躇したその場所に、
これから行くと宣言したので、多少の動揺があった。
自分も、この作戦が通用するかどうかはハッキリと判らない。
駄目だったら全滅。
そこまでのリスクを背負って行くつもりでは無いが、
しっかりと準備をしたので、行けそうだと言う判断になっただけだ。
最悪、パーティライゼーション連打で滋養剤を使用しつつ、
通常の魔法の2連射を3ターンかそこら耐えられれば勝てる。
ヴィーの竜騎士のLvも多少上がっているし、
パーティ全体の体力は以前より高くなっている事だろう。
15層の中間部屋に移動したのち、
ボスの待機部屋に人がいない事を確認して更に中継する。
確かボス部屋の近くだったはずだ。
「ええと、逆方向ですか。こちらですね・・・ここです。
この通路の行き止まりの先が、部屋になっているのだと思います」
「よし、自分が先行するから全員纏まって移動するぞ」
「「「はい」」」「えっ?ど、どういうコト?」
「ヴィーは初めてだったな。この通路の先に、魔物だらけの部屋がある」
「う、うん。・・・あ、ハイ」
「敵の数が多く、苦戦を強いられるだろうから気合を入れろ。
バラバラに行くと袋叩きに遭うから、全員一緒に移動するのだ」
「えっ・・・そんなのダイジョブ?・・・ですか?」
「大丈夫、以前俺たちはユウキ様の作戦通りにやって、
何度も魔物の部屋を攻略して来ているんだ」
ジャーブがヴィーの肩を叩いた。
お兄ちゃん風を吹かせて安心させたかったのだとは思う。
しかし、それは低階層で魔法の心配が無かったからだ。
正確には魔法の脅威が皆無なニードルウッドだった。
「以前とは事情が異なるぞ、ジャーブ。
この辺りの魔物は後列にいると容赦なく全体魔法を放って来る。
避けられないし、数も多いから相当に厳しいぞ」
「えっ!?そ、・・・それは・・・確かに」
「えええ!?だ、ダメじゃん、兄ちゃん!」
「だ、大丈夫ですよね?」
ナズまで不安になって聞いて来た。
みんなが不安になると、こちらまで不安になるじゃないか。
アナは何も言わなかったが、いつもの優しい顔ではなく覚悟の表情だった。
「アナ、大丈夫だ。お前のご主人様はちゃんと考えている。無茶は無い」
無茶苦茶はするが。
「解っております」
うん、頼もしい返答を聞けた。
弓を持つ左手の指の隙間それぞれに、1ずつ強壮丸を挟む。
それとは別に4粒を口に放り込んで左右に2粒ずつ、奥歯で噛んだ。
MP枯渇に備え、回復薬は大目に合計8個を用意した。
オーバーホエルミングやパーティライゼーション、
緊急事態には手当ても必要かもしれない。
MPの枯渇はいずれにしても脅威だ。
後は、スキルセットの確認と魔法の名前の確認。
では・・・行くぞ。
深呼吸をして手を伸ばし、壁に触れる。
以前と同じように床が畝り、
壁に亀裂が入ったと思うとそのまま中に吸い込まれ、
いつの間にか部屋の中に移動していた。
そして・・・部屋の中はやはり魔物が犇めき合っていた。
以前のウサギ小屋よりは広い空間だが、
それ以上に植物系が幅を取るのでパンパンだ。
フライトラップだらけで足の踏み場が無い。
そこにビッチバタフライがかなりの数飛び回り、
隙間を埋めるように岩のような物が転がっている。
身動きが取れずに固まっているクラムシェルだろう。
無数にあるフライトラップに同化するように、サラセニアが混じっていた。
これだけのビッチバタフライがいるのならば、
捕食をして減っていてもおかしくは無いと思うのだが、
どうやら敵を認識するまで植物系は行動をしないようだ。
そして全部の敵がこちらに気付き、一斉に動き始めた。
ボーナス魔法にも詠唱があるのだろうが、
詠唱省略を付けているので字幕ワイプは出て来なかった。
(メテオクラッシュ・・・。)
念じた瞬間に即時発動され、辺りは火の海に包まれる。
隕石なのに、降り注ぐ始点は自分のやや後方だ。
ほぼ水平に近い角度で、大きな燃える固まりが飛んで行く。
即座に右頬に用意した強壮丸2粒を転がして飲み込んだ。
「キャァァァァァァァ!」「ええええええええぇぇぇぇぇぇ!」
「ふおっ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ」「たた、たすけ・・・わぁぁぁ」
4人は自分が撃った魔法だと言う事を知らない。
突然起こった天変地異に慌てふためいていた。
ヴィーなんて身を屈めて縮こまってしまっている。
先に教えておいてやれば良かったか。
多分無駄に寿命が縮んでしまった事だろう。
アナの「えええ」も久しぶりだ。
「落ち着け!大丈夫だ!自分の魔法だ!
お前達には当たらないから安心しろ!
撃ち漏らした魔物がいたら倒してくれ!」
慌てて皆に命令する。
何事も内密は宜しく無い。
申し訳無い事をした。
敵の数が圧倒的に多く、魔法は敵の数分だけエフェクトが発生する。
部屋はマグマ溜まりのように床が燃え広がり、
派手なエフェクトによって照らされた天井は真っ赤になっていた。
ヴィー以外は武器を構え直し、一応は臨戦態勢に戻った。
若干1名、マグマの海の上で頭を抱えて震えている奴がいるが。
ファイヤーボールとは違い、そう見えるだけで別に熱くは無い。
あれをやってくる敵がいたらと思うとゾッとする。
人間に耐えられる範疇を超えていると思う。
そんな事は多分無いと思うが。・・・無いよね?
継続ダメージ発生中かな?
しかし魔物は全て消えていた。
初撃だけで凄い威力なのだろう。
ミチオ君の検証に依れば、範囲魔法は魔物の数だけMPを消費する。
その対策はしていたつもりだ。
発動と同時に口に含んだ強壮丸を飲み込んだが、
それだけではまだ足りないらしい。
左頬に用意しておいた強壮丸も1粒、また1粒と飲み込んで行った。
飲み込んだ瞬間、意識レベルがハッキリと判る位急激に回復した。
躁鬱の山谷を2回味わった。
噛み潰して唾液を付けてしまったアイテムが、
再度アイテムボックスに戻せるかどうか不明だし、
仮に再収納できたとしても、衛生的にどうなんだと言う話もある。
降り注ぐ隕石が無くなった時点でそれ以上の消費は無いらしい。
しかし手指に填めて置いた4粒の強壮丸もついでに飲み込んで置いた。
マグマのエフェクトも落ち着き、魔法の効果は切れたように思える。
残っていた魔物はいなかった。
オーバーキルだ。
どのあたりの階層まで1発で倒せるかは、
今後ゆっくり検証しなければならない。
どうだ、パワーレベリングの効果は?
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv42
設定:探索者(42)遊び人:土魔法/MP中(26)
魔法使い(28)英雄(33)博徒(19)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv37
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv36
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv27
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv30
自分もそうだが、皆のLvも急激に上がっている。
ここ最近、殆ど動かなかった探索者やナズの鍛冶師も動いた。
それに伴い、悲しい現実も突き付けられる事となる。
もうこの辺りの階層では殆ど経験値が入らないと言う訳だ。
探索者のLvがまた1つ上がり、
ワープが取得できるようになったので再び得た。
それにしたってアイテムは沢山だし、
ノーリスク(いや、強壮丸は8つ使用したが)で大収穫であった。
魔物の部屋で大魔法を炸裂させても、
回復は強壮丸5つ程度で済む事も知識として得た。
強壮剤ならば1つか1つ半位なのだろうか?
戦術は幅広く取れた方が良いので、大成果と言える。
現状のLvであってもMP満タンの所からであれば、
魔物の犇めく部屋で何とか1発を撃ち切れるようだ。
「ご、ご主人様・・・今のは?」
落ち着きを取り戻したナズが尋ねて来る。
当然の疑問だ。
あんな物を見せられたら誰だって聞きたくなる。
「うーん、魔法使いの隠しスキルだな。
存在が知られていないので大っぴらにはできないと思う。
消耗が激し過ぎるので、中々使い処が難しい。
今日はもうアレを撃てない」
と言う事にして誤魔化した。
実は知られていない魔法もあるんだよー?この作戦は完璧だ。
魔法使い自体レアなジョブなんだし、彼女らに検証のしようが無い。
「流石は・・・ご主人様です。それも、例の伝記ですか?」
「そうだ、師匠には感謝をしないとな」
ほんと、感謝感謝です。
彼がいなかったら、あの広告バナーをクリックすらしなかっただろう。
たとえクリックした所まで行っても、
パソコンが動かなくなった事に気付いた時点で、
ウイルスサイトに認定して終わっていた。
仮にその時気分が高まってこの世界に転移したとしても、
最初の村で詰んで終わっていた。
「さて、アイテムを集めて来てくれ。
今日は自分も料理をするので、午前はこれで帰る。
ナズは昨日言ったように、卵と牛乳を頼んだ」
「か、かしこまりましたっ」「分かりました」
3人は直ぐに行動を開始したが、思考を止めてしまった子がいた。
「どうした、ヴィー?」
「ヒィッ!」
「落ちてる物を拾って来てくれ?」
「わ、わか、わかりましタッ!」
ヴィーには刺激が強過ぎたか。
戦闘自体殆ど初心者だし、ナズより更に知識が無い。
無詠唱でパーティに入れた事や、
ワープで直接移動している事は疑問にも思っていなかった。
知識が無いので、そういう物だと思って受け入れている。
これまでは多少おかしなスキルを発動させていたとしても、
それは現実的に在り得るかもしれない程度のイカサマに過ぎなかったのだ。
しかしこのボーナス魔法は明らかに異質だ。
小石が飛んで行ったり炎が集まり出して燃えるといった、
誰もが納得できるエフェクトとはまるで違っていた。
異世界モノにありがちな、いわゆる目に見えて解るチートスキルであった。
他の地味すぎるチートとは違う、正に俺強ェ奴だ。
そのエフェクトは、世界が崩壊してしまうような大迫力だった。
もしもこんな魔法を街中でぶっ放したら、たちまち指名手配だろう。
これよりも凄いのか、ガンマ線バーストは・・・。
恒星崩壊だしな。
隕石なんかとは格が違うんだろう。
やり過ぎだ、やり過ぎ。
4人から大量のアイテムを受け取り、
久しぶりにアイテムボックスが一杯になった。
申し訳程度にしか入らないポーチにグイグイと詰める。
沢山いたクラムシェルからは蛤も出て来た。
ナズのアイテムボックスに入れさせ、
ここぞと言う日に使ってくれと頼んだ。
ヴィーは初めて見たようで、恐怖も解けたのか興味津々であった。
こうして初のボーナス魔法の威力に満足した自分は、
ホクホク顔で迷宮を後にした。
***
まだ昼食を用意する時間には全然早い。
ナズは卵と牛乳を買いに出て行った。
自分もマヨネーズを保存する容器や、
大きめのボウルを探しに雑貨屋に行く。
クレープの生地を焼いたり延ばしたりする道具も必要かと思うが、
無ければコップに掬ってドバっとフライパンに流し込むしか無い。
小麦粉のストックをエミーに確認させたところ、
まだまだ十分な量が残っていた。
「では自分も行って来る。ジャーブは装備の手入れを頼むぞ」
「分かりました」「い、い、い、いってらっしゃい、ご主人サマ・・・」
(ぺこり。)
雑貨屋でおたまを探したが、スープを掬う大きな匙しかなかった。
まあそれで良いや。
スープは良く作るのだし、今まで無かった。
どうしてたんだ?
そして探索者ギルドで、昨日と先程入手した大量のアイテムを売却する。
酪もここで買うしかない。
ついでに冒険者ギルドの張り紙も確認したが、
自分の依頼はまだ張られたままであった。
アイテムを集めてから依頼票を取るのか、
依頼票を取ってからアイテムを集めに行くのかは不明だ。
後者の場合受けっぱなしで行方不明になったら依頼者は困るだろうから、
やはりシステム的には前者なのだろう。
家に帰ると既にナズは材料を買って来ており、
エミーと一緒に昼食の準備をしていた。
自分は卵を割り、マヨネーズの準備を進める。
これは小学校の家庭科の実習で作った事があるので覚えている。
卵2と塩スプーン1杯、油が卵と同量で酢が大匙2。
大匙なんて無いから、小さいスプーン換算で4杯で良いだろう。
泡立て器なんて無いから、スプーンで強引にガチャガチャ混ぜる。
竹のような素材があれば先端を割いて、
抹茶の泡立て器みたいな物を作れると思うのだが。
今度ウッツに聞こうか?
腕が疲れたのでジャーブを呼んでひたすら混ぜるようにお願いした。
ミチオ君はミリアにやらせたようだが、こういうのは男手の方が良い。
パワータイプのジャーブが、その力を活用できるのはこういう時なのだ。
もっと重たい作業はヴィーに軍配が上がるが、
あいつは手加減を知らなさそうで任せるのは怖い。
やり方を説明した所で中身が飛び散ったりして、
却って余計な手間が増えそうである。
それから酪5つをコップに絞り、
水の入った桶に浮かべて納屋に置く。
生クリームを作るためだ。
温まらないようにしておく必要がある。
ついでに戸棚に置いてあるレシピ集からクレープのページを探した。
小麦粉100g、砂糖12g、牛乳200g、卵1個。
グラムからポットに直す必要がある。
これで8枚らしいので、倍だ。
以前に買った秤が役に立った。
コボルトスクロースはミルがあるので手で削る必要は無い。
しかしクレープ生地は混ぜるためのミキサーも無いので、
手捏ねする必要がある。
小麦粉がダマにならないように注意しなければならない。
「おーい、ヴィー」
「ナ、ナンでしょうかっ」
「これを混ぜて欲しい。
小麦粉が中で固まりになってしまうから、
全部潰してトロトロにしたら終了だ」
「は、はいっ」
「あ、その前に手を洗うぞ、風呂場だ」
「わ、ワかりましタッ」
ヴィーの小さな手の方が捏ね易いと思って手伝って貰った。
ついでに舐めると腹を壊すぞと言って脅して置く。
興味津々だったので、そのままペロペロしそうな勢いだったからな。
小麦グルテンは生で食べると下痢に成るらしい?
詳しくは知らないが、生は駄目と言う事だけは知っている。
だから火が通り難くなるダマになった状態を作ってはいけないのだ。
どこで覚えたんだっけ、そんな知識。
ヴィーはと言えば、今日は口答えをせず大人しく言う事を聞いた。
舐めるなと念を押した際に「そんな事しないもん」とか、
いつもなら言いそうだったのだが。
何かあったか?
その間にナズとエミーは昼食の準備を終わらせていた。
暇そうだったので、ついでに果物も切って貰った。
タプスはオレンジで解かるとして・・・。
「この果物は何だ?」
「アファルシですね、こちらがアナナスです」
うーん、形は桃に見えるが赤黒いのでプラムだろうか。
そしてパイナップルだ、どう見ても。
地域限定用語は訳が解らん。
切ったフルーツを冷やす事ができないので、
やはり水の入った桶に皿を浮かべて、濡れた手拭いを被せておいた。
気化熱で多少は冷えるだろう。
物理に精通した人ならば、
この文明の発達段階でも冷蔵庫的な物を作れるのだと思う。
所詮一般市民の頭脳である自分の能力なんてこんな物だ。
昔、テレビの番組で発明オジサンが登場し、
太陽光を金属板で受けた熱エネルギーをどうこうして、
熱伝導の法則を利用して天然冷蔵庫を自作していた。
もっと真剣に作り方を覚えて置けば良かったと思うが、
そんなのは子供の頃の話だ。
まさかその知識が必要になるとは思ってもみなかった。
DIYガチ勢なら文明が低い世界でも快適に暮らせるのだろう。
サバイバル教本ではなく、
DIYのハウツー本を持って来た方が良かったかもしれない。
結局あの本は一度も利用していない。
レンガでオーブンを組んで貰う時に、
参考にしようかと思っている位である。
さて、これで下拵えは十分だろう。
後はヴィーの混ぜた生地も同じように水桶で冷やして納屋に置き、
ジャーブの混ぜたマヨネーズは小さい瓶に移し替えた。
クレープを披露する夜が楽しみで仕方が無い。
マヨネーズの方は確か1日置かないと駄目なんだっけ?
サルモネラ菌がどうのこうので、酢と混ざり合って殺菌が・・・。
良く知っていたな、ミチオ君。
彼の雑学に対する知識は高校生の物ではなく、大人顔負けである。
思えばブラヒム語・・・いや古代の日本語にも精通していたし、
いきなり石鹸を作ったり、料理もバッチリだった。
自分と同じようにどこかで得た知識なのだろうが、
やはり基礎学力が高くなる義務教育は偉大なのだ。
クレープの準備が終わり、自分も食卓に着く。
昼食時には、誰も、一切、あの魔法の事に付いて触れて来なかった。
遠慮しているのか、無かった事にしたいのか、理解が追い付かないのか。
気を使われて黙っている感が半端無い。
セリーのように知的好奇心に任せて、
グイグイ突っ込んで来るような子はうちにはいない。
やはり先に言うべきだった。
ガンマ線バースト発動前や、魔道士を取得した際は先に申告しよう。
食卓をお通夜にしたくは無い。
***
昼食後は懲りずに迷宮だ。
博徒Lv19とも成れば、その力は十分に発揮できるだろう。
威力の程を見たくてウズウズしている。
実際に発動させるのはアナなのだが、当の本人は無自覚なのがまた良い。
「ご主人様、前方に4匹、・・・5匹かもしれません。
ケトルマーメイドとグラスビー2匹、フライトラップが居ます」
厄介な三部構成だ。
土魔法と風魔法と火魔法がそれぞれ弱点である。
一気に仕留める事は難しい。
魔法の使用頻度が高いケトルマーメイドを先に始末し、
フライトラップは巣になるので、アナに留めてもらう作戦だ。
「ジャーブとヴィーはグラスビーを頼む。
アナはフライトラップを、割り込んででも刺せ。
ナズは後ろまで敵が来ないように追い回せ」
「「「「はい!」」」」
まずは状態異常耐性ダウンを念じて、フライトラップを指定する。
続いて対ケトルマーメイドの土魔法を2連射、
その間に弓をフライトラップに向けて発射だ。
「石化ですッ!」
2発目を入れようかと弓を構えている時に、アナの申告があった。
1回目の魔法のエフェクトが終わる前にフライトラップは石化した。
もはや安全な住処ではなくなったフライトラップから、
隠れていたケトルマーメイドが顔を出した。
アナの5匹かもしれないと言う読みは当たった。
「この魔物は、私が対処致しますっ!」
アナが、戦線に出てきたケトルマーメイドを受けると宣言をする。
2ターン目のサンドストーム2連射を念じた。
ケトルマーメイドは2匹とも消え、残るはグラスビーだけとなった。
あれを弓で狙うのはオーバーホエルミングが無いと厳しい。
そしてその必要は無い。
風魔法と木の矢の問題もあるし、次のターンで消えるのだから。
ヴィーとジャーブによって追い回され、
グラスビーは戦線を後退させている。
石化しているフライトラップから突き刺さっている矢を抜き、
ブリーズストームを1回唱えるとグラスビーも消えた。
後はヴィーから剣を借りて叩くだけだ。
「余裕だったな?」
「今回は早くに石化が発動しました。運が良かったですね」
「凄いです、アナさん!」
「いつもこの位だと嬉しいンですけどねえ、こればっかりは」
今回は、では無いのだと思う。
確実に状態異常耐性ダウンは有効だった。
今後は常にその位で収まると言う事だ。
次の戦いでも、ケトルマーメイドとフライトラップが出てきた。
2ターン目の魔法を詠唱しようと思っていた寸前で魔物が石化した。
なんじゃこれは。
明らかに早い。
ミチオ君がセリーも暗殺者にしようと考えた理由が分かった気がする。
これはバランス崩壊過ぎる。
石化武器がもっと欲しい、自分も強くそう思った。
∽今日のステータス(2021/10/03)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv41
設定:探索者(41)遊び人:土魔法/MP中(23)
魔法使い(25)英雄(32)博徒(1)
・BP139
鑑定 1pt 結晶化促進×8 7pt
キャラクター再設定 1pt 回復速度上昇×5 15pt
パーティ項目解放 1pt 5thジョブ 15pt
パーティライゼーション 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×20 63pt メテオクラッシュ 1pt
必要経験値減少/10 31pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv36
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv35
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv24
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv28
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv42
設定:探索者(42)遊び人:土魔法/MP中(26)
魔法使い(28)英雄(33)博徒(19)
・BP140
鑑定 1pt 結晶化促進×8 7pt
キャラクター再設定 1pt 回復速度上昇×5 15pt
パーティ項目解放 1pt 5thジョブ 15pt
パーティライゼーション 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×20 63pt ワープ 1pt
必要経験値減少/10 31pt メテオクラッシュ 1pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv37
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv36
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv27
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv30
・繰越金額 (白金貨2枚)
金貨 6枚 銀貨 11枚 銅貨124枚
雑貨購入 (220й)
ボウル 100
おたま 70
小瓶 50
アイテム購入 (2000→1400й)
酪 ×5 2000
アイテム売却 (4583→5957й)
コーラルゼラチン ×83 830
シェルパウダー ×19 513
膠灰 ×41 1230
蜜蝋 ×67 2010
金貨- 1枚 銀貨+143枚 銅貨+37枚
------------------------
計 金貨 5枚 銀貨154枚 銅貨161枚
・取得品目
附子 × 4 シェルパウダー ×19
蛤 × 3 膠灰 ×32
遠志 ×63
・作中語注訳
アファルシック → 桃
タプーズ → オレンジ
アナナス → パイナップル
・トラッサの迷宮
Lv 魔物 / ボス
12 サラセニア / ネペンテス
13 クラムシェル / オイスターシェル
14 ビッチバタフライ / マダムバタフライ
15 フライトラップ / アニマルトラップ
16 グラスビー / キラービー
17 ケトルマーメイド / ボトルマーメイド
・異世界30日目(9時過ぎ)
ナズ・アナ25日目、ジャ19日目、ヴィ12日目、エミ5日目




