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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第七章 旋風
107/394

§106 仕事

昨日は風呂を入れなかった。


体力云々なら、少しでも迷宮に行って運動するべきかもしれない。

少なくとも、風呂を入れるための迷宮は剣を振るのだから。

しかし毎回6往復は流石に厳しい。

半分くらいになってくれれば・・・。


普通の探索者ならば日がな一日剣を振り、毎日迷宮を歩き回って戦うのだ。

それを考えると如何に自分は楽をしているのかが解る。

そんな事では筋力など伸びるはずがないと言う現実を突き付けられた。


今日は荷役依頼を受けている。

朝食後にトラッサの冒険者ギルドに行けばいいのだろう。


依頼票をアナに読んで貰う。


「ええと、朝トラッサの冒険者ギルド前に集合、

 移動先はアムルの集荷場で往復約20回。

 アイテムボックスは20ほど空けて来て下さい、だそうです」


冒険者のアイテムボックスは1枠50だ。

20枠を空けるとなると1000アイテム入る。

自分の探索者Lvは現在40なので、

1000アイテムを入れるには25程度空ければ問題無い。


魔物産のドロップアイテムを入れるためだろう。

砂糖とか塩とか、油とか。

その他、手に持って運ぶ物が20往復分と言う事だ。


アナとナズには小遣いを渡し、

ジャーブには精神修行を申し付けた。


「ジャーブ、本来なら今日は休みにしたい所だが、

 お前には1つ課題を与える」

「はい、何でしょう?」


「以前にも言ったが、この世で生きていくために必要な事を考えるように」

「正しく恐れると仰られた事ですか?」


「そうだ、理解はできたか?」

「い、いいえ。良く解りませんでした」


「では風呂に水がまだ溜まっているな。

 水風呂に入りながら、心を研ぎ澄まして考えてみてくれ」

「わっ、分かりました」


「終わったら掃除な」

「はっ、はい。やって置きます」


「アナとナズは小遣いを渡すから、好きな物を買ったりして楽しんで来い。

 ジャーブやヴィーに土産を買ってやっても良いぞ」

「「かしこまりました」」


「では先に行く。後は宜しく」

「「「「行ってらっしゃいませ」」」」



   ***



やや早めにトラッサの冒険者ギルドに到着する。

と言うか、トラッサとアムル間なのだから、

トラッサで募集するのが普通なのではないか?


騎士団宿舎から鐘が鳴り、荷役の募集主が声を上げた。

さっきからいたおじさんだった。


「アムルへの依頼を受けた方は集まって下さい」

「ああ、俺だ」

「あ、自分もですね」


どうやらトラッサでも冒険者を募集をしていたようだ。


もう1人の冒険者と一緒に仕事をする事になった訳だが、

どうやら荷役の募集はあちこちで掛けるのだろう。

冒険者は引く手あまたらしいし、

トラッサだけでは規定人数が捕まらないのかもしれない。


「それでは、商店の方に案内しますので、付いて来て下さい」


依頼主の後を付いていくと、トラッサの常設の雑貨屋に着く。

店主と会釈して奥へ入って行った。


自分達も店主に挨拶をすると、そのまま奥に案内され、

移動用の絨毯が壁に掛けられている倉庫に案内された。

取り外しできそうなので、これは荷役の時だけ掛けるのだろう。


「それではお2人は、ここからアムルの集荷場まで、

 ここにある荷物を手分けして運んで下さい。

 右側がアイテムボックスに入る物で、左側は手持ちです。

 すべて終わりましたら、依頼票に判を押させて頂きます」


仕事の進め方はそういう仕様らしい。


つまり、ここで仕事を終わらせて判を貰い、

受けた冒険者ギルドで票を見せれば達成となり、

報酬を受け取れるシステムなのだろう。


手分けして半分ずつと言うよりは、

持てるだけ持って、さっさと済ませた方がいい。

何回で終わるかは、相手のMP量にもよるだろう。


自分には英雄と魔法使いと僧侶、そして遊び人のボーナスがある。

4ジョブ分のMPだ。

フィールドウォークとワープでは消費MPが違うかもしれないので、

どちらが有利かは不透明だが。


「では頑張ろう」

「ああ、宜しく」


同僚?となった冒険者の男に声を掛けられたので、適当に返した。


自分のアイテムボックスは空にしてきたので、40×40枠。

1600個も入れば十分だろう。

グミ系のアイテムだけは注意して、後は箱からどんどん放り込む。


アイテムボックス内部ではグミが潰れたり、

破片が折れたりしないようだ。


冒険者の男は持ち上げるときは慎重だが、

自身のボックスへ収納する際は雑に落としていた。

自分もそれに倣う。


アイテム枠いっぱいに詰め込むと、

次は持てるだけの荷物を持ってゲートを開く。


移動先は集荷場だ。

以前に何度も利用させてもらった、

埃っぽい馴染みのある絨毯に出る。


集荷場には木枠が並べられており、

我々が来るのを待っていたかのようだった。

誰もいないが。


そこで手荷物は荷台に纏めて置き、

壊れやすいアイテムは器や箱に並べて入れて行く。

よくよく考えてみると、入れる箱に指定があったらまずかった。

読めないからどこに入れたらいいか困ってしまう。


今回の依頼では特に指定が無く、

空いた箱に並べて行くだけだったので助かった。

勿論、種類ごとに並べる必要は有った訳だが。


全ては同行する冒険者の男がやるように真似ているだけだ。


もう1人同僚がいた事は良かった。

1人では困惑したかもしれない。

慣れているようだし、流石は冒険者と言うか、

荷役専門で仕事を請け負っている人なのだろう。


アイテムを並べ終え、再びトラッサの商店に戻る。

そこでまた詰められるだけアイテムを詰めたら、

持てるだけ持って移動の繰り返しだ。


ギリギリ一杯まで持てる量なので大変だが、

どうせ歩くのは十数歩に満たない。


持って行く物は肉や乳製品、農具などもあった。

アイテムボックスに入れるものは、やはり調味料系のアイテムと、

日用品として使うアイテムだった。

滋養丸や毒消丸もある。

医薬品として利用するのだろう。


荷物の一角を運び終えた所で、

冒険者の男が用意されていた椅子に座った。


「ふう、ちょっと休憩する」

「あ、はい、お疲れさまです」


MP切れなのだろう。

荷役作業は何時までとは言われていない。

今日中に運べばいいのだと思う。


と言うか、ここからMPが回復するまでは数十分休憩するのだろう。

男は持って来たパンをかじり、水筒から水を飲みだした。


一緒になって休憩するのもいいが、

自分としては早く終わらせたい。

10時間拘束されても2時間で終わっても、

同じ報酬なら早い方が良い。


「自分はもう少し行けそうなので続けます。ゆっくり休んで下さい」

「そうか、凄いな」


冒険者のLvが上がればMP量も増えるのだろう。

トラッサとアムルは銀貨2枚の距離だ。

既に3往復した。


手荷物は両手に持ち切れない程だったので、多分3人分換算だ。

3回×2(往復)×3人分×2銀貨=36銀貨距離だ。


以前は30銀貨距離が一杯だと思ったが、

あれから魔法使いのLvが上がっている。

まだもう少し行ける位までMPが伸びたのだろう。


ボーナススキルのMP回復速度上昇も、多分効いているのだと思う。

運ぶ時間より、入れる時間と取り出す時間が掛かるからだ。

その時間も含めて休憩時間に換算なのだろうが、

この男よりは回復速度が20倍速い。


追加でもう一往復した所でクラクラしてきた。

回復速度上昇で底上げされていたとしても、

48銀貨距離はちょっと厳しいのだろう。


自分も休憩に入る。

暇だったので男に聞いてみた。


「この仕事は長くやっているので?」

「ああ。俺はいいパーティに恵まれなかったんで、

 今はこういった仕事を続けている」


「どんな方と組まれていたんです?」

「うーん、昔は5人組で迷宮に行ってたんだがな、

 その内の2人は相性が悪くって、

 もう1人は違法賭博にのめり込んじまってな」


何処かの誰かから聞いた話だ。

いや、まさか。

流石に知り合いと言う事は無いだろう。


そもそもLv差があり過ぎるのでこの男は違うと思う。

首を振って疑念を消した。


「そうですか、残念ですね」

「真面目に生きれば楽な道はいくらでもあるんだがなあ」


「この仕事はどうです?」

「ああ、俺はトラッサとアムルの定期便にも登録しているからな。

 ほら、集荷場の」


「ああ、あれですか。金払いはどうですか?」

「そっちは中々良い。

 アイテムボックスに詰める時間が無いのが良い」


「うっかり潰してしまったらまずいですもんね」

「そうそう」


2人で笑い合った。

集荷場の方でも働いているのか、

それでこの仕事を受けたのか。


この仕事は恐らく、

以前に自分が潰した商店主がやっていた用聞き商人の依頼なのだろう。


別の商人が決まったのか、物資は滞り無く行き届いているようで安心した。


「アンタ若いのに凄いな。迷宮もやっているのか?」

「えっ?はい。自分は毎日行ってますね」


「今日はどうした?」

「仲間の1人が無茶を言ったんで、反省させてます」


「おー、たまにいるんだよな。

 ノリに乗ってると新しい階層に入って間も無いのに、

 直ぐボスに行きたいとか言う奴が」


ボスでは無く魔物の部屋だが、それはまあ良い。

似たような物だ。


「そうなんですよ、だから今日は水行です」

「水行?」


「冷水を浴びて、心の鍛錬ですね」

「なるほど」


さて、自分のMPは随分と回復した。

この男の回復スピードは自分の1/20なのだ。

20倍休む必要があると思う。


往復移動する分には5分と掛からないので、

実質の労働時間の殆どは回復時間なのだ。

じゃあ数を揃えて一気にと言う話になると思うが、

そこは人件費なのだろう。


朝一にちょいと安い仕事を、だと冒険者は稼げないし都合が悪い。

人が集まらないと割高になる。

休憩時間いっぱいで楽な仕事となれば、1日拘束されても平気だ。


報酬は銀貨20枚なのだから、

20往復だと1往復あたり銀貨1枚なので、

片道2銀貨のアムルへ行くのならばかなり損だろう。


しかし飛ばし屋業務では絶え間なく客が来る訳でも無いし、

MPが尽きたら別の要員と交代になってしまう。

待機中はMPが回復し切っても客を取れないし無駄が多いのだと思う。


銀貨20枚の報酬だと以前試算した折には十分暮らして行ける収入だった。

ならば冒険者ギルドで案内しているよりこちらの方が安定していて確実だ。


「よし、では自分は続けます」

「えっ、凄いな。時間はたっぷりあるし、ゆっくりやって良いんだぞ?」


「解かっていますよ、大丈夫です」


その後も、アイテムと荷物を一杯に持ってアムルを4回往復した。

アムルに着いた際に隠れて強壮丸を飲む。


薬を飲みながら荷役するのは絶対変に思われる。

買って飲んでいては収支がマイナスなのだから。

しかし、気持ちとしてはさっさと終わらせたい。

薬代がタダだからこそできるのだ。


そのまま休みなく4往復した。

自分はこれで12回だ。

流石にノンストップでもう4回やったら絶対怪しまれるので、

今度は長めに休憩を取った。


「凄いな、この短時間でもう半分運んだのか」

「ええ?まあ、そうですね。迷宮で鍛えているお陰かなあ?」


ちょっととぼけてみせる。

この男の冒険者Lvはいくつなのだろう。


鑑定は不要かと思って付けていなかったが、休憩がてら覗き見させて貰う。


 ・ホスロー 人間 男 37歳 冒険者 Lv12


Lv12か・・・。

探索者はLv50を超えているはずなのだから、

実質はLv50オーバーの強さなのだろう。


しかし、冒険者としての能力上昇はLv12分しかない。

冒険者に成った後も探索を続けていたとすれば、

40層や50層に行けていてもおかしくはない。

それでも未だLv12であると言う事は、

転職直後に迷宮を辞めてしまったのだろう。


冒険者Lv12のMP量は、

魔法使いLv12とそれ程変わらないと言う事になる。

魔法使いの方は後半に伸びて行くのだとは思うが。


いや、フィールドウォークとワープの消費量の差を考慮していない。


まだ自分は冒険者では無いので、厳密には検証できないのが正解だ。

いずれしっかりと確認するとして、

現段階ではこの冒険者と仕事効率の差異はあまり無いと言える。


自分が休憩して間も無く、ホスローは2順目の往復を開始した。

20回程度の往復だと言っていたので、

自分は後2セットで仕事を満たす事になるが、

同僚の仕事分を残したままでは完了のサインを受け取れないだろう。


さっさと帰るためには、

この男の分を合わせて残り16回程度往復する必要がある。

適当に回復したらまた続きをやるしかない。


仕事を始めてまだ1時間も経っていないのだ。

このペースなら薬を飲まなくても昼過ぎには終わる。



   ***



その後もこっそり薬を飲んだりして荷物を運び終わった。

だいぶ腹も減ったので丁度昼位の時間だろう。

ホスローが言うには今日の仕事は無茶苦茶早く終わったのだそうだ。


「おお、もう終わったのか?凄いな君達は。

 どうだい?今後もアムル便の仕事を定期で受けちゃあくれないか?」


「いや俺は別に凄か無いが、この若いのが凄かった」

「そうかい、君はどうだい?この仕事は定期的にあるんだが」


雑貨屋の店主が自分の仕事を褒めてくれた。

褒められればそれは嬉しい事だが、

これはドーピングの賜物だし言ってみればズルだ。


それに冒険者ギルドの依頼の仕組みも解かったので、

2度も経験する必要は無い。

興味本位で首を突っ込んだだけである。


迷宮に潜った方が有意義そうだし。


「いやー、今日はたまたま暇があったので・・・申し訳無い」

「そうですか、残念ですな。若者は迷宮の方が楽しいでしょうからな。

 それでは判を押しますので、・・・はいっ。もう帰って結構ですよ。

 ありがとうございましたー!」


「それじゃあな、若いの!」

「はい、またどこかで」


ホスローと別れてホドワのギルドに戻り、報酬を受け取った。


ミチオ君はボーデからターレへの荷役を行った。

あれは災害ボランティアだから報酬も固定で、

人も多かったので運ぶ量も少なかったのだろう。


その時のミチオ君は無休で、薬なども使用していなかった。

基礎となる魔法使いのLvが違うし、運んだ量も距離も不明だ。


別に比べるような事では無い。

似たような労働をやってみたと言う事実だけで良い。

彼もこのような苦労をしたのだと、沁み沁み思った。


考えように依っては楽な仕事だった。

冒険者に成りたがる人が多いのも頷ける。

殆ど休憩の荷役は、安全だし人の役に立ち喜ばれ報酬も良い。

華のある職業である事は間違い無いのだろう。


仕事を終え、家に帰る。


「お帰りなさいませ、ご主人様」

「お帰りなさいませ。食事の用意はできています」


「ああ、ありがとう、ジャーブは?」

「はい、それがずっと風呂場で唸っております」


「そうか。一応呼びに行くか」


風呂場の水は既に流された後で、掃除も整っているようだ。

ジャーブは水の無くなった浴槽で胡坐をかいて腕組みしていた。


「どうだジャーブ、何か解ったか?」

「ええと、正しく恐れるですね」


「そうだ」

「上手く説明できませんが、

 自信過剰になったり運の良さを実力と過信したりしないで、

 地道に行くべきと言う事でしょうか」


「それもあるし、身内にも過信せずに警戒せよと言う事も含まれる」

「は、はあ・・・」


「怖がってばかりでもいけない。怖いのだと言う理解の下、

 万が一の事にも備えて慌てず準備をしっかりせよと言う事だな」

「なるほど、アナ殿のようにですね」


「アナは本当に凄いから、あの域までは見習わなくても良い」

「いえ、別に私はそこまで深くは考えておりませんが」


「うわっ!」


び、びっくりした。

真後ろにアナがいた。


ジャーブも、後ろにいたのなら何か言えよ!

2度目だ、2度目。


「お2人が遅いので、様子を見に参りました」


「あ、ああ、直ぐ行く。ほら、ジャーブも行くぞ」

「分かりました」


4人で昼食を囲み、今日の仕事の報告や、

ナズとアナの買った物のお披露目会などをして楽しんだ。


ナズとアナはパイを作るのだと言うので、

午後はそれを任せる事にした。

フライパン1つでどう作るのか不明だが。


ジャーブも言いたい事は解かってくれたようなので、暇を出してやる。


「ジャーブ、午後は自由にして良いぞ。銀貨を渡すから好きに過ごせ」

「ユウキ様は何を?」


「頼んだ服があるので取りに行って、それから商館かな」

「ヴィーの件ですか?」


「いや、新しく奴隷を買う」

「えっ、またパーティが増えるんですね」


「いや、それも違う。

 家の事を任せられる雑役メイドを探そうかなと思ってな」

「ええと、俺──」


「では無くてな。

 これからヴィーも迷宮に行くようになると、家の事が疎かになる。

 せめて家に帰ったらそのまま休憩にさせてやりたい。

 食事はナズばかりに頼っているし、アナは無理だった」

「な、なるほど。では俺はそれに同行させて頂いても構いませんか?

 家事をさせるのであれば仕事の説明もできます」


「えっ、普通に買い物とかしないの?」

「特に欲しい物もありません、今の生活で十分満足です。

 そもそも、奴隷になる前より良い暮らしをさせて貰ってますので」


「ああ、そう・・・」


ナズもジャーブも苦労人だった。


「それじゃ行くぞ」

「分かりました」


まずはルイジーナの服屋へエプロンを取りに行く。


代金は払っているし、量産の許可もした。

品物が出されるまで店内を軽く見て回ったが、

この店にはエッチな下着は置いていないようだった。


特注?

いや無いはずは無いから、言えば出て来る系なのだろう。

男性の目もあるから下着は奥の方で、となるかもしれない。

エプロンも店頭には並んでいなかった。


ナズの身の丈に合わせてあるので、アナは多分着れない。

着けても多分、へそから下が無防備でエプロンの意味を成さない。

大体アナに着せた所で今日の失態を穿ほじくり返すのも可哀そうだ。


店員とお互いに感謝を言い合って店を後にする。

畳まれているエプロン1着ならポーチに入ったので問題ない。


そのまま、紹介されたトリアの商館へ向かった。


そういえばここ数日は色々あって、

トリアの揚げパンを購入していない。

帰りは揚げパンだ。


寂れてはいるが、商館だけは直ぐに解った。

佇まいが既に周りの家屋とは違う。

大きくてもぬけの殻になっている旧ギルド建屋とは違い、

寂れた街に似合わず門構えはがっちりとしていた。


「はーい、どうぞー」


ノックしてしばらく待つと、ダルそうな人物が出迎えた。


この男がここの小間使いなのだろうか?

やる気が無さ過ぎて直ぐにクビだろう、こんな者は。


どこの商館でも応接室はある。

トリアの商館でもそのルールは変わっておらず、

通路の奥にある部屋へ通された。


良かった、中はまともだった。

それなりの絨毯が敷かれ、ソファがあり、高そうな壷や絵画、置物もある。

ここだけトリアでは無いような、上品な部屋であった。


「どうも、この商館の主のラゴラですが、今日はどういった用件で」


小間使いでは無くて、館主だったのか!

と言うか、用件も聞かずにここまで通したのにはびっくりだ。


話を聞いてから奴隷商へ伝えるのかと思ったので、二重に驚いた。

∽今日のステータス(2021/09/21)


 ・繰越金額 (白金貨2枚)

     金貨 22枚 銀貨 43枚 銅貨 78枚


  小遣い               (800й)


  荷役報酬             (2000й)


            銀貨+12枚

  ------------------------

  計  金貨 22枚 銀貨 55枚 銅貨 78枚



 ・異世界26日目(朝)

   ナズ・アナ21日目、ジャーブ15日目、ヴィー8日目

   エプロン完成の日、聖槍出品まであと1日、荷役依頼の日

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