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1 プロローグ

 最近の最近まで、ある国の王城に美しい王女様がいました。

 彼女の名前は白雪姫。

 肌は透明感があって白く、髪は艶やかな黒髪を持つ少女でした。


 完璧な美貌を持つ少女と言ってもよいでしょう。

 ある部分を除いて。

 彼女は唯一の欠点がありました。


 それは瞳。

 人間が最も注目する顔のパーツが最悪でした。

 彼女の目は細く、ほぼ目を閉じているかのよう。


 そのためか彼女に会う人のほとんどは彼女が睨んでいると勘違いして遠ざかっていきました。

 その中には白雪の継母もいました。

 そのためかは分かりませんが、白雪が7歳の時、彼女の継母はその白雪姫を少し(・・)気に食わず、猟師に彼女を森に帰すように命じます。


 継母は一体何を考えているのでしょう??


 そして、森に解放された彼女は森の中で伸び伸びと過ごし、遂には猿と共生するようになります。

 いわゆる“白雪姫野生化事件”です。

 え??

 

 知らない??

 まぁ、後々出てくるので。


 そして、半年後。

 野生化白雪と彼らは出会いました。

 その彼らとは??


 そうです。

 7人の巨人たちです!!

 え??

 ちょっと違うって??

 まぁ、そこらへんは置いておきましょ。


 巨人といっても白雪とは数十センチしか差がありませんが、人間としては身長がある方だったので村の人たちからは巨人と言われていました。

 そのため、彼らが村に出ていくと……、


 「巨人が来たぞおぉーーー!!!」


 ……………………。

 某少年マンガのワンシーンみたいですね。

 でも、あれとは少し違いますよ。


 7人の巨人たちは村人たちに騒がれ、彼らの周りに人が集まっていました。

 なぜ、人が集まっていたかというと、7人の巨人たちは成長期で食欲がかなりあったので村に来ては美味しい食べ物を良く買っていたからです。

 村人にとってはいいカモと見られていたことでしょう。


 食料を買うお金??

 ああ、それなら心配ありませんよ。

 だって、彼らはそれなりに稼いでいましたから。


 7人の巨人は鉱山に出向いては宝石を掘り起こし、それを収入にしています。

 穴を掘れば宝石が出てくると言えるくらいすぐに宝石を発見していました。

 その発見ぶりから、時には化石研究者に呼ばれることも。

 彼らはかなりの技術者でまともに働いていました。


 そんな彼らが野生化白雪に会った時の動揺ったらないこと。

 普段あまり女性の姿を見ることはない7人の巨人たちは白雪の半裸を見て赤面。

 どうしようかと悩んだ末、彼らは白雪を捕獲し、家に連れて帰りました。


 7人の巨人の家に連れていかれた白雪。

 彼女はすでに人間の言葉を忘れ、人間たちが味方なことも忘れていました。

 白雪は7人の巨人たちをかなり警戒し、恐れてもいました。


 ——————————その時の睨みはまさに野生化した獣。


 7人の巨人たちは女性の白雪に照れていましたが、さすがに危機感を感じ、白雪を人間として更生させようと決意します。

 一緒に暮らし始めたときの白雪は巨人たちの家から逃走することがしょっちゅうありました。


 白雪は自分の居場所に戻るため、追いかけてくる巨人たちから必死に逃げます。

 それを何度も繰り返したある日。

 白雪が逃走して2日が経っていて、巨人たちが白雪を捜索しましたが見つからないそんな日がありました。


 捜索の始めは見つける気満々でしたが、2日が経ったときの巨人たちは白雪を諦めようかと考えていました。

 それでも少女を救ってあげようという気で頑張りました。


 頑張ったんです。

 頑張ったんですよ……。


 3日間探しに探し回りましたが、結局白雪の姿は見つかりませんでした。

 そうして、諦めて巨人たちが家に帰ろうとしたとき、後ろからがさごそと草木が不自然に揺れる音が聞こえました。

 なんだろうと振り向くとそこには四つん這いになっている白雪がいました。

 寂しそうな目をしていました。


 そうです。

 彼女は元居た猿の群れに入ろうとしていました。

 しかし、白雪は猿たちに追い出されてしまったのです。

 何度も何度も頼みましたが、猿の頭領は首を横に振るだけでした。


 『お前は人間界に帰れ。そして、生きろ』


 頭領にそう言われ、別れを告げられた白雪は涙を流しながら仕方なくもその場を去りました。

 そして、帰る場所がなくなった白雪は歩いているうちに巨人たちの元に向かっていたのです。


 巨人たちは我が子をやっと見つけたかのように白雪に抱き着きました。

 その中には涙を流す人も。

 急に抱き着かれた白雪は始め抵抗しているようでしたが、最終的に大人しくなり、7人の巨人たちと一緒に家に帰りました。




 ★★★★★★★★★★




 あれから8年後。


 白雪は15歳になっていました。

 歩き方、話し方、常識など人間として生きていく上で必要なことを7人の巨人たちに教えられた白雪は立派な女性?? になっていました。


 巨人たちが働きに行っている間は洗濯、掃除、買い物と家事をテキパキとこなし、時には巨人たちとともに働く日もありました。

 本当に立派な女性になっていたのです。


 しかし、そんな彼女にも変わらないことがありました。


 「ママ~。あの人、目つき悪いぃ~」


 白雪を指して言った声。

 村で正直な子どもに言われることが多くありました。


 「こら、そんなこと言わないのっ!! あら、白雪さん。ごめんなさいねぇ、うちの子が失礼なことを言って」

 「……いえ、大丈夫ですよ」


 白雪は家事を行っていたためか村に行くことが多く、そのため村人たちともなんだかんだ仲良くなっていました。

 白雪はその女性の子どもに村に行く道中に摘んだ花を渡します。

 すると、先ほどまでと怖がっていた彼女に無邪気な笑顔を見せました。


 「ありがとう!! 白雪さんっていうんだね!!」

 「そう。私は白雪……………………白雪よ」


 子どもに目つきのことを言われてもなんとも白雪は思っていませんでした。

 それはなぜか。

 目つきのことを気にしないのは7人の巨人たち、彼らのせいでした。

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